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1巻
1-2
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お金を見せて行き先を伝えると、御者のおじさんはちょっと驚いた顔をした。
「お嬢ちゃん、一人かい?」
「うん。あー、えっと、ラーオンにパパとママの結婚記念のプレゼントを買いに行きたいの。サプライズだから、こっそりね」
「なるほどな。……いいぜ、乗りな」
「ありがとう」
ふう、とっさに適当な言い訳を思いついて良かった。私が乗り込むと、馬車がゆっくりと動き出す。
それにしても……ラーオンかぁ。懐かしい名前だ。
あの街は、二千年前、私が生きている間に生まれた街。
作ったのは私の助手だった男だ。
大賢者リスターニャには七人の助手がいた。
全員が人間族で、七人ともリスターニャと年が近かった。
私が『大賢者』なら、あいつらは『七賢人』とかいう大層な名前で呼ばれている。
その七賢人の中で、ラーオンの街を作ったのはルーガティウスという男だ。彼は七人の助手の中で一番ポンコツで、でも一番研究に熱心な諦めない男だった。
ラーオンは、モンスターに村を荒らされた人々を集めてルーガティウスが作った街で、私の晩年にはここらで一番栄える場所になっていた。
街の発展を見て、ポンコツがやるじゃんと思ったものだ。
「着いたぜ」
馬車がゆっくりと停止する。
降りてみると、目の前には街を囲む高い城壁が建っていた。
ここは王都からは離れた辺境の地だけど、その中心として今でもかなり栄えているようだ。
二千年が経ってもこうして賑わっているということは、街の基盤がしっかりとしていたということ。
もしルーガティウスが目の前にいたら、偉い偉いと撫でてやりたい。
もちろん、彼以後の街の人の努力というのもあるんだけど。
「買い物、一緒にまわってやろうか?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか。気を付けるんだぞ」
親切な御者のおじさんに別れを告げ、街の中に入る。
冒険者協会の詳細な位置までは、ルルにもらった紙には書いていない。
誰かに聞かないといけないね。
んーと、門番でいいか。
「ねーねー、門番のおにーさん」
「ん? どうしたんだい?」
一番近くにいた門番のお兄さんに声をかけると、微笑みながら私に近づいてきてくれた。
小さい子供からかわいくものを頼まれて、嫌がる人はそうそういない。
せっかくだから、今ある見た目を活かすのが得だ。
ちなみに二千年前はといえば、妖艶な大人の女性だったので、これまた男性にお願いして断られることはなかった。
「冒険者協会の場所、分かる? 教えてほしいの」
「分かるけど……。小さな女の子が冒険者協会に何の用だい?」
まあ、そりゃおかしいよね。
ダンジョンの時といい、馬車に乗る時といい、幼女の見た目にはデメリットもあるな。
「えっと……お父さんが冒険者協会に行くって言ってたんだけど、私が途中で迷子になっちゃったの。この街に来たのは初めてだから、分からなくなっちゃった」
またまた適当な言い訳でごまかす。
すると、門番は疑うこともなくにっこり笑った。
「なるほど。いいよ、お兄さんが連れて行ってあげる。ちょうど、当番の交代時間だからね」
「ありがとう!」
門番に連れられて、賑やかな通りを歩く。
食料品、アクセサリー、武器、アイテムなどなど……
たくさんのものが売られているな。
ここがメインの通りみたいだし、今度ゆっくりまわってみよう。
「そうだ、お嬢ちゃんの名前は? ぼくはサイマンだよ」
「私はミリアだよ」
「ミリアちゃんか。ミリアちゃんは、あの銅像は見たかい?」
「銅像?」
サイマンが指差す先を見ると、噴水がある広場に大きな銅像が設置されていた。
近寄って銅像の台座を見ると、『ラーオンの祖 七賢人ルーガティウス・エインツ』と彫られている。
そして男の顔に目を向けた瞬間、私は思いっきり噴き出した。
「ど、どうしたの?」
「い、いや、何でもな……ふふっ……くくく……ふぅ……ふっ!」
ダメだ。笑いが抑えられない! 面白過ぎるっ!
ルーガティウスといえば、究極のベビーフェイスなくせにひげだけやたら濃くて、他の七賢人からもいじられていた面白顔だ。
それが何ということでしょう。
銅像のルーガティウスは端整な顔立ちで、キリッとした目つきで街を見つめているではありませんか。
あー、本当にダメだ。面白過ぎる。
誰が作ったんだこの銅像。
「大賢者リスターニャ様は知っているよね?」
「うん。もちろん」
サイマン、あなたの前にいるのがその大賢者リスターニャの生まれ変わりだよー。
何も知らないサイマンは、私の笑いが少し落ち着いたのを見て、銅像の説明を始めた。
「これはリスターニャ様の助手、七賢人の一人ルーガティウス様の銅像だよ。この街はルーガティウス様が作られたんだ」
「へ、へー。そうなんだー」
「ぼくはとてもルーガティウス様を尊敬しているんだ。今の暮らしがあるのは、彼のおかげだからね。もちろん、彼の師匠であるリスターニャ様も」
へえ、なかなか嬉しいことを言ってくれるじゃん。
私の名前、そして助手たちの名前が時を経ても残っているというのは、素直に嬉しいことだ。
そして、この時代の人に感謝され尊敬されているということも。
「さあ、冒険者協会はこっちだよ。もうすぐだ」
「はーい」
私は最後にもう一度だけ、おそるおそるルーガティウスの銅像の顔を見てみる。
「くふっ!」
あ、本当にダメだ。しばらくこの広場には近づかないでおこう。
◆◆◆
広場から五分ほど歩いて、冒険者協会に到着した。
支部とはいえ、なかなか立派な建物だ。
ドアの上には『冒険者協会 ラーオン支部』と記された看板が掲げられている。
「冒険者協会はここだよ。お父さんはこの辺りにいそうかな?」
「お父さん?」
私が聞き返すと、サイマンは不思議そうな顔をした。
「お父さんがここにいるって言ってなかったっけ?」
「あー、そうそう。うん、えっと、どこだろ」
危ない危ない。自分で作った設定を完全に忘れていた。
いっそ言い訳などせずに、リスターニャの生まれ変わりだと言ってしまえば楽は楽だけど、それを信じてもらうには時間がかかるだろう。
それ相応の実力も証明しなくてはいけないし。
いつかは必要なことだと思うが、今ではないことは確かだ。
「あ、お父さんいたよ」
「良かった。それじゃあ、僕は戻るね」
「うん。ありがとう、サイマン」
「どういたしまして」
サイマンと別れた私は、ルルにもらった紙を改めて見返す。
冒険者になるために、登録料としてお金がかかるらしい。金額は千ゴールド。
餞別の残りは二千五百ゴールドあるから、これは問題なさそうだ。
小さな体で冒険者たちの間をすり抜け、建物に入って受付と書かれたカウンターに向かう。
窓口に座っていたのは……あれ?
「ルル?」
「あら、ルルを知ってるの?」
私が声を掛けると、ルルにそっくりの受付嬢はにっこり笑って言った。
「私はララよ。ルルとは双子なの。ちなみに私がお姉ちゃん」
「ああ、そうなんだ」
双子か。本当にそっくり、まさに瓜二つ。
あまりにもルルそっくりだから、彼女が瞬間移動してきたのかと思った。
「私はミリア。冒険者として登録しに来たの」
「えっと……ミリアはずいぶん小さいみたいだけど、何歳なの?」
「六歳」
前世の年齢も足したら百四十六歳。
でもリスターニャは若々しくて、晩年も二十代くらいの見た目だったな。
今は若々しいがすぎるけれど。
「六歳……。冒険者はごっこ遊びと違って、命がけの危険な仕事なのよ? それはちゃんと分かってる?」
ララは少し険しい顔をして私の事を見つめている。
そうだよね。普通はこんな幼女が冒険者になりに来ることなんてないだろうし。
でも私には、冒険者にならなきゃいけないちゃんとした理由があるんだ。だって、自宅に帰らないといけないからね。
「うん。でも、冒険者に年齢制限はないでしょ?」
「それはそうなんだけど……」
ララは少しためらってから、カウンターに紙とペンを置いた。『冒険者登録申請書』と書かれている。
「とりあえず、これを記入してくれる?」
「はーい」
まずは名前か……。ミリア・ラルガンっと。
孤児の私には、本当のファーストネームはない。
ラルガンというのは、『ラルガンハウス』に暮らすみんなが家族という意味を込めて、あそこでつけてもらったものだ。
その他にも年齢などの情報を記入して、ララへペンと一緒に返す。
「まあ、六歳なのにすごくきれいな字ね。まるで大人が書いたみたい」
「えへへ、ありがと」
「うん。書類に不備はないわ。問題は実技試験なんだけど……」
ルルがくれた紙にも、実技試験があると書かれていた。
冒険者になるために必要な戦闘能力を持っているかテストするために、冒険者付き添いのもと、実際に野外でモンスターと戦うのだ。
ララはきっと、この実技試験で私に大事が起こらないか心配しているのだろう。
冒険者が付き添うとはいえ、子供って時に予想もつかない行動をとるからね。
「そしたら……あ、イリナ! ちょうどいいところに!」
ララが通りかかった女性の冒険者を呼び止める。
やってきたのは、赤い長髪を一つ縛りでまとめた、きりっとした雰囲気の美人さんだった。
腰に佩いている長剣が武器みたいだ。
ちょっと失礼して【鑑定】させてもらおっかな。
【鑑定】とは、自分より実力が下の相手であれば、そのスキルなどをこっそり見ることができるスキルだ。相手の実力を把握するのにとても便利なもの。
えーっと、きりっとした美人さん……イリナは炎系の攻撃スキルを多く持っている。
持っている長剣は、炎を宿すことができ、かつ溶けたり燃えたりしない特殊な「炎鉱」という鉱石を使ったものだ。
彼女はそれなりの実力者みたい。
もちろん、大賢者の生まれ変わりである私に勝てるはずもないから、あっさり鑑定できてしまったけど。
「どうかした?」
「この子がね、冒険者として登録したいそうなの」
イリナの視線が私に向けられる。
私はすかさず幼女の微笑みで返した。
「まあ、事情はよく分からないけど……。小さくても実力があるなら規約違反にもならないし、いいんじゃない?」
冒険者に限らず、私のような子供が何かの職に就こうとする場合、そのほとんどは「自立」するために必要に駆られて……といったパターンだ。
つまり訳アリってこと。
私のようないわゆる孤児は、やはりそれなりの数いる。
親が病気で亡くなってしまったとか、モンスターに襲われたとか、純粋に蒸発してしまったとか、理由は人それぞれだ。
だから、イリナは「事情」に深入りしたりはしなかったのだろう。
そして冒険者は、やはり実力が第一の世界みたいだ。年齢は関係なさそうでよかった。
「イリナには、この子の実技試験を見てもらえないかなと思って」
「構わないよ」
「もしもダメだったら、イリナが助けてよく言い聞かせて。そしたら、実力がつくまでは、安易に冒険者になろうとはしないはず」
「なるほどね。ちょうど今は何もないから、任せて」
「助かるわ。危ないと思ったら、すぐに助けに入ってね。本当に大事だけにはならないように」
うーん、めちゃくちゃ心配されてるなぁ。
やはり見た目にはただの幼女。
大賢者の生まれ変わりだなんてちっとも知らない二人は、言い方が悪いけど完全に私をなめているわけだ。
そんなに甘く見られると、伝説の大賢者様は本気……を出すといろんなものが壊滅するから、百分の一気くらいは出しちゃうよ?
「じゃあ……えっと」
イリナが私に声をかけてくる。
「ミリアだよ」
「ミリアね。ついておいで」
「はーい。よろしくね、イリナ」
「うん、よろしく」
イリナと並んで冒険者協会をあとにする。
横を歩いてみて気が付いたんだけど、女性にしては、イリナはかなり身長が高い。スレンダーで長剣もよく似合う。まさに炎の美剣士って感じだ。
赤い瞳や髪も、炎のイメージにぴったりだしね。
◆◆◆
「ここら辺にしようか」
街を出てしばらく歩いたところで、イリナが足を止めた。
背の高い木が並ぶ森の中だ。すぐ近くにモンスターの気配はないな。
「森のこの辺りには、スライムやタイガーウルフなんかのモンスターが生息してる。あくまでも低級モンスターだから、これを倒せないようでは、とても冒険者になれないよ」
スライムにタイガーウルフか。まさしく最弱の部類に入るモンスターたちだ。
本当に初歩中の初歩、最低限の能力があるかを見る試験みたいだね。
「うん。頑張るね」
「ピンチになったら迷わずに助けを呼んでね。そうでなくても、私が危険だと判断した場合には手出しするから」
「分かった」
「じゃあモンスターを探して倒してみて」
よーし、いっちょやったりますか。
転生してから初めての戦闘だ。腕が鈍ってないかは少し不安。
いくらなんでもスライムにやられる私じゃないと思うけど。
さて、まずはモンスターを見つけないことには始まらない。
「【探知】」
「えっ? 今、何て? 【探知】は、実際にモンスターのいる場所で経験を積まないと習得できないスキルのはず……」
イリナが何かぶつぶつ言っているけど、気にせず範囲を絞ってモンスターの気配を探ることに集中する。
えーっと?
北側にスライムが四体とタイガーウルフが二体。
東側はスライムが二体でタイガーウルフはいない。
南側はスライムが七体でタイガーウルフが四体。
西側にはスライムもタイガーウルフもいない。
ということは……
「こっちだ!」
「あ、え、そっちは……」
私が選んだのは、モンスターが一番多い南側。イリナも【探知】で状況を確認していたのか、少し慌てている。
「どうかしたの?」
「うーんと……何でもない」
「そっか。ピンチじゃない時は、手出ししちゃだめだよ?」
「そうだね。気を付ける」
モンスターが一番多いとはいっても、雑魚が十一体だ。私の敵にはならない。
イリナたちには幼女というだけで、悪意はないにしろなめられている状況。
私の実力を知ってもらうには、数を倒しておくことも必要だろう。
「お、いたいた」
少し歩くと、【探知】の結果通り七体のスライムが現れた。
イリナは手を剣の柄にかけ、一歩後ろに下がる。
「それじゃあミリア、頑張ってね。くれぐれも無理はしないように」
「オッケー」
私はぽよんぽよんと体を弾ませているスライムたちと向かい合う。
スライムとは知能が極めて低い、というか皆無に近いモンスター。
ゼリー状の体を持ち、小さなものは人間の手のひらサイズ、大きいものは二メートルくらいになる。
特徴はといえば、とにかく弱いこと。
体当たりで攻撃してくるが、その辺で売ってる安い鎧で十分に防げる。
体の性質上、打撃系の攻撃には強いけど、貫通、切断系の攻撃には弱い。
熱にも弱い。高温にさらされるとすぐ蒸発する。
そして――寒さにも弱い。
「【フローズントルネード】」
私はスライムたちに右手を伸ばし、静かに呟いた。
右手から放たれた極寒の氷の竜巻が、木々の間を抜けてスライムたちに襲い掛かる。
「お、おお……」
後ろからイリナの感嘆の声が聞こえてくるけど、気にしない気にしない。
氷の竜巻は全てのスライムをもれなく襲い、カチンコチンに凍らせた。こうなってしまうと、打撃系の攻撃に耐性があるという唯一の強みすらなくなってしまう。
まさに最弱のモンスター。
というか、もはやただの氷。
さっさととどめを刺しちゃおっと。
「【メタルフィスト】」
そう呟くと、握り締めた私の拳が、黒光りする鉄のような質感に変わった。
凍って動けないスライムに近づき、右手を軽く振り上げる
「お嬢ちゃん、一人かい?」
「うん。あー、えっと、ラーオンにパパとママの結婚記念のプレゼントを買いに行きたいの。サプライズだから、こっそりね」
「なるほどな。……いいぜ、乗りな」
「ありがとう」
ふう、とっさに適当な言い訳を思いついて良かった。私が乗り込むと、馬車がゆっくりと動き出す。
それにしても……ラーオンかぁ。懐かしい名前だ。
あの街は、二千年前、私が生きている間に生まれた街。
作ったのは私の助手だった男だ。
大賢者リスターニャには七人の助手がいた。
全員が人間族で、七人ともリスターニャと年が近かった。
私が『大賢者』なら、あいつらは『七賢人』とかいう大層な名前で呼ばれている。
その七賢人の中で、ラーオンの街を作ったのはルーガティウスという男だ。彼は七人の助手の中で一番ポンコツで、でも一番研究に熱心な諦めない男だった。
ラーオンは、モンスターに村を荒らされた人々を集めてルーガティウスが作った街で、私の晩年にはここらで一番栄える場所になっていた。
街の発展を見て、ポンコツがやるじゃんと思ったものだ。
「着いたぜ」
馬車がゆっくりと停止する。
降りてみると、目の前には街を囲む高い城壁が建っていた。
ここは王都からは離れた辺境の地だけど、その中心として今でもかなり栄えているようだ。
二千年が経ってもこうして賑わっているということは、街の基盤がしっかりとしていたということ。
もしルーガティウスが目の前にいたら、偉い偉いと撫でてやりたい。
もちろん、彼以後の街の人の努力というのもあるんだけど。
「買い物、一緒にまわってやろうか?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか。気を付けるんだぞ」
親切な御者のおじさんに別れを告げ、街の中に入る。
冒険者協会の詳細な位置までは、ルルにもらった紙には書いていない。
誰かに聞かないといけないね。
んーと、門番でいいか。
「ねーねー、門番のおにーさん」
「ん? どうしたんだい?」
一番近くにいた門番のお兄さんに声をかけると、微笑みながら私に近づいてきてくれた。
小さい子供からかわいくものを頼まれて、嫌がる人はそうそういない。
せっかくだから、今ある見た目を活かすのが得だ。
ちなみに二千年前はといえば、妖艶な大人の女性だったので、これまた男性にお願いして断られることはなかった。
「冒険者協会の場所、分かる? 教えてほしいの」
「分かるけど……。小さな女の子が冒険者協会に何の用だい?」
まあ、そりゃおかしいよね。
ダンジョンの時といい、馬車に乗る時といい、幼女の見た目にはデメリットもあるな。
「えっと……お父さんが冒険者協会に行くって言ってたんだけど、私が途中で迷子になっちゃったの。この街に来たのは初めてだから、分からなくなっちゃった」
またまた適当な言い訳でごまかす。
すると、門番は疑うこともなくにっこり笑った。
「なるほど。いいよ、お兄さんが連れて行ってあげる。ちょうど、当番の交代時間だからね」
「ありがとう!」
門番に連れられて、賑やかな通りを歩く。
食料品、アクセサリー、武器、アイテムなどなど……
たくさんのものが売られているな。
ここがメインの通りみたいだし、今度ゆっくりまわってみよう。
「そうだ、お嬢ちゃんの名前は? ぼくはサイマンだよ」
「私はミリアだよ」
「ミリアちゃんか。ミリアちゃんは、あの銅像は見たかい?」
「銅像?」
サイマンが指差す先を見ると、噴水がある広場に大きな銅像が設置されていた。
近寄って銅像の台座を見ると、『ラーオンの祖 七賢人ルーガティウス・エインツ』と彫られている。
そして男の顔に目を向けた瞬間、私は思いっきり噴き出した。
「ど、どうしたの?」
「い、いや、何でもな……ふふっ……くくく……ふぅ……ふっ!」
ダメだ。笑いが抑えられない! 面白過ぎるっ!
ルーガティウスといえば、究極のベビーフェイスなくせにひげだけやたら濃くて、他の七賢人からもいじられていた面白顔だ。
それが何ということでしょう。
銅像のルーガティウスは端整な顔立ちで、キリッとした目つきで街を見つめているではありませんか。
あー、本当にダメだ。面白過ぎる。
誰が作ったんだこの銅像。
「大賢者リスターニャ様は知っているよね?」
「うん。もちろん」
サイマン、あなたの前にいるのがその大賢者リスターニャの生まれ変わりだよー。
何も知らないサイマンは、私の笑いが少し落ち着いたのを見て、銅像の説明を始めた。
「これはリスターニャ様の助手、七賢人の一人ルーガティウス様の銅像だよ。この街はルーガティウス様が作られたんだ」
「へ、へー。そうなんだー」
「ぼくはとてもルーガティウス様を尊敬しているんだ。今の暮らしがあるのは、彼のおかげだからね。もちろん、彼の師匠であるリスターニャ様も」
へえ、なかなか嬉しいことを言ってくれるじゃん。
私の名前、そして助手たちの名前が時を経ても残っているというのは、素直に嬉しいことだ。
そして、この時代の人に感謝され尊敬されているということも。
「さあ、冒険者協会はこっちだよ。もうすぐだ」
「はーい」
私は最後にもう一度だけ、おそるおそるルーガティウスの銅像の顔を見てみる。
「くふっ!」
あ、本当にダメだ。しばらくこの広場には近づかないでおこう。
◆◆◆
広場から五分ほど歩いて、冒険者協会に到着した。
支部とはいえ、なかなか立派な建物だ。
ドアの上には『冒険者協会 ラーオン支部』と記された看板が掲げられている。
「冒険者協会はここだよ。お父さんはこの辺りにいそうかな?」
「お父さん?」
私が聞き返すと、サイマンは不思議そうな顔をした。
「お父さんがここにいるって言ってなかったっけ?」
「あー、そうそう。うん、えっと、どこだろ」
危ない危ない。自分で作った設定を完全に忘れていた。
いっそ言い訳などせずに、リスターニャの生まれ変わりだと言ってしまえば楽は楽だけど、それを信じてもらうには時間がかかるだろう。
それ相応の実力も証明しなくてはいけないし。
いつかは必要なことだと思うが、今ではないことは確かだ。
「あ、お父さんいたよ」
「良かった。それじゃあ、僕は戻るね」
「うん。ありがとう、サイマン」
「どういたしまして」
サイマンと別れた私は、ルルにもらった紙を改めて見返す。
冒険者になるために、登録料としてお金がかかるらしい。金額は千ゴールド。
餞別の残りは二千五百ゴールドあるから、これは問題なさそうだ。
小さな体で冒険者たちの間をすり抜け、建物に入って受付と書かれたカウンターに向かう。
窓口に座っていたのは……あれ?
「ルル?」
「あら、ルルを知ってるの?」
私が声を掛けると、ルルにそっくりの受付嬢はにっこり笑って言った。
「私はララよ。ルルとは双子なの。ちなみに私がお姉ちゃん」
「ああ、そうなんだ」
双子か。本当にそっくり、まさに瓜二つ。
あまりにもルルそっくりだから、彼女が瞬間移動してきたのかと思った。
「私はミリア。冒険者として登録しに来たの」
「えっと……ミリアはずいぶん小さいみたいだけど、何歳なの?」
「六歳」
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でもリスターニャは若々しくて、晩年も二十代くらいの見た目だったな。
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ララは少し険しい顔をして私の事を見つめている。
そうだよね。普通はこんな幼女が冒険者になりに来ることなんてないだろうし。
でも私には、冒険者にならなきゃいけないちゃんとした理由があるんだ。だって、自宅に帰らないといけないからね。
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「とりあえず、これを記入してくれる?」
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その他にも年齢などの情報を記入して、ララへペンと一緒に返す。
「まあ、六歳なのにすごくきれいな字ね。まるで大人が書いたみたい」
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「うん。書類に不備はないわ。問題は実技試験なんだけど……」
ルルがくれた紙にも、実技試験があると書かれていた。
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ララはきっと、この実技試験で私に大事が起こらないか心配しているのだろう。
冒険者が付き添うとはいえ、子供って時に予想もつかない行動をとるからね。
「そしたら……あ、イリナ! ちょうどいいところに!」
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腰に佩いている長剣が武器みたいだ。
ちょっと失礼して【鑑定】させてもらおっかな。
【鑑定】とは、自分より実力が下の相手であれば、そのスキルなどをこっそり見ることができるスキルだ。相手の実力を把握するのにとても便利なもの。
えーっと、きりっとした美人さん……イリナは炎系の攻撃スキルを多く持っている。
持っている長剣は、炎を宿すことができ、かつ溶けたり燃えたりしない特殊な「炎鉱」という鉱石を使ったものだ。
彼女はそれなりの実力者みたい。
もちろん、大賢者の生まれ変わりである私に勝てるはずもないから、あっさり鑑定できてしまったけど。
「どうかした?」
「この子がね、冒険者として登録したいそうなの」
イリナの視線が私に向けられる。
私はすかさず幼女の微笑みで返した。
「まあ、事情はよく分からないけど……。小さくても実力があるなら規約違反にもならないし、いいんじゃない?」
冒険者に限らず、私のような子供が何かの職に就こうとする場合、そのほとんどは「自立」するために必要に駆られて……といったパターンだ。
つまり訳アリってこと。
私のようないわゆる孤児は、やはりそれなりの数いる。
親が病気で亡くなってしまったとか、モンスターに襲われたとか、純粋に蒸発してしまったとか、理由は人それぞれだ。
だから、イリナは「事情」に深入りしたりはしなかったのだろう。
そして冒険者は、やはり実力が第一の世界みたいだ。年齢は関係なさそうでよかった。
「イリナには、この子の実技試験を見てもらえないかなと思って」
「構わないよ」
「もしもダメだったら、イリナが助けてよく言い聞かせて。そしたら、実力がつくまでは、安易に冒険者になろうとはしないはず」
「なるほどね。ちょうど今は何もないから、任せて」
「助かるわ。危ないと思ったら、すぐに助けに入ってね。本当に大事だけにはならないように」
うーん、めちゃくちゃ心配されてるなぁ。
やはり見た目にはただの幼女。
大賢者の生まれ変わりだなんてちっとも知らない二人は、言い方が悪いけど完全に私をなめているわけだ。
そんなに甘く見られると、伝説の大賢者様は本気……を出すといろんなものが壊滅するから、百分の一気くらいは出しちゃうよ?
「じゃあ……えっと」
イリナが私に声をかけてくる。
「ミリアだよ」
「ミリアね。ついておいで」
「はーい。よろしくね、イリナ」
「うん、よろしく」
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横を歩いてみて気が付いたんだけど、女性にしては、イリナはかなり身長が高い。スレンダーで長剣もよく似合う。まさに炎の美剣士って感じだ。
赤い瞳や髪も、炎のイメージにぴったりだしね。
◆◆◆
「ここら辺にしようか」
街を出てしばらく歩いたところで、イリナが足を止めた。
背の高い木が並ぶ森の中だ。すぐ近くにモンスターの気配はないな。
「森のこの辺りには、スライムやタイガーウルフなんかのモンスターが生息してる。あくまでも低級モンスターだから、これを倒せないようでは、とても冒険者になれないよ」
スライムにタイガーウルフか。まさしく最弱の部類に入るモンスターたちだ。
本当に初歩中の初歩、最低限の能力があるかを見る試験みたいだね。
「うん。頑張るね」
「ピンチになったら迷わずに助けを呼んでね。そうでなくても、私が危険だと判断した場合には手出しするから」
「分かった」
「じゃあモンスターを探して倒してみて」
よーし、いっちょやったりますか。
転生してから初めての戦闘だ。腕が鈍ってないかは少し不安。
いくらなんでもスライムにやられる私じゃないと思うけど。
さて、まずはモンスターを見つけないことには始まらない。
「【探知】」
「えっ? 今、何て? 【探知】は、実際にモンスターのいる場所で経験を積まないと習得できないスキルのはず……」
イリナが何かぶつぶつ言っているけど、気にせず範囲を絞ってモンスターの気配を探ることに集中する。
えーっと?
北側にスライムが四体とタイガーウルフが二体。
東側はスライムが二体でタイガーウルフはいない。
南側はスライムが七体でタイガーウルフが四体。
西側にはスライムもタイガーウルフもいない。
ということは……
「こっちだ!」
「あ、え、そっちは……」
私が選んだのは、モンスターが一番多い南側。イリナも【探知】で状況を確認していたのか、少し慌てている。
「どうかしたの?」
「うーんと……何でもない」
「そっか。ピンチじゃない時は、手出ししちゃだめだよ?」
「そうだね。気を付ける」
モンスターが一番多いとはいっても、雑魚が十一体だ。私の敵にはならない。
イリナたちには幼女というだけで、悪意はないにしろなめられている状況。
私の実力を知ってもらうには、数を倒しておくことも必要だろう。
「お、いたいた」
少し歩くと、【探知】の結果通り七体のスライムが現れた。
イリナは手を剣の柄にかけ、一歩後ろに下がる。
「それじゃあミリア、頑張ってね。くれぐれも無理はしないように」
「オッケー」
私はぽよんぽよんと体を弾ませているスライムたちと向かい合う。
スライムとは知能が極めて低い、というか皆無に近いモンスター。
ゼリー状の体を持ち、小さなものは人間の手のひらサイズ、大きいものは二メートルくらいになる。
特徴はといえば、とにかく弱いこと。
体当たりで攻撃してくるが、その辺で売ってる安い鎧で十分に防げる。
体の性質上、打撃系の攻撃には強いけど、貫通、切断系の攻撃には弱い。
熱にも弱い。高温にさらされるとすぐ蒸発する。
そして――寒さにも弱い。
「【フローズントルネード】」
私はスライムたちに右手を伸ばし、静かに呟いた。
右手から放たれた極寒の氷の竜巻が、木々の間を抜けてスライムたちに襲い掛かる。
「お、おお……」
後ろからイリナの感嘆の声が聞こえてくるけど、気にしない気にしない。
氷の竜巻は全てのスライムをもれなく襲い、カチンコチンに凍らせた。こうなってしまうと、打撃系の攻撃に耐性があるという唯一の強みすらなくなってしまう。
まさに最弱のモンスター。
というか、もはやただの氷。
さっさととどめを刺しちゃおっと。
「【メタルフィスト】」
そう呟くと、握り締めた私の拳が、黒光りする鉄のような質感に変わった。
凍って動けないスライムに近づき、右手を軽く振り上げる
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