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第3章 海の主討伐編
口ほどにもない
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「【解放】!」
私は走りながら雷竜を取り出し、その背に飛び乗る。
そして勢いよく加速すると、落ちてくる冒険者たちの下に回り込んだ。
小回りを利かせながら、上手く全員を回収する。
だいぶ、機功竜の操作にも慣れてきたもんだ。
「な、何なんだこれは……」
突然現れた救世主に、エルバウたちは茫然とする。
しかし、海獣たちはこちらの都合なんて考えてくれない。
クラーケンの太い腕が襲いかかってくる。
しかも向こうの狙いは、機功竜の尻尾部分だ。
私がいるのは頭部。
収納しようにも間に合わない……!
「しっかり掴まって!」
私はエルバウたちに声を掛けると同時に、強引に雷竜を旋回させる。
間一髪、クラーケンの攻撃を避けることができた。
「全速力だぁぁぁ!」
限界ギリギリの速度で飛び、海岸まで戻る。
安全圏まで下がると、私はエルバウたちを降ろした。
「りゅ、竜!!」
ようやく自分たちを乗せていたものの正体を認識したのか、エルバウたちは声を上げて後ずさりする。
私は雷竜を収納すると言った。
「口ほどにもない」
「んだとっ!?」
エルバウは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
「お前がクラーケンがいることを教えておけば、こうはならなかっただろうが!」
「いやいや。言おうとしたのに走ってっちゃうんだもん。それにクラーケンがいるって知ってても知らなくても、結果は変わらなかったんじゃない?」
はっきり言って、彼らは海獣2頭を相手にするには力不足だ。
これ以上やっても、時間の無駄だろう。
そう何回もチャレンジさせては助けてあげるほど、私は気長じゃない。
「もう気は済んだでしょ?」
私が帰るように促そうとすると、エルバウは首を横に振った。
そしてアーケロンをじっと睨みつける。
「氷の道を作り、直接討ち取る。これはプランAだ。俺たちにはプランBがある」
「プランB?」
「ああ。一撃必殺の最終手段だ」
「何をする気?」
エルバウの顔がニヤリと歪む。
背筋を悪寒が駆け抜けた。
途轍もなく嫌な予感がする。
「アーケロンもクラーケンもまとめて、海ごと殺す。毒でな」
冗談じゃない。
毒なんて入れたら、ここの海では途方もない期間、いやもしかしたら永遠に漁ができなくなってしまう。
汚染された海を回復するには、相当な労力と時間、技術が必要だ。
そして仮にきれいになったとしても、かつて毒の海だった場所で獲れた魚は毛嫌いされる可能性がある。
絶対にこの海は汚しちゃいけないんだ。
だから私も毒竜は使わなかった。
エルバウたちも、海を殺すべきではないのは分かっているだろう。
だからいきなり毒を使うのではなく、プランBにとっておいた。
だけど予想外にクラーケンまでいた上に、ただの村人となめていた私に助けられた。
精神的に混乱して暴走しているみたいだ。
「そんなことをしたら、ここで漁ができなくなる。海を死なせることだけは、絶対にしちゃいけない」
「俺たちの知ったことか! やるぞ!」
エルバウが仲間たちに合図して、全員でアーケロンに向けて手をかざす。
「合技! 【猛十毒虎】!」
冒険者1人1人から、毒で形成された虎が生み出される。
それは海へ走りながら、合体し1つの巨大な毒虎となった。
あれがアーケロンとクラーケンを倒せるのか、倒せないのか。
正直に言ってそんなことはどうでもいい。
それ以上に、海を守らなきゃいけない。
「させるかぁ!」
海獣たちも災害だけど、この冒険者たちも十分に災害だ。
全くろくでもない。
「バカか! 猛毒だぞ! 死ぬぞ!」
毒虎に向けて手を伸ばす私に、慌ててエルバウが叫ぶ。
しかしそんなことはお構いなしに、海へ駆ける虎に追いつくと私は掴みかかった。
「リーダー! あいつ死んだっすよ!」
「知るか! あいつが勝手に自殺したんだろうが!」
「誰が死んだって?」
ぎゃーぎゃー騒ぐ男たちに、私は鋭い視線を向ける。
「い、生きてやがる!?」
「【収納】!」
海に入る一歩手前。
ギリギリのところで、毒虎は私のアイテムボックスに収まった。
しがみついていた私は、地面に投げ出される。
「何者なんだお前……」
最終手段をいとも簡単に沈められ、エルバウたちは茫然とした。
砂を払って立ち上がった私は、後ろを振り返って言う。
「ミオンって名前、教えてあげたよね?」
さーてと。
私は海獣たちに向き直り、ポキポキと指を鳴らす。
特別な食材の調達といきますか。
私は走りながら雷竜を取り出し、その背に飛び乗る。
そして勢いよく加速すると、落ちてくる冒険者たちの下に回り込んだ。
小回りを利かせながら、上手く全員を回収する。
だいぶ、機功竜の操作にも慣れてきたもんだ。
「な、何なんだこれは……」
突然現れた救世主に、エルバウたちは茫然とする。
しかし、海獣たちはこちらの都合なんて考えてくれない。
クラーケンの太い腕が襲いかかってくる。
しかも向こうの狙いは、機功竜の尻尾部分だ。
私がいるのは頭部。
収納しようにも間に合わない……!
「しっかり掴まって!」
私はエルバウたちに声を掛けると同時に、強引に雷竜を旋回させる。
間一髪、クラーケンの攻撃を避けることができた。
「全速力だぁぁぁ!」
限界ギリギリの速度で飛び、海岸まで戻る。
安全圏まで下がると、私はエルバウたちを降ろした。
「りゅ、竜!!」
ようやく自分たちを乗せていたものの正体を認識したのか、エルバウたちは声を上げて後ずさりする。
私は雷竜を収納すると言った。
「口ほどにもない」
「んだとっ!?」
エルバウは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
「お前がクラーケンがいることを教えておけば、こうはならなかっただろうが!」
「いやいや。言おうとしたのに走ってっちゃうんだもん。それにクラーケンがいるって知ってても知らなくても、結果は変わらなかったんじゃない?」
はっきり言って、彼らは海獣2頭を相手にするには力不足だ。
これ以上やっても、時間の無駄だろう。
そう何回もチャレンジさせては助けてあげるほど、私は気長じゃない。
「もう気は済んだでしょ?」
私が帰るように促そうとすると、エルバウは首を横に振った。
そしてアーケロンをじっと睨みつける。
「氷の道を作り、直接討ち取る。これはプランAだ。俺たちにはプランBがある」
「プランB?」
「ああ。一撃必殺の最終手段だ」
「何をする気?」
エルバウの顔がニヤリと歪む。
背筋を悪寒が駆け抜けた。
途轍もなく嫌な予感がする。
「アーケロンもクラーケンもまとめて、海ごと殺す。毒でな」
冗談じゃない。
毒なんて入れたら、ここの海では途方もない期間、いやもしかしたら永遠に漁ができなくなってしまう。
汚染された海を回復するには、相当な労力と時間、技術が必要だ。
そして仮にきれいになったとしても、かつて毒の海だった場所で獲れた魚は毛嫌いされる可能性がある。
絶対にこの海は汚しちゃいけないんだ。
だから私も毒竜は使わなかった。
エルバウたちも、海を殺すべきではないのは分かっているだろう。
だからいきなり毒を使うのではなく、プランBにとっておいた。
だけど予想外にクラーケンまでいた上に、ただの村人となめていた私に助けられた。
精神的に混乱して暴走しているみたいだ。
「そんなことをしたら、ここで漁ができなくなる。海を死なせることだけは、絶対にしちゃいけない」
「俺たちの知ったことか! やるぞ!」
エルバウが仲間たちに合図して、全員でアーケロンに向けて手をかざす。
「合技! 【猛十毒虎】!」
冒険者1人1人から、毒で形成された虎が生み出される。
それは海へ走りながら、合体し1つの巨大な毒虎となった。
あれがアーケロンとクラーケンを倒せるのか、倒せないのか。
正直に言ってそんなことはどうでもいい。
それ以上に、海を守らなきゃいけない。
「させるかぁ!」
海獣たちも災害だけど、この冒険者たちも十分に災害だ。
全くろくでもない。
「バカか! 猛毒だぞ! 死ぬぞ!」
毒虎に向けて手を伸ばす私に、慌ててエルバウが叫ぶ。
しかしそんなことはお構いなしに、海へ駆ける虎に追いつくと私は掴みかかった。
「リーダー! あいつ死んだっすよ!」
「知るか! あいつが勝手に自殺したんだろうが!」
「誰が死んだって?」
ぎゃーぎゃー騒ぐ男たちに、私は鋭い視線を向ける。
「い、生きてやがる!?」
「【収納】!」
海に入る一歩手前。
ギリギリのところで、毒虎は私のアイテムボックスに収まった。
しがみついていた私は、地面に投げ出される。
「何者なんだお前……」
最終手段をいとも簡単に沈められ、エルバウたちは茫然とした。
砂を払って立ち上がった私は、後ろを振り返って言う。
「ミオンって名前、教えてあげたよね?」
さーてと。
私は海獣たちに向き直り、ポキポキと指を鳴らす。
特別な食材の調達といきますか。
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