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第4話

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軽い体の痛みとともに目を覚ます。
やっぱり床で寝るのは辛いな。

ベッドを見ると、レイネとネミリが抱き合ってぐっすり眠っていた。
昨晩、レイネは俺がベッドで寝るべきと言って退かなかったのだが、俺としてもさすがに彼女たちを床で寝かせるわけにはいかなかった。
最終的には俺が紋章の命令という強権を発動し、彼女たちがベッドで寝たのであった。
ネミリに関しては全く遠慮がなかったけど。

幸せそうな寝顔を見ると起こすのをためらってしまうが、そうもいかない。
今日からお金を稼がなくてはいけないのだ。
早く引っ越さないと、毎晩ベッド問題で強権を発動しなければいけなくなる。

「起きろ。朝だぞ」

体を揺すると、レイネはパッと目を覚ました。
そして勢いよく起き上がる。

「おはよう」

「おはようございます。ご主人様に起こさせてしまうなんて……」

「気にするな。少しはネミリの図太さを見習ってもいいくらいだぞ」

俺はまだぐーすか寝ているネミリを叩き起す。
しばらくむにゃむにゃした後、何とかネミリは体を起こして……

「やっぱ……無理……」

また寝た。
俺が見ている限り、ネミリは寝ている時間の方が長い。
それにずっと封印されていたのだから、ずっと寝ていたようなものだろうに。

「無理じゃない。起きろ」

「ぐーすーぐーすー……」

「ご主人様、強権を発動していただいて構いません」

「分かった。命令だ、起きろ」

「うぅ……卑怯者……」

ぶつぶつと文句を言いながら、ネミリが再び体を起こす。
今度はベッドからの脱出に成功した。

「おはよう」

「グレン、命令で起こすのは無しだよ」

「少しの心苦しさはあるけど、起きてもらわなきゃ困るんだよ。金を稼がないと」

「むー」

まだまだ不満げなネミリをよそに、俺は今日の予定を考え始める。
レイネとネミリは俺の召喚獣という扱いになるので、冒険者として登録する必要は無い。
なので冒険に出かけようと思えば、煩雑な手続きなしに動くことが出来る。

冒険者がお金を稼ぐ方法は、大きく分けて3つ。
1つ目は、野外でモンスターを狩り、そのドロップアイテムを売るという方法。
冒険者として登録していれば、誰でもできる仕事だ。
ドロップアイテムは、全て協会が取りまとめて買い取ってくれる。

2つ目が、協会からの依頼をこなすという方法。
冒険者協会には、日々いろいろな依頼が舞い込んでくる。
依頼にも2つの種類があり、掲示板に張り出されていて実力があれば誰でも受けられるものと、特定の冒険者へ直々に協会が割り当てるものに分けられる。
当然のことながら、協会のご指名となる後者の依頼の方が、難易度は高い。

最後に3つ目。
ダンジョンの攻略だ。
街から馬車で1時間くらい行ったところに、地上100層、地下100層にわたるダンジョンがある。
確か現在の最高到達記録は地上が71層、地下が64層だったはずだ。
ただこのダンジョンに入るには、冒険者ランクB以上が必要となる。
これまで何の実績もない俺は最低のFランク。
まだダンジョンには入れない。

こうなると1つ目か2つ目の方法を取るしかないのだが、Fランクでもこなせる依頼などそうそうあるものではない。
もしあったとしても、レイネとネミリには物足りないだろう。
必然的に、俺たちが取るべきは野良モンスター狩りだ。
というかそれしかない。

「準備ができたら出かけるぞ。今より広い家を手に入れるためにな」

「かしこまりました」

「ぽよぽよ~ぽよぽよ~ぽーよぽよぽよ~」

深々と頭を下げて了解の意を示すレイネと、スライムのキューブをぽよぽよしていて聞いてるのか分からないネミリであった。
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