王宮に咲くは神の花

第四章 三人目のハル・ウェルディス

陥落

「……ゥン――――……」

　棒を呑んだ屹立が硬くなり、大きさを増していく。
　ささやかな男の象徴が育つにつれ、内部で棒が擦れて、両足の震えが止まらないほどの疼きが生まれた。意志に反して腰が揺れ、収縮する後孔からラナダーンが吐き出していったものが零れ出てくる。
　ジハードそっくりの異母兄に犯された肉環が、物欲しげに口を開けているのがわかる。
　この中を太いもので満たして、疼く場所を内側から突き上げてほしいと訴えているのだ。
　モジモジと身を捩ると、濡れて汚れた敷布に臀部が擦れる感触すら気持ちいい。
　全身の肌が過敏になって、覗き込む男たちの息遣いだけでもどうにかなりそうだった。

「どれ、頃合いか……？」

「……ゥンッ！……ンウウゥ――ッ！！」

　ごくりと唾を一つ飲み込んだ男が、ヒクヒクと揺れる白木の棒を抓んだ。中で棒をゆっくりと捩じられ、シェイドは全身を突っ張らせた。
　頭の後ろの方で何かが弾け、痺れるような疼きが腰の奥から背骨を走り抜けてくる。

「ゥンウウゥ――――ッ……！！」

　勿体ぶるようにゆっくりと棒が引き抜かれた。
　抜け出ていくときの痛みと快感は、他の何にも例えられないほど強烈なもので、叫ばずにはいられなかった。総毛立つほどの悍ましさと同時に、それは強烈な射精の快感にも似ていた。

　無意識のうちに再びの挿入を強請るように腰を突き上げたが、棒が再び尿道を貫くことはなかった。
　その代わり、足を押さえていた領兵が寝台の足元から乗り上がってきた。

「そら、行くぞ」

　迎えるように足を開いたのはシェイドの方だ。飢えて口を開いた肉壺に、男は取り出した逸物を前戯もなく突き入れる。
　砦の中に女がいないのは領兵の方も同じなのだろう。すぐさま闇雲に突き上げてくる男を受け止め、シェイドは両足でその腰を引き寄せた。自分の望みの場所を思うさま擦り上げてもらうためだ。
　硬く荒々しいものが勢い任せに突き入れられる。労わりも技巧も何もない。
　それなのに、その無茶な動きに体の芯が激しく炎を上げて燃え上がる。

「……ン、フゥッ、……フゥウウ――ッ！……ッ」

　中を突かれ別の男に屹立を弄られて、シェイドは泣きながら昇りつめた。久しぶりの男としての解放だ。
　焼け爛れたような内部を、精液が勢いよく通り抜けていく。――けれど、渇きを満たすには物足りない。
　先程ラナダーンに組み敷かれて理性もなくすほど中逝きし、今は溜まりきった精を吐き出せたのだから十分なはずだ。なのに、少しも満足できない。
　もっと快楽が欲しいと、蜜壺がいやらしい濡れ音を立てて男の性器に吸い付く。
　奥の奥まで征服して肉に怒張の形を刻みつけ、溢れんばかりの精液で満たしてほしいと飢えたように思う。

「あぁ……すげぇ、搾られる――出すぞッ、出すぞぉおッ……ッ！」

　大声で喚きながら一人目の男が欲望を解放した。
　動きを止めて奥に収まった怒張が、まるで生き物のように中でビクビクと跳ねていた。腹の中に温かいものがドッと溢れ返る感触がシェイドを追い上げる。
　望まぬ相手に力づくで組み敷かれ、衆人環視の中で娼婦のように犯されたのだと思った途端、背筋をぞくりと震えが走った。逝ったばかりだというのに、また熱が駆け上がる――。

「……フゥッ、ゥウ――――ッ……ウウウ――――ッ、ッ……！」

　全身を震わせてシェイドは気を飛ばした。今度の快楽は段違いに深かった。
　噛み締めた布の隙間から吐息を漏らして胴震いすると、腹の上に薄っすらと赤みを帯びた緑色の蜜が広がる。中で達した快楽の証に、血と塗り込められた薬の名残が混ざっているようだ。
　それが通り抜けた尿道は痺れにも痛みにも似た疼きが広がり、いつまでも治まらぬ絶頂の余韻に、シェイドは押さえつけられた体をガクガクと揺らした。

「ウウウッ……ウウウウゥッ……ウ――ッ！」

　勢いの乏しい蜜が砲身を伝い降りる感触にまで震えが走る。
　痛くてむず痒くてたまらないはずなのに、永遠に味わっていたくなる。いきっ放しにいかされて、浅ましい蜜をずっと垂れ流していられたらどんなにいいだろう。膨れ上がるその欲望で頭の芯が焼き尽くされてしまいそうだ。

「……盛りのついた雌犬め」

　男を誘うように尻を振るシェイドを見て、老人が吐き捨てた。
　蔑み切ったその声が耳に入りはしたが、とても我慢できるものではなかった。男の部分も、女として使われる場所も、ジンジンと疼いてじっとしてなどいられないのだ。
　猛った肉棒で早く中を擦ってほしい。苦しいほどに押し拡げて、中に温かいものをたっぷりと注がれたい。

「ンンッ……ゥンンッ……！」

　尻を振り腰を突き上げて、次を強請る。体が熱くてたまらない。どこでもいいから肌に触れて刺激を与えてほしかった。今ならどんなことをされても気をやってしまいそうだ。

　白木の棒を扱っていた男が二番手の名乗りを上げた。
　余程女に飢えていたのか、この男も挿入を果たした途端、叩きつけるように動き始めた。
　強引で情熱的だったジハードとの交わりとはまるで違う。相手を性欲の捌け口として、道具のように使うだけの性交だ。
　いや、いっそ道具ならばこんな風に貶められることもなかっただろう。わざと苦痛を大きくするような抉り方は、相手が生きた人間だからこそしているのだ。苦痛と屈辱を与えて、相手を支配するために。
　尻を叩かれ、不貞を懲らしめられているような被虐的な気分が一層体に火をつける。
　こんな扱いをされているのに、感じ入って男を絞り込む我が身の貪欲さを軽蔑しつつも、頂へ向かって駆け上っていくのは止められない。

「……オッ、オッ、オッ、……ヒゥウッ！……イフゥウウゥ――ッ！……」

　両腕はもう掛布の端で軽く縛られているだけだった。口に押し込まれていた布も半ばまで出て、舌で押せば吐き出せそうだったが、どうにかしようという考えに至らない。

　両方の乳首を男たちに嬲られて、きつく抓まれるたびに体が跳ね上がる。
　そこはジハードに教え込まれてとても敏感になっているのに、そんな風にされたのではまたいってしまう。
　出る。尻を犯されて、乳首を弄られて、恥ずかしい液がまたあそこから溢れてしまう。

「……イ、ィイイイ――ッ……」

　びく！　と全身を強張らせた後。
　失禁した時のような大量の蜜が、まだ薄く緑みを帯びたまま延々と流れ出た。