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第二章 とんでもない相手を好きになり
人々は争いも知らず
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アスファロス軍が橋の制圧に要した時間は、わずか半刻にも満たなかった。
ほとんど魔法を使えないラデナ兵と、全員が剣と魔法を自在に操るアスファロスの精鋭、近衛騎士団。たとえ人数に十倍の隔たりがあったとしても勝負にはならない。
ましてや上空には味方からも畏怖される黒の魔導師が、大地の形を変えてしまうほどの力を見せつけながら、戦況を見下ろしているのだ。
敵軍の士気が上がるはずがなかった。
「……嘘だ……こんなことが、あるはずがない……」
蹲って足の下の光景を見下ろしながら、ゼフィエルが力なく零した。
地上にはコンラートが降り立ち、カッツェに指示して捕虜を一か所に集めさせている。戦闘はアスファロス側の一方的な勝利で終わり、近衛騎士の一部はすでに橋の補修とラデナの砦の解体作業に入っていた。
何もかもが想定内だと言わんばかりに、砦の裏手には捕虜や廃材を運ぶ荷車までが待機している。
――今日、この日、この時間。
ラデナの軍が国境を超えてくることを、アスファロスは予期していたのだ。
足下の光景を眺めながら、オルガはローブの内側に手を入れ、中から小さく丸められた書簡を取り出した。
グレウスは思わず声を上げそうになった。半月ほど前に、ディルタスから頼まれてオルガに届けた書簡に酷似していたからだ。
オルガはそれをゼフィエルに向かって投げつけた。
「貴国が我が国への侵攻を目論んでいること、その規模、日取り、指揮を執る将校の名と経歴。すべて我々の把握するところだ。何しろ貴国は、我が国を追い出された魔導師たちを手厚く保護してくれたようだからな」
書簡の内容を確かめたゼフィエルが、ただでさえ青い顔をますます青白くさせた。
ラデナが魔法帝国に取って代わろうと取り込んだ魔導師たちは、アスファロスが故意に流した間諜だった。ラデナの侵略行為は、初めからアスファロスにすべて把握されていたのだ。
いや、それどころか国を挙げてのこの侵攻自体が、オルガをはじめとするアスファロス側が故意に誘導したものかもしれない。
何のために――。
機嫌がいい時の声で、オルガが続ける。
「貴国は先頃大掛かりな港の整備をしたらしいな。大変結構。そろそろ我が国にも良い港が欲しいと思っていたところだ」
ラデナ国王のお気に入りの孫を、黒いローブの魔導師は目を細めて見下ろした。
緋色の目が禍々しい光を帯びる。
アスファロスを侮辱し、奴隷にするとまで豪語した王子を睨み据えて。
「可愛い孫と大勢の優秀な兵士たちと引き換えだ。港一つの返還ごときを、まさか渋りはすまい。……まぁ、渋ってもらっても、こちらは一向に構わぬ。港が増えるだけだ」
ラデナ王が拒否すれば、このままラデナ全土に攻め入るとオルガは仄めかした。
確かにあれほどの力を持つオルガならば、このままラデナの国中に災厄の嵐を吹かせるのも、さほど難しいことではないだろう。
港の譲渡を、オルガは『返還』と言った。
オルガにとってラデナ国王はいまだ臣下である一領主にすぎず、その土地は今でもアスファロスに属する領土なのだ。ごねれば国ごと潰して取り返すことに、何の躊躇も感じまい。
薄い唇を吊り上げたその微笑はあまりにも凶悪で、グレウスは彼が『黒の魔王』と呼ばれ怖れられる所以を、痛いほど実感した。
「……っ」
強い風が吹いた。
ずっと安定していた平衡が、風に煽られたように僅かに揺らいだ。
隣を見ると、常から白い顔がさらに白く見える。唇は色を失いつつあり、目の輝きも失われていた。
ディルタスが口を開く。
「……後の始末はコンラートと近衛騎士団に任せて、我らは城へ帰還するぞ。賓客をしかるべき場所に案内せねば」
オルガの異常を察知したのは、グレウスだけではなかったようだ。
捕虜となったゼフィエルに憚って口には出さないものの、ディルタスの視線はオルガの体調を案じるものだった。
「側にロア侯爵さえ居なければ、こっちは大丈夫だ。先に行ってくれ」
逆らう気力も失ったらしいゼフィエルを立たせながら、ディルタスが言った。
オルガは軽く頷くと、グレウスの体を後ろから抱きしめて、魔導具の翼を大きく羽ばたかせた。
「城へ帰還する」
羽ばたきの音が一つ聞こえるたびに、見る見るうちに景色が後ろに流れていく。
ロンロルドの山々、山裾に広がる森と平原、斜めに伸びる陽の中で作物を籠に収穫する人々――。
冬の太陽は早くも傾き、地上に幾つもの長い影を伸ばしていた。アスファロスの大地に生きる人々は、戦争が起きかけていたことなど知りもせず、長閑な一日を終えようとしている。
『黒の魔王』の名で怖れられる一人の魔導師が、その平和を守ったことなど知りもせずに。
「オルガ……」
後ろから自分を抱きしめている腕に、グレウスはそっと手を触れた。
昨日までは、グレウスもまた何も知らずに守られている一人だった。
ひどく驚きはしたが、知ることができて良かったと思う。
「ありがとうございます」
風に飛ばされてグレウスの声は聞こえなかったのかもしれない。返事はなかった。
その代わり、体を抱きしめる腕の力が僅かに強くなった気がした。
空が赤みを帯びる頃、足の下に帝都の街並みが見えてきた。
帝都から国境の橋までは行商人の馬車なら五日、伝令の早馬でも数日はかかる距離だと聞いたことがある。
それを半日ほどで往復してきたのだから、凄まじい移動速度だ。
黒いローブの翼は魔導具だと言っていたが、これを自在に扱う軍が存在したならば、戦術というものを根本から改める必要がある。
そんなことを考えていると、不意に均衡が乱れた。
初めは城に向かって降下しているのかと思ったが、どうも違う。ガクン、ガクンと、明らかに高度が下がり、背後からは苦しげな息遣いが聞こえる。
「オルガ、だいじょ――……ぅわッ!?」
大丈夫かと声を掛けようとした途端、浮力が消失した。
「おおおおッ!」
目の前には地面が迫ってきている。慌てて体を反転させ、オルガの体を腕の中に抱きこんだ。
距離を測って近づいてきた中庭の芝生に足をつき、一歩、二歩と走りながら落下の衝撃を受け止める。最後は受け身を取って、地面の上に転がった。
草だらけになって芝生の上に倒れ込み、腕の中でぐったりしている体を確かめる。
オルガはどうやら意識を失っているようだ。
幸いグレウスが体の内側に庇ったおかげで大きな怪我はなさそうだが、呼びかけても返事一つない。
グレウス自身も緊張の連続が堪えたようで、さすがに起き上がるのが辛かった。体の上にオルガの体を乗せたまま芝生の上に寝っ転がる。
空を見上げながら、大きく息を吐いた。
まるで夢のような出来事だった。
他国の王子との決闘、魔導具を使った長距離飛行。そして敵国の大軍と一瞬のうちにそれらを打ち負かした大魔法――。
胸の上に乗ったままのオルガの頭部には、アスファロスの皇帝を意味する金剛石の宝冠が嵌まっている。黒いローブは今ではただの外套としてオルガの身を包んでいるが、大きく割れた背中の部分に、よく見てみれば複雑な魔法陣が刻み込まれている。
――グレウスが妻として迎えた相手は、いったい何者だったのか。
「……やれやれ、やっぱり倒れたか」
暢気な声に、グレウスは慌てて顔を上げた。
起き上がろうとするのを手で制し、歩み寄ってきたディルタスが傍らに膝を突く。気を失っているオルガの顔を覗き込み、無事を確認するとホッとしたように笑みを浮かべた。
「そなたを抱えてあれだけの魔法を使うとは、無茶にも程がある」
手を伸ばして頬に掛かる髪を後ろに退けてやる。その仕草も寝顔を見守る顔も、弟を気遣う兄のものだ。
「あの……もしかして……」
グレウスは頭だけを起こしてディルタスを見上げた。
ここは決闘が行なわれた東の中庭だ。一度は焼け焦げた芝生が、今は育ちすぎるほどに背を伸ばしている。
元のままなのはグレウスが立っていた周囲だけだった。
魔導具の黒い手袋を嵌めたゼフィエルが、巨大な炎の壁を生み出した時――ディルタスとコンラートは即座にグレウスの背後に隠れた。
あの時はてっきり魔法の結界か何かで守ってくれる気だと頼もしく思ったのだが……。
「そなたの魔法防御のことか? あぁ、オルガから聞いて知っていた。生憎と私は魔法があまり得意じゃないので、最強の盾として避難させてもらったよ」
丸く残った芝生の跡に目を向けて、何でもないことのようにディルタスは言った。
やっぱりそうだったのかと思いながら、グレウスは疑問を口にした。
「……魔法が得意ではない、のですか……?」
「そうだ。私は元々魔力量があまり多くないんだ。まっとうに儀式に挑んでいたら、皇帝どころか、とっくに降嫁して誰ぞの奥方になっていただろうよ」
まるで友人同士のような気さくな様子で、ディルタスは軽く笑った。
ほとんど魔法を使えないラデナ兵と、全員が剣と魔法を自在に操るアスファロスの精鋭、近衛騎士団。たとえ人数に十倍の隔たりがあったとしても勝負にはならない。
ましてや上空には味方からも畏怖される黒の魔導師が、大地の形を変えてしまうほどの力を見せつけながら、戦況を見下ろしているのだ。
敵軍の士気が上がるはずがなかった。
「……嘘だ……こんなことが、あるはずがない……」
蹲って足の下の光景を見下ろしながら、ゼフィエルが力なく零した。
地上にはコンラートが降り立ち、カッツェに指示して捕虜を一か所に集めさせている。戦闘はアスファロス側の一方的な勝利で終わり、近衛騎士の一部はすでに橋の補修とラデナの砦の解体作業に入っていた。
何もかもが想定内だと言わんばかりに、砦の裏手には捕虜や廃材を運ぶ荷車までが待機している。
――今日、この日、この時間。
ラデナの軍が国境を超えてくることを、アスファロスは予期していたのだ。
足下の光景を眺めながら、オルガはローブの内側に手を入れ、中から小さく丸められた書簡を取り出した。
グレウスは思わず声を上げそうになった。半月ほど前に、ディルタスから頼まれてオルガに届けた書簡に酷似していたからだ。
オルガはそれをゼフィエルに向かって投げつけた。
「貴国が我が国への侵攻を目論んでいること、その規模、日取り、指揮を執る将校の名と経歴。すべて我々の把握するところだ。何しろ貴国は、我が国を追い出された魔導師たちを手厚く保護してくれたようだからな」
書簡の内容を確かめたゼフィエルが、ただでさえ青い顔をますます青白くさせた。
ラデナが魔法帝国に取って代わろうと取り込んだ魔導師たちは、アスファロスが故意に流した間諜だった。ラデナの侵略行為は、初めからアスファロスにすべて把握されていたのだ。
いや、それどころか国を挙げてのこの侵攻自体が、オルガをはじめとするアスファロス側が故意に誘導したものかもしれない。
何のために――。
機嫌がいい時の声で、オルガが続ける。
「貴国は先頃大掛かりな港の整備をしたらしいな。大変結構。そろそろ我が国にも良い港が欲しいと思っていたところだ」
ラデナ国王のお気に入りの孫を、黒いローブの魔導師は目を細めて見下ろした。
緋色の目が禍々しい光を帯びる。
アスファロスを侮辱し、奴隷にするとまで豪語した王子を睨み据えて。
「可愛い孫と大勢の優秀な兵士たちと引き換えだ。港一つの返還ごときを、まさか渋りはすまい。……まぁ、渋ってもらっても、こちらは一向に構わぬ。港が増えるだけだ」
ラデナ王が拒否すれば、このままラデナ全土に攻め入るとオルガは仄めかした。
確かにあれほどの力を持つオルガならば、このままラデナの国中に災厄の嵐を吹かせるのも、さほど難しいことではないだろう。
港の譲渡を、オルガは『返還』と言った。
オルガにとってラデナ国王はいまだ臣下である一領主にすぎず、その土地は今でもアスファロスに属する領土なのだ。ごねれば国ごと潰して取り返すことに、何の躊躇も感じまい。
薄い唇を吊り上げたその微笑はあまりにも凶悪で、グレウスは彼が『黒の魔王』と呼ばれ怖れられる所以を、痛いほど実感した。
「……っ」
強い風が吹いた。
ずっと安定していた平衡が、風に煽られたように僅かに揺らいだ。
隣を見ると、常から白い顔がさらに白く見える。唇は色を失いつつあり、目の輝きも失われていた。
ディルタスが口を開く。
「……後の始末はコンラートと近衛騎士団に任せて、我らは城へ帰還するぞ。賓客をしかるべき場所に案内せねば」
オルガの異常を察知したのは、グレウスだけではなかったようだ。
捕虜となったゼフィエルに憚って口には出さないものの、ディルタスの視線はオルガの体調を案じるものだった。
「側にロア侯爵さえ居なければ、こっちは大丈夫だ。先に行ってくれ」
逆らう気力も失ったらしいゼフィエルを立たせながら、ディルタスが言った。
オルガは軽く頷くと、グレウスの体を後ろから抱きしめて、魔導具の翼を大きく羽ばたかせた。
「城へ帰還する」
羽ばたきの音が一つ聞こえるたびに、見る見るうちに景色が後ろに流れていく。
ロンロルドの山々、山裾に広がる森と平原、斜めに伸びる陽の中で作物を籠に収穫する人々――。
冬の太陽は早くも傾き、地上に幾つもの長い影を伸ばしていた。アスファロスの大地に生きる人々は、戦争が起きかけていたことなど知りもせず、長閑な一日を終えようとしている。
『黒の魔王』の名で怖れられる一人の魔導師が、その平和を守ったことなど知りもせずに。
「オルガ……」
後ろから自分を抱きしめている腕に、グレウスはそっと手を触れた。
昨日までは、グレウスもまた何も知らずに守られている一人だった。
ひどく驚きはしたが、知ることができて良かったと思う。
「ありがとうございます」
風に飛ばされてグレウスの声は聞こえなかったのかもしれない。返事はなかった。
その代わり、体を抱きしめる腕の力が僅かに強くなった気がした。
空が赤みを帯びる頃、足の下に帝都の街並みが見えてきた。
帝都から国境の橋までは行商人の馬車なら五日、伝令の早馬でも数日はかかる距離だと聞いたことがある。
それを半日ほどで往復してきたのだから、凄まじい移動速度だ。
黒いローブの翼は魔導具だと言っていたが、これを自在に扱う軍が存在したならば、戦術というものを根本から改める必要がある。
そんなことを考えていると、不意に均衡が乱れた。
初めは城に向かって降下しているのかと思ったが、どうも違う。ガクン、ガクンと、明らかに高度が下がり、背後からは苦しげな息遣いが聞こえる。
「オルガ、だいじょ――……ぅわッ!?」
大丈夫かと声を掛けようとした途端、浮力が消失した。
「おおおおッ!」
目の前には地面が迫ってきている。慌てて体を反転させ、オルガの体を腕の中に抱きこんだ。
距離を測って近づいてきた中庭の芝生に足をつき、一歩、二歩と走りながら落下の衝撃を受け止める。最後は受け身を取って、地面の上に転がった。
草だらけになって芝生の上に倒れ込み、腕の中でぐったりしている体を確かめる。
オルガはどうやら意識を失っているようだ。
幸いグレウスが体の内側に庇ったおかげで大きな怪我はなさそうだが、呼びかけても返事一つない。
グレウス自身も緊張の連続が堪えたようで、さすがに起き上がるのが辛かった。体の上にオルガの体を乗せたまま芝生の上に寝っ転がる。
空を見上げながら、大きく息を吐いた。
まるで夢のような出来事だった。
他国の王子との決闘、魔導具を使った長距離飛行。そして敵国の大軍と一瞬のうちにそれらを打ち負かした大魔法――。
胸の上に乗ったままのオルガの頭部には、アスファロスの皇帝を意味する金剛石の宝冠が嵌まっている。黒いローブは今ではただの外套としてオルガの身を包んでいるが、大きく割れた背中の部分に、よく見てみれば複雑な魔法陣が刻み込まれている。
――グレウスが妻として迎えた相手は、いったい何者だったのか。
「……やれやれ、やっぱり倒れたか」
暢気な声に、グレウスは慌てて顔を上げた。
起き上がろうとするのを手で制し、歩み寄ってきたディルタスが傍らに膝を突く。気を失っているオルガの顔を覗き込み、無事を確認するとホッとしたように笑みを浮かべた。
「そなたを抱えてあれだけの魔法を使うとは、無茶にも程がある」
手を伸ばして頬に掛かる髪を後ろに退けてやる。その仕草も寝顔を見守る顔も、弟を気遣う兄のものだ。
「あの……もしかして……」
グレウスは頭だけを起こしてディルタスを見上げた。
ここは決闘が行なわれた東の中庭だ。一度は焼け焦げた芝生が、今は育ちすぎるほどに背を伸ばしている。
元のままなのはグレウスが立っていた周囲だけだった。
魔導具の黒い手袋を嵌めたゼフィエルが、巨大な炎の壁を生み出した時――ディルタスとコンラートは即座にグレウスの背後に隠れた。
あの時はてっきり魔法の結界か何かで守ってくれる気だと頼もしく思ったのだが……。
「そなたの魔法防御のことか? あぁ、オルガから聞いて知っていた。生憎と私は魔法があまり得意じゃないので、最強の盾として避難させてもらったよ」
丸く残った芝生の跡に目を向けて、何でもないことのようにディルタスは言った。
やっぱりそうだったのかと思いながら、グレウスは疑問を口にした。
「……魔法が得意ではない、のですか……?」
「そうだ。私は元々魔力量があまり多くないんだ。まっとうに儀式に挑んでいたら、皇帝どころか、とっくに降嫁して誰ぞの奥方になっていただろうよ」
まるで友人同士のような気さくな様子で、ディルタスは軽く笑った。
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