冷たい月を抱く蝶

成瀬瑛理

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第1章―愛のない行為―

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 淫らな音は時おり激しくなる。その度に、私の身体は快楽に支配された。彼の熱いモノが繰り返し入る度に口からヨダレを垂らして乱れ狂った。そして、中を激しく突き上げられる快感に全身は弓のようにピンと、はりつめた。その快感は甘い毒の様だった。そして、時おり感じる痛みに私は悶えながら喘ぎ声を出した。

 そんな私を、彼は冷たい氷のような眼差して上から見下ろして支配した。挿入されてから何度目かの繰返しの行為の最中に性器を奥深くまでグッと入れてきた。それは彼がイく時の合図だった。

 小さな体に彼のが全部入った。身体を貫かれるような痛みと打ち寄せる快感の波が全身に一気に襲った。彼は腰を前後に二三回動かしてから私の中で白い液体を出した。中にいっぱい出されるとゾクゾクするような快楽を感じた。私はそれが何かはわからなかった。彼は私の中で生温かいものを出すと性器をゆっくりと抜いた。 私の割れ目から白い液体がドクドク流れた。暫く快感で動けなかった。彼はそれを見ながら言った。

「淫乱だな。中に出されて感じて悦んで、お前は厭らしい子供だよ。きっと、お前の母親は淫乱な娼婦かも知れないな――」

 彼はそう言ってタバコに火をつけて吸った。私はその言葉に胸の奥が貫かれた。そして、悲しい気持ちになるとベッドから起き上がって、泣きながら彼の部屋から出て行った。部屋を出ると私は直ぐに自分の部屋へと戻った。そして、扉の前で泣き崩れて座り込んだ。
 
 私に優しかった父は、いつからか、あんな風に人が変わってしまった。彼とは幸い血が繋がってない『義父』との関係だったから良かったものの、もし本当に血が繋がっていたら、私はきっと生きて行けないと思った。繰り返される肉体関係に私は心の中で彼の事を責めた。愛のない行為は胸が張り裂けてしまうくらいの切なさを残した。私はあんな風に人が変わってしまった彼のことを今もどこかで愛を探していたのかも知れない――。
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