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第6章―竜騎兵―
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しおりを挟む「決めた! あいつを殺す! 止めても無駄だぜリーゼルバーグ! 死んだ部下の仇はこの俺が必ずとってやる…――!」
ハルバートはそう言うと、ジャントゥーユに強い復讐心を燃やした。リーゼルバーグは一言「好きにしろ」と彼にいうと自分も支度の準備を始めたのだった。全ての準備が終わると部下がハルバートに報告をした。彼は自分の黒い鎧を纏うと兜をかぶって部下に伝えた。
「外は大吹雪だ! さっさと囚人を捕まえて帰るぞ野郎ども! お前達、気合を入れて探せぇ!」
ハルバートは部下の前で渇を入れると、全員が大きな声で返事をした。竜騎兵達は自分達の兜を手に持つと足早に部屋から出て行った。そして、竜が待機している屋上へと彼らは向かって行ったのだった。
部下達が部屋から出ていくと、ハルバートはリーゼルバーグにスティングの兜を持って来いと命令をした。言われるままに、部屋の奥から彼の兜を持てくるとそれを手渡した。リーゼルバーグは持ってきた兜をどうするのかを不思議そうに尋ねた。するとハルバートは無言で何も言わずに黙ったままそれをスティングの頭に被せた。そして、血で染まった斧を拾いあげると彼は次の瞬間、斧を下へと振り降ろした。
「こうするのさ…――!」
彼が振り降ろした斧はスティングの首を跳ねたのだった。リーゼルバーグは、彼の奇行に突如驚くと言葉を失った。ハルバートは切断したスティングの頭を床から拾いあげるとそれを小脇に抱えて一言いい放った。
「スティングも仲間だ! こいつも一緒に連れてくぞ!」
彼はそう言うと黒いマントを翻して、部屋から出て屋上へと向かって行った。リーゼルバーグは部屋の中で呆然とした顔で佇むと、ポツリと呟いた。
「やはり仲間を重んじる所は昔と変わっていないな……。早く奴が目を覚ませばいいのだが、私は信じているぞ。お前がいつかは…――!」
彼は思い詰めるように呟くと部屋から出て行った。外の吹雪はより一層激しく吹き荒れた。まるれでそれは、今から起こる出来事を予兆するかのように――。
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