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マタタビの魅惑……

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「にゃあ、今日は暑いのニャ~」
「木陰でお昼寝が、一番だニャん」

 公園のみんな
 ふにゅう~。
(((平和だニャ~)))

 もふもふ公園には、今日もたくさんの猫が集まり、仲良く過ごしている。

 そんな中、しょんぼりな声で鳴く猫がひとにゃん。

「にゃーふうぅ~……」

「どうしたのニャ?!」

 その、しょんぼり猫とは?



 お昼寝も終わり、多くの猫たちはそれぞれに動き始める。

「うにゃー?」、「にゃっは!」
(調子どぉ?)、(元気だよ!)

 公園のみんなが、にゃうーにゃうーと楽しそうにしている中で。

――信じられない事が起こった。

「うにゅ~ふぅ~」

 なんと! あの、にゃんにゃんの元気がないのである。

 公園のみんな
 にゃおおっ!! (にゃんだってぇ!!)
 にゃにゃにゃあー?! (にゃんの元気がない?!)

 み~んなビックリ仰天。そして、心配になっていた。

「オイッ! にゃん、どうしたんだニャ?!」

 いつもだったらてってけ~と遊び、周りを巻き込みながら公園内をひゃっほーと、元気に駆け回っているにゃんにゃん。元気が良すぎて、いつも注意ばかりしているお兄ちゃん的存在のホクも、ここまで元気がないとさすがに。にゃんにゃんの様子が気になっていた。

「ホク兄、はぁぅ~」

(ま、まさか……ニャ?)

 そして、深刻な表情でにゃんにゃんを見た。

「ミル! ミルは近くに――」

「ハイですゥ~」

「うにゃはッ!」
 ホクは、けけぶおっ! 逆立っている。

(び……びっくりしたのニャ)

 うにゅーーーーーーん♪
「呼びマシたかニャ?」

 もふもふ公園の猫たち、み~んなの博士。サバトラ猫のミル。
 ホクの呼ぶ声が「近くに」のあと、「いにゃいかッ?!」と、言うはずが。
 そのずっと前から、後ろに待機していたミルから、びっくりさせられたホク。

 ミルは、名前を呼ばれるのを今か今かと待ち、やっと!
 よ・ば・れ・たぁ~、と喜びながら、『うにゅ~ん♪』と、現れたのだ。

 ミルが後ろにいたことに、全く気が付かなかったホクはとても驚き、いつもの倍は、ぴょーんッ! と、飛び上がっていた。

「よ、呼んだニャ、ってーオイッ! ミル! ビックリさせにゃいでくれ」

「うニャ? ホクホク。ごめんナノです~」

「……にゃっ! (はっ!)それより、ミル――」

 ホクは、にゃんにゃんの元気がないことを伝えて、ミルに、(ほうこくっ、れんらくぅ、そーだぁん♪)。

「サぁ、にゃん? コッチ向いてニャん」
 ミルが首をかしげて、にゃんの顔をのぞき込む。

「うにゅー。にゃ? ミル兄様だぁ」
 少し笑顔になる、にゃんにゃん。

「ど、どうニャ?」
 ホクは、もう気が気でならない。

「こ、コリ(これ)はぁ……」


 ジーーーーーー~~ッ。


 公園中から、たくさんの猫視線が集まる。

 猫仲間のみんなも、近くから、遠くから! そわそわぁ~、そわそわっ。

 にゃんにゃんと、ホク、ミル。
 さんにゃんの様子を固唾をのんで見守っていた。

「ウ、うにゃはッ♡」
 すると、突然! ミルが、ほやほやぁ~と、笑う。

「ど、どうしたのニャ?」
 不思議そうに、その顔を見るホク。

「いやぁ~、穴があくホド見られるトワ、こういう感じニャのネ♡」
(うっひゅひゅ~……おもシロいのん♪)

「にゃ! なんなのニャ?」

 公園のみんな
(((えぇぇぇー?! や、やばぁーニャ!!)))

「み~る~……ッ」
 真面目に聞いているホクは、冗談交じりなミルに、少々お怒りモードになろうとしていた。

「ウはあっ、にゃあ! ごめんのにゃンゴ。あの 実を言っチャうと」

 ミルが慌てながら、答えた。

「にゃんにゃんは……」

 ――ゴクリッ!!
 お兄さん猫のホクは、覚悟を決める。
「にゃ、にゃんでも言ってくれだニャ!」

 公園のみんな
(なんだにゃ、なんだったのにゃ~?)

「そう! なんとー!! 夏バテきゅ~んなのだニャ」

 ……。

 ……んっ?

 にゃーにょー? ざわざわ。
(ま、まさかの?)

「にゃ、にゃあっはっは! い、いやぁそうそう! 解っていたんだがニャ~」

((エェーーーーー?))

――猫みんなの冷めた視線が、痛いイタイ。
 ホクは、ちょっとバツが悪そうに、恥ずかしそうに、にゃははっと笑った。

 公園のみんな
 そうニャ~と、安心? みんなパラパラと散っていく。
(にゃんにゃん大丈夫らしいニャ)
(にゃ~良かった)


「うにゅ~にゃ~……」
 にゃんにゃんがダルいのにゃあ、と鳴く。

「しっかし、どうするにゃんかな?」
 ホクは、(ほとほと)困り果ててしまう。

「あのぉ、ホクホク? 僕にイイ考えがあるのデスが……」

 そう、ミルが言いかけた所で、どこからか歌う声が聴こえてきた。

「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ フンフン♪ は~い、どうもにぃ♪ みにゃさぁん、ご機嫌うるわちきぃー?」

 可愛い鍵しっぽを揺らしながら、陽気にやってきた歌い猫。

「あ~来たキタ。そろそろ来る頃だとオモッてたのニャ」
 
「ニャニャ~♪ あらぁ~ミル。おひさしゅう? おやおや~おっや? わたちが来るのよぉ~く分かリンゴ♪ ニャニャってぇ~♪ 待っていたのかにぃ~?」

 その猫は、リズムに乗せて話を進めていく。

 ミルの説明。
「そうナノです。実はコノ子が――」
 かくかく~しかじか~ニャん……。

「あらぁ~! なるほど、なるほどぉん!! ニャニャって~?」

 ではぁ、コチラいかがかしら? と“あるもの”をにゃんにゃんの前に差し出す。

 す・る・と!

「クンクン……にゃ……にゃにゃ?……う、ウ二、ウニャあッはぁぁぁ♡」

 今までのしょんぼり~が嘘のように!
 みるみるうちに、にゃんにゃんのテンションはマックスに上がっていった!

 公園のみんな
 にゃにゃあーんー!!
(なんてこったぁー!!)

「にゃ、にゃんだ?! その魔法の薬はぁ?!」

 驚いたホクは、大興奮!!!!

「にゃんにゃん? 調子はドォ~だニャ?」
 ミルの質問に、にゃんにゃんは!

「にゃっふわぁ~♪ もぉ元気ぃ~! ? !! にゃに~? 好き好きニャー♡」

「ニャッふっふ~♪ それは~それはぁ~♪」

――そーれーはぁぁ?
 みんなの猫視線が再び、一斉に向けられた。

「魔法のぉ~くすりぃんりんッ♪ マ・タ・タ・びぃーん♪ でしニャ!!」

「「「おぉぉぉぉ!」」」
 公園のみんな、ニャーっと、声を上げた。

 ホクの声。
「そうニャのか!?」

「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ みんなシアワセちゃ~ん?」


『幸せを運んでくると言われる、鍵しっぽ猫』


 果たして、この魔法の薬“マタタビ”を持つ、猫の正体とは?!




【ねこねこデータ】報告書。

 番号ごぉ (謎の鍵しっぽ猫)
 
  詳細不明?! 次の報告を待て!



 にゃんにゃん情報♪
 ☆本日の習得スキル (ぱわぁー回復)



◇ニャンニャンニャン◇

 次回、第六話「しあわせの鍵しっぽ」

 にゃんにゃんの活躍を、乞うご期待♪ 笑
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