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5章 東の地

第181話 お人好し

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「これからどうするつもりなんだ?」

一通りの話を終えたカザン君にレギさんが問いかける。
その問いを発する前に一度俺たちの顔を見渡したレギさんだったが、俺たちは揃って軽く頷いていた。
話を聞いたら関わるって皆で俺を責めていたような気がするけど......皆だって同じじゃないですかね?
そう思って少しだけ憮然としたものの......まぁ皆の意見が一致しているのはいいことか。

「妹を安全なところに逃がしたいと考えています。」

「妹さんだけか?その後は......?」

「......。」

......カザン君だけで戻ってきそう......というか絶対に戻ってきて父親の名誉のために......みたいなことをやりそうだ。

「妹はまだ幼いので......せめて妹が成人するまでは傍にいようと思います。」

俺が思っていたよりもカザン君は冷静だったようだ。
レギさんはカザン君の言葉に納得したのか提案を始める。

「さっきも話したが俺たちはこの辺りの人間じゃなくてな。いくつか約束してくれるのならお前たちを安全な所まで連れて行ってやることは出来ると思う。」

「よ、よろしいのでしょうか!?」

「あぁ、構わないぜ。まぁ俺たちの用事が終わってからにはなるがな?」

「それは勿論構いませんが......私達には皆さんにお支払い出来るものがありません......。」

「それについてはあまり気にしなくてもいいが......先ほど言っていた黒土の森のことを思い出してくれると助かるな。」

「そのくらいでしたら何としてでも......。」

そう言ってカザン君は必死に思い出そうとしているのか、額に拳を当てて俯く。

「まぁ、おいおい思い出してくれ。」

レギさんがそう言った同時にテントで妹さんが身じろぎするのが見えた。

「カザンさん、妹さんがそろそろ目覚めそうなので傍にいてあげた方が......。」

俺の言葉を聞き、カザン君がはじかれた様にテントの方に駆け寄っていく。
先程の兵士から逃げる時も思ったけど妹さんをとても大事にしているようだね。
......一瞬ワイアードさんの爽やかな笑顔が頭を過ったけど頭を振って追い出す。

「......カザンは少々危うい感じがしたが、存外冷静になるのが早かったのう。」

「そうだね......最初は妹さんさえ逃がせられればって考えていたと思う。」

テントの方を見ながらナレアさんとリィリさんが言う。

「俺が提案したのは二人を安全な場所に連れて行くってことだ。妹の方だけ面倒を見てやるつもりはない。」

レギさんがシチューを火にかけて混ぜながら二人の会話に混ざる。

「そう言えば、約束って何をさせるのですか?」

「俺たちの事を他言しないってことだな......一緒にいる間色々と隠し続けるのは無理だろ?」

「あぁ......それはそうですね。」

何をどうやってもばれるに決まっている。
極力魔法は見せないようにして......グルフやシャル、ファラの事は隠せないだろうな。

「後は、妹を置いていくなってのも付け加えとくか。」

「妹分を村に置いていった人がいってもなー。」

リィリさんが半眼で呟く。
まぁ確かにレギさんはリィリさんを置いてヘイルさんとエリアさんの三人で村を飛び出したらしいからな......。

「それとこれとは......。」

「あーそうだねー。妹を置いて行って三人で楽しんでいたんだもんねー。」

「......。」

こういう時はあれだ、レギさんが良くやっている......目を瞑ってちょっと俯き加減で腕を組む。
そしてこのまま嵐が過ぎ去るのを待つのがベストだ。

「まぁまぁ、リィリよ。そのくらいにしてやるのじゃ......それで、これからの予定はどうするのじゃ?」

「暫くはここで待機ですね。ファラが情報を集めて合流してくれるはずですので。」

俺は聞こえないふりを止めて直近の予定を話す。

「その後は悩み所だな......一度龍王国にあいつらを連れて行くのも手だと思うが......。」

「その方が動きやすいかもしれぬが......その辺はあやつらと話して決めた方がいいじゃろうな。目指している場所があるかも知れぬし......そもそも妾達の目的を放り出すのもどうかと思うのじゃ。」

「僕は別に構いませんが......。」

「いや、ケイよ。助けられる人間にとってそれは心苦しいのじゃ。あくまで妾達の目的のついでに助ける程度でいいのじゃ。欲を言えば妾達の目的の手助けをなにかさせてやれるといいのじゃがのう。」

「それは彼らの為に?」

「うむ。対等な関係と言うのは難しいかもしれぬが、一方的に施しを受けると言うのは毒にもなりえるからのう。特に彼らのような境遇であればな。」

ナレアさんが少し悲し気な様子で二人の方を見る。
確かに彼らはここに来るまで、色々な人にその命を懸けてまで助けてもらってきている。
それは確実に二人の心に影を落とすだろう......今はまだ危機を脱したわけでは無いので考える余裕もないはずだが......その時は必ず来る。
その時に少しでも彼らの負担を軽くしてあげることが出来ればいいのだけど......。

「そうですね......わかりました。では黒土の森を探しつつ、彼らの安全の確保......最低でも一緒にいる間は危険から守るって感じですかね?」

「分かった。それでいこう。」

俺の言葉にレギさんが頷く。

「方針はそれでいいとしてー、移動はどうする?流石に二人も追加で運ぶのはグルフちゃんでも無理じゃないかな?」

「あー確かにそうですね......。」

シャルはグルフより小柄だし、三人は乗れないな......。
グルフに三人乗せてもらってシャルに二人載せてもらえばいけるかな?
いや、俺とナレアさんが空を飛べばいいのか?
言い訳のしようもないくらいに魔法を見せることになるけど......魔道具って言い張ればいけるんじゃないかな?

「僕とナレアさんが飛べば......。」

「それはダメだね。」

何故か最後まで言わせてもらえずにリィリさんに却下されてしまう。

「妾はそれでもいいがのう。」

そしてナレアさんは賛成しているのだが......何故かシャルを見ながらにやにやしている。
そして見られているシャルは目を閉じてナレアさんとは目を合わせようとしていない。

「じゃが......一つ案があるのじゃ。フロートボードと魔道具を使うのじゃ。ケイが作っておる魔道具を使えばレギ殿でもフロートボードを使えるじゃろ?」

なるほど......確かに魔晶石の魔力でフロートボードを動かせるようになればレギさんでもフロートボードが使えるな。

「リィリとあの兄弟の三人であればグルフに乗れるじゃろ?」

確かにその三人ならグルフに乗れるかな?
妹さんの方は恐らく十歳かそこいらと言ったくらいだし、カザン君もまだ少年と呼べるくらいで体形も細身だ。

「ナレアさんは飛ぶのですか?」

「うむ、魔道具と言えば何とかなるじゃろ。」

それなら移動はなんとかなるかな?

「......だがフロートボードは魔力を色々調整しながら飛ぶんじゃなかったか?ケイの魔道具でその辺の調整出来るのか?」

「......いや、それは難しいですね。一定の魔力を流し続ける感じになります。」

デリータさんに再び会うまでには魔術式を発展させたいけど......まだまだ転写もちゃんと出来ない身としては絵に描いた餅といったところだね。

「大丈夫じゃ。中央に配置してある宙に浮くための魔道具に魔力を流し込めば......。」

「後はロープで引っ張るだけだね!」

「「......。」」

牽引するってことか......多分可能だろうけど......。

「それ大丈夫なのか......?止まるときとかどうするんだ?ぶつかるぞ?」

「大丈夫だよ!ケイ君が強化してくれているからね!」

「自分の足で止めろってことか......少し練習したいんだが......魔晶石を消費しちまうな......。」

「一応ストックはそこそこあるので大丈夫ですよ。もし足りなくなるようだったら......ナレアさんに協力してもらえば何とかなると思いますし。」

「その場合は手を貸すのじゃ。」

「......だが魔晶石にも限りがあるだろう?」

「......あぁ、その点は大丈夫です。そういえばレギさんには話したことがありませんでしたね。神域から持ってきた魔晶石は僕が魔力を補充できるのですよ。」

「......そいつはすげぇな......。」

「ダンジョン産のものは出来ないのですけどね。」

まぁ神域産の方が使い勝手がいいからダンジョン産をあえて使う必要は無いし、別に問題はないけど......なんでだろうね?

「ご母堂の話から考えるに、ダンジョンで取れた魔晶石に込められているのは魔神の魔力だからじゃないかの?逆に神域で取れる魔晶石は神獣の魔力だからその子であるケイの魔力で補充が出来るのはないかと思うのじゃ。」

「あ、なるほど。言われてみればそうですね。」

元々宿していた魔力が別のものだからダンジョン産は補充が出来ないってことか。
品質が悪いせいかと思っていたけどどうやらそうじゃなさそうだな。



俺たちが話しているとカザン君が妹さんを連れて戻ってきた。
足取りもしっかりしているし、どうやら妹さんも体調は問題なさそうだね。

「皆さん、妹が目覚めました。本当にありがとうございます。さぁ、ノーラ。」

「はい、兄様。初めまして、ノーラ=グラニダ=ギダラルと申します。兄共々助けて頂きありがとうございます。」

物凄く丁寧な挨拶だ......これが育ちの良さということか......見た感じ小学校高学年にもなっていなさそうなのに。

「そんなにかしこまる必要は無いのじゃ。お主の兄にも言ったが、ただの成り行きでな。妾はナレアと言う、よしなにのう。」

そう言ってナレアさんがノーラちゃんに笑いかける。

「よろしくね!ノーラちゃん!私はリィリだよ!」

「よろしくお願いします。ナレア様、リィリ様。」

「様なんてつけなくていいよー。リィリって呼んで!おねぇちゃんでもいいよ?」

「うむ、妾も様なぞ付けずともよいのじゃ。」

二人に笑いかけられたノーラちゃんは目を丸くしておろおろしているようだ。
そんなノーラちゃんの頭に軽く手を載せてカザン君が微笑み、それを見たノーラちゃんは頷き決心したように声を出す。

「よろしくお願いします。ナレア姉様、リィリ姉様。」

「「......。」」

ノーラちゃんに改めて挨拶された二人が少し挙動不審になる。
いや、そこでそんな態度取っちゃったらノーラちゃんが不安になっちゃいますよ?

「あ、あれ?なんだろう?今ノーラちゃんに姉様って呼ばれた時......こう、胸がきゅんとなった。」

「う、うむ。妾も同じじゃ。この気持ちは一体......。」

少しおろおろし始めたノーラちゃんにリィリさんが近づいていく。

「ノーラちゃん。も、もう一回呼んでみてもらっていいかな?」

「は、はい。えっと......り、リィリ姉様?」

「はぅ!?」

リィリさんが奇声を上げて胸を抑える。

「あー、ノーラよ。妾の事もう一度呼んでもらえるかな?」

「は、はい。ナレア姉様。」

「う......うむ。」

呼ばれたナレアさんは何かを堪えるようなにやけるような......なんとも複雑な表情でノーラちゃんの頭を撫で始めた。
それは別にいいのだが......。

「......なんか、自己紹介のタイミングを完全に逃しましたね。」

「そうだな......。」

「あはは......。」

しみじみと呟く俺とレギさん、そして微妙に困った感じの空笑いをするカザン君は三人のやり取りを横目に竈の傍に腰を下ろす。
とりあえず、この瞬間......世界に二人の妹萌えが爆誕した。

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