全能少女、VRMMOをほのぼの無双する~外れスキル【雑用】がチートスキル【全能】に進化した私の適正ジョブは全部です~

メルメア

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第7話 ほのぼの目標決定

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「いいか、大体のVRMMOにはギルドだのパーティーだのって仕組みがある」

 のの花があまり【全能】の強さを理解していないため、リュウによる「初心者のためのVRMMO講座」が始まった。
 のの花と花音がカウンター前の椅子に座り、真剣に話を聞いている。
 サクラにとっては分かり切っていることなので、店内の武器を物色し始めた。

「現在のSSOには、パーティーシステムのみが実装されている。ギルドシステムは、近日実装と運営が言っていたな」

 SSOは、まだリリースから数か月しか経っていない。
 つい先日、近々大規模なイベントが行われ、次いでギルドシステムが実装されると運営が公式発表したところだ。

「パーティーにしろギルドにしろ、組むにはいろんなジョブの奴を集める必要がある。アタッカーやバフ・デバフ係、防御担当や回復担当なんかだな。ギルドとなると生産職、SSOでは市民職と呼ばれるジョブのメンバーも必要になるな」

 あらかじめVRMMOに関する知識を仕入れていた花音にとっては、改めてのおさらいという感じ。
 のの花にとっては、初めて聞くことも多い話だ。

「そこんところ、ユノの【全能】ってのはぶっ壊れだ。ユノがバランスよくステを上げとけば、最悪1人でギルドが作れちまう。まあ、それをギルドと呼ぶかどうかは別問題だけどな」

 つまりは、ユノ1人で攻撃もできるしダメージ食らったら回復もできるし武器が欲しけりゃ作れるし……
 まさに【全能】だ。

「おまけに全ジョブのステ20%UP。とんでもねぇチートスキルだ。運営はこのゲームつぶす気か?」
「てことは、私もう最強ってこと?」

 嬉々として言うのの花だったが、リュウは首を横に振った。

「いや、まだそうは言えねぇな。今のユノの問題点は、本人のステが低いのと各ジョブの有能なスキルが取れてねぇってこと。あとは、各ジョブ用の装備が必要だな。長剣、弓矢、槍などなど……」

 それを聞いて、ユノが「うへぇ」と声を漏らした。

「それって、めちゃくちゃお金がかかるんじゃ……」

 当然だというように、リュウが頷いた。

「出来合いのもので揃えても、途方もない金額になるな。オーダーメイドなんてことになったら、さっきの進化コイン売ったって足りねぇぜ」
「50万あっても⁉」
「そりゃそうだろ。オーダーメイドの武器って高いんだぜ?」
「あら、それはリュウがぼったくってるからじゃないの?」

 ニヤニヤしながら、横からサクラが口を挟んだ。
 リュウが慌てて答える。

「何てこと言いやがる!!俺は真っ当に商売してんだ。オーダーメードの値段だって、他の店に比べたら安い方だぜ」
「分かってるわよ。そんな怒らないの」
「ったく」

 そんなサクラとリュウの様子を、「仲いいんだなぁ」と見つめるのの花と花音。
 コホンと咳払いして、リュウが話を続けた。

「ま、そういう訳だ。今の状況じゃ、【全能】は活かしきれない。問題を解決していかないとな」
「うう、道のりは遠そうですね……」

 シュンとしてしまったのの花に、リュウはニヤリと笑って言った。

「いや、そうでもねぇぞ」
「え?」
「1つだけ、最短で目標にたどり着く方法がある」

 リュウは『運営からのお知らせ』の画面を開き、第1回イベントの告知をのの花たちに見せた。
 そこに、上位10名までに与えられる報酬が載せられている。

「ここで上位に入賞すれば、たんまりゴールドがもらえる。もちろん50万とはいかねぇが、いい武器が結構買えるぜ」
「おお!!」

 のの花の目が途端に輝きだした。
 しかし、花音はまだ不安そうだ。

「これ、1週間後ですよね?私たちみたいな初心者が、上位に入れるんですか?」

 花音の質問に、リュウは「さあな」と両手を広げた。

「問題は、イベントまでにどれだけステを上げられるかだ。あとはゴールドを貯めて、使えるスキルと装備を買う。今回のイベント形式なら、攻撃系、防御系、回復系と3ジョブあれば十分だ。3つに決めてピンポイントで強化すれば、可能性はあると思うぜ。もちろんユカにも、頑張りと運次第でチャンスはある」

 イベント形式は純粋なバトルロワイヤル。
 パーティーを組むことは禁止されているため、3つのジョブが使えるだけで大きくプラスだ。

「ステータス上げなら、私が手伝ってあげる。特定の条件が重なると獲得できる隠しスキルや隠し装備もあるらしいし、1週間頑張ってみましょ?」

 頼もしい先輩2人の提案に、のの花も花音ももちろん笑顔で頷いた。

「「よろしくお願いします!!」」

 目指すは1週間後のイベント10位以内―。
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