冷たい月を抱く蝶

成瀬瑛理

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第1章―愛のない行為―

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 今宵も闇が訪れる――。

 それは長い夜の始まり。
 欲望を鎮める為に私はあの人に抱かれる。
 身体を無理やり暴かれ、性の道具として扱われる。

 私はこの時の為だけに彼に拾われた。

 今ならそうだと言える気がする。
 あの時、差し出された手に掴まってしまった。

 私は幼い夢を見ていたのかも知れない。
 誰かに心から愛される儚い夢を。


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