27 / 41
第27話 ほのぼのギルドホーム完成!!
しおりを挟む
1週間の間、のの花は一生懸命に働いた。
土地を整地し、資材を加工し、ギルドホームを建て、家具を造り……。
そして今ここに、「おとぎの国」のギルドホーム完成である。
「完っ成っ!!!!!」
玄関の外側に立ち、のの花が両手を突き上げた。
花音たちがねぎらいの言葉を掛ける。
「お疲れ様、ユノ」
「ユノちゃんお疲れ様っ!!」
「頑張ったわね~、ユノちゃん」
「お疲れ……様です……」
「ああ、よく頑張ってたぜ、ユノ」
のの花は「ありがとうございます」と頭を下げた。
「みなさんのお手伝いのおかげです」
いくら大工も鍛冶屋も木こりもこなせるのの花とはいえ、もし1人だったら膨大な作業を1週間で完了できていない。
冒険職のメンバーは素材集めや買い出し、市民職のリュウは金属の加工で建設に貢献した。
そうして出来上がったギルドホームは、まるで貴族の屋敷のような見た目と規模だ。
「ねえユノ!!早く中見せてよ!!」
花音がわくわくで待ちきれないというそぶりを見せる。
のの花は笑顔で頷き、ゆっくりと木製の扉を開けた。
「「「「「おぉぉぉぉ~」」」」」
玄関だけで、花音たちから感嘆の声が上がる。
6人が靴を置くには十分すぎる大きさの靴箱と、出かける前にチェックする用の全身鏡が設置されていた。
靴箱の上には、温かさを感じさせるライトが3つ置かれていて、それが優しく玄関を照らしている。
色はピンク、水色、黄色の3色。どれもが淡いパステルカラーだ。
「これ、私たちが捕まえてきたやつ?」
黄色のライトを手に取って、サクラが聞いた。
「そうですよ~。ほわほわ蛍から作ったライトです」
ほわほわ蛍は、サクラと花音が捕まえてきたSSO内に生息する虫の一種だ。
モンスターではないため、攻撃はしてこないし冒険職でも生きたまま捕まえられる。
「さあさあ、どうぞ~」
のの花が入ってすぐのドアを開け、みんなを招き入れる。
ドアの向こう側は共用のリビングスペースだ。
「あ……あの光は……」
グレンが天井に光るシャンデリアを指差した。
その輝きは、雪山で見た一際目を引く雪煌石と同じものだ。
「雪煌石を加工したものですよ。グレンさんが雪竜を倒してくれたおかげで、素敵なシャンデリアが出来ました。ちなみに加工はリュウさんが」
「素敵です……。本当に……みんなで作ったんですね……」
「そうですよ~」
さらにのの花は、キッチン・バスルーム・2階にある個室・バルコニーなどを案内した。
どこも、淡くファンシーな色合いでまとめられている。
カーペットやベッドなど要所要所で取り入れられたモフモフも含めて、全部のの花の好みだ。
幸い、女子の多い「おとぎの国」では大層評判が良かった。
念のために言っておくと、決してリュウがこれを嫌がっている訳ではない。
一通りの案内が終わり、全員リビングに戻ってきた。
リビングの中央に大きな机があり、それをぐるっと囲むように椅子が並べられている。
それぞれ好きな場所に座ったところで、唯一立っているのの花が話を始める。
「ということで、まずはみなさんお疲れ様でした!!今日からここが、私たち『おとぎの国』のホームになります!!」
のの花が拍手をすると、みんなも、もう一度拍手をして自分たちをねぎらった。
「ギルドホームが完成して必要なものが揃ったところで、今日は『おとぎの国』の方針を決めていきたいと思います。例えば規模。もっとメンバーを誘って大・中規模ギルドを目指すのか、現状のメンバーのみにして小規模ギルドとして活動するのか……とかです」
よどみなく話すのの花を見て、サクラが花音に耳打ちする。
「ユノちゃん、だいぶギルマスっぽくなったわね」
「リュウさんに、VRMMOの何たるかを叩き込まれたみたいですよ」
「なるほど、それにしても自信いっぱいって感じ」
「それは同意です」
のの花はみんなの顔を一度見まわしてから言った。
「ギルドの規模に関して、何か意見はありますか?」
「はい……」
手を挙げたのはグレンだ。
「私はこのまま……少数精鋭でいくのが……いいと思います……。」
「私も賛成だわ」
グレンの意見に、サクラも賛同した。
「今から新たなメンバーを集めるのは大変だし、戦力的には大規模ギルドにも引けを取っていないはず。大規模だと統制も取りづらくなるし、このメンバーでほのぼのやってけたらいいんじゃないかしら」
「俺もサクラに同意だな。あと2、3人は加えてもいい気がするが、掲示板なんかでの大規模な募集はやめていいだろう」
初心者であるのの花にとって、グレン、サクラ、リュウというベテランゲーマーの意見は貴重だ。
花音とアイリンも同意したので、「おとぎの国」は小規模ギルドとして運営していくことになった。
「あとは……今後の活動予定とかですね。ただ近くにイベントがある訳でもないので、各自レベルアップに努めるという感じでいいですか?」
「それについてなんだが、ちょっといいか?」
リュウは席を立つと、のの花の背後にあるモニターのスイッチを入れた。
その画面に、第一層全体の地図が映る。
のの花は、みんながモニターを見れるように自分も座った。
「ちょうど、この辺りだな」
リュウは第一層の西側、以前にのの花が攻略したゴブリンのダンジョンがある森を指差す。
「この辺りに、めちゃくちゃヤバいモンスターが出る隠しクエストがあるらしい。どうやら敵がかなり強いらしく、今までのクリア人数は0だ」
「誰もクリアしてないってことですか?」
「そうだ。どうだろう、ここに挑んでみないか?」
「私はいいと思います」
そしてのの花が後ろを振り返ると、みんな「やりたいやりたい!!」という顔をしていた。
未クリアのクエストと聞いて逆にクリアする気が出てくるあたり、このギルドはかなり異常と言える。
まあ、それに恥じない戦力なのだが。
「決まりだな。早速出発するか?」
リュウの問いかけに、のの花はやる気MAXモードの表情で頷いた。
そして立ち上がり、ギルドマスターらしく締める。
「ではみなさん!!未踏破の隠しクエストへレッツゴー!!」
「「「「「レッツゴー!!」」」」」
楽し気に準備を始める、やる気満々のメンバーたち。
その頃運営は、グレンがのの花のギルドに入ったことを確認して、完全にやる気をなくしていた。
土地を整地し、資材を加工し、ギルドホームを建て、家具を造り……。
そして今ここに、「おとぎの国」のギルドホーム完成である。
「完っ成っ!!!!!」
玄関の外側に立ち、のの花が両手を突き上げた。
花音たちがねぎらいの言葉を掛ける。
「お疲れ様、ユノ」
「ユノちゃんお疲れ様っ!!」
「頑張ったわね~、ユノちゃん」
「お疲れ……様です……」
「ああ、よく頑張ってたぜ、ユノ」
のの花は「ありがとうございます」と頭を下げた。
「みなさんのお手伝いのおかげです」
いくら大工も鍛冶屋も木こりもこなせるのの花とはいえ、もし1人だったら膨大な作業を1週間で完了できていない。
冒険職のメンバーは素材集めや買い出し、市民職のリュウは金属の加工で建設に貢献した。
そうして出来上がったギルドホームは、まるで貴族の屋敷のような見た目と規模だ。
「ねえユノ!!早く中見せてよ!!」
花音がわくわくで待ちきれないというそぶりを見せる。
のの花は笑顔で頷き、ゆっくりと木製の扉を開けた。
「「「「「おぉぉぉぉ~」」」」」
玄関だけで、花音たちから感嘆の声が上がる。
6人が靴を置くには十分すぎる大きさの靴箱と、出かける前にチェックする用の全身鏡が設置されていた。
靴箱の上には、温かさを感じさせるライトが3つ置かれていて、それが優しく玄関を照らしている。
色はピンク、水色、黄色の3色。どれもが淡いパステルカラーだ。
「これ、私たちが捕まえてきたやつ?」
黄色のライトを手に取って、サクラが聞いた。
「そうですよ~。ほわほわ蛍から作ったライトです」
ほわほわ蛍は、サクラと花音が捕まえてきたSSO内に生息する虫の一種だ。
モンスターではないため、攻撃はしてこないし冒険職でも生きたまま捕まえられる。
「さあさあ、どうぞ~」
のの花が入ってすぐのドアを開け、みんなを招き入れる。
ドアの向こう側は共用のリビングスペースだ。
「あ……あの光は……」
グレンが天井に光るシャンデリアを指差した。
その輝きは、雪山で見た一際目を引く雪煌石と同じものだ。
「雪煌石を加工したものですよ。グレンさんが雪竜を倒してくれたおかげで、素敵なシャンデリアが出来ました。ちなみに加工はリュウさんが」
「素敵です……。本当に……みんなで作ったんですね……」
「そうですよ~」
さらにのの花は、キッチン・バスルーム・2階にある個室・バルコニーなどを案内した。
どこも、淡くファンシーな色合いでまとめられている。
カーペットやベッドなど要所要所で取り入れられたモフモフも含めて、全部のの花の好みだ。
幸い、女子の多い「おとぎの国」では大層評判が良かった。
念のために言っておくと、決してリュウがこれを嫌がっている訳ではない。
一通りの案内が終わり、全員リビングに戻ってきた。
リビングの中央に大きな机があり、それをぐるっと囲むように椅子が並べられている。
それぞれ好きな場所に座ったところで、唯一立っているのの花が話を始める。
「ということで、まずはみなさんお疲れ様でした!!今日からここが、私たち『おとぎの国』のホームになります!!」
のの花が拍手をすると、みんなも、もう一度拍手をして自分たちをねぎらった。
「ギルドホームが完成して必要なものが揃ったところで、今日は『おとぎの国』の方針を決めていきたいと思います。例えば規模。もっとメンバーを誘って大・中規模ギルドを目指すのか、現状のメンバーのみにして小規模ギルドとして活動するのか……とかです」
よどみなく話すのの花を見て、サクラが花音に耳打ちする。
「ユノちゃん、だいぶギルマスっぽくなったわね」
「リュウさんに、VRMMOの何たるかを叩き込まれたみたいですよ」
「なるほど、それにしても自信いっぱいって感じ」
「それは同意です」
のの花はみんなの顔を一度見まわしてから言った。
「ギルドの規模に関して、何か意見はありますか?」
「はい……」
手を挙げたのはグレンだ。
「私はこのまま……少数精鋭でいくのが……いいと思います……。」
「私も賛成だわ」
グレンの意見に、サクラも賛同した。
「今から新たなメンバーを集めるのは大変だし、戦力的には大規模ギルドにも引けを取っていないはず。大規模だと統制も取りづらくなるし、このメンバーでほのぼのやってけたらいいんじゃないかしら」
「俺もサクラに同意だな。あと2、3人は加えてもいい気がするが、掲示板なんかでの大規模な募集はやめていいだろう」
初心者であるのの花にとって、グレン、サクラ、リュウというベテランゲーマーの意見は貴重だ。
花音とアイリンも同意したので、「おとぎの国」は小規模ギルドとして運営していくことになった。
「あとは……今後の活動予定とかですね。ただ近くにイベントがある訳でもないので、各自レベルアップに努めるという感じでいいですか?」
「それについてなんだが、ちょっといいか?」
リュウは席を立つと、のの花の背後にあるモニターのスイッチを入れた。
その画面に、第一層全体の地図が映る。
のの花は、みんながモニターを見れるように自分も座った。
「ちょうど、この辺りだな」
リュウは第一層の西側、以前にのの花が攻略したゴブリンのダンジョンがある森を指差す。
「この辺りに、めちゃくちゃヤバいモンスターが出る隠しクエストがあるらしい。どうやら敵がかなり強いらしく、今までのクリア人数は0だ」
「誰もクリアしてないってことですか?」
「そうだ。どうだろう、ここに挑んでみないか?」
「私はいいと思います」
そしてのの花が後ろを振り返ると、みんな「やりたいやりたい!!」という顔をしていた。
未クリアのクエストと聞いて逆にクリアする気が出てくるあたり、このギルドはかなり異常と言える。
まあ、それに恥じない戦力なのだが。
「決まりだな。早速出発するか?」
リュウの問いかけに、のの花はやる気MAXモードの表情で頷いた。
そして立ち上がり、ギルドマスターらしく締める。
「ではみなさん!!未踏破の隠しクエストへレッツゴー!!」
「「「「「レッツゴー!!」」」」」
楽し気に準備を始める、やる気満々のメンバーたち。
その頃運営は、グレンがのの花のギルドに入ったことを確認して、完全にやる気をなくしていた。
0
お気に入りに追加
558
あなたにおすすめの小説
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く
オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。
しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。
農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ!
※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

滅亡後の世界で目覚めた魔女、過去へ跳ぶ
kuma3
SF
滅びた世界の未来を変えるため、少女は過去へ跳ぶ。
かつて魔法が存在した世界。しかし、科学技術の発展と共に魔法は衰退し、やがて人類は自らの過ちで滅びを迎えた──。
眠りから目覚めたセレスティア・アークライトは、かつての世界に戻り、未来を変える旅に出る。
彼女を導くのは、お茶目な妖精・クロノ。
魔法を封じた科学至上主義者、そして隠された陰謀。
セレスティアは、この世界の運命を変えられるのか──。

New Life
basi
SF
なろうに掲載したものをカクヨム・アルファポにて掲載しています。改稿バージョンです。
待ちに待ったVRMMO《new life》
自分の行動でステータスの変化するアビリティシステム。追求されるリアリティ。そんなゲームの中の『新しい人生』に惹かれていくユルと仲間たち。
ゲームを進め、ある条件を満たしたために行われたアップデート。しかし、それは一部の人々にゲームを終わらせ、新たな人生を歩ませた。
第二部? むしろ本編? 始まりそうです。
主人公は美少女風美青年?

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる