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「エルさん!今から行きます!」


水晶を使いエルさんに伝えると、少ししてからエルさんが来た。……転移魔法で。


「エルフ……。しかも、転移魔法!?」

「……はぁ。伝えていなかったのか」


お兄様とお父様、そしてエルさんから咎めるような視線を送られ、目を逸らした。


「だって、エルさんがエルフだってこと気にしてませんでしたし、転移魔法も特別な気がしなかったんですもん……」


エルさんは私を見て、ため息をつくと、お父様たちに向き直った。


「まあいい。私は、エルドリュート・ハーヴェスタ。見ての通り、エルフで数年前から魔法を教えている」

「失礼しました。エミリアの父、ケヴィン・シャーネットと申します。娘に魔法を教えていただいていたなど、なんとお礼を申し上げれば良いか……」

「アーレイ・ハーヴェスタ、エミリアの兄です」


お兄様がにこやかに名乗る。あくまで、名乗っただけだ。だが、何故だろう。何度か気温が下がった気がする。


「付き添いは二人でいいのか?」

「いえ、私はあくまで見送りに。かわりに、こちらの騎士をつけさせていただきたい」

「エミリアお嬢様の護衛を務めさせていただきます、ノルド・レートンです」


赤髪が特徴的なノルドはかなり腕がたつ。多分、この領地で一番強いのではないかと思うくらいだ。


「では、行くぞ」


エルさんはそれだけ言うと、転移の魔法を使い、いつもの場所まできた。

ただし、転移魔法に慣れていないお兄様とノルドは転移酔いしているようで顔が青くなっている。エルさんは二人をチラッと見たものの、何事もなかったかのように魔法の練習が始まった。


「お前の魔力量はかなり多い。だから、軽くで良い。他の、属性魔法は魔力が多くても効果が上がるだけだが治癒魔法は違う。それを頭に置いてやってみろ」

「はい!」


元気良く返事をすると、昨日と同じように魔法を使う。少しだけ、込める魔力を減らして。

すると、昨日とは少しだけ変わり、パァッと光が漏れた。……かと思えばパンッと音と共に爆発した。


「なんでぇ!?」

「……はぁ。今日は爆発させないのではなかったのか」

「今、今絶対成功する流れでした!」

「気が緩み魔力が増えたのだろう。この阿呆が」

「むっ……。もう一回!」


そう言われれば納得するしかない。確かに、気が緩んだのは確かなのだから。

と、考え思いついた。込める魔力が多いのなら別の魔法を使うか効果範囲を広くすれば良いのでは、と。


「……ほう。範囲指定を諦めたか」


エルさんは私の使った治癒魔法を見て、少しだけ笑みを浮かべた。


「エルさん!今度は爆発しませんでした!」

「あぁ。普通は爆発などする魔法ではないからな」

「うっ……」

「良くやった。だが、魔力操作については特訓が必要だな」


褒めてくれたかと思えば課題を出された。少しくらい、優しくしてくれても良いと思うのですよ。


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