30 / 35
第30話 顔面キックと怠け者と牧場スタート
しおりを挟む
朝。
俺は眠ったままのグレイに、顔面キックを喰らって目を覚ました。
ぽふっという優しい目覚ましではあったけども、いやはや寝相が悪いなこのネコは。
「ぬぁ~」
大きく伸びをして、一日が始まる。
窓の外を見てみれば、ちょうど太陽が昇ってきているところだった。
よし、しっかり起きれたな。
今日からいよいよ、牧場の仕事が始まる。
「にゃ~」
俺がベッドを出ようとすると、少し遅れてグレイも目を覚ました。
そして早速、俺の頭にネコ型リーゼントを形成する。
「おはよう、グレイ」
「にゃ~」
俺は顔を洗うと、着替えて家の外に出た。
空気は少しひんやりしているが、寒くて震えるというような感じではない。
適度に目を覚ましてくれる気持ちの良い朝だ。
「今日から牧場のお仕事だぞ~」
「にゃ~」
「グレイも手伝ってくれるのか?」
「……」
「おい」
頭の上の気分屋な怠け者と、そんな会話を交わしながら歩く。
行き先はもちろんぬいぐるみハウスだ。
豊かな森の朝の空気を楽しみつつ、目的の場所に到着する。
そこではもうすでに、リルとミルが待っていた。
「おはようございます!」
「ふぁ~。おは……よ……」
元気いっぱいのミルと、頑張って早起きはしたものの半分寝ているリル。
うん、今日もいつも通りだな。
「おはよう。手伝ってくれてありがとうな」
「はい!」
「ねむい……」
「動いてりゃ目も覚めるさ。さーてと」
俺はドアを引き開けて、ぬいぐるみハウスの中に入った。
基本的に鍵などはかけておらず、ぬいぐるみたちが自由に出入りできるようになっている。
実際、何体かはもうすでに姿が見えなかった。
朝の散歩にでも行ったのかもしれない。
「じゃあ今日の分担な。ミルはニワトリたちの卵を集めてくれ。終わったら、他のことも手伝ってもらうから教えて」
「はい!」
元気よく答えて、ミルは早速ニワトリたちの元へ向かう。
卵を集めるのは、ある意味で単純な作業だ。
コツも何もないし、初めてでも十分に1人でできることだろう。
ましてや働き者のミルなわけだし。
「じゃあ俺たちは、まずウシの乳しぼりから始めるぞ」
「ふぁい……」
気の抜けた返事をして、リルは俺の後をついてくる。
ウシはモー子に加えて、新たに3体を追加でテイムした。
もちろん、全て乳牛だ。
黒毛和牛なんてテイムしたって、肉は食べられないんだから意味ないしな。
「まずはここをこうして握って……」
俺は牧場のおっちゃんが言っていたことを思い出しながら、リルの前で乳しぼりを実演する。
これは少しのコツがいるけど、小学生が体験で出来るようなことだし、そんなに難しくもない。
案の定、何だかんだで要領の良いリルはすぐにできるようになった。
「ふかふかしてて、なんかきもちいい……」
「なー。本当のウシとは、ちょっと違う感覚なんだよ」
「きもちよくて、ねそうになる……」
「仕事中だぞー」
のんびりまったりした会話を交わしながら、じゃーじゃーウシの乳を搾っていく。
何とも平和な朝だな。
「このぎゅうにゅう、またホットケーキにつかうの?」
「それもいいし、他にもたくさん使い道があるんだぞ」
「じっけん?」
「いやー、食用で頼む。牛乳からはいろいろ美味しいものが作れるから、それも一緒にやろうな」
「えー、めんどくさい」
「おい」
「ししょく、まかせて」
「おいおいおい」
相変わらずのだらけっぷりだなこの子は。
それでも何だかんだで、ちゃんと乳を搾っていってるんだけど。
「ふふっ。なんか、おもしろい」
「乳しぼり、楽しいか?」
「わるくない」
「素直に楽しいって言えよ。てかその前は言えてただろ」
リルもそれなりに楽しんで働いてくれてるようだな。
これからも手伝ってくれそうで何より。
「おわり~」
最後のウシの乳を搾ると、リルは今にも寝そうな勢いで転がった。
確かに床はふかふかだし、気持ちが良いけども。
「まだまだ仕事はあるぞ」
「えー」
不満げに口を尖らせるリル、そして卵を回収し終えたミルと一緒に、俺は次の仕事へ取り掛かるのだった。
レッツ、ヒツジの毛刈り体験。
俺は眠ったままのグレイに、顔面キックを喰らって目を覚ました。
ぽふっという優しい目覚ましではあったけども、いやはや寝相が悪いなこのネコは。
「ぬぁ~」
大きく伸びをして、一日が始まる。
窓の外を見てみれば、ちょうど太陽が昇ってきているところだった。
よし、しっかり起きれたな。
今日からいよいよ、牧場の仕事が始まる。
「にゃ~」
俺がベッドを出ようとすると、少し遅れてグレイも目を覚ました。
そして早速、俺の頭にネコ型リーゼントを形成する。
「おはよう、グレイ」
「にゃ~」
俺は顔を洗うと、着替えて家の外に出た。
空気は少しひんやりしているが、寒くて震えるというような感じではない。
適度に目を覚ましてくれる気持ちの良い朝だ。
「今日から牧場のお仕事だぞ~」
「にゃ~」
「グレイも手伝ってくれるのか?」
「……」
「おい」
頭の上の気分屋な怠け者と、そんな会話を交わしながら歩く。
行き先はもちろんぬいぐるみハウスだ。
豊かな森の朝の空気を楽しみつつ、目的の場所に到着する。
そこではもうすでに、リルとミルが待っていた。
「おはようございます!」
「ふぁ~。おは……よ……」
元気いっぱいのミルと、頑張って早起きはしたものの半分寝ているリル。
うん、今日もいつも通りだな。
「おはよう。手伝ってくれてありがとうな」
「はい!」
「ねむい……」
「動いてりゃ目も覚めるさ。さーてと」
俺はドアを引き開けて、ぬいぐるみハウスの中に入った。
基本的に鍵などはかけておらず、ぬいぐるみたちが自由に出入りできるようになっている。
実際、何体かはもうすでに姿が見えなかった。
朝の散歩にでも行ったのかもしれない。
「じゃあ今日の分担な。ミルはニワトリたちの卵を集めてくれ。終わったら、他のことも手伝ってもらうから教えて」
「はい!」
元気よく答えて、ミルは早速ニワトリたちの元へ向かう。
卵を集めるのは、ある意味で単純な作業だ。
コツも何もないし、初めてでも十分に1人でできることだろう。
ましてや働き者のミルなわけだし。
「じゃあ俺たちは、まずウシの乳しぼりから始めるぞ」
「ふぁい……」
気の抜けた返事をして、リルは俺の後をついてくる。
ウシはモー子に加えて、新たに3体を追加でテイムした。
もちろん、全て乳牛だ。
黒毛和牛なんてテイムしたって、肉は食べられないんだから意味ないしな。
「まずはここをこうして握って……」
俺は牧場のおっちゃんが言っていたことを思い出しながら、リルの前で乳しぼりを実演する。
これは少しのコツがいるけど、小学生が体験で出来るようなことだし、そんなに難しくもない。
案の定、何だかんだで要領の良いリルはすぐにできるようになった。
「ふかふかしてて、なんかきもちいい……」
「なー。本当のウシとは、ちょっと違う感覚なんだよ」
「きもちよくて、ねそうになる……」
「仕事中だぞー」
のんびりまったりした会話を交わしながら、じゃーじゃーウシの乳を搾っていく。
何とも平和な朝だな。
「このぎゅうにゅう、またホットケーキにつかうの?」
「それもいいし、他にもたくさん使い道があるんだぞ」
「じっけん?」
「いやー、食用で頼む。牛乳からはいろいろ美味しいものが作れるから、それも一緒にやろうな」
「えー、めんどくさい」
「おい」
「ししょく、まかせて」
「おいおいおい」
相変わらずのだらけっぷりだなこの子は。
それでも何だかんだで、ちゃんと乳を搾っていってるんだけど。
「ふふっ。なんか、おもしろい」
「乳しぼり、楽しいか?」
「わるくない」
「素直に楽しいって言えよ。てかその前は言えてただろ」
リルもそれなりに楽しんで働いてくれてるようだな。
これからも手伝ってくれそうで何より。
「おわり~」
最後のウシの乳を搾ると、リルは今にも寝そうな勢いで転がった。
確かに床はふかふかだし、気持ちが良いけども。
「まだまだ仕事はあるぞ」
「えー」
不満げに口を尖らせるリル、そして卵を回収し終えたミルと一緒に、俺は次の仕事へ取り掛かるのだった。
レッツ、ヒツジの毛刈り体験。
0
お気に入りに追加
394
あなたにおすすめの小説
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
異世界生活物語
花屋の息子
ファンタジー
目が覚めると、そこはとんでもなく時代遅れな異世界だった。転生のお約束である魔力修行どころか何も出来ない赤ちゃん時代には、流石に凹んだりもしたが俺はめげない。なんて言っても、魔法と言う素敵なファンタジーの産物がある世界なのだから・・・知っている魔法に比べると低出力なきもするが。
そんな魔法だけでどうにかなるのか???
地球での生活をしていたはずの俺は異世界転生を果たしていた。転生したオジ兄ちゃんの異世界における心機一転頑張ります的ストーリー
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる