46 / 62
★本編★
夜
しおりを挟む
次の日の朝、珍しくルドルフに朝食を共にと誘われた。
色とりどりのフルーツを堪能していたら呆れたような顔でルドルフに笑われる。
「そんな普段通りにされると昨日の事が夢だったみたいだ」
「大丈夫です。ちゃんと覚えてますから」
「本当にお前は何度やり直しをしても言う事を聞かないし結局俺のものにはならないし」
「そうなんですか?」
「ああ」
嫌いではない。誤解も解けたし感謝もしてる。けれどどんな事情があってもルルテラを剣で射抜いたあの時のルドルフを忘れられない。それが僕の為だとしても。
「ルドルフ様にもルルテラが大事だと思って欲しかったです」
「それは無理だ。俺はお前が何より大事だから。娘が生まれても息子が生まれてもお前に害を為すなら迷いなく殺す。それに俺より愛情を注ぐのもダメだ」
「自分の子なのに?」
「そうだ」
実際にお腹に宿して産みの苦しみを知ってるからだろうか。我が子は本当に愛しいし、この子の為なら死んでも惜しくないのにな。
「僕はルドルフ様とルルテラが崖から落ちそうになってたらルルテラを助けます」
「そうか。それを本人の前で言うのは止めてくれ」
「すいません」
和やか?に食事は進む。お互い隠し事が無くなり随分と自然体で接する事が出来るようになった。
「そう言えば僕とルルテラが死んだあと、ルドルフ様はどうしたんですか?」
「生き返らないお前にありったけの魔力を注ぎ続けて枯渇して死んだな」
「もしかして二度目とか三度目も?あ、いや聞くの怖いですね」
「想像の通りだが?」
「因みに今は何回目ですか?」
「十回目だ」
凄い。もうベテランだ。
「じゃあ十一回目の僕はルドルフ様を好きになるかもしれませんね。こんなに良くしてもらってるし」
「そうだな。次のお前に賭けるか」
はははと笑いながら軽口を叩く。
側から見ていたらなんと仲睦まじい夫婦かと思うだろう。話の内容は随分と物騒だけど。
ルドルフが次に会う僕はルルテラを産む前だと良いな。
そしたらルドルフだけを見てルドルフだけを愛せるだろう。
僕は見知らぬ自分に、彼の事をくれぐれもお願いしますと心の中で頼んだ。
「今日は出掛けないんですか?」
「ああ、ようやく片がついたからな。それにもうすぐヒートだろ。腹を決めたから逃げ隠れせずにお前の相手をしてやる」
「あ、ありがとうございます。でもまだ三ヶ月程はありますよ」
改めて言われると緊張する。
ルドルフは少なくとも僕と九回はしてるけど今生の僕は初めてだし。あ、でも記憶だけなら一回あるか。酷いヒートだったからあんまり覚えてないけど。
「僕は教会に行きますよ」
「俺を置いてか?」
わがままな駄々っ子みたいで笑える。
「そうです。お留守番してて下さい」
「ああ気をつけて行ってこい」
「はい」
程なくしてノエルがこちらに歩いてくるのが見えた。
「ほら来たぞ」
「分かってますよ」
僕は立ち上がりノエルの元に歩み寄る。振り返って見たルドルフは眩しいものを見るように僕達を見送っていた。
「そうだったんですか……」
教会に向かう馬車の中でルドルフに聞いた話をノエルに伝えた。ノエルにしても八雲から死に戻りの話を聞いてなければにわかには信じられなかっただろう。
「……アリス様はそれで良いんですか」
「うん。ルルテラが無事に生まれて育ってくれるならそれで良い」
「……」
「ノエル、ルルテラを守ってやってね」
「アリス様、私は……」
「頼りにしてるよノエル」
「……はい。皇后陛下のお望みのままに」
そう言ったきり黙り込むノエル。
酷い事を言っているのは分かってる。けれど今の僕はそれ以上何も言えない。
育つ前に摘んでしまったこの思いは胸の底に埋めたまま、僅かに残された日々を新しいペンでなぞっていこうと思う。
それからの僕は本当に好きな事だけをして過ごした。とは言え領地の問題は解決しておかないと死んでも死にきれないので、寝食も忘れ取り組んだ。そして暇が出来ると教会に行き町の住人達の治癒を行なう。ノエルと魔物の討伐に行った時は少し怪我をして、ルドルフに怒られたりもした。
魔術の力はあってもどう生かしていいか分からなかった昔とは違う。毎日がとても充実して楽しかった。
そして春が来て二度目の満月。いよいよルルテラを授かった日が来た。分かってはいても僕は緊張で朝からずっとドキドキしっぱなしだ。
確か夕方になって突然ヒートが始まったんだっけ。体調不良だと勘違いしたアーロンが急いでルドルフを呼びに行き彼も引きずられラットになったんだ。
ぼんやり前生を思い出す。あの時ルドルフは何を考えていたんだろう。
嫌々だったよな。きっと。
だってそれまでろくに会話したこともなかったんだから。
僕は嬉しかった。これで本当の夫婦になれると思ったから。けれど翌朝、目を覚ました時にはベッドで一人置き去りにされてた。その時の絶望は今も胸をチリチリと焦がす。
今生はせめて朝まで一緒に過ごしたいな。
寂しい思いをした昔の僕の為に。
「変わりないか?」
ルドルフがワインの瓶を持って部屋に来た。
「早いですね」
「ああ、いつもこの日はどうやってお前から逃げようかって考えてたからなんか変な感じだ」
「面白いです」
「いや、全然面白くない。俺は必死でこの運命を回避しようとしてたのにお前は一瞬で飛び越えてくるんだから腹が立って仕方ない」
ふふっと笑う。
「一生に一度の我儘です」
日が暮れてきた。少しだけ身体が熱を持って来るのが分かる。それでも以前のような爆発的なヒート発作ではない。緩やかに穏やかにそれは始まった。
「……なんだ。酒を飲む時間もなかったか」
ルドルフは酒瓶をテーブルに置き、僕の方に近寄る。僕は彼に向かって手を差し伸べた。
ルドルフは落ち着いている。ラットの発作はまだ起こってないらしい。
彼は僕を抱き上げベッドに降ろし、覆い被さってキスの雨を降らせた。僕はルドルフの背中に腕を回し宝物のようにそっと抱きしめる。
昔の僕が夢見た事故ではない繋がり。
ここから追い出されないようにとか、ちゃんと愛さなければとか。そんな思いばかりが先走ったけど。
今頃気付く。
あの時の僕は幼いながら確かにルドルフが好きだったのだ。
目覚めた時、隣ではルドルフがぐっすりと眠っていた。
彼の寝顔は初めて見る。思ったより無防備であどけない。
僕は寝乱れたシーツの上で身体を丸めお腹を撫でた。
……ルルテラがここにいる。
「早く会いにきて」
僕はそう呟いて多幸感と安堵の中、目を閉じた。
色とりどりのフルーツを堪能していたら呆れたような顔でルドルフに笑われる。
「そんな普段通りにされると昨日の事が夢だったみたいだ」
「大丈夫です。ちゃんと覚えてますから」
「本当にお前は何度やり直しをしても言う事を聞かないし結局俺のものにはならないし」
「そうなんですか?」
「ああ」
嫌いではない。誤解も解けたし感謝もしてる。けれどどんな事情があってもルルテラを剣で射抜いたあの時のルドルフを忘れられない。それが僕の為だとしても。
「ルドルフ様にもルルテラが大事だと思って欲しかったです」
「それは無理だ。俺はお前が何より大事だから。娘が生まれても息子が生まれてもお前に害を為すなら迷いなく殺す。それに俺より愛情を注ぐのもダメだ」
「自分の子なのに?」
「そうだ」
実際にお腹に宿して産みの苦しみを知ってるからだろうか。我が子は本当に愛しいし、この子の為なら死んでも惜しくないのにな。
「僕はルドルフ様とルルテラが崖から落ちそうになってたらルルテラを助けます」
「そうか。それを本人の前で言うのは止めてくれ」
「すいません」
和やか?に食事は進む。お互い隠し事が無くなり随分と自然体で接する事が出来るようになった。
「そう言えば僕とルルテラが死んだあと、ルドルフ様はどうしたんですか?」
「生き返らないお前にありったけの魔力を注ぎ続けて枯渇して死んだな」
「もしかして二度目とか三度目も?あ、いや聞くの怖いですね」
「想像の通りだが?」
「因みに今は何回目ですか?」
「十回目だ」
凄い。もうベテランだ。
「じゃあ十一回目の僕はルドルフ様を好きになるかもしれませんね。こんなに良くしてもらってるし」
「そうだな。次のお前に賭けるか」
はははと笑いながら軽口を叩く。
側から見ていたらなんと仲睦まじい夫婦かと思うだろう。話の内容は随分と物騒だけど。
ルドルフが次に会う僕はルルテラを産む前だと良いな。
そしたらルドルフだけを見てルドルフだけを愛せるだろう。
僕は見知らぬ自分に、彼の事をくれぐれもお願いしますと心の中で頼んだ。
「今日は出掛けないんですか?」
「ああ、ようやく片がついたからな。それにもうすぐヒートだろ。腹を決めたから逃げ隠れせずにお前の相手をしてやる」
「あ、ありがとうございます。でもまだ三ヶ月程はありますよ」
改めて言われると緊張する。
ルドルフは少なくとも僕と九回はしてるけど今生の僕は初めてだし。あ、でも記憶だけなら一回あるか。酷いヒートだったからあんまり覚えてないけど。
「僕は教会に行きますよ」
「俺を置いてか?」
わがままな駄々っ子みたいで笑える。
「そうです。お留守番してて下さい」
「ああ気をつけて行ってこい」
「はい」
程なくしてノエルがこちらに歩いてくるのが見えた。
「ほら来たぞ」
「分かってますよ」
僕は立ち上がりノエルの元に歩み寄る。振り返って見たルドルフは眩しいものを見るように僕達を見送っていた。
「そうだったんですか……」
教会に向かう馬車の中でルドルフに聞いた話をノエルに伝えた。ノエルにしても八雲から死に戻りの話を聞いてなければにわかには信じられなかっただろう。
「……アリス様はそれで良いんですか」
「うん。ルルテラが無事に生まれて育ってくれるならそれで良い」
「……」
「ノエル、ルルテラを守ってやってね」
「アリス様、私は……」
「頼りにしてるよノエル」
「……はい。皇后陛下のお望みのままに」
そう言ったきり黙り込むノエル。
酷い事を言っているのは分かってる。けれど今の僕はそれ以上何も言えない。
育つ前に摘んでしまったこの思いは胸の底に埋めたまま、僅かに残された日々を新しいペンでなぞっていこうと思う。
それからの僕は本当に好きな事だけをして過ごした。とは言え領地の問題は解決しておかないと死んでも死にきれないので、寝食も忘れ取り組んだ。そして暇が出来ると教会に行き町の住人達の治癒を行なう。ノエルと魔物の討伐に行った時は少し怪我をして、ルドルフに怒られたりもした。
魔術の力はあってもどう生かしていいか分からなかった昔とは違う。毎日がとても充実して楽しかった。
そして春が来て二度目の満月。いよいよルルテラを授かった日が来た。分かってはいても僕は緊張で朝からずっとドキドキしっぱなしだ。
確か夕方になって突然ヒートが始まったんだっけ。体調不良だと勘違いしたアーロンが急いでルドルフを呼びに行き彼も引きずられラットになったんだ。
ぼんやり前生を思い出す。あの時ルドルフは何を考えていたんだろう。
嫌々だったよな。きっと。
だってそれまでろくに会話したこともなかったんだから。
僕は嬉しかった。これで本当の夫婦になれると思ったから。けれど翌朝、目を覚ました時にはベッドで一人置き去りにされてた。その時の絶望は今も胸をチリチリと焦がす。
今生はせめて朝まで一緒に過ごしたいな。
寂しい思いをした昔の僕の為に。
「変わりないか?」
ルドルフがワインの瓶を持って部屋に来た。
「早いですね」
「ああ、いつもこの日はどうやってお前から逃げようかって考えてたからなんか変な感じだ」
「面白いです」
「いや、全然面白くない。俺は必死でこの運命を回避しようとしてたのにお前は一瞬で飛び越えてくるんだから腹が立って仕方ない」
ふふっと笑う。
「一生に一度の我儘です」
日が暮れてきた。少しだけ身体が熱を持って来るのが分かる。それでも以前のような爆発的なヒート発作ではない。緩やかに穏やかにそれは始まった。
「……なんだ。酒を飲む時間もなかったか」
ルドルフは酒瓶をテーブルに置き、僕の方に近寄る。僕は彼に向かって手を差し伸べた。
ルドルフは落ち着いている。ラットの発作はまだ起こってないらしい。
彼は僕を抱き上げベッドに降ろし、覆い被さってキスの雨を降らせた。僕はルドルフの背中に腕を回し宝物のようにそっと抱きしめる。
昔の僕が夢見た事故ではない繋がり。
ここから追い出されないようにとか、ちゃんと愛さなければとか。そんな思いばかりが先走ったけど。
今頃気付く。
あの時の僕は幼いながら確かにルドルフが好きだったのだ。
目覚めた時、隣ではルドルフがぐっすりと眠っていた。
彼の寝顔は初めて見る。思ったより無防備であどけない。
僕は寝乱れたシーツの上で身体を丸めお腹を撫でた。
……ルルテラがここにいる。
「早く会いにきて」
僕はそう呟いて多幸感と安堵の中、目を閉じた。
70
お気に入りに追加
1,624
あなたにおすすめの小説
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!


初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中

【運命】に捨てられ捨てたΩ
雨宮一楼
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない
天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。
ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。
運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった――――
※他サイトにも掲載中
★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
が、レジーナブックスさまより発売中です。
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる