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第10章―決着の行く末―  

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 飛び立って直ぐに何かに気がつくと、ハルバートはヴァジュラに命令して再び地上に降りた。そして、雪を掻き分けながら前に進むとそこで足を止めた。足を止めた地面の下には、雪の中に光を放ったままのオーブが埋まっていた。咄嗟に雪の中からオーブを取り出すとそこでジッと見つめた。オーブはまだ淡い浅葱色の光を放ちながら輝いていた。ハルバートは、これが囚人がさっき逃げてる時に投げ捨てたオーブだと言うことに直ぐに気がついた。

「これが囚人が持っていたオーブか…――。間違いないな。このオーブには中級魔法がかけられているな。それもかなりの上物だ。これは、火と風の属性を司るオーブか。守護の風と火を司る精霊の幻術魔法。成る程、そこら辺で売っているようなオーブとは明らかに質が違い過ぎる。一体、何故これをあの囚人が持っているんだ?」

 ハルバートはオーブをジッと見つめると不意に独り言を呟いた。光る水晶玉の奥には、赤い光りと緑色の光りが微かに混ざり合うように溶けていた。その輝きはどこか怪しげで、見る者を惹き付けるような不思議な輝きだった。そこでハッとなって気がつくと直ぐに我に返った。

「色々と謎があるが、今はこうしている場合じゃねー! 早くあいつらと合流しないと…――!」

 慌ててオーブを自分の懐にしまうと急いでヴァジュラの所に戻り、竜の背中に乗って地上から空へと羽ばたいた。そして、ハルバートがリーゼルバーグと合流した時には、闘いは既に終わっていた。リーゼルバーグが火の鳥に最後トドメを刺した頃にハルバートとケイバーは仲悪そうな感じで互いに黙ったまま現れた。不意に彼が囚人の事を尋ねると、ハルバートはその真相を話すために全員をダモクレスの断崖の絶壁へと案内した。そして、吹雪が吹き荒れる中。ハルバートがその事実を話すとリーゼルバーグは呆れた様子で頭を抱えた。

「全くお前達は一体何をやっておるのだ? 呆れてものも言えん…――!」

 彼はそう話すと、ただ深い溜め息を尽くばかりだった。

「言っておくが俺は悪くないぞ! どっちかと言うと、コイツが勝手にやりやがったんだ!」

 ハルバートはそう話すと、ケイバーの方をジロッと睨んだ。

「ケッ、くだらねぇな。俺はクロビスの命令に従っただけだ。グラス・ガヴナンから囚人を出さなきゃいいってな! 俺は俺なりにやったつもりだぜ? それについてとやかく言われる筋合いはねーよ!」

 ケイバーは全員の前で、ふてぶてしい態度をとると、全く反省している様子もなかった。そんな最中ユングは神妙な表情で不意に話した。

「あ、あの……! 本当に囚人はこの海から落ちて死んだのでしょうか……? もし死んでなかったら…――」

 ユングは思わずそのことを口に出して言うと、周りはおのおのに考え込んだ。

「うむ、たしかにそれはありえる。そこのお主、お前はどう思うのだ? お前は囚人を背後から矢で射ったのだろ?」

 リーゼルバーグがそのことを尋ねると、ケイバーはハッキリと答えた。

「ああ、そうだぜ。俺は狙った的は外さねぇ。それに背後から心臓に近い場所を狙って撃ってやった。あれは確実に致命傷だぜ。逆にあの傷で海の中に飛び込んで生きてたらただもんじゃねぇ。普通は死んでるさ、それにこんな冷たい海じゃ尚更な」

 ケイバーがその事を話すと、ハルバートは舌打ちをして彼を睨んだ。

「コイツがバカなことをしなければ、今頃は何かわかったってのにな! ホント迷惑な話だぜ!」

「なんだよハルバート。まだ探偵ごっこか?」

「何だとテメェッ!」

「よさないか、お前達!」

 ケイバーは挑発的な言葉で言い返すとハルバートを見下して嘲笑った。2人の険悪な雰囲気が辺りに漂う中、リーゼルバーグはそこで頭を抱えて困り果てた。

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