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第8章―吹雪の中の追跡―
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しおりを挟む「ハルバート、お前の女房は相変わらずだな」
「ちっ、冗談じゃねえぜ……! 口がうるさくて困ってるところだ! なんならテメーにくれてやる!」
ハルバートがそう話すと、ケイバーはリーゼルバーグをみながら小バカにした顔で笑った。
「おい、ヤツはどうする?」
「ああ、ギュータスのことか? クロビスの命令であいつも一緒に連れて行かなきゃならねぇ。悪いがあいつも連れて行ってくれ」
ケイバーはそう答えると、後ろから怪しく囁いた。
「あとで礼はしてやるよ」
「本当か……?」
「ああ、任せろ」
彼はその話を聞き入れると、ギュータスに話しかけた。
「おい、そこの赤毛野郎! 仕方がないから連れて行ってやる! ぐずぐずしてねーで、そこら辺にいる奴の後ろに乗れ!」
「ああん!? なんだとテメー!」
その場でギュータスが言い返すと、彼は卑屈な顔で笑った。
「おっ、ヤル気か? 上等だ! かかって来い! お前をこのハルシオンで返り討ちにしてやる!」
彼はそう言い返すと、自分の愛用の斧を右手に持って挑発した。
「ざけんなジジイ! テメーがヤル気ならこっちだって容赦はしねーぞ!」
ギュータスは怒ると、自分も斧を持って彼を威嚇した。
屋上の上で一触即発の雰囲気が流れると、みぬに見かねたリーゼルバーグが、2人の間に入って仲裁した。
「いい加減にしろお前達! こんなところで時間を潰している暇があったら早く出撃するぞ!」
彼が割って入ると、ハルバートは斧を腰におさめて舌打ちをした。
「チッ、興ざめだ。こっちまで白けてきやがった。今は奴の顔に免じて引き下がってやる! でも、次に生意気な事を俺に言ったらお前が坊ちゃんのお気に入りだろうが、何だろうが容赦はしない! 今の言葉、覚えとけ!」
ギュータスとハルバートは睨み合うと、周りは呆れて黙り込んだ。
「おい、お前は私の後ろに乗るがいい!」
リーゼルバーグが声をかけると、ギュータスは彼の竜に乗った。ハルバートは部下達に出撃と言って大きな声で合図をおくると竜達は彼らを乗せて一斉に空に向かって羽ばたいて行った。そして、吹雪が吹き荒れる中を竜騎兵達は上空から地上を見下ろしながら探索を始めた――。
ハルバートは不意にケイバーに話しかけた。
「お前に聞きたいことがある。オーチスが囚人を逃がしたって話は本当か?」
「ああ、そうだぜ? 尋問したら色々とボロがでやがった。それに動かぬ決定的な証拠も、いくつか出てきたし間違いない」
ケイバーはそう話すと彼に尋ねた。
「なんだよハルバート。お前、あいつが嫌いだったんだろ? ひょっとして心配してるのか?」
「ハン、心配だって? まさか、んなわけねーだろ。まあ……あいつは昔からの知り合いだしな。そんなに仲良くしてたわけじゃねーけどよ、なんか引っ掛かるんだよ」
ハルバートはそう話すと、前で首を傾げて疑問視した。
「引っ掛かるってなんだ? あいつがやってないとでも言うのか?」
「――わからねえ。でも、なんかスッキリしねえのは確かだ」
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