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第49話 四天王の情報
しおりを挟む地に臥すメルヴィナとガウェインを魔物から単身守り抜いたワタアメは、シグマとニャルラの到着に安心して眠ってしまった。
二人の容態を確認するシグマと意識を失ったワタアメを拾いあげるニャルラ。
「魔王妃殿!ガウェイン!」
地面にしゃがみ込んで二人の心音を聴くシグマにニャルラが「どうなんニャ!?」とワタアメを抱えて言う。
それに対してシグマは「安心しろ、二人ともまだ生きている」と嬉しそうに答えた。
しかし、氷柱が刺さったままのガウェインの方を見て難しい顔をするシグマである。
ガウェインの傷口は未だ溶けぬ氷柱によって腹部の傷が冷凍状態になっているように見えた。
ガウェインを殺そうとしていたフォルトゥナが、なぜ彼を止血状態にしていたのかというところに疑問が残るシグマ。
「とりあえず、急いで魔王城に戻るぞ」
ニャルラの方を見て合図を送るシグマ。
部隊編成時にあらかじめ「欠員が出た場合、出そうな場合は引き返す」というルールを決めておいた一同は、二人と一匹の負傷者が出たことで廃城へ向かうのをあきらめて帰還することになった。
地面に倒れるメルヴィナを抱き上げたシグマは、ニャルラにガウェインを担ぐように指示する。
それを受けてニャルラは荷物とガウェインをそれぞれ背負って出発準備を完了させた。
----
来る時とは違い、敵と遭遇しても無視して全速力で魔王城へと走るシグマとニャルラ。
本気のスピードで駆ける親子に追いつくことができる魔物などそうそういなかった。
「この分だと夜が更ける頃には城につく」
夜まで走り続けるが、体力は大丈夫かとニャルラに尋ねるシグマ。
それに対しニャルラは「任せるニャ!」と強気に答える。
魔王軍の兵士の中でもかなり上位の戦闘能力にランクインするニャルラは、これでも一応「メイド」という扱いなのであった。
シグマは娘の実力を認めてはいるが、やはり正規の兵士ではないので心配が残るようである。
「それにしても、パパも四天王とやらと会ったのかニャ?」
彼女は特に疲れたそぶりも見せることなく、隣を走るシグマに声をかける。
魔法陣探しではぐれた時に「四天王」のメンバーに会って、足止めを食らったというニャルラ。
彼女が出会ったのは第二部隊隊長のドレイクのような「竜人」であったらしい。
それを聞いたシグマは「名前は名乗っていなかったか?」とニャルラに問う。
どうやら、シグマには邪神教の「竜人」に思い当たる節があるみたいだった。
「たしか、ティラミスとかそんな感じの名前だったニャ」
走りながら進路をふさぐ魔物をキックで吹き飛ばして走り続ける二人。
敵を処理しつつも「なんだか甘くて美味しそうな名前の竜人だった」とニャルラは言う。
それを聞いたシグマは「やはりティアマトか……」と眉間に皺を寄せる。
ティアマトという名を聞いたニャルラは「あっ、それだニャ!」とスッキリした様子であった。
「竜人ティアマト……大戦の時代からいる邪神教のナンバーツーだ」
渋い口調で話すシグマは、なにやら大戦時の記憶を思い起こしているようだった。
ティアマトは、500年前からフェイリスの右腕として邪神教をうまくまとめ上げていたやり手の竜人であるという。
それを聞いたニャルラは「通りで強かったわけニャ」と納得した様子で頷く。
竜人はまるで本気を出していないような感じだったというニャルラ。
それを聞いたシグマはホッとした様子で「本気を出していたらお前は死んでいたのう」と答える。
彼の口から出た言葉に、なんともゾッとしない話であるとニャルラは思うのだった。
「パパのところじゃなくて、なんで私の方にそんな強い奴がくるのニャ……」
本来なら自分は弱い魔物と当たるべきだと主張するニャルラ。
それを聞いたシグマは「儂の方にも厄介な奴が寄こされていた」と答える。
シグマが言うにはもう一人の四天王である「戦闘狂のアレス」という奴と接敵していたらしい。
「こいつが邪神教一番の問題児でのう……」
大戦当時から厄介な魔物だったという「戦闘狂アレス」とはいったいどんな奴なのかとニャルラは疑問に思うのだった。
しかし、グレイナル山脈のふもとまでやってきた二人は今までのように会話をして進むわけにはいかない。
山を徘徊する凶悪な魔物に見つからないように慎重かつ迅速に山越えをしなければならないのは、行きも帰りも同じであった。
「話の続きは帰ってからにするぞ」
二人はメルヴィナとガウェイン、ワタアメの二人と一匹を抱えてグレイナル山脈へと向かうのだった。
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