5 / 8
マタタビの魅惑……
しおりを挟む「にゃあ、今日は暑いのニャ~」
「木陰でお昼寝が、一番だニャん」
公園のみんな
ふにゅう~。
(((平和だニャ~)))
もふもふ公園には、今日もたくさんの猫が集まり、仲良く過ごしている。
そんな中、しょんぼりな声で鳴く猫がひとにゃん。
「にゃーふうぅ~……」
「どうしたのニャ?!」
その、しょんぼり猫とは?
◇
お昼寝も終わり、多くの猫たちはそれぞれに動き始める。
「うにゃー?」、「にゃっは!」
(調子どぉ?)、(元気だよ!)
公園のみんなが、にゃうーにゃうーと楽しそうにしている中で。
――信じられない事が起こった。
「うにゅ~ふぅ~」
なんと! あの、にゃんにゃんの元気がないのである。
公園のみんな
にゃおおっ!! (にゃんだってぇ!!)
にゃにゃにゃあー?! (にゃんの元気がない?!)
み~んなビックリ仰天。そして、心配になっていた。
「オイッ! にゃん、どうしたんだニャ?!」
いつもだったらてってけ~と遊び、周りを巻き込みながら公園内をひゃっほーと、元気に駆け回っているにゃんにゃん。元気が良すぎて、いつも注意ばかりしているお兄ちゃん的存在のホクも、ここまで元気がないとさすがに。にゃんにゃんの様子が気になっていた。
「ホク兄、はぁぅ~」
(ま、まさか……ニャ?)
そして、深刻な表情でにゃんにゃんを見た。
「ミル! ミルは近くに――」
「ハイですゥ~」
「うにゃはッ!」
ホクは、けけぶおっ! 逆立っている。
(び……びっくりしたのニャ)
うにゅーーーーーーん♪
「呼びマシたかニャ?」
もふもふ公園の猫たち、み~んなの博士。サバトラ猫のミル。
ホクの呼ぶ声が「近くに」のあと、「いにゃいかッ?!」と、言うはずが。
そのずっと前から、後ろに待機していたミルから、びっくりさせられたホク。
ミルは、名前を呼ばれるのを今か今かと待ち、やっと!
よ・ば・れ・たぁ~、と喜びながら、『うにゅ~ん♪』と、現れたのだ。
ミルが後ろにいたことに、全く気が付かなかったホクはとても驚き、いつもの倍は、ぴょーんッ! と、飛び上がっていた。
「よ、呼んだニャ、ってーオイッ! ミル! ビックリさせにゃいでくれ」
「うニャ? ホクホク。ごめんナノです~」
「……にゃっ! (はっ!)それより、ミル――」
ホクは、にゃんにゃんの元気がないことを伝えて、ミル博士に、ほうれんそう(ほうこくっ、れんらくぅ、そーだぁん♪)。
「サぁ、にゃん? コッチ向いてニャん」
ミルが首をかしげて、にゃんの顔をのぞき込む。
「うにゅー。にゃ? ミル兄様だぁ」
少し笑顔になる、にゃんにゃん。
「ど、どうニャ?」
ホクは、もう気が気でならない。
「こ、コリ(これ)はぁ……」
ジーーーーーー~~ッ。
公園中から、たくさんの猫視線が集まる。
猫仲間のみんなも、近くから、遠くから! そわそわぁ~、そわそわっ。
にゃんにゃんと、ホク、ミル。
さんにゃんの様子を固唾をのんで見守っていた。
「ウ、うにゃはッ♡」
すると、突然! ミルが、ほやほやぁ~と、笑う。
「ど、どうしたのニャ?」
不思議そうに、その顔を見るホク。
「いやぁ~、穴があくホド見られるトワ、こういう感じニャのネ♡」
(うっひゅひゅ~……おもシロいのん♪)
「にゃ! なんなのニャ?」
公園のみんな
(((えぇぇぇー?! や、やばぁーニャ!!)))
「み~る~……ッ」
真面目に聞いているホクは、冗談交じりなミルに、少々お怒りモードになろうとしていた。
「ウはあっ、にゃあ! ごめんのにゃンゴ。あの 実を言っチャうと」
ミルが慌てながら、答えた。
「にゃんにゃんは……」
――ゴクリッ!!
お兄さん猫のホクは、覚悟を決める。
「にゃ、にゃんでも言ってくれだニャ!」
公園のみんな
(なんだにゃ、なんだったのにゃ~?)
「そう! なんとー!! 夏バテきゅ~んなのだニャ」
……。
……んっ?
にゃーにょー? ざわざわ。
(ま、まさかの?)
「にゃ、にゃあっはっは! い、いやぁそうそう! 解っていたんだがニャ~」
((エェーーーーー?))
――猫みんなの冷めた視線が、痛いイタイ。
ホクは、ちょっとバツが悪そうに、恥ずかしそうに、にゃははっと笑った。
公園のみんな
そうニャ~と、安心? みんなパラパラと散っていく。
(にゃんにゃん大丈夫らしいニャ)
(にゃ~良かった)
「うにゅ~にゃ~……」
にゃんにゃんがダルいのにゃあ、と鳴く。
「しっかし、どうするにゃんかな?」
ホクは、ほくほく(ほとほと)困り果ててしまう。
「あのぉ、ホクホク? 僕にイイ考えがあるのデスが……」
そう、ミルが言いかけた所で、どこからか歌う声が聴こえてきた。
「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ フンフン♪ は~い、どうもにぃ♪ みにゃさぁん、ご機嫌うるわちきぃー?」
可愛い鍵しっぽを揺らしながら、陽気にやってきた歌い猫。
「あ~来たキタ。そろそろ来る頃だとオモッてたのニャ」
「ニャニャ~♪ あらぁ~ミル。おひさしゅう? おやおや~おっや? わたちが来るのよぉ~く分かリンゴ♪ ニャニャってぇ~♪ 待っていたのかにぃ~?」
その猫は、リズムに乗せて話を進めていく。
ミルの説明。
「そうナノです。実はコノ子が――」
かくかく~しかじか~ニャん……。
「あらぁ~! なるほど、なるほどぉん!! ニャニャって~?」
ではぁ、コチラいかがかしら? と“あるもの”をにゃんにゃんの前に差し出す。
す・る・と!
「クンクン……にゃ……にゃにゃ?……う、ウ二、ウニャあッはぁぁぁ♡」
今までのしょんぼり~が嘘のように!
みるみるうちに、にゃんにゃんのテンションはマックスに上がっていった!
公園のみんな
にゃにゃあーんー!!
(なんてこったぁー!!)
「にゃ、にゃんだ?! その魔法の薬はぁ?!」
驚いたホクは、大興奮!!!!
「にゃんにゃん? 調子はドォ~だニャ?」
ミルの質問に、にゃんにゃんは!
「にゃっふわぁ~♪ もぉ元気ぃ~! これこれー? これ!! にゃに~? 好き好きニャー♡」
「ニャッふっふ~♪ それは~それはぁ~♪」
――そーれーはぁぁ?
みんなの猫視線が再び、一斉に向けられた。
「魔法のぉ~くすりぃんりんッ♪ マ・タ・タ・びぃーん♪ でしニャ!!」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
公園のみんな、ニャーっと、声を上げた。
ホクの声。
「そうニャのか!?」
「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ みんなシアワセちゃ~ん?」
『幸せを運んでくると言われる、鍵しっぽ猫』
果たして、この魔法の薬“マタタビ”を持つ、猫の正体とは?!
◇
【ねこねこデータ】報告書。
番号ごぉ (謎の鍵しっぽ猫)
詳細不明?! 次の報告を待て!
◇
にゃんにゃん情報♪
☆本日の習得スキル (ぱわぁー回復)
◇ニャンニャンニャン◇
次回、第六話「しあわせの鍵しっぽ」
にゃんにゃんの活躍を、乞うご期待♪ 笑
10
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

ぼくの親友
辛已奈美(かのうみなみ)
児童書・童話
夕日がおちて、空がくらくなりはじめるころ、1ぴきの小さなねずみが、しずかに目をさました。かれの名前はリュウタ。リュウタは、町のかたすみにある、古びたそうこにすんでいた。そんなリュウタは、町で1けんの、古いパンやを見つけた。そこで・・・
小学2年生までの漢字で作っています。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
クール天狗の溺愛事情
緋村燐
児童書・童話
サトリの子孫である美紗都は
中学の入学を期にあやかしの里・北妖に戻って来た。
一歳から人間の街で暮らしていたからうまく馴染めるか不安があったけれど……。
でも、素敵な出会いが待っていた。
黒い髪と同じ色の翼をもったカラス天狗。
普段クールだという彼は美紗都だけには甘くて……。
*・゜゚・*:.。..。.:*☆*:.。. .。.:*・゜゚・*
「可愛いな……」
*滝柳 風雅*
守りの力を持つカラス天狗
。.:*☆*:.。
「お前今から俺の第一嫁候補な」
*日宮 煉*
最強の火鬼
。.:*☆*:.。
「風雅の邪魔はしたくないけど、簡単に諦めたくもないなぁ」
*山里 那岐*
神の使いの白狐
\\ドキドキワクワクなあやかし現代ファンタジー!//
野いちご様
ベリーズカフェ様
魔法のiらんど様
エブリスタ様
にも掲載しています。
虹の橋を渡った猫が教えてくれたこと
菊池まりな
児童書・童話
あけみが生まれた頃には愛猫のちゃおがいた。遊ぶ時も寝るときもずっと一緒。そんなある日、ちゃおが虹の橋を渡ってしまう。家族は悲しむが、あけみは不思議な夢を見るようになり…。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる