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2章 ダンジョン

第55話 結構忙しい

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ダンジョンから街に戻ってから二週間程の時間が過ぎた。
この間、色々なことがあった。
まずギルドにダンジョン攻略を報告したところ調査団が派遣された。
この調査団が戻り次第、ダンジョン攻略が認められて報酬がもらえるらしい。
報酬はダンジョンの危険度等で変わるのでいくら貰えるかは分からないが、通常ダンジョン攻略にはかなりの人数、そして時間を費やして行うものなので相当な金額であることは確からしい。
しかしあのダンジョンは入り口付近こそ魔物がいたが、中層以降リィリさんによって魔物が一掃されていた為、時間もかかっていなければ苦労らしい苦労もしていない。
それで報酬を貰うのはちょっとなぁと思っていたところ、レギさんに諫められた。
気持ちは分からないでもないけど大人しく貰っておけ、と。
まぁ確かにリィリさんの事を話すわけにもいかないし、運よくダンジョンの浅い場所でボスを倒すことが出来たってシナリオの方が分かりやすくていいよね。
後はダンジョン攻略者としてギルドに登録されるらしいけど、正直それはどちらかというと遠慮したい......。
まぁ調査団が戻るにはもう少し時間がかかる。
隣の街から派遣されている調査団だが、調査結果がこちらのギルドに届けられるまでの間はこの街でのんびりする予定だ。
他にもデリータさんにリィリさんの事を相談したり、レギさん達と一緒にダンジョン攻略祝いの宴会を連日開催したり、ヘイルさん達の遺品をお墓へ納めたり......。
それとグルフやファラにお留守番ご苦労様のお礼を込めて色々とケアしてあげたり、リィリさん用の魔道具を作ってみたりもした。
後はリィリさんの能力把握のためにいつもの森の広場で運動に付き合ったり......皆で鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり......うん、中々忙しかったね。
メインストリートのゴミ拾いの依頼を受けてこなしたりもしたな。
まぁリィリさんに街を案内するついでにやったんだけど、ついこの前レギさんに案内してもらった場所を案内するのは変な感じがしたね。
因みに今日は偶々飯処で会ったクルストさんの買い物に付き合っている。

「いやー、それにしてもケイとレギさんが二人でダンジョン攻略してくるとは思わなかったっス。」

「本当は攻略が目的じゃなかったんですけどね。」

「まぁそうっスよねー。二人でダンジョン攻略に行くなんて自殺以外の何物でもないっス。」

「そうですねぇ。」

「俺はまだダンジョンの経験がないっスけど、どんな所だったっスか?」

「そうですね......ダンジョンの外とは空気が違いますね......ピリピリしているというか、魔力の濃さみたいなものを感じます。」

「へぇ、肌で感じられるほどの魔力っスか......。」

「えぇ、それに僕が行ったダンジョンは洞窟型だったんですけど、薄暗い感じなんですけど明かりが無くてもある程度見えるんですよ。どこかに光源があるって感じじゃないんですけど......不思議な感じでしたね。」

「それって屋外ダンジョンだと夜でも見えるんっスかねぇ。」

「どうでしょう......?逆に昼でも薄暗いって可能性もありますよ?」

「なるほど......不思議空間っスねー。」

「後はやっぱり魔物ですね......倒すと血も残さずに魔力に還って消えちゃうんですよ。」

「魔力の塊が魔物になって襲い掛かってくるってことっスよね......本当にわけわからん場所っスねぇ、行きたくないっス。」

「中級冒険者になるにはダンジョンでの試験がありますから、クルストさんも行かないといけないですね。」

「うへぇ......せめて何か金になるならいいんスけど......魔物を倒しても素材が採れないんじゃぁ......。」

「魔晶石を掘るくらいしかないと思いますけど......魔物が徘徊する場所ですからねぇ......落ち着いて採掘なんて出来ないと思いますね......。」

「なんスかそれ......地獄じゃないっスか。」

「まぁ放置出来ないものではあるみたいですけど......だからこそ攻略したらお祭り騒ぎなんでしょうねぇ。」

「あーそういえばダンジョン最寄りの街や村でお祭りらしいっスね。呼ばれたりしてないんすか?」

「あー、一応......と言うか、かなり熱烈に呼ばれています。」

そう、拠点にしていた村や最寄りのギルドのある街から攻略者として是非祭りに来て欲しいと連絡がギルドを通してきているのだ。
調査団がまだ戻ってきていないのに随分とフットワークが軽いよね......。

「祭りの主役っスねー!でも、なんか気乗りしてないみたいっスけど、行かないんスか?ただ酒呑み放題、女の子にもモテモテじゃないっスか?」

「まぁ、一応招待されているので顔は出しますけど......ちょっと面倒そうだなぁとは思っています。村の方はともかく、街の方の祭りはお偉方とか色々ありそうですし......。」

「あぁ、それは確かにありそうっスね。まぁでも、これも宿命と思って諦めるっス!」

大雑把にクルストさんが励ましてくる。
そのお気楽な感じにちょっとイラっとする......。
でも悪気がないというか邪気がないというか......そんな笑顔を見てるとどうでもよくなってくる。

「......そうですね......じゃぁ、めんどくさそうなのはレギさんに任せる方向で行きます。」

「そいつぁいい案だな。俺も使わせてもらうぜ、もちろんケイに押し付ける方向でな。」

後ろからそんな声が聞こえてくる。
いや、もう誰かなんてわかっているのだけど......なんでそんないいタイミングで話に入って来られるんですかね?

「お久しぶりっス、レギさん。」

「おぅ、クルスト備品の補充か?」

「うっス、次の仕事がちょっと遠出になるんで色々支度してるんスよ。んで偶々ケイと会ったんでついでにダンジョンの感想を聞いてたっス。」

「ほぅ、ダンジョンの......俺はてっきり悪だくみの相談でもしているのかと思っていたが......。」

「いやだなぁ......そんなわけないじゃないですかぁ。ちょっと祭りに招待されている件で話していただけですよー。」

「あぁ、その話か......確かに面倒だが......諦めて神輿になるしかねぇなぁ。」

「はぁ......まぁ大人しくしているだけでいいならいいんですけど......。」

「まぁ会食もあるだろうからな......あんまり変な事いうなよ?」

あぁ......気が重い......。

「ところでレギさん、そちらの女性はどちら様っスか?冒険者にしては見たことない人ですけど。」

「あぁ、こいつは俺の昔馴染みでリィリ。初級冒険者だ。」

リィリさんがクルストさんに軽く会釈をする。
そう、リィリさんは今初級冒険者だ。
本当は下級冒険者としてギルド証を再発行しようとしたのだが、魔力の質が変わってしまったために最初から登録し直すしかなかったのだ。
リィリさんは少しだけ寂しそうだったが、今なら上級冒険者にすぐに到達できそうと笑っていた。

「レギさんの昔馴染みにしては随分と若いようっスけど......えっと初めましてっス!下級冒険者のクルストって言います!分からないことがあったら何でも聞いて欲しいっス!」

「ありがとうございます、クルストさん。初級冒険者のリィリです。まだこの街には不慣れなので、色々と教えて下さると嬉しいです。」

「了解っス!見かけたら気軽に声かけて欲しいっス!」

「はい、その時は宜しくお願いします。」

リィリさんは笑顔でクルストさんに会釈している。
クルストさんは......何と言うか......デレデレな感じだ。
まぁリィリさんは凄く可愛いし雰囲気も良い方だからそうなる気持ちは分からないでもないですけど......レギさん一筋だから無理だと思いますよ。

「じゃぁクルスト、ケイ邪魔したな。俺たちはこれから下水掃除だ。」

「下水掃除ですか、お気をつけて。」

「おう、リィリ行くぞ。」

「はい。ではお二人ともまた今度。」

レギさんとリィリさんが連れ立って店から出ていく。
仲が良さそうで何よりだ。
まぁデート先が下水道なのはどうかと思うけど......。

「はー綺麗な人だったっス。美女と禿のコンビっスね、バランスが悪いっス。」

レギさん達が十分以上に離れたのを確認してからクルストさんが呟く。
聞こえてないといいね......。

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