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第二章 幽霊の成長
24話 ん? もしかして今喋った?
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ただいまー、おかえりー。
「つっかれたー」
いつも通り家に入りながら、一人挨拶を繰り出す俺。
これに慣れてしまっていることがいかに悲しいことか。
普段は特に気にしないんだけど、たまにふと我に返ると俺って何やってるんだろうってむなしい気持ちになる。
まあ最近はレイのお帰り紙吹雪があるからそんなに悲しくもないんだけどね。
……そういえば今日は来ないな。
レイが大量の紙切れを飛ばしてきた日以来、彼女のお気に入りになっていたのかそれはほとんど毎日、俺が仕事から帰ってくると大量の紙切れが、俺を襲うようになっていた。
いや、あれ地味に体に当たると痛いんだよ?
でもレイなりの労いなのかと思ったら無碍にもできないじゃん?
やさしさと痛みの板挟みにあっている俺、怒るにも怒れない。
まあ実際そんなに怒ってもないんだけど、一人暮らしの家でそんな葛藤にあっている状況がそもそもおかしいんだよな。
そんな毎日受けていたおかえり攻撃が今日は来ない。
もしかして飽きてしまったとか? それはそれで何か寂しいものがある。
まあ単純にめんどくさくなったのかもしれない。大量にばらまいたメモの紙切れを集めているのはレイだし。
そのおかげでごみ捨てというのを覚えたのかもしれないけど。
レイがごみ捨てを覚えたことと引き換えにメモ帳の消費が段違いで早くなったから、俺の財布にも地味にダメージが来てるんだけど。
「……おかえり」
ていうかなんで俺はいつまでも玄関で立って、わざわざゆっくりと靴を脱いでるんだろう。
もしかして無意識でレイのおかえり攻撃を待っているとか? そのためにいつもだったら一秒もかからない靴脱ぎに時間をかけてるとか?
なにそれ、俺ったらめんどくさい男の子じゃん。もしかしてドMだったの?
紙でぺしぺしされる性癖があったとか?
いやたまたま靴が脱ぎづらい日なんだよ。
やけに今日は足と靴が仲良しでなかなか離れてくれないなーって思う日くらいあるじゃん?
そんな経験したことないが、今日が初体験だ。そういうことだ。
「……ん?」
そういえば今聞きなれているような初めて聞くような声が聞こえたような気がしたんだけど……。
俺はやっと靴を脱ぎ終わり、廊下へと目線をあげる。
すると目の前で壁に隠れながら顔を出しているレイの姿がそこにはあった。
あれ、レイのやつなんか顔が真っ赤なんだけどなんで?
どうしてそんな恨みがこもったような目で俺のことを見つめているんですか?
あれ、もしかしてさっき聞こえたのって幻聴じゃなくて……
「もしかしてしゃべった?」
そういった瞬間レイの顔はさらに真っ赤に染まりリビングの方に逃げ込んでいった。
何あの可愛い生き物、追いかけるしかないでしょ。
そう思い、その一心で一歩足を踏み出した瞬間、リビングの扉が勢いよく開きそこから大量の紙切れが襲い掛かってきた。
不意打ちの紙吹雪攻撃が俺の顔面に降りかかる。
いつも通りその紙には赤い文字で「おかえり」と丁寧に裏表びっしりと書かれている。
いやこのスピードでこれだけの数のおかえりを書けるのは最早職人技だよ。
速記検定の有段保持者すらおののくほどだろ。
しかし不意打ちはまさか想像していなかった。
でも今日もちゃんとあるんじゃないか。もったいぶっちゃって。
飽きたのはおかえりということにではなくて、レパートリーが一定化してしまってきていることに飽きてしまっていたのか?
おかえりのレパートリーっていったい何なんだろう。そんな言葉存在しているのだろうか。
なんかちゃんとおかえりと言ってくれたことにテンションがおかしくなっている。
一回落ち着こう。
俺は落ち着くためにその場で深呼吸をする。
そして足元に目を向けるといつぞやに見たときと同じように、廊下の床を紙切れが覆いつくしている。
いつもだったら紙吹雪が終わった直後くらいに、すすすーとその紙切れがレイの部屋に向かって消えていくんだが、今日は紙切れたちが動き始める様子がない。
いや、紙切れが自動で動かないことに違和感を覚えている俺はきっとおかしいんだろうけど、俺にとっては紙切れは勝手にばらまかれて勝手に捨てられていくというのが、当たり前になっているのだ。最近は特に。
もしかしてレイのやつ、今日だけでメモ帳一冊を使い切ったわけじゃないだろうな?
紙切れが回収される様子は一切ない。これっぽっちも動く気配もなければ、足元に風が流れることもない。
……もしかしてこれって俺が片付けないとだめ?
「つっかれたー」
いつも通り家に入りながら、一人挨拶を繰り出す俺。
これに慣れてしまっていることがいかに悲しいことか。
普段は特に気にしないんだけど、たまにふと我に返ると俺って何やってるんだろうってむなしい気持ちになる。
まあ最近はレイのお帰り紙吹雪があるからそんなに悲しくもないんだけどね。
……そういえば今日は来ないな。
レイが大量の紙切れを飛ばしてきた日以来、彼女のお気に入りになっていたのかそれはほとんど毎日、俺が仕事から帰ってくると大量の紙切れが、俺を襲うようになっていた。
いや、あれ地味に体に当たると痛いんだよ?
でもレイなりの労いなのかと思ったら無碍にもできないじゃん?
やさしさと痛みの板挟みにあっている俺、怒るにも怒れない。
まあ実際そんなに怒ってもないんだけど、一人暮らしの家でそんな葛藤にあっている状況がそもそもおかしいんだよな。
そんな毎日受けていたおかえり攻撃が今日は来ない。
もしかして飽きてしまったとか? それはそれで何か寂しいものがある。
まあ単純にめんどくさくなったのかもしれない。大量にばらまいたメモの紙切れを集めているのはレイだし。
そのおかげでごみ捨てというのを覚えたのかもしれないけど。
レイがごみ捨てを覚えたことと引き換えにメモ帳の消費が段違いで早くなったから、俺の財布にも地味にダメージが来てるんだけど。
「……おかえり」
ていうかなんで俺はいつまでも玄関で立って、わざわざゆっくりと靴を脱いでるんだろう。
もしかして無意識でレイのおかえり攻撃を待っているとか? そのためにいつもだったら一秒もかからない靴脱ぎに時間をかけてるとか?
なにそれ、俺ったらめんどくさい男の子じゃん。もしかしてドMだったの?
紙でぺしぺしされる性癖があったとか?
いやたまたま靴が脱ぎづらい日なんだよ。
やけに今日は足と靴が仲良しでなかなか離れてくれないなーって思う日くらいあるじゃん?
そんな経験したことないが、今日が初体験だ。そういうことだ。
「……ん?」
そういえば今聞きなれているような初めて聞くような声が聞こえたような気がしたんだけど……。
俺はやっと靴を脱ぎ終わり、廊下へと目線をあげる。
すると目の前で壁に隠れながら顔を出しているレイの姿がそこにはあった。
あれ、レイのやつなんか顔が真っ赤なんだけどなんで?
どうしてそんな恨みがこもったような目で俺のことを見つめているんですか?
あれ、もしかしてさっき聞こえたのって幻聴じゃなくて……
「もしかしてしゃべった?」
そういった瞬間レイの顔はさらに真っ赤に染まりリビングの方に逃げ込んでいった。
何あの可愛い生き物、追いかけるしかないでしょ。
そう思い、その一心で一歩足を踏み出した瞬間、リビングの扉が勢いよく開きそこから大量の紙切れが襲い掛かってきた。
不意打ちの紙吹雪攻撃が俺の顔面に降りかかる。
いつも通りその紙には赤い文字で「おかえり」と丁寧に裏表びっしりと書かれている。
いやこのスピードでこれだけの数のおかえりを書けるのは最早職人技だよ。
速記検定の有段保持者すらおののくほどだろ。
しかし不意打ちはまさか想像していなかった。
でも今日もちゃんとあるんじゃないか。もったいぶっちゃって。
飽きたのはおかえりということにではなくて、レパートリーが一定化してしまってきていることに飽きてしまっていたのか?
おかえりのレパートリーっていったい何なんだろう。そんな言葉存在しているのだろうか。
なんかちゃんとおかえりと言ってくれたことにテンションがおかしくなっている。
一回落ち着こう。
俺は落ち着くためにその場で深呼吸をする。
そして足元に目を向けるといつぞやに見たときと同じように、廊下の床を紙切れが覆いつくしている。
いつもだったら紙吹雪が終わった直後くらいに、すすすーとその紙切れがレイの部屋に向かって消えていくんだが、今日は紙切れたちが動き始める様子がない。
いや、紙切れが自動で動かないことに違和感を覚えている俺はきっとおかしいんだろうけど、俺にとっては紙切れは勝手にばらまかれて勝手に捨てられていくというのが、当たり前になっているのだ。最近は特に。
もしかしてレイのやつ、今日だけでメモ帳一冊を使い切ったわけじゃないだろうな?
紙切れが回収される様子は一切ない。これっぽっちも動く気配もなければ、足元に風が流れることもない。
……もしかしてこれって俺が片付けないとだめ?
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