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第1話 ほのぼのキャラメイク
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「ののか、準備はいい?」
「うん!!」
姉・花音の声に、妹・湯井|《ゆい》のの花は元気よく答えた。
姉といっても、2人は双子なので年は一緒だ。
2人は今から、両親に頼み込んで買ってもらった念願のVRMMO「Second Space Online」(通称SSO)に初ログインするのだ。
専用のヘッドギアを被ってベッドに横たわった2人が、「せーの」で声をそろえる。
「「ゲームスタート!!」」
ハードがウィーンと音を立てるのを聞きながら、2人は力を抜いて目を閉じた。
SSOに初ログインということで、まずはキャラメイクをしなければならない。
SSOにはありとあらゆるジョブが用意されていて、プレイヤーはその中から好きなものを1つ選ぶ。
ステータスの数値は自分で振ることもできるし、選んだジョブに合わせてAIに振ってもらうこともできる。
「まずはプレイヤー名だよね。これは、花音と相談してもう決めてある」
のの花は迷うことなく、「ユノ」と打ち込んだ。
ちなみに花音は「ユカ」。
2人とも、苗字と名前の1文字目を取って名付けたのだ。
「次は、ジョブ選びかぁ……」
定番の剣士や盾使い、弓矢使いなどから、大工や猟師、商人なるジョブまで用意されている。
SSOのジョブは、冒険職と市民職に分かれており、戦闘系ゲームが得意でない人も市民職でのんびり楽しめるようになっているのだ。
「どうせなら、やっぱり冒険職がいいよね。う~ん、迷うなぁ」
悩みに悩んだ挙句、のの花は短剣を使う剣士を選択した。
素早く動いて相手を倒すのがかっこいい、というのがその理由である。
「次はステータスっと……素早く動きたいから、AGIは高めがいいよね。ATAにも多めに振って……あ、DEFに振る分が足りない!!」
何度かリセットして試行錯誤した後、のの花はATA:DEF:AGIが3:3:4の割合になるように合計70振り、あまりの30を半分ずつDEXとLUCに振ることにした。
比較的、バランスの良い振り方である。
若干天然なのの花だが、さすがに極振りなどということはやらかさなかった。
「えっと、これで最後か。スキルガチャだね」
のの花の目が、今日一番の輝きを放つ。
SSOでは、キャラメイクの仕上げとして3つのスキルがランダムに配布されるのだ。
もちろん攻略していけば新たなスキルは手に入るので、ここで引いたスキルが外れだからといってそう落ち込むことはないのだが、どうせなら強いスキルの1つ2つくらい持っておきたい。
それに、のの花は自分の運に少なからず自信があった。
ワクワクしながら、「ガチャスタート!!」のボタンを押す。
「おおおお!!こ、これは⁉」
のの花の目の前に、ガチャガチャのカプセルが3つ表示されたのだが、一番右のカプセルが虹色に輝いている。
これは、高レアリティのスキルが手に入る確定演出。
出現するスキルにはN、R、SR、SSR、HRの5段階があるが、最低でもSSR以上は確定のはずだ。
「やっぱり、私って運いい!!」
のの花は興奮気味に、カプセルが開いていくのを見守る。
1つ目のカプセルは、Rスキルの【虚像分身】。
2つ目は、Nスキルの【回復・微小】。
そして3つ目……
「このスキルは……つ、つ、つ、つ、強……」
虹色のカプセルから出てきたのは、最高レアリティであるHRの【雑用】というスキル。
効果はというと「戦闘参加時、2%の確率で全ジョブのステータスを0.05%上昇させる」というもの。
「強……くない!!!」
そう。VRMMO初心者であるのの花でも分かるほどの、激よわ外れスキルだった。単語
「うん!!」
姉・花音の声に、妹・湯井|《ゆい》のの花は元気よく答えた。
姉といっても、2人は双子なので年は一緒だ。
2人は今から、両親に頼み込んで買ってもらった念願のVRMMO「Second Space Online」(通称SSO)に初ログインするのだ。
専用のヘッドギアを被ってベッドに横たわった2人が、「せーの」で声をそろえる。
「「ゲームスタート!!」」
ハードがウィーンと音を立てるのを聞きながら、2人は力を抜いて目を閉じた。
SSOに初ログインということで、まずはキャラメイクをしなければならない。
SSOにはありとあらゆるジョブが用意されていて、プレイヤーはその中から好きなものを1つ選ぶ。
ステータスの数値は自分で振ることもできるし、選んだジョブに合わせてAIに振ってもらうこともできる。
「まずはプレイヤー名だよね。これは、花音と相談してもう決めてある」
のの花は迷うことなく、「ユノ」と打ち込んだ。
ちなみに花音は「ユカ」。
2人とも、苗字と名前の1文字目を取って名付けたのだ。
「次は、ジョブ選びかぁ……」
定番の剣士や盾使い、弓矢使いなどから、大工や猟師、商人なるジョブまで用意されている。
SSOのジョブは、冒険職と市民職に分かれており、戦闘系ゲームが得意でない人も市民職でのんびり楽しめるようになっているのだ。
「どうせなら、やっぱり冒険職がいいよね。う~ん、迷うなぁ」
悩みに悩んだ挙句、のの花は短剣を使う剣士を選択した。
素早く動いて相手を倒すのがかっこいい、というのがその理由である。
「次はステータスっと……素早く動きたいから、AGIは高めがいいよね。ATAにも多めに振って……あ、DEFに振る分が足りない!!」
何度かリセットして試行錯誤した後、のの花はATA:DEF:AGIが3:3:4の割合になるように合計70振り、あまりの30を半分ずつDEXとLUCに振ることにした。
比較的、バランスの良い振り方である。
若干天然なのの花だが、さすがに極振りなどということはやらかさなかった。
「えっと、これで最後か。スキルガチャだね」
のの花の目が、今日一番の輝きを放つ。
SSOでは、キャラメイクの仕上げとして3つのスキルがランダムに配布されるのだ。
もちろん攻略していけば新たなスキルは手に入るので、ここで引いたスキルが外れだからといってそう落ち込むことはないのだが、どうせなら強いスキルの1つ2つくらい持っておきたい。
それに、のの花は自分の運に少なからず自信があった。
ワクワクしながら、「ガチャスタート!!」のボタンを押す。
「おおおお!!こ、これは⁉」
のの花の目の前に、ガチャガチャのカプセルが3つ表示されたのだが、一番右のカプセルが虹色に輝いている。
これは、高レアリティのスキルが手に入る確定演出。
出現するスキルにはN、R、SR、SSR、HRの5段階があるが、最低でもSSR以上は確定のはずだ。
「やっぱり、私って運いい!!」
のの花は興奮気味に、カプセルが開いていくのを見守る。
1つ目のカプセルは、Rスキルの【虚像分身】。
2つ目は、Nスキルの【回復・微小】。
そして3つ目……
「このスキルは……つ、つ、つ、つ、強……」
虹色のカプセルから出てきたのは、最高レアリティであるHRの【雑用】というスキル。
効果はというと「戦闘参加時、2%の確率で全ジョブのステータスを0.05%上昇させる」というもの。
「強……くない!!!」
そう。VRMMO初心者であるのの花でも分かるほどの、激よわ外れスキルだった。単語
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