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★本編★
父の足掻き
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「待ちなさい!アリス!そんな事が許されると思うのか!」
僕はその声を無視してドアに向かうがノブに手を掛けたところで凄い力で後ろに引き摺られた。そして胸ぐらを掴まれ足が宙に浮く。
「ふざけるなよアリス!お前を逃したらうちは終わりなんだ!代々続いた由緒ある魔術師の家系なんだぞ!この家を維持する為に私がどれほど苦労したか分かるか?!」
「苦しいっ」
掴まれた襟が首を締め上げ息が出来ない。僕はバタバタと手足を振って逃れようとした。
「失った魔力を甦らせる為に好きでもないお前の母親を嫌々抱いて作った子供だ!今更縁を切るなどとどの口がほざく!」
「あなた駄目よ!死んだら元も子もないわ!それに見えるところに傷を付けないで!」
「そうよ!お父様落ち着いて!また躾ければ良いだけよ!」
家族だった者達のそんな声を聞いて頭の中で何かが弾けた。無理やり母さんを拉致して病気になった途端に見殺しにしたくせに!
僕の体が熱を持ったように熱くなった。そのうち苦しかった息が段々と楽になって体が少しずつ浮くのが分かる。
「うわっ!熱っ!!」
じゅっと音がして父が僕を放り出した。その手は真っ赤になっている。
「よくも魔術を使ったな」
床に投げ出されたままの僕に怒り心頭の父が近づく。けれど継続して使える魔力はもう少ししかない。そう言えば八雲に完全覚醒する前は感情的に魔力を放出してはいけないと言われたっけ。暴走を引き起こすと。
僕は意を決して思い切り空気を吸った。そして……
「助けて!!!誰か!!」
そう声の限り叫んだ。
「やめろ!アリス!」
慌てて僕の口を塞ごうとした公爵からするりと逃げてドアに縋る。もちろんその間もひたすら叫びながら。
「どうされました?!アリス様!!」
外で護衛していた騎士が飛び込んで来た。
「助けて!お父さんに殺される!」
泣きながら首の鬱血痕をわざと騎士に見えるように足元に縋る。
「公爵様これは……」
「違うんだ!こいつが大袈裟に騒いで……!」
「と言うことは公爵様がご子息を傷つけられた事に間違いはないんですね?おい!兵士を呼べ」
「はい!」
騎士の一声でわらわらと人が動き出しあっという間に家族全員が押さえつけられた。
「おまえら!こんな事許されると思っているのか!」
「公爵様。アリス様は皇太子妃になられる方と聞いております。いくら親でもタダでは済みませんよ」
「待て!!違うんだ!アリスなんとか言え!」
戦い方には色々ある。非力な子供だと侮ったそちらの負けだ。
「アリス様宮廷医を呼びますのでこちらに」
僕は騎士に手を引かれその喧騒を後にする。後ろで大騒ぎしている父を振り返りにっこりと笑顔を見せながら。
僕はその声を無視してドアに向かうがノブに手を掛けたところで凄い力で後ろに引き摺られた。そして胸ぐらを掴まれ足が宙に浮く。
「ふざけるなよアリス!お前を逃したらうちは終わりなんだ!代々続いた由緒ある魔術師の家系なんだぞ!この家を維持する為に私がどれほど苦労したか分かるか?!」
「苦しいっ」
掴まれた襟が首を締め上げ息が出来ない。僕はバタバタと手足を振って逃れようとした。
「失った魔力を甦らせる為に好きでもないお前の母親を嫌々抱いて作った子供だ!今更縁を切るなどとどの口がほざく!」
「あなた駄目よ!死んだら元も子もないわ!それに見えるところに傷を付けないで!」
「そうよ!お父様落ち着いて!また躾ければ良いだけよ!」
家族だった者達のそんな声を聞いて頭の中で何かが弾けた。無理やり母さんを拉致して病気になった途端に見殺しにしたくせに!
僕の体が熱を持ったように熱くなった。そのうち苦しかった息が段々と楽になって体が少しずつ浮くのが分かる。
「うわっ!熱っ!!」
じゅっと音がして父が僕を放り出した。その手は真っ赤になっている。
「よくも魔術を使ったな」
床に投げ出されたままの僕に怒り心頭の父が近づく。けれど継続して使える魔力はもう少ししかない。そう言えば八雲に完全覚醒する前は感情的に魔力を放出してはいけないと言われたっけ。暴走を引き起こすと。
僕は意を決して思い切り空気を吸った。そして……
「助けて!!!誰か!!」
そう声の限り叫んだ。
「やめろ!アリス!」
慌てて僕の口を塞ごうとした公爵からするりと逃げてドアに縋る。もちろんその間もひたすら叫びながら。
「どうされました?!アリス様!!」
外で護衛していた騎士が飛び込んで来た。
「助けて!お父さんに殺される!」
泣きながら首の鬱血痕をわざと騎士に見えるように足元に縋る。
「公爵様これは……」
「違うんだ!こいつが大袈裟に騒いで……!」
「と言うことは公爵様がご子息を傷つけられた事に間違いはないんですね?おい!兵士を呼べ」
「はい!」
騎士の一声でわらわらと人が動き出しあっという間に家族全員が押さえつけられた。
「おまえら!こんな事許されると思っているのか!」
「公爵様。アリス様は皇太子妃になられる方と聞いております。いくら親でもタダでは済みませんよ」
「待て!!違うんだ!アリスなんとか言え!」
戦い方には色々ある。非力な子供だと侮ったそちらの負けだ。
「アリス様宮廷医を呼びますのでこちらに」
僕は騎士に手を引かれその喧騒を後にする。後ろで大騒ぎしている父を振り返りにっこりと笑顔を見せながら。
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