【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy

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★本編★

公爵家族との再会

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「どうして僕を教会から連れ出したんですか?」

 本をぱたんと閉じてルドルフを見た。
 前生のことは聞けないが今の事は本人に直接聞いてみればいいと思い当たったからだ。
 珍しく目を泳がせたルドルフは少し考えてから「なんとなく」と言った。

 何となくで人生変えられたらたまったもんじゃないんですけど。

「馬で遠乗りに行った帰りだった。雨に降られたから教会で雨宿りしようと。そこでお前を見て気に入ったから連れて帰って来た」

 どこの誰ともわからないのに?

「教会は嫌いじゃなかったんですか?」

 その言葉を聞いてルドルフが目を見開く。しまった前生の記憶だ。

「何故知ってる」
「……みんな噂してましたから」
「誰にも言った事はない」
「そうでしたか?誰から聞いたんだったかな……」

「アリスお前……」


 その時ドアがノックされアーロンが入って来た。

「失礼致します。公爵様ご夫妻がアリス様を訪ねてお見えです」

 あの人達しつこいな。

「帰らせろ」
「陛下がアリス様に会うようにと仰ってますが」
「……陛下が?」
「はい。そして陛下が殿下をお呼びです」

 ルドルフがチラリと僕を見た。確かにこのまま曖昧にしていても解決しない。

「会って話をして来ます。いいですよね?」
「……お前がいいなら」
「ありがとうございます」

 僕はルドルフに一礼して応接室に向かった。








「まあ!アリス!こんなに痩せてどういう事なの!大事な息子なのに!」
「……お養母様ご機嫌麗しく……」
「他人行儀な挨拶はやめて!さあこちらにいらっしゃい」

 他人行儀って。あなたとは他人ですけどなにこの態度の変わりよう。それより公爵夫妻と聞いたはずなのにエレノアとバクロまでいるのはどうして?しかも物凄い仏頂面で笑える。どうせならリカルドに会いたかったよ。



「ところで殿下との婚約式はいつなんだ?」
「婚約式??」
「殿下がお前を正式に皇太子妃にすると言われた。ゆくゆくはこの国を守る国母、皇后にすると」

 ……確かに前生ではそうだったけど。まだ子供の僕に対して勝手に事を進めないで欲しい。

「父上、僕にはまだ早いと思います。父上から殿下にそう言って頂けませんか」
「いやしかし時間を置いているうちに殿下のお気持ちが変わったらどうするつもりだ」
「……」

 出来れば変わって欲しいし二度と会いたくはない。でも再びルルテラと会う為にはルドルフが必要だ。

「な?それは惜しいだろう?とにかく殿下の気持ちを何としてでも繋ぎ止めるんだ。結婚には早くても婚約式さえすれば何とかなる。分かったか?」
「そうよ。貴方さえいればうちは安泰なの。皇室と縁続きになるしエレノアにもいい縁談がたくさん来るわ」

 僕の沈黙を勘違いした公爵夫妻は高圧的な態度を見せた。また以前の如くいいように僕を操り利益を得るつもりだろう。

「今は無理です」
「アリス!なんて事言うの!ほらバクロにエレノア!あなた達もアリスを励まして。私たちがついてるから大丈夫だって」
「……アリスが妃殿下になればまた新しいドレスを着てうちで舞踏会を開ける?」
「なにを言ってるの!今そんな場合じゃないでしょ!」

 甲高い声が広い応接室に響く。何だろうこの滑稽なやり取りは。僕は思わず笑ってしまった。
 何もかも馬鹿馬鹿しい。何がドレスだ。そんな贅沢に意味があるのか。

「何がおかしいのよ!アリス!」

 馬鹿にされていると思ったのかエレノアがカッとして僕を怒鳴る。

「おかしいでしよ。僕を殺そうとした人が虫みたいに僕にたかって甘い汁を吸おうなんて」

「アリス?!」

 僕の暴言に家族中が驚きと非難の声を上げた。

「殿下と話します。そして必要なら婚約式もします。でも僕が戻るのは公爵邸じゃない。教会です」
「どう言う事だ?」



「あなた達とは縁を切ると言う事です」







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