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第14章―魂の在りか―
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しおりを挟むあれはアレン……! ああ、無事に帰って来てくれたのね! はやくアレンといっぱいお話がしたいわ! 話したいことが沢山あるのよ!
彼女は待ちきれなくなると、そこから彼に声をかけた。
「アレンここよ、ここ!」
彼女は片手を振ると、そのまま騎士団達の列の中に入ってきた。目の前に彼女が現れると、後ろからきた馬がビックリして暴れだした。前足をばたつかせると彼女に向かって襲いかかった。その瞬間、周りにいた誰もが一斉に声を上げた。
『危なーいっっ!!』
「えっ…――?」
周りは騒然となると叫び声を上げた。彼女が気づいた時にはすでに遅かった。振り向くと目の前にいた馬が、彼女のことを前足で踏み潰そうとしてきた。
「キャアアアーーッ! アレン助けてぇーーっ!!」
少女は驚くと悲鳴声を上げて彼に助けを求めた。その声に誰もが予期せぬ事態を想像した。すると一人の少年が咄嗟に反応すると、少女の体を両腕の中に抱き抱えた。そして、そのまま安全な方の地面に向かって一緒に倒れた。間一髪のところを避けると周りにいた誰もが歓声の声を上げた。彼女は一瞬、自分の身に何が起こったのかわからなかった。目の前で起きた出来事を思い出すと体が恐怖で小刻みに震えたのだった。そんな彼女に近くで少年が声をかけてきた。
「大丈夫か……?」
「あっ…――」
顔を上げると目の前には、銀髪の少年が少女のことをジッと見ていた。冷静な眼差しの中にどこか孤独な瞳をしていた。少女は少年に気がつくと話しかけた。
「今のは貴方が…――?」
「ああ」
「貴方が私を……?」
「ああ、そうだ…――」
「貴方は……?」
「俺は――」
2人がそこで会話をしていると、黒い馬から青年が降りてきて慌ただしく駆け寄った。
「姫様ぁっ!!」
「あっ、アレン……!」
青年が駆け寄ると、少年は少女を腕から離した。
『アレェーン!!』
少女は少年の腕から離れると立ち上がって、青年の腕の中に飛び込んだ。少年はその様子を黙って眺めたのだった。
「アレン怖かったわ……! どうして助けてくれなかったのっ!? あと少しで命を落とす所だったのよ!?」
「すみません。後れ馳せながら助けることが出来ませんでした。何ゆえ、姫様がここにいるとは知らなかったもので――」
「酷いわアレン! 酷いわ酷いわ! 私そこから貴方に声をかけたのよ!?」
彼女は怒ると詰め寄った。アレンは困った顔をすると、そこで話を反らした。
「……ところで姫様お怪我はありませんか?」
「ええ、私は大丈夫よ。彼が助けてくれたから――」
彼女はそう答えると少年の方に目を向けた。少年は黙ったまま、腕を擦って目を反らした。
「ねぇ、アレン。あの子は…――?」
「ああ、彼ですか? いまから3年前に騎士団に入ってきた少年ですよ。名前はディオ。彼は姫様よりも二歳年上になります」
「彼がディオなの。どおりて見たことがない顔だと思ったわ」
ミリアリアは興味津々に彼に目を向けた。
「当然です。姫様は今から3年もの間、城を離れて女学校に通われていたのですから……。まさか遠征中に姫様が帰って来られていたとは知りませんでした」
「びっくりした? 貴方を驚かせたかったの。だって3年も貴方に会えなかったのよ? 貴方に会えない3年間は、私はとても長く感じたわ」
「姫様…――」
「ねぇ、私すこしは女性らしくなったかしら?」
「ええ、暫く見ないうちに成長しましたね。きっと将来は美しい女性に成長することでしょう。その日が楽しみです」
「まあ、アレンったら……!」
ミリアリアはアレンのその言葉に頬を赤く染めて嬉しそうに照れた。
「ねぇ、アレンあのこと覚えてるかしら?」
「あのことですか……?」
「ええ、そうよ。私と約束してくれたじゃない?」
「ああ、あのことですか…――」
「私が大きくなったら結婚してくれるんでしょ?」
「ひ、姫様…――!!」
アレンは慌てると周りの目を気にした。側にいた隊員達は、彼の慌ててる姿に大笑いした。
「ミリアリア様、そう言った話はここでするようなことではありません!」
「まあ、どうしてなの? アレンは私のことが嫌いなの?」
「そうではありません……! ですが、いずれ女王になられるお方がそのような発言はよろしくないと思うのです…――!」
「大丈夫よ、お父様には私がちゃんと話すから!」
「姫様…――!」
アレンは困った顔をするとディオに目を向けた。
「ディオ、君には礼を言わなくてはならない。姫様を守ってくれて有り難う! 騎士見習いにしては見事な大義だった!」
アレンはそう話すとディオに握手を求めた。彼は握手を求められると、下を向きながら握手をした。どこか照れているような様子に彼女は自然に微笑んだ。
「まあ、ディオったらアレンに照れてるの? ウフフッ。なんか可愛いわね」
ミリアリアは隣で笑うと、不意に彼の顔を覗き込んだ。
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