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ここはどこだろう?
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ここは何処だろう?
そう思った事は何度もある。いや、迷子になっている訳では無い。
今どこにいるかは分かっているし、何故自分が移動しているかも分かっているし、目的地もわかってる。
なのに、ここはどこだろう?とふと思ってしまうのだ。
そして奇妙な感覚になるのだ。
本当にここは自分の居るべき場所?
哲学みたいなことをグルグルと考える。見る景色も聞くことも仕事で移動している今でさえ、何か異世界に居るような……本当はちょっと外れた軸に本当の自分が居るような気がするのだ。
そうなると、今いる所が異世界になってしまう。知ってるけど知らない世界…
そういえば……と この不思議な感覚をよく感じてた頃がある。いつだったかしら?
自動改札にSuicaをかざしながら、自分の過去を遡ってみた。
あの時は、切符を人に見せていたなぁ。M字型の切り口をよく見てたものだ。友人達と切符に書いてある4桁の数字を足したり引いたり割ったりして10を作る遊びもしてた。毎日キャッキャ言ってた。
来年は高校受験で…えっと確か。莉緒ちゃんが高校受験を機会に遠くへ引っ越す予定があるかもって私だけに話してくれた。あの時…すごく悲しかった。ずっと一緒だと本気で思ってたから。
莉緒ちゃんとずっと一緒に大人になるのだと思ってた。
その時に、そうだ、その時に今がずっと続いていくわけではないと始めて知った気がしたのだ。私もいずれどこかに行くのだろうと。
どこへ…
どこへ私は行くのだろう。今いるこの地元には居ないのかも。いや…ずっとここ?地元は好きだけど…来年には今の学校から出て…高校生になって…それから、大学?それとも働いてるのかな?働くってお家でお手伝いしている感じなのかな?なんとなく不安だけど…
揺れる電車の中で、降りる場所の近くに立ってマフラーで顔の半分を隠して不安げにしている莉緒ちゃんをじっと見つめながら、私も不安になってた。
でも、はっきりとわかってたような気がしたのは、私もずっとこの地元には居ないのだ。という事だ。私の居場所はないここではない。じゃ私はどこに居場所があるのか…いやそもそもここは私のいるべき場所なのか…
いずれ…いずれ私は誰かにいきなり認められてアイドルになるだろう。ううん。もしかしたら国際的なスパイとして峰不二子みたいな凄い奴になってるかも。
今 これからの学生生活で、凄く人気のある高野先輩から、急に告白されてみんなに内緒で付き合うかもしれない。そうなったら♡
今はチビだけど…胸だって大きくなるし、ウエストだって出てくるに違いない。
そんな意味のない自信や未来を考えるようになった頃からだ。
これって…もしかして…もしかして…あれ?
まさか中二病?
嘘でしょ!もう45は過ぎようとしている人間だよ?中二の息子がいるのよ?いい大人ですよ?中年だよ?
降りる駅の近く案内係アナウスされた。荷物を抱えて降りる準備をする。
昨日息子が、私が後ろにいるのに気づかないで、なにやら呪文を唱え始めてなんとかの漫画のワンシーンをいきなり再現し始めたのを思い出した。私はそれをちょっと塩っぱい気持ちで見てた。彼は私に気づく事なく、その漫画の世界に浸りきってリビングを出て自室に戻っていった。ああ…今はそういう時期なのね。そう早く卒業できるといいわね。中二病から。そう彼を憐れんでさえいたのに。
私ときたら…
中二の息子と精神年齢がほぼ同じということに気づいて、少しがっかりしながら、荷物を持ち直し、現実を歩こうと決意し電車を降りた。
特に今の自分を変える気は無い。
そう思った事は何度もある。いや、迷子になっている訳では無い。
今どこにいるかは分かっているし、何故自分が移動しているかも分かっているし、目的地もわかってる。
なのに、ここはどこだろう?とふと思ってしまうのだ。
そして奇妙な感覚になるのだ。
本当にここは自分の居るべき場所?
哲学みたいなことをグルグルと考える。見る景色も聞くことも仕事で移動している今でさえ、何か異世界に居るような……本当はちょっと外れた軸に本当の自分が居るような気がするのだ。
そうなると、今いる所が異世界になってしまう。知ってるけど知らない世界…
そういえば……と この不思議な感覚をよく感じてた頃がある。いつだったかしら?
自動改札にSuicaをかざしながら、自分の過去を遡ってみた。
あの時は、切符を人に見せていたなぁ。M字型の切り口をよく見てたものだ。友人達と切符に書いてある4桁の数字を足したり引いたり割ったりして10を作る遊びもしてた。毎日キャッキャ言ってた。
来年は高校受験で…えっと確か。莉緒ちゃんが高校受験を機会に遠くへ引っ越す予定があるかもって私だけに話してくれた。あの時…すごく悲しかった。ずっと一緒だと本気で思ってたから。
莉緒ちゃんとずっと一緒に大人になるのだと思ってた。
その時に、そうだ、その時に今がずっと続いていくわけではないと始めて知った気がしたのだ。私もいずれどこかに行くのだろうと。
どこへ…
どこへ私は行くのだろう。今いるこの地元には居ないのかも。いや…ずっとここ?地元は好きだけど…来年には今の学校から出て…高校生になって…それから、大学?それとも働いてるのかな?働くってお家でお手伝いしている感じなのかな?なんとなく不安だけど…
揺れる電車の中で、降りる場所の近くに立ってマフラーで顔の半分を隠して不安げにしている莉緒ちゃんをじっと見つめながら、私も不安になってた。
でも、はっきりとわかってたような気がしたのは、私もずっとこの地元には居ないのだ。という事だ。私の居場所はないここではない。じゃ私はどこに居場所があるのか…いやそもそもここは私のいるべき場所なのか…
いずれ…いずれ私は誰かにいきなり認められてアイドルになるだろう。ううん。もしかしたら国際的なスパイとして峰不二子みたいな凄い奴になってるかも。
今 これからの学生生活で、凄く人気のある高野先輩から、急に告白されてみんなに内緒で付き合うかもしれない。そうなったら♡
今はチビだけど…胸だって大きくなるし、ウエストだって出てくるに違いない。
そんな意味のない自信や未来を考えるようになった頃からだ。
これって…もしかして…もしかして…あれ?
まさか中二病?
嘘でしょ!もう45は過ぎようとしている人間だよ?中二の息子がいるのよ?いい大人ですよ?中年だよ?
降りる駅の近く案内係アナウスされた。荷物を抱えて降りる準備をする。
昨日息子が、私が後ろにいるのに気づかないで、なにやら呪文を唱え始めてなんとかの漫画のワンシーンをいきなり再現し始めたのを思い出した。私はそれをちょっと塩っぱい気持ちで見てた。彼は私に気づく事なく、その漫画の世界に浸りきってリビングを出て自室に戻っていった。ああ…今はそういう時期なのね。そう早く卒業できるといいわね。中二病から。そう彼を憐れんでさえいたのに。
私ときたら…
中二の息子と精神年齢がほぼ同じということに気づいて、少しがっかりしながら、荷物を持ち直し、現実を歩こうと決意し電車を降りた。
特に今の自分を変える気は無い。
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