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第三章 幽霊との日常
32話 お風呂回は続くよ、どこまでも。
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俺は今湯船につかっている。
パーカーを着たままのレイと一緒に。
俺が浴槽の端っこに背中をくっつけてて、その前にレイが俺の方に背中を向けて体育座りで座っている。
いや、向き合うのはいろいろとまずいからね、これが最善策ですよ。最善策。
……どうしてこうなったんだ?
「暑い」
いやそりゃそうでしょ。服を着たまま風呂にはいる奴なんて見たことないよ。
なんでパーカー着たまま、そのまま風呂に入ってきたの?
ていうか普通この浴槽のサイズだと二人で一緒に入るなんてことできないんですけど。
どういうわけか、というか理由は明白でレイの体が透けているからところどころ俺の体がレイの体にめり込む形で、ちゃっかり二人とも入れている。
透けてるんだから湯船の温度とかわからないんじゃないの?とか思ったんだけど、普通に暑いらしい。
「服着たままだからな」
「わかった」
そう一言いうとレイは突然立ち上がり、浴槽から出ていく。
なんだ、入ってみたら思いのほか面白くなくて飽きたとかか?
それよりもちょっと薄目でレイが歩いているところを見ると、なんかなんもないところで、水滴がぽたぽた落ちていて足跡がついてるように見えるんだけど。
透けてるはずなのにしっかり濡れてるってそれはいったいどういう現象?
そんなことを考えながらレイの姿を追っていると、レイは風呂場の扉をすり抜けて姿が見えなくなった。
しかし直後再び扉をすり抜けて俺の目の前に姿を現す。
簡潔に言おう。レイは全裸だった。
「ちょちょちょ!!」
俺、大混乱である。突然目の前に可愛い女の子が全裸で現れたのだ。
思わず目をそらすことすら忘れてしまう。
あ、レイさんって意外と着やせするタイプだったんですね。まあいつもだぼだぼのパーカー着てるから体形とかはわかりづらいよな。
思ってたよりも大きい。髪に隠れてわかりづらいけど。あえて何がとは言わない。
なんかレイが全裸になってからというものの、湯煙が一層濃くなったような気がする。
おかげで彼女の大事なところはきわどいラインで見えない。神秘が湯煙によって守られている。
なにこれ、これも幽霊の超常的な何か?いや、というよりは湯煙に意思があるように思えて仕方ないんだけど?
湯煙ばっかりずるいぞ!おれにももっとしっかり……って俺は何をまじまじと見つめているんだ!!
俺はいまさらながらレイから視線を逸らし、波立つ湯面を見つめることに全集中する。
足音が聞こえる。足音が徐々に近づいてきている。
ちらっと目を向けるとほんのりと頬を染めたレイが無表情のままこちらに近づいてきていた。
ああ、パーカーかぶってないと前髪ふんわり浮いてるから、いつもより顔が見えやすいんだな。
ちなみに頬を染めているのはきっと照れているとかそういう可愛いもんじゃなくて、ただ単に湯の熱さにやられて火照ってるだけなんだと思う。
ていうか今の俺の方が断然顔が赤い自信がある。もうなんというか全身が熱い。
俺の体温で湯が沸騰するんじゃないかっていうくらい体、特に顔が熱い。
ちゃぽん。
間近で響いて聞こえた音につられて、俺は思わず顔をあげてしまう。
目の前には真っ白な景色が広がっていた。
湯煙でほとんどなんも見えないけど、目の前には白い壁に透過してうっすらと見える細い背中があった。
そしてレイがさっきと同じように湯船につかる。
レイが入っても湯があふれるとかそういったことは一切なくて、レイが動いても一切湯面は波立たないんだけど、どういうわけか彼女の長い髪の毛だけは湯面に浮かんでいるように見えた。
あれ、髪の毛だけ実体化してるとかそんなことある?
まさかそんな器用なことできないよな。
「ちょうどいい」
「そ、そうか。ち、ちなみに服はどうされたんですか?」
「消した」
脱いだんじゃなくて消したのね。
どういうことか全くわからなかったが、俺はわかったことにした。
なんか深入りしたらいけないような気がした。
そしてそこから俺とレイの入浴タイムが始まったんだが、正直俺は生きた心地がしなかった。
レイに触れてる感触とかそんなものは一切ないはずなんだけど、脳みそが勝手に補完してレイと触れ合っているようなそんな錯覚を覚えてしまっていた。
いやあ人間の頭って賢いんだなあ!今だけはめちゃくちゃ退化してほしいところではあるんですけどね!なんでこんなに優秀なんですかね!!
よし、だいぶ慣れてきた。多分慣れてきた。一切体は動かせないけど、もう大丈夫だ! 顔の熱さはだんだん引いてきた。
多分時間的には短いんだろうけど俺にとってはめちゃくちゃ長く感じた無言の時間は唐突に破られる。
「楽しいことは?」
「えーーっと……」
風呂で楽しいことって言ってもなあ。まあ確かにレイは俺が楽しいことをしていると思って入ってきたんだろうし、俺からしたら生き地獄、生殺しでしかないわけだけど、そんな風呂で楽しいことなんて思いつかない。
「ここってなにするの」
「そうだな……髪洗ったり、体洗ったりとか?」
「どうやって?」
「あー……」
俺は今いろいろともろもろの諸事情で立ち上がることができないから、レイに教えてやることができない。
そして正直結構湯船につかってたのと体の体温が急激に上がってたせいで、のぼせてきているような感覚がある。
なんだか頭がぼんやりしてきている。
「やってやろうか?」
だから言い訳をさせてほしい。
これは俺の失言ではなくて、俺の体調的な問題から起こった必然的出来事であって、ついちょっと考えたことがそのまま口に出ちゃったわけで、ともかく俺は何も悪くない。
絶対に俺は悪くない。
「わかった」
レイは立ち上がるとまた湯船から出て行った。
全身に長い髪の毛がくっついて、水滴が滴り落ちているレイの姿が目の前にはあった。
……だからどうしてこうなるんだ?
パーカーを着たままのレイと一緒に。
俺が浴槽の端っこに背中をくっつけてて、その前にレイが俺の方に背中を向けて体育座りで座っている。
いや、向き合うのはいろいろとまずいからね、これが最善策ですよ。最善策。
……どうしてこうなったんだ?
「暑い」
いやそりゃそうでしょ。服を着たまま風呂にはいる奴なんて見たことないよ。
なんでパーカー着たまま、そのまま風呂に入ってきたの?
ていうか普通この浴槽のサイズだと二人で一緒に入るなんてことできないんですけど。
どういうわけか、というか理由は明白でレイの体が透けているからところどころ俺の体がレイの体にめり込む形で、ちゃっかり二人とも入れている。
透けてるんだから湯船の温度とかわからないんじゃないの?とか思ったんだけど、普通に暑いらしい。
「服着たままだからな」
「わかった」
そう一言いうとレイは突然立ち上がり、浴槽から出ていく。
なんだ、入ってみたら思いのほか面白くなくて飽きたとかか?
それよりもちょっと薄目でレイが歩いているところを見ると、なんかなんもないところで、水滴がぽたぽた落ちていて足跡がついてるように見えるんだけど。
透けてるはずなのにしっかり濡れてるってそれはいったいどういう現象?
そんなことを考えながらレイの姿を追っていると、レイは風呂場の扉をすり抜けて姿が見えなくなった。
しかし直後再び扉をすり抜けて俺の目の前に姿を現す。
簡潔に言おう。レイは全裸だった。
「ちょちょちょ!!」
俺、大混乱である。突然目の前に可愛い女の子が全裸で現れたのだ。
思わず目をそらすことすら忘れてしまう。
あ、レイさんって意外と着やせするタイプだったんですね。まあいつもだぼだぼのパーカー着てるから体形とかはわかりづらいよな。
思ってたよりも大きい。髪に隠れてわかりづらいけど。あえて何がとは言わない。
なんかレイが全裸になってからというものの、湯煙が一層濃くなったような気がする。
おかげで彼女の大事なところはきわどいラインで見えない。神秘が湯煙によって守られている。
なにこれ、これも幽霊の超常的な何か?いや、というよりは湯煙に意思があるように思えて仕方ないんだけど?
湯煙ばっかりずるいぞ!おれにももっとしっかり……って俺は何をまじまじと見つめているんだ!!
俺はいまさらながらレイから視線を逸らし、波立つ湯面を見つめることに全集中する。
足音が聞こえる。足音が徐々に近づいてきている。
ちらっと目を向けるとほんのりと頬を染めたレイが無表情のままこちらに近づいてきていた。
ああ、パーカーかぶってないと前髪ふんわり浮いてるから、いつもより顔が見えやすいんだな。
ちなみに頬を染めているのはきっと照れているとかそういう可愛いもんじゃなくて、ただ単に湯の熱さにやられて火照ってるだけなんだと思う。
ていうか今の俺の方が断然顔が赤い自信がある。もうなんというか全身が熱い。
俺の体温で湯が沸騰するんじゃないかっていうくらい体、特に顔が熱い。
ちゃぽん。
間近で響いて聞こえた音につられて、俺は思わず顔をあげてしまう。
目の前には真っ白な景色が広がっていた。
湯煙でほとんどなんも見えないけど、目の前には白い壁に透過してうっすらと見える細い背中があった。
そしてレイがさっきと同じように湯船につかる。
レイが入っても湯があふれるとかそういったことは一切なくて、レイが動いても一切湯面は波立たないんだけど、どういうわけか彼女の長い髪の毛だけは湯面に浮かんでいるように見えた。
あれ、髪の毛だけ実体化してるとかそんなことある?
まさかそんな器用なことできないよな。
「ちょうどいい」
「そ、そうか。ち、ちなみに服はどうされたんですか?」
「消した」
脱いだんじゃなくて消したのね。
どういうことか全くわからなかったが、俺はわかったことにした。
なんか深入りしたらいけないような気がした。
そしてそこから俺とレイの入浴タイムが始まったんだが、正直俺は生きた心地がしなかった。
レイに触れてる感触とかそんなものは一切ないはずなんだけど、脳みそが勝手に補完してレイと触れ合っているようなそんな錯覚を覚えてしまっていた。
いやあ人間の頭って賢いんだなあ!今だけはめちゃくちゃ退化してほしいところではあるんですけどね!なんでこんなに優秀なんですかね!!
よし、だいぶ慣れてきた。多分慣れてきた。一切体は動かせないけど、もう大丈夫だ! 顔の熱さはだんだん引いてきた。
多分時間的には短いんだろうけど俺にとってはめちゃくちゃ長く感じた無言の時間は唐突に破られる。
「楽しいことは?」
「えーーっと……」
風呂で楽しいことって言ってもなあ。まあ確かにレイは俺が楽しいことをしていると思って入ってきたんだろうし、俺からしたら生き地獄、生殺しでしかないわけだけど、そんな風呂で楽しいことなんて思いつかない。
「ここってなにするの」
「そうだな……髪洗ったり、体洗ったりとか?」
「どうやって?」
「あー……」
俺は今いろいろともろもろの諸事情で立ち上がることができないから、レイに教えてやることができない。
そして正直結構湯船につかってたのと体の体温が急激に上がってたせいで、のぼせてきているような感覚がある。
なんだか頭がぼんやりしてきている。
「やってやろうか?」
だから言い訳をさせてほしい。
これは俺の失言ではなくて、俺の体調的な問題から起こった必然的出来事であって、ついちょっと考えたことがそのまま口に出ちゃったわけで、ともかく俺は何も悪くない。
絶対に俺は悪くない。
「わかった」
レイは立ち上がるとまた湯船から出て行った。
全身に長い髪の毛がくっついて、水滴が滴り落ちているレイの姿が目の前にはあった。
……だからどうしてこうなるんだ?
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