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第二章 幽霊の成長
19話 女の子の神秘が気にならない男の子ってどこにいるの?教えてください。
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というわけで、ごみ袋をもって紙切れの絨毯が敷き詰められている廊下を踏みしめてレイがいる部屋に入ると、なぜかレイはふくれっ面でこちらをにらみつけていた。
寒くはないからそんなに怒ってはないんだろうけどなんでそんな顔してるんだろう?
頬を膨らませたいのは俺の方だよ?
というかいつもパーカーに膝隠して体育座りをしているけども、服は伸びないんだろうか。
というか前々から思ってたけどその服俺のお古だよね。どこから引っ張り出してきたの。
「レイ、今日は君にごみ捨てを覚えてもらおうと思います」
俺が手に持ったごみ袋を見せつけるように前に突き出すと、レイはぽかんとした表情をして首をかしげている。
「とりあえず廊下に来てごらん」
怒らせてもろくなことがないので優しい口調で俺は部屋の扉を開け放ち、さながらレストランのウエイトレスのように、英国の紳士のごとくレイを廊下へと案内する。
レイはまるで変な人を見るようなジト目でこちらを見つめながら立ち上がると、案外素直に廊下へと足を運んでくれた。
いや俺は変な人じゃないよ。俺は立派な紳士になりきっていたはずだ。むしろ毎日俺は自然に紳士的な行動ができているつもりだ。そうだろ? そうなんだよ。
「このレイが生み出した紙切れたちは捨てなければいけないということはわかるよな?」
『どうして?』
「どうしてって、廊下にいつまでもここにあると俺の足の裏にいつも紙切れがくっついていることになるだろ」
『わたしにはくっつかない』
レイは実践するように紙切れの上でジャンプする。
確かにレイの足の裏には紙切れなんてつく様子がないし、それは当然。だって彼女は透けてるんだから。物体がくっつくわけがないよね。
てかそれ以上大きくジャンプしなくていいからね。
見た感じ俺のお古のパーカーしかきてないでしょ? それ以上飛ぶとパーカーがめくれて中身が見えちゃうからね。
そういえばレイのパーカーの中ってどうなってるんだろう。
もしかして乙女の神秘どころか透けてるわけだから、内臓まで丸見えだったりする?
いや別に乙女の内臓とか見たくはないけど、乙女の神秘は気になる。
うん、なんだか考えだしたらすごく気になってきた!
これは幽霊の実態を知るために仕方なく確認しなければいけないことだからな。
よし、ちょっとしゃがんだりしてみようか。
……嘘です。なんでもないです。何も考えていません。
「まあ足にくっつかないとしてもこのごみになっちゃった紙切れたちは片付けないと。散らかったままだと嫌だろ?」
俺が腕をさすりながらそういうと、レイは何やら不服そうな表情で紙に何か書いている。いや、念じている。そして俺の腕の鳥肌は全く引っ込んでくれない。
『ごみじゃないよ』
「ごみじゃないってお前……」
そこまで言って俺も考える。確かにこの紙切れはいうなればレイの言葉を具現化したものたち。
ということはこの廊下に落ちている紙切れたちはレイの言霊そのもの……?
じゃあ俺はレイは言った言葉をごみ発言したり、踏みつけたりしてたってこと?
何それ俺最低じゃん! 人の発言を、ましてや自分に向けて行ってくれた言葉をごみ発言するとか人としてどうなのさ!
いやちょっとまって。ほんとに俺が悪いの? でもレイもジャンプして盛大に踏みつけたりしてたからおあいこか?
いやでもごみ発言した俺の方が一歩リードしてるからやっぱり俺の方が最低じゃん!
『片付ければいいの?』
「あ、ああ。まあ簡単に言えばそういうこと」
頭を抱えて俺がうめいている中、レイはひどく冷静にそう書いた紙きれを俺に見せつけてきた。
それに対して俺が頷くと、レイは床に落ちている紙切れに向かって手招きするように両手を動かし始めた。
おおなんか顔の前で手招きしてるから、まねきねこみたいだな。
ていうか足元がすごく寒いんですけど。いや寒いっていうかなんかぞわぞわするんだけど。
レイはいったい何をしてるんだ?
俺が足元に目を向けると落ちている紙切れがまるで意思を持っているかのように、レイの方に集まっていく。
それをじっと見ているといつの間にか紙切れはトランプの山札のようにきれいに重なって、レイの手の中に納まっていた。
『これでいい?』
床に落ちていた紙切れはきれいさっぱりなくなっている。
もう何が何だかさっぱりわからない。
最近レイのやつ遠慮がなくなってきたのか俺の前で、超常的な何かを見せてくることが増えてきた気がする。
みょんみょん記法だったり、紙吹雪攻撃に、くいっく集法だったりさ。
まあそんな原理も分からない何かを見て、怖がるんじゃなくて頭抱えてる俺もどうかと思うけどさ。
レイは自分で集めた紙切れをぺらぺらめくったりして不思議そうに眺めている。
ちょっと待てよ、もしかして明日からその集めた紙を使いまわすつもりじゃないよね?
毎回書くのはめんどくさいからこれつかえばいいじゃーんとかそういうこと考えてないよね?
なんてことを考えていたらレイは普通に俺が力なく広げていたごみ袋の中にバサバサっと放り込むように捨てた。
あ、普通に捨てるのね。俺の悩んだ時間はいったい……。
「ていうか、片付け終わったな……」
『終わり?』
レイはそれを聞いて満足したのかいつもの部屋へと戻っていく。
……このままだと俺の決意が無駄になる。というかレイにごみ捨てのなんたるかを何一つ教えられないまま終わってしまう!
寒くはないからそんなに怒ってはないんだろうけどなんでそんな顔してるんだろう?
頬を膨らませたいのは俺の方だよ?
というかいつもパーカーに膝隠して体育座りをしているけども、服は伸びないんだろうか。
というか前々から思ってたけどその服俺のお古だよね。どこから引っ張り出してきたの。
「レイ、今日は君にごみ捨てを覚えてもらおうと思います」
俺が手に持ったごみ袋を見せつけるように前に突き出すと、レイはぽかんとした表情をして首をかしげている。
「とりあえず廊下に来てごらん」
怒らせてもろくなことがないので優しい口調で俺は部屋の扉を開け放ち、さながらレストランのウエイトレスのように、英国の紳士のごとくレイを廊下へと案内する。
レイはまるで変な人を見るようなジト目でこちらを見つめながら立ち上がると、案外素直に廊下へと足を運んでくれた。
いや俺は変な人じゃないよ。俺は立派な紳士になりきっていたはずだ。むしろ毎日俺は自然に紳士的な行動ができているつもりだ。そうだろ? そうなんだよ。
「このレイが生み出した紙切れたちは捨てなければいけないということはわかるよな?」
『どうして?』
「どうしてって、廊下にいつまでもここにあると俺の足の裏にいつも紙切れがくっついていることになるだろ」
『わたしにはくっつかない』
レイは実践するように紙切れの上でジャンプする。
確かにレイの足の裏には紙切れなんてつく様子がないし、それは当然。だって彼女は透けてるんだから。物体がくっつくわけがないよね。
てかそれ以上大きくジャンプしなくていいからね。
見た感じ俺のお古のパーカーしかきてないでしょ? それ以上飛ぶとパーカーがめくれて中身が見えちゃうからね。
そういえばレイのパーカーの中ってどうなってるんだろう。
もしかして乙女の神秘どころか透けてるわけだから、内臓まで丸見えだったりする?
いや別に乙女の内臓とか見たくはないけど、乙女の神秘は気になる。
うん、なんだか考えだしたらすごく気になってきた!
これは幽霊の実態を知るために仕方なく確認しなければいけないことだからな。
よし、ちょっとしゃがんだりしてみようか。
……嘘です。なんでもないです。何も考えていません。
「まあ足にくっつかないとしてもこのごみになっちゃった紙切れたちは片付けないと。散らかったままだと嫌だろ?」
俺が腕をさすりながらそういうと、レイは何やら不服そうな表情で紙に何か書いている。いや、念じている。そして俺の腕の鳥肌は全く引っ込んでくれない。
『ごみじゃないよ』
「ごみじゃないってお前……」
そこまで言って俺も考える。確かにこの紙切れはいうなればレイの言葉を具現化したものたち。
ということはこの廊下に落ちている紙切れたちはレイの言霊そのもの……?
じゃあ俺はレイは言った言葉をごみ発言したり、踏みつけたりしてたってこと?
何それ俺最低じゃん! 人の発言を、ましてや自分に向けて行ってくれた言葉をごみ発言するとか人としてどうなのさ!
いやちょっとまって。ほんとに俺が悪いの? でもレイもジャンプして盛大に踏みつけたりしてたからおあいこか?
いやでもごみ発言した俺の方が一歩リードしてるからやっぱり俺の方が最低じゃん!
『片付ければいいの?』
「あ、ああ。まあ簡単に言えばそういうこと」
頭を抱えて俺がうめいている中、レイはひどく冷静にそう書いた紙きれを俺に見せつけてきた。
それに対して俺が頷くと、レイは床に落ちている紙切れに向かって手招きするように両手を動かし始めた。
おおなんか顔の前で手招きしてるから、まねきねこみたいだな。
ていうか足元がすごく寒いんですけど。いや寒いっていうかなんかぞわぞわするんだけど。
レイはいったい何をしてるんだ?
俺が足元に目を向けると落ちている紙切れがまるで意思を持っているかのように、レイの方に集まっていく。
それをじっと見ているといつの間にか紙切れはトランプの山札のようにきれいに重なって、レイの手の中に納まっていた。
『これでいい?』
床に落ちていた紙切れはきれいさっぱりなくなっている。
もう何が何だかさっぱりわからない。
最近レイのやつ遠慮がなくなってきたのか俺の前で、超常的な何かを見せてくることが増えてきた気がする。
みょんみょん記法だったり、紙吹雪攻撃に、くいっく集法だったりさ。
まあそんな原理も分からない何かを見て、怖がるんじゃなくて頭抱えてる俺もどうかと思うけどさ。
レイは自分で集めた紙切れをぺらぺらめくったりして不思議そうに眺めている。
ちょっと待てよ、もしかして明日からその集めた紙を使いまわすつもりじゃないよね?
毎回書くのはめんどくさいからこれつかえばいいじゃーんとかそういうこと考えてないよね?
なんてことを考えていたらレイは普通に俺が力なく広げていたごみ袋の中にバサバサっと放り込むように捨てた。
あ、普通に捨てるのね。俺の悩んだ時間はいったい……。
「ていうか、片付け終わったな……」
『終わり?』
レイはそれを聞いて満足したのかいつもの部屋へと戻っていく。
……このままだと俺の決意が無駄になる。というかレイにごみ捨てのなんたるかを何一つ教えられないまま終わってしまう!
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