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第35話 ほのぼの新武器獲得
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「よし、できた!!」
のの花は黒光りする球体を掲げて、ふうっと汗をぬぐった。
ギルドホームに併設した作業場で作っていたのは、片手で持てるサイズの爆弾だ。
モンスターから落ちた特殊な素材を使い、鍛冶師のジョブで完成させた。
「さて、行くかな」
のの花は量産した爆弾をアイテムボックスにしまうと、第二層のダンジョンへ向かった。
「到着っと」
のの花は目的地に着くと、爆弾が大量にあることを改めて確認した。
今日のミッションは、爆弾縛りでダンジョンを攻略することだ。
新しいスキルや装備、それもユニーク級のものが欲しいと考えたのの花は、何か特殊な行動をする必要があると考えた。
初心者装備でボスを倒したらユニークセットがもらえたように、サブ火力として使われる爆弾をメインにしたら何か起こるのではと思ったのだ。
「いっくぞ~」
のの花は石の扉を押し開け、ダンジョンの中に入った。
少し歩くと、ポンポンという音と共にタヌキの形のモンスターが出てくる。
頭に葉っぱを載せていて、まるで日本昔話に出てきそう。
第二層は和がテーマなので、出現するモンスターも和風なのだ。
「モフモフでかわいい!!だけど……とりゃっ!!」
のの花はモフモフの誘惑に負けず、爆弾を思いっきり投げつけた。
タヌキの体に当たった途端、爆弾がボンと爆発する。
ポンという音と共に、タヌキが煙になって消えていった。
死亡演出も、第一層と変わっているようだ。
「よしよし。なかなかの威力じゃん」
のの花は爆弾の威力に満足すると、ダンジョンのさらに奥へ進んだ。
湧いてくるタヌキやキツネを爆弾で容赦なく倒し、落ちたアイテムをしっかり回収する。
そんなこんなで、あっという間にボス部屋へたどり着いた。
「さて、第二層到達後初のボス戦だ……」
のの花はボス部屋の扉を開き、そっと中を覗き込んだ。
キングゴブリンと同じくらいのサイズの影が、部屋の中央に立っている。
右手にはやはり、こん棒のような武器を持っている。
しかし、影の正体はちゃんと和風になっていた。
「赤鬼だ!!」
3mはあろうかという真っ赤な巨体に、もじゃもじゃの頭と湾曲した角。
身に着けているのはトラ柄のパンツ一枚で、手に持っているのは黒い金棒。
これもまた、昔話に出てきそうな赤鬼だ。
「グルルルル!!」
鬼が思いっきり金棒を振り上げる。
のの花の脳裏に、ダメージを食らったキングゴブリンの一撃がフラッシュバックした。
素早く横へ避けると、のの花の立っていた場所に金棒が振り下ろされる。
やはりクレーターが出来たが、その深さはキングゴブリンよりも断然広い。
それだけ、与えるダメージが大きいということだ。
「グルルルル!!」
「【戦略的撤退】!!」
赤鬼は、金棒を上下左右めちゃくちゃに振り回す。
AGIを上昇させたことで避けるのは容易く、クレーターが量産されるだけだが、近接戦闘というのは【驚異的な回避術】でも使わない限り無理そうだ。
「ま、爆弾だし問題なし!!」
のの花は十分に距離を取り、すきを見て爆弾を投げつける。
的が大きい分、当てるのは簡単だ。
「次はこれいってみよう!!」
のの花は今まで使っていたのより一回り大きい爆弾を取り出すと、同じように赤鬼へぶん投げた。
赤鬼の体に当たった衝撃で、大きな爆発が起きる。
そして赤鬼の体に、無数の鉄片が突き刺さった。
爆弾の中へ、火薬と一緒に仕込んでおいたのだ。
鉄片のおかげで、より多くのHPゲージが削られる。
「もういっちょ!!それ!!とりゃ!!」
のの花は延々と爆弾を投げ続け、ついに赤鬼のHPゲージを削り切った。
「クリア!!……だけど、スキルは取れてないっぽいね」
戦闘中も戦闘後も、スキルの獲得を知らせるウィンドウは出てこない。
あとの望みは、報酬の入った宝箱だ。
どんな装備が入っているかとわくわくしながら、宝箱を開ける。
しかし、宝箱にも通常の報酬以外は入っていなかった。
「う~ん……爆弾は外れだったかな……」
ダンジョン攻略1回に使った爆弾は、合計で40個。
そしてアイテムボックスには、残り450個近くの爆弾が残っている。
明らかな作り過ぎだ。
「この爆弾たちもったいないなぁ。そうだ!!花音が言ってた、周回っていうのをしてみようっと!!」
爆弾を使い切るまでに、最低でもあと10回はこのダンジョンを攻略できる。
のの花は転移門からダンジョンの外に出ると、再びダンジョンに入り直した。
最初のを含めて、ダンジョンをクリアすること10回目。
慣れた手つきで赤鬼を倒したのの花は、再び宝箱を開ける。
すると、今回は今までに見たことのない報酬が入っていた。
巻物上にされた白い紙が、2巻入っている。
「何だろ……でも、きっとレアなはず!!」
のの花は期待を込めて、片方の巻物を開く。
それは、鍛冶師が仕事に使う武器の設計図だった。
名前は「銃弾の設計図」。
取得条件は「火薬を使用した武器のみでダメージを与え、ダンジョンを10回クリアすること。また、その間1度も被ダメージしないこと」。
「ってことは……もしかして!?」
のの花がもう1巻の方を開くと、予想通りそれは銃の設計図だった。
しかも「機関銃の設計図」とある。
「機関銃ってことは……マシンガンだ!!」
和の世界に洋の文明が開化した。
火縄銃を飛び越えて、いきなり機関銃の伝来である。
しかも、一番手に入れてはいけないプレイヤーがそれをゲットしている。
まあそもそも、のの花以外にはほぼ取得不可能な条件なのだが。
運営の「ユノ対策」とはいえど、まだ手の届ききっていないところもあるのだ。
「帰ったら早速作って、みんなに見せようかな~」
のの花は設計図をアイテムボックスにしまい、意気揚々とギルドホームへ帰っていった。
のの花は黒光りする球体を掲げて、ふうっと汗をぬぐった。
ギルドホームに併設した作業場で作っていたのは、片手で持てるサイズの爆弾だ。
モンスターから落ちた特殊な素材を使い、鍛冶師のジョブで完成させた。
「さて、行くかな」
のの花は量産した爆弾をアイテムボックスにしまうと、第二層のダンジョンへ向かった。
「到着っと」
のの花は目的地に着くと、爆弾が大量にあることを改めて確認した。
今日のミッションは、爆弾縛りでダンジョンを攻略することだ。
新しいスキルや装備、それもユニーク級のものが欲しいと考えたのの花は、何か特殊な行動をする必要があると考えた。
初心者装備でボスを倒したらユニークセットがもらえたように、サブ火力として使われる爆弾をメインにしたら何か起こるのではと思ったのだ。
「いっくぞ~」
のの花は石の扉を押し開け、ダンジョンの中に入った。
少し歩くと、ポンポンという音と共にタヌキの形のモンスターが出てくる。
頭に葉っぱを載せていて、まるで日本昔話に出てきそう。
第二層は和がテーマなので、出現するモンスターも和風なのだ。
「モフモフでかわいい!!だけど……とりゃっ!!」
のの花はモフモフの誘惑に負けず、爆弾を思いっきり投げつけた。
タヌキの体に当たった途端、爆弾がボンと爆発する。
ポンという音と共に、タヌキが煙になって消えていった。
死亡演出も、第一層と変わっているようだ。
「よしよし。なかなかの威力じゃん」
のの花は爆弾の威力に満足すると、ダンジョンのさらに奥へ進んだ。
湧いてくるタヌキやキツネを爆弾で容赦なく倒し、落ちたアイテムをしっかり回収する。
そんなこんなで、あっという間にボス部屋へたどり着いた。
「さて、第二層到達後初のボス戦だ……」
のの花はボス部屋の扉を開き、そっと中を覗き込んだ。
キングゴブリンと同じくらいのサイズの影が、部屋の中央に立っている。
右手にはやはり、こん棒のような武器を持っている。
しかし、影の正体はちゃんと和風になっていた。
「赤鬼だ!!」
3mはあろうかという真っ赤な巨体に、もじゃもじゃの頭と湾曲した角。
身に着けているのはトラ柄のパンツ一枚で、手に持っているのは黒い金棒。
これもまた、昔話に出てきそうな赤鬼だ。
「グルルルル!!」
鬼が思いっきり金棒を振り上げる。
のの花の脳裏に、ダメージを食らったキングゴブリンの一撃がフラッシュバックした。
素早く横へ避けると、のの花の立っていた場所に金棒が振り下ろされる。
やはりクレーターが出来たが、その深さはキングゴブリンよりも断然広い。
それだけ、与えるダメージが大きいということだ。
「グルルルル!!」
「【戦略的撤退】!!」
赤鬼は、金棒を上下左右めちゃくちゃに振り回す。
AGIを上昇させたことで避けるのは容易く、クレーターが量産されるだけだが、近接戦闘というのは【驚異的な回避術】でも使わない限り無理そうだ。
「ま、爆弾だし問題なし!!」
のの花は十分に距離を取り、すきを見て爆弾を投げつける。
的が大きい分、当てるのは簡単だ。
「次はこれいってみよう!!」
のの花は今まで使っていたのより一回り大きい爆弾を取り出すと、同じように赤鬼へぶん投げた。
赤鬼の体に当たった衝撃で、大きな爆発が起きる。
そして赤鬼の体に、無数の鉄片が突き刺さった。
爆弾の中へ、火薬と一緒に仕込んでおいたのだ。
鉄片のおかげで、より多くのHPゲージが削られる。
「もういっちょ!!それ!!とりゃ!!」
のの花は延々と爆弾を投げ続け、ついに赤鬼のHPゲージを削り切った。
「クリア!!……だけど、スキルは取れてないっぽいね」
戦闘中も戦闘後も、スキルの獲得を知らせるウィンドウは出てこない。
あとの望みは、報酬の入った宝箱だ。
どんな装備が入っているかとわくわくしながら、宝箱を開ける。
しかし、宝箱にも通常の報酬以外は入っていなかった。
「う~ん……爆弾は外れだったかな……」
ダンジョン攻略1回に使った爆弾は、合計で40個。
そしてアイテムボックスには、残り450個近くの爆弾が残っている。
明らかな作り過ぎだ。
「この爆弾たちもったいないなぁ。そうだ!!花音が言ってた、周回っていうのをしてみようっと!!」
爆弾を使い切るまでに、最低でもあと10回はこのダンジョンを攻略できる。
のの花は転移門からダンジョンの外に出ると、再びダンジョンに入り直した。
最初のを含めて、ダンジョンをクリアすること10回目。
慣れた手つきで赤鬼を倒したのの花は、再び宝箱を開ける。
すると、今回は今までに見たことのない報酬が入っていた。
巻物上にされた白い紙が、2巻入っている。
「何だろ……でも、きっとレアなはず!!」
のの花は期待を込めて、片方の巻物を開く。
それは、鍛冶師が仕事に使う武器の設計図だった。
名前は「銃弾の設計図」。
取得条件は「火薬を使用した武器のみでダメージを与え、ダンジョンを10回クリアすること。また、その間1度も被ダメージしないこと」。
「ってことは……もしかして!?」
のの花がもう1巻の方を開くと、予想通りそれは銃の設計図だった。
しかも「機関銃の設計図」とある。
「機関銃ってことは……マシンガンだ!!」
和の世界に洋の文明が開化した。
火縄銃を飛び越えて、いきなり機関銃の伝来である。
しかも、一番手に入れてはいけないプレイヤーがそれをゲットしている。
まあそもそも、のの花以外にはほぼ取得不可能な条件なのだが。
運営の「ユノ対策」とはいえど、まだ手の届ききっていないところもあるのだ。
「帰ったら早速作って、みんなに見せようかな~」
のの花は設計図をアイテムボックスにしまい、意気揚々とギルドホームへ帰っていった。
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