冷たい月を抱く蝶

第3章―偽りの家族の肖像―

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――彼の屋敷に住んだはじめの頃、私は彼の屋敷に驚いた。屋敷の中は豪華な豪邸の屋敷だった。そこら中に高価な装飾品や、絵画や彫刻品が飾られていた。そして、みたこともない様な物とかが沢山あった。

屋敷の中も広く。部屋は沢山あって、お屋敷には使用人が140人くらい居た。見るからにして彼が普通の男性とは思えなかった。紳士的で礼儀正しく、品格は明らかに高貴な身分の貴族をした優雅な振る舞いそのものだった。 

　金髪に青い瞳に凛々しい顔立ちは美の彫刻品のような美しい美青年。彼は明らかに私とは、住む世界が違う人だった。貧しい環境で育った私には、彼の暮らしは別の世界に感じた。

　私は彼から自分の部屋を与えられた。彼に部屋を案内された時、それを見て私は驚いた。そこはまるでお姫様が住む部屋みたいだった。

　少女なら誰もが憧れるような素敵で可愛らしい部屋が、自分のものになるなんて、夢物語を見ているかのような素敵な気分にさせてくれた。

　ふかふかなベッドに清潔な白いシーツにレースのフリルのカーテン。可愛らしい人形のビスク・ドールや、赤いリボンがついたクマのテディベアの大きなぬいぐるみや、綺麗なオルゴールとか、キラキラした宝石箱や、豪華な花瓶の花が飾られていた。

　豪華で可憐なお姫様みたいな部屋に、私の小さな胸は弾んだ。こんな素敵な気分にさせてくれる父に、私は初めて心の底から自分が生まれてきて良かったと感じた。

　その瞬間は嫌なことや、忘れたい出来事を全て忘れさせてくれた。とても幸せな気持ちになると私は嬉しくて彼の足元に抱きついて感謝の気持ちを伝えた。そんな私に父は、少し照れている様子だった。 あとから聞いた話だと、彼は私にこの部屋をプレゼントしてくれる為に色々と考えてくれたらしい。そんな彼の優しい性格に私は、この人の『娘』になれて本当に良かったと感じた――。