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第6章―竜騎兵―

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「お前がスティングを殺ったのかッ!? よくも俺の部下を…――!」

 ハルバートは体中が怒りに震えると、途端に雄叫びを上げて彼に突進した。

『うぉおおおおおおおおおおおおーーっ!』

 周りは蜘蛛の子を散らすように、一斉に部屋の中で散らばった。

『逃げろぉ! ハルバート隊長がキレたぞっ!』

 部下達は騒ぐと、部屋のあちこちに一斉に避難した。ハルバートは突進すると彼の顔を片手で押さえて壁に向かっておもいっきり叩きつけた。その衝撃は凄まじく、壁に大きなヒビが入ってめり込んだ。普通に一撃を喰らったら一溜まりもないほどの威力だった。ハルバートは怒りながらジャントゥーユに向かって言い放った。

「テメーを今すぐぶっ殺してやる! よくも俺の可愛い部下を!」

 ハルバートは怒りに身を任せてそのまま彼を壁に何度も打ち付けた。さすがに周りも止めに入る者は誰一人いなかった。怒り狂う彼とは打って代わり、ジャントゥーユは不気味なくらい冷静だった。それは直ぐに彼にわかった。普通だったら痛みで叫んでる所だが、ジャントゥーユは強烈な一撃を喰らっていても、平然とした顔で立っていた。まるで攻撃が効いてない様子だった。手の隙間から見えたのは彼が沈黙の中で、怪しくニタリと不気味に笑った顔だった。ハルバートは一瞬にしてゾッと寒気を感じた。いや、彼は本能的になにかを感じとったのかも知れない――。

 彼の強烈な一撃を喰らっても、平気な顔して立っているジャントゥーユの姿に周りは恐れを感じた。普通の人間だったら一溜まりもないのに余裕の顔をしていたのだった。そして、静寂を纏うように不気味な笑みを浮かべていた。ニヤニヤと笑っている様子はまるで痛みを感じてない人間のようだった。その光景を見た部下の一人が思わず口走った。

「なっ、なんだよあいつ!? 隊長の一撃を喰らっても普通に立ってやがる! まともじゃないぞあの化け物、本当にあいつ俺達と同じ人間かよっ!?」

 ハルバートの一撃を喰らってもジャントゥーユは、平然とした顔をしていた。自分の額から血が流れると、それを美味しそうに舐めていた。ただならぬ異様な存在感に周りは恐れて彼から遠ざかった。その時、ハルバートは直感的に何かを悟った。

「お前、ここら辺にいる普通の看守とは違うだろ!? 誰だテメェは!」

 ジャントゥーユに向かってそう言うと、ハルバートは警戒するように彼の側を離れた。ハルバートのといかけに対してジャントゥーユは、怪しくニタリと不気味な笑みを見せた。周囲は彼の不気味さに凍りつくと、そこにいた誰もが言葉を失って沈黙した。そして、張り詰める空気が辺りに漂った。彼は壁から離れると自分の首を鳴らして一言告げた。
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