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マタタビの魅惑……
しおりを挟む「にゃあ、今日は暑いのニャ~」
「木陰でお昼寝が、一番だニャん」
公園のみんな
ふにゅう~。
(((平和だニャ~)))
もふもふ公園には、今日もたくさんの猫が集まり、仲良く過ごしている。
そんな中、しょんぼりな声で鳴く猫がひとにゃん。
「にゃーふうぅ~……」
「どうしたのニャ?!」
その、しょんぼり猫とは?
◇
お昼寝も終わり、多くの猫たちはそれぞれに動き始める。
「うにゃー?」、「にゃっは!」
(調子どぉ?)、(元気だよ!)
公園のみんなが、にゃうーにゃうーと楽しそうにしている中で。
――信じられない事が起こった。
「うにゅ~ふぅ~」
なんと! あの、にゃんにゃんの元気がないのである。
公園のみんな
にゃおおっ!! (にゃんだってぇ!!)
にゃにゃにゃあー?! (にゃんの元気がない?!)
み~んなビックリ仰天。そして、心配になっていた。
「オイッ! にゃん、どうしたんだニャ?!」
いつもだったらてってけ~と遊び、周りを巻き込みながら公園内をひゃっほーと、元気に駆け回っているにゃんにゃん。元気が良すぎて、いつも注意ばかりしているお兄ちゃん的存在のホクも、ここまで元気がないとさすがに。にゃんにゃんの様子が気になっていた。
「ホク兄、はぁぅ~」
(ま、まさか……ニャ?)
そして、深刻な表情でにゃんにゃんを見た。
「ミル! ミルは近くに――」
「ハイですゥ~」
「うにゃはッ!」
ホクは、けけぶおっ! 逆立っている。
(び……びっくりしたのニャ)
うにゅーーーーーーん♪
「呼びマシたかニャ?」
もふもふ公園の猫たち、み~んなの博士。サバトラ猫のミル。
ホクの呼ぶ声が「近くに」のあと、「いにゃいかッ?!」と、言うはずが。
そのずっと前から、後ろに待機していたミルから、びっくりさせられたホク。
ミルは、名前を呼ばれるのを今か今かと待ち、やっと!
よ・ば・れ・たぁ~、と喜びながら、『うにゅ~ん♪』と、現れたのだ。
ミルが後ろにいたことに、全く気が付かなかったホクはとても驚き、いつもの倍は、ぴょーんッ! と、飛び上がっていた。
「よ、呼んだニャ、ってーオイッ! ミル! ビックリさせにゃいでくれ」
「うニャ? ホクホク。ごめんナノです~」
「……にゃっ! (はっ!)それより、ミル――」
ホクは、にゃんにゃんの元気がないことを伝えて、ミル博士に、ほうれんそう(ほうこくっ、れんらくぅ、そーだぁん♪)。
「サぁ、にゃん? コッチ向いてニャん」
ミルが首をかしげて、にゃんの顔をのぞき込む。
「うにゅー。にゃ? ミル兄様だぁ」
少し笑顔になる、にゃんにゃん。
「ど、どうニャ?」
ホクは、もう気が気でならない。
「こ、コリ(これ)はぁ……」
ジーーーーーー~~ッ。
公園中から、たくさんの猫視線が集まる。
猫仲間のみんなも、近くから、遠くから! そわそわぁ~、そわそわっ。
にゃんにゃんと、ホク、ミル。
さんにゃんの様子を固唾をのんで見守っていた。
「ウ、うにゃはッ♡」
すると、突然! ミルが、ほやほやぁ~と、笑う。
「ど、どうしたのニャ?」
不思議そうに、その顔を見るホク。
「いやぁ~、穴があくホド見られるトワ、こういう感じニャのネ♡」
(うっひゅひゅ~……おもシロいのん♪)
「にゃ! なんなのニャ?」
公園のみんな
(((えぇぇぇー?! や、やばぁーニャ!!)))
「み~る~……ッ」
真面目に聞いているホクは、冗談交じりなミルに、少々お怒りモードになろうとしていた。
「ウはあっ、にゃあ! ごめんのにゃンゴ。あの 実を言っチャうと」
ミルが慌てながら、答えた。
「にゃんにゃんは……」
――ゴクリッ!!
お兄さん猫のホクは、覚悟を決める。
「にゃ、にゃんでも言ってくれだニャ!」
公園のみんな
(なんだにゃ、なんだったのにゃ~?)
「そう! なんとー!! 夏バテきゅ~んなのだニャ」
……。
……んっ?
にゃーにょー? ざわざわ。
(ま、まさかの?)
「にゃ、にゃあっはっは! い、いやぁそうそう! 解っていたんだがニャ~」
((エェーーーーー?))
――猫みんなの冷めた視線が、痛いイタイ。
ホクは、ちょっとバツが悪そうに、恥ずかしそうに、にゃははっと笑った。
公園のみんな
そうニャ~と、安心? みんなパラパラと散っていく。
(にゃんにゃん大丈夫らしいニャ)
(にゃ~良かった)
「うにゅ~にゃ~……」
にゃんにゃんがダルいのにゃあ、と鳴く。
「しっかし、どうするにゃんかな?」
ホクは、ほくほく(ほとほと)困り果ててしまう。
「あのぉ、ホクホク? 僕にイイ考えがあるのデスが……」
そう、ミルが言いかけた所で、どこからか歌う声が聴こえてきた。
「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ フンフン♪ は~い、どうもにぃ♪ みにゃさぁん、ご機嫌うるわちきぃー?」
可愛い鍵しっぽを揺らしながら、陽気にやってきた歌い猫。
「あ~来たキタ。そろそろ来る頃だとオモッてたのニャ」
「ニャニャ~♪ あらぁ~ミル。おひさしゅう? おやおや~おっや? わたちが来るのよぉ~く分かリンゴ♪ ニャニャってぇ~♪ 待っていたのかにぃ~?」
その猫は、リズムに乗せて話を進めていく。
ミルの説明。
「そうナノです。実はコノ子が――」
かくかく~しかじか~ニャん……。
「あらぁ~! なるほど、なるほどぉん!! ニャニャって~?」
ではぁ、コチラいかがかしら? と“あるもの”をにゃんにゃんの前に差し出す。
す・る・と!
「クンクン……にゃ……にゃにゃ?……う、ウ二、ウニャあッはぁぁぁ♡」
今までのしょんぼり~が嘘のように!
みるみるうちに、にゃんにゃんのテンションはマックスに上がっていった!
公園のみんな
にゃにゃあーんー!!
(なんてこったぁー!!)
「にゃ、にゃんだ?! その魔法の薬はぁ?!」
驚いたホクは、大興奮!!!!
「にゃんにゃん? 調子はドォ~だニャ?」
ミルの質問に、にゃんにゃんは!
「にゃっふわぁ~♪ もぉ元気ぃ~! これこれー? これ!! にゃに~? 好き好きニャー♡」
「ニャッふっふ~♪ それは~それはぁ~♪」
――そーれーはぁぁ?
みんなの猫視線が再び、一斉に向けられた。
「魔法のぉ~くすりぃんりんッ♪ マ・タ・タ・びぃーん♪ でしニャ!!」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
公園のみんな、ニャーっと、声を上げた。
ホクの声。
「そうニャのか!?」
「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ みんなシアワセちゃ~ん?」
『幸せを運んでくると言われる、鍵しっぽ猫』
果たして、この魔法の薬“マタタビ”を持つ、猫の正体とは?!
◇
【ねこねこデータ】報告書。
番号ごぉ (謎の鍵しっぽ猫)
詳細不明?! 次の報告を待て!
◇
にゃんにゃん情報♪
☆本日の習得スキル (ぱわぁー回復)
◇ニャンニャンニャン◇
次回、第六話「しあわせの鍵しっぽ」
にゃんにゃんの活躍を、乞うご期待♪ 笑
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