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三章 エイヴィの翼 前編(入学編)

208、 皆の誕生日 12(追いかけっこの末)◆

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「あの……これの中身を、一緒に見ていただけないでしょうか」

「……? ええ。いいわよ」

(ラブレターでも貰ったか?)

 状況が呑み込めるはずもないアルベラに、ニコーラは眉を下げ情けなく笑った。

「この会が終わってから見ようと思ったんですが、それだとこのまま一生開けられない気がして……。けど見たくもなくて、どうしようか少し悩んでたんです」

「そう。魔術に関しては貴女の方が博識でしょう? アート様のあれを見破ったくらいだし。……その手紙には魔力とかの気配はないようだけど、貴女から見てどうなの?」

「はい。私も全く……」

「ならただの手紙ね。さっさと開けなさい」

「は、はい……!」

 ごくり、とニコーラは封筒を見つめた。

 隣には公爵ご令嬢。用がるようだし彼女を待たせるわけにはいかない。不敬が無い様に、この封筒も早く開かなければ。

 新たにできた急いで手紙を見なければいけない理由に背を押され、ニコーラは「こうなったら見るしかない!」と手ばやく封を切り便せんを取り出した。

 二つ折りの便せんを開くと、中から柔らかで上品な香りが漂い、幾つかの文章が書かれているのが目に入った。





 ―――今は〇月×日だが僅かに雪が降っている。しかしここから見える庭には花の蕾も幾つか見えた。気象研究所によると来週には春の陽気となるようだ。

 ちなみに来週いっぱいの天気は「晴、晴、曇りのち雨、曇り、晴、晴、晴」となるらしい。





「……………………は?」

 ニコーラは手紙を見て無意識にそう溢していた。

「天気の話ね」

「はい。みたいですね」

 確かにこの日は少し雪がふってたなぁ、と思い出し、ニコーラはぶんぶんと首を振った。

(って、そうじゃなくて……なにこれ)

(なにこれ)

 ニコーラとアルベラは頭の中で同じ言葉を呟いていた。

 ニコーラの疑問でいっぱいとなった真ん丸な瞳がアルベラへ向けられる。

「これは……貴族の流儀か何かでしょうか」

「ちがうわね」

「ですよね……」

「どちら様からの手紙?」

「えっと……二年生のスタッフィング様です。食堂でお会いしたあの方です」

「……」

『―――ほら、手紙だ。手紙出せ』

 アルベラの記憶、いつかのゴヤの言葉が蘇った。





 ニコーラは「一体これは……?」と手紙を眺めていたが、隣りのご令嬢がすっかり静かになっている事に気付き顔を上げた。

「あの、……ディオール様?」

 隣を見れば、ご令嬢は顔を逸らし、反対側を見て体を小さく震わせていた。

(じじ臭いだとかみみっちいとか言ってなかったっけ? てか謝罪どうした。ゴヤさんはまず謝罪しろって言ったでしょ! 手紙書くならそっちもちゃんとしなさいよあのボンボンめ!)

 しかし、文句を言いながらも人のアドバイスに耳を貸したのは良い傾向ではないだろうか。

 封筒や便せん、そして香。その選択については貴族として培ってきた教養なのか、流石のセンスだと思った。

(けど天気って……他にも色々話題あるでしょうが! 不器用か!)

 アルベラはニコーラの視線から顔を隠すように声を殺して笑う。

(ディオール様が震えてる……)

「もしかして……これって何かの例えとかですか? 暗号というか、比喩表現みたいな」

 そして、書いてあることは不穏な内容だったり……。と、ニコーラは不安になる。

「いえ。見たまま天気よ」

 すかさずアルベラは返した。

「大体相手に伝わらない暗号送ったって意味ないでしょう? ……ふふっ。本当、意味わかんないわね。これで何を伝えようっていうのやら」

「……あの。これってどうしたらいいんでしょうね。お返事って返した方が良いんでしょうか?」

「あら。貴女が面倒と思うなら無視するのも勝手でなくて?」

「はい……そうなんですが」

「そう。立場的に無視は怖くて当然ね」

「はい……!」

 そうなんです! その通りなんです!! とニコーラはアルベラを見上げ、瞳でそう訴えた。

「じゃあ、同じ内容を返せばいいじゃない。相手が天気の報告をしてきたのだし。立場の弱い貴女から話題を逸らすのも酷でしょう?」

「は、い……けど、大丈夫でしょうか。この内容に意味がありそうで……。急に手紙何て………………気味が悪いですし……」

「で、しょうね……」

 アルベラは我慢できずにクスクスと笑い声を零す。

(あっちは好きで好きでたまらなくて手紙出しただけだけど)

 「あの、」とニコーラが言いかけたタイミングで、アルベラの靴の裏に押される感覚があった。

 コントンが戻ってきたのだ。

(済んだか……。流石)

「ディオール様なら、この手紙返しますか?」

 アルベラは他人事に悠然とした笑みを返す。

「私の立場なら無視するに決まってるでしょう?」

「そうですよね……」

「けど私がもしあなたの立場なら、保身のために無難な返事は返しとくわね」

「……! はい!」

(ちゃんと答えてくれた)

「あとついでに……今の個人の希望としては、ぜひ貴女にはお返事を書いてみて欲しいかしら」

「……?」

「じゃあニコーラ、私は用があるのでもう行くわ。面白い物をありがとう」

 そう言い、振り返りもせず去っていく彼女に、ニコーラは慌てて頭を下げた。

「はい、お付き合いいただいてありがとうございます!」

(面白い……?)

 確かに奇怪な手紙ではあるが、とニコーラは首を傾げる。

 公爵のご令嬢様はエントランスの方へ歩いていた。片手にはあのグラスを持ったまま。多分帰るわけではないのだろう。

(外で誰かとお約束かしら? ―――……あのグラス)

 どうしても欲しいという様子で手に入れたというのに、結局彼女はあのグラスに口をつる事はなかったな。とニコーラは思い返した。

 アイスベリーのようなあれは一体なんだろう。

(全く溶けてないみたいだったし、沈んでたし。もしかして実じゃなくてゼリーやカンテンだったとか……?)

 手紙を封筒にしまい、先ほどまでと同じようにドレスのポケットにしまい込む。

(……それにしても、あの内容。一人じゃなくて本当によかった)

 一人で見ていたら色々勘繰って落ち着いては居られなかった事だろう。

 公爵ご令嬢が言うのだから、少なくとも貴族流の言い回しなどではないのだ。あの手紙の内容は書いてあるまま、天気の事でしかない。

 あのご令嬢も保身のためには手紙を返すと言っていたし、なら自分もそれに習った方が良い。

 ニコーラは安心に胸を撫でおろす。

(ひとまず、時間が出来たら翌週の天気や気温を調べておこう)





 ***





 人気のない廊下にコツコツと靴の音が響いた。

 一応点々と小さな明かりは灯っていたが、全くの一人だったらこの空気は少し不気味で躊躇われたかもしれない。

 アルベラは先を行く水溜まりのような影―――コントンを追って歩いた。

 校舎内は宮殿のようでもあり、日中はそれはもう華やかなのだが。夜に見ると出来の良い洋風のお化け屋敷だ。

(……まあ、夜中の我が家も同じような物か)





 コントンと共に行く本館内、アルベラは先に見えてきた人影に息をついた。

「お嬢様、こちらですよ」

 腰を下ろし、手を振っているエリーが見える。

 何かとてつもなく低い椅子か段差の上に座って脚を組んでいるようだった。が……近づくとそれは、一人の青年である事が発覚した。

(なんつう格好で……)

 倒れた青年の上に腰かけるエリー。

 足を組む姿はまるで「女王様」だ。

 青年も足掻きもせずまんざらでもない顔で敷かれているので、実質そういうプレイと化しているのかもしれない。

 アルベラの影へと潜りながら、コントンが「グルル……」と小さく唸った。

『アイツ、ニオウヨ。ワルダクミ』

 少し嬉しそうではあるが、その声は低く、体の内側をざらりと撫で付けられるようだ。

 エリーの下でにやけていた青年は、コントンの声にぞくりと肌を泡立たせた。

「ご苦労様。彼がそう? 来る途中グラスやお盆が散らかってるのを見たけど」

「はい。逃げる途中でこの方が放り投げたんです」

 エリーはクスクスと笑い、青年の背中を色っぽい手つきで撫でる。

「ひゃい! 私が投げました!」

 声を上げる青年に、アルベラは「調教済みか……」と目を据わらせた。





 外から入り込んだ月明かりに、青年の額に汗が光るのが見えた。

 「きっと全速力で逃げて捕まったんだろうな」と想像しながら、アルベラはしゃがみ込んだ。

「怖かったでしょう? 彼女、とても脚早いし……」

「は、はぁ……」

 青年は戸惑った様に頷く。

 「ねぇ、」とアルベラは青年の顎に手を添え、顔を持ち上げさせた。うっとりと微笑む彼女に、青年の頬が僅かに赤らむ。

「貴方、喉は乾いてない?」

 アルベラは片手にグラスを揺らし尋ねた。グラスの底で透明な粒がゆらゆらと揺らめく。

 青年の顔色は一瞬で赤から青へと変わった。

「い、いえ……大丈夫です」

「そう?」

 と、残念そうに首を傾げると、アルベラは立ち上がった。

 エリーへ「そちらはお願い」と言い、あっさりと彼等へ背を向けると、アルベラは窓が嵌められた壁の凹みへグラスを置いた。





 事情聴取をエリーに任せたつもりだったが、アルベラは背後から聞こえてくるやり取りに目を据わらせた。

「貴方年は? 生まれはどちら?」

「……今年二十六になりました。東の生まれです」

「あら、二十六? お若いのねぇ。彼女は居るのかしら?」

「い、いえ……」

「いらっしゃらないの? 今までにはいまして? タイプはどんな女性かしら?」

「随分前に別れました。……た、タイプは…………金髪の似合うセクシーな女性です。あ、貴女のような……!」

「あら嬉しい。今日はお仕事大変だったでしょう? これから一緒にお食事でもいかがかしら? あとお食事の後のお時間は空いてまして?」

「あ、空けます! 今すぐ空けます!! じゃあ近くに穴場の店があるんです。隠れ家みたいな店なんですけど、そこのウサギ料理がおすすめで……」

 さっさと用を済ませたアルベラだったが、聞こえてくるやり取りに振り返るのも忘れ聞き入っていた。

(こいつらはさっきから……一体何の話を……)

 アルベラはエリーと青年を振り返る。

 目に入った光景に「うぐ」と小さく声が漏れた。

(……あの体制のまま……だと……)

 先ほどと変わらない体制のまま。エリーは青年に話しかけ、青年も当然と受け答えしていた。

 てっきり体制は整えたうえでの会話だと思っていたというのに、なぜこの男もこの男で起き上がろうとしないのだとアルベラは温度を下げた目を向ける。

 エリーはというと、話しながら片手でさわさわと青年の体を撫でまわしていた。その動きの気持ち悪いこと……。

 アルベラは一歩後ずさる。

(だ、駄目だ。ここで引いたらあのオカマの思うつぼ……)

 とりあえず自分が不快であることは伝えなければ。

 そう思いアルベラは満面の笑みを張り付け、エリーの胸倉掴んだ。

「―――飲む?」

「お嬢様ったら優しい! 好き!」

(クソっ!!)

 アルベラは投げるような、又は殴りつけるような動作でエリーの胸倉を離した。





(こいつより先にこっちだ)

 エリーを背にして視界から消し去り、アルベラは青年を見下ろした。

「ねえ、これがなにか貴方はご存じ? 貴方個人の行動? それともどなたかの指示?」

(お嬢様ったら、それもう私が聞いておいたのに。可愛い……)

 エリーは何も言わずに主の背を眺める。

 アルベラは感じた視線にぞわりと鳥肌をたてた。

(だ、だめだ。気にするな。気にしたら負けだ)

「お、俺もはっきりとは……けど」

「けど?」

「……多分ダコツ、です」

「ダコツ……?」

 ―――コッ……コッ……コッ……

 僅かに聞こえてきた足音。

(誰か来た)

 アルベラは顔をあげ耳をそばだてた。

 廊下の先にこいらへやってくる人影が見える。

 段々と距離を詰めてくる彼らの姿がはっきりと輪郭を得てきた。

 廊下に灯された小さな明かりと外から入り込む明かりとで、見覚えのある柔らかい金髪がはっきりと認識できるようになる。

 見えるのは金髪のみ。もう一人いるようだが、そちらは暗闇に馴染んでいるようだ。……なら。

 アルベラはやってくる二人組に目を細める。

 お互いの姿がすっかり認識できる距離になると、相手が先に声を上げた。

「―――アルベラ嬢?」

「アルベラ様?! 一体何が……」

 やって来たのは第四王子様とその護衛の騎士様だ。

 二人は駆け足でアルベラとエリーの元に寄る。

 そしてエリーの下にいる青年を見てルーディンは目を瞬いた。

 状況は掴めないでいるが、ガーロンはアルベラへ速やかに「警備の者達を呼びましょうか?」と尋ねる。アルベラは迷うこと無く「お願いします」と返した。

「え、ちょっと待っ! 食事が……!!」

「残念ね……。また今度会いにいらして、」

「くぅっ……!!」

 エリーの言葉に青年は悔しそうに頷く。

(こいつら……)

 呑気なやり取りを交わす二人に、アルベラはこそりと拳を握った。人の目がなければ一発ずつひっぱたいてやりたいところだ。





 変わらず青年の上で脚を組む使用人とそれを許したまま笑みを向けてくるご令嬢。

 勿論アルベラはエリーの姿勢を容認しているのではなく、ただ諦めている……もとい、手を上げたいのを堪えているだけなのだが、それをこの王子様が知るはずもない。

 ルーディンはくすくすと笑いながら、「それで、何があったんですか?」と素直な疑問を投げかけた。



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