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第3話 ほのぼの初討伐
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「いい?いくらかわいくても、モンスターなんだから。撫でたりなんかしないこと」
「あう、分かりました……」
「じゃ、次はユノがモンスター倒してね?」
「イェッサー!!ユカ司令官!!」
「ホントに分かってんの……?」
「分かってるって。モンスターは、撫でない。モンスターは、撫でない。モンスターは、撫でない」
至極当たり前のことを呟きながら、のの花は森を歩く。
今度は花音が、その後ろからついていった。
少し歩くと、茂みががさがさと揺れて、再びモンスターが出てきた。
今度はウサギだ。
それも、真っ白で毛がモフモフな、いかにものの花好みのウサギ。
「はわぁぁぁ~」
「こら、ユノ!!モンスターは?」
「な、撫でない……」
「そう。さあ、倒すのだユノ隊員!!」
「イェッサー!!ユカ司令官!!」
茶番を繰り広げながら、のの花が短剣を構える。
「見た目には騙されないよ!!君は、ウサギのふりをしたモンスターだ!!」
「ふりをしてるんじゃなくて普通にウサギの形なんだよ……」というツッコミを、花音は何とか飲み込んだ。
余計なことを言うと、のの花の気が散りかねない。
「それっ!!」
のの花が、ウサギに向けてまっすぐ短剣を振り下ろす。
さっきのリス同様、光となって消えていった。
『モンスター初討伐を達成。称号《駆け出し冒険者》を獲得しました。』
「初討伐!!」
満面の笑みでVサインを見せるのの花に、花音もVサインで返す。
無事、2人とも初討伐を達成した。
「この、称号って何?」
「何か、特定の条件を満たすと獲得できるみたいだね。細かいことは、称号のところから確認できるよ」
「えっと、これか」
《駆け出し冒険者》
取得条件:モンスターを1体討伐
称号効果:なし
「称号効果は、称号によって有無があるみたい。ステータスの数値を上げてくれるらしいよ」
「なるほどね~」
ふと、花音はのの花がウサギを倒した場所にふわふわの毛皮が落ちていることに気づいた。
「ユノ、何か落ちてる」
「あ、ほんとだ」
のの花は毛皮を拾い上げると、小さく「はわわわ~」と声を漏らした。
「見てユカ!!これすっごいモフモフだよ!!」
のの花は拾った毛皮を、花音の頬に擦り付ける。
「ん、確かにモフモフ。気持ちいいね」
どうやら、さっきのウサギが落としていったドロップアイテムのようだ。
「これで服作ったら、めっちゃ着心地いいんだろうなぁ」
「えぇ……絶対暑いよ……」
「えぇ~かわいいよぉ~気持ちいいよぉ~モフモフだよぉ~?」
「そんな言われても……」
花音は、のの花が自分の頬にも擦り付けている毛皮をじっと見た。
サイズは手のひらくらい。
これで服を作るとなると、とんでもない数のウサギを狩らなければならないだろう。
「よし、決めた!!」
「え、何を……?」
そこはかとなく嫌な予感を覚えながら、花音は目をキラキラさせているのの花に聞いた。
「私、この毛皮集める!!」
「マジ?とんでもない数のウサギ倒さなきゃだよ?」
「それは……かわいそうだけど……。でも、モンスターだし……」
こうなると、のの花はてこでも動かない。
やると決めたらやるのがのの花だ。
「分かった。付き合ってあげるよ。レベル上げにもなるしね」
「わ~い!!さすがユカ、ありがとう」
「いいって。じゃあ、ウサギ狩りといきますかね」
初心者プレイヤー2人の、地道な毛皮集めが始まった。
彼女たちを動かすのは、燃えるようなモフモフへの執念……。
「あう、分かりました……」
「じゃ、次はユノがモンスター倒してね?」
「イェッサー!!ユカ司令官!!」
「ホントに分かってんの……?」
「分かってるって。モンスターは、撫でない。モンスターは、撫でない。モンスターは、撫でない」
至極当たり前のことを呟きながら、のの花は森を歩く。
今度は花音が、その後ろからついていった。
少し歩くと、茂みががさがさと揺れて、再びモンスターが出てきた。
今度はウサギだ。
それも、真っ白で毛がモフモフな、いかにものの花好みのウサギ。
「はわぁぁぁ~」
「こら、ユノ!!モンスターは?」
「な、撫でない……」
「そう。さあ、倒すのだユノ隊員!!」
「イェッサー!!ユカ司令官!!」
茶番を繰り広げながら、のの花が短剣を構える。
「見た目には騙されないよ!!君は、ウサギのふりをしたモンスターだ!!」
「ふりをしてるんじゃなくて普通にウサギの形なんだよ……」というツッコミを、花音は何とか飲み込んだ。
余計なことを言うと、のの花の気が散りかねない。
「それっ!!」
のの花が、ウサギに向けてまっすぐ短剣を振り下ろす。
さっきのリス同様、光となって消えていった。
『モンスター初討伐を達成。称号《駆け出し冒険者》を獲得しました。』
「初討伐!!」
満面の笑みでVサインを見せるのの花に、花音もVサインで返す。
無事、2人とも初討伐を達成した。
「この、称号って何?」
「何か、特定の条件を満たすと獲得できるみたいだね。細かいことは、称号のところから確認できるよ」
「えっと、これか」
《駆け出し冒険者》
取得条件:モンスターを1体討伐
称号効果:なし
「称号効果は、称号によって有無があるみたい。ステータスの数値を上げてくれるらしいよ」
「なるほどね~」
ふと、花音はのの花がウサギを倒した場所にふわふわの毛皮が落ちていることに気づいた。
「ユノ、何か落ちてる」
「あ、ほんとだ」
のの花は毛皮を拾い上げると、小さく「はわわわ~」と声を漏らした。
「見てユカ!!これすっごいモフモフだよ!!」
のの花は拾った毛皮を、花音の頬に擦り付ける。
「ん、確かにモフモフ。気持ちいいね」
どうやら、さっきのウサギが落としていったドロップアイテムのようだ。
「これで服作ったら、めっちゃ着心地いいんだろうなぁ」
「えぇ……絶対暑いよ……」
「えぇ~かわいいよぉ~気持ちいいよぉ~モフモフだよぉ~?」
「そんな言われても……」
花音は、のの花が自分の頬にも擦り付けている毛皮をじっと見た。
サイズは手のひらくらい。
これで服を作るとなると、とんでもない数のウサギを狩らなければならないだろう。
「よし、決めた!!」
「え、何を……?」
そこはかとなく嫌な予感を覚えながら、花音は目をキラキラさせているのの花に聞いた。
「私、この毛皮集める!!」
「マジ?とんでもない数のウサギ倒さなきゃだよ?」
「それは……かわいそうだけど……。でも、モンスターだし……」
こうなると、のの花はてこでも動かない。
やると決めたらやるのがのの花だ。
「分かった。付き合ってあげるよ。レベル上げにもなるしね」
「わ~い!!さすがユカ、ありがとう」
「いいって。じゃあ、ウサギ狩りといきますかね」
初心者プレイヤー2人の、地道な毛皮集めが始まった。
彼女たちを動かすのは、燃えるようなモフモフへの執念……。
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