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ねずみさんはオトモダチ?
しおりを挟む今日のお空は、何だか雲行きが怪しい。
が、しかーし! 元気いっぱいキジトラ子猫のにゃんにゃんは、楽しそうに修行をしている。
そこへ、なが~いしっぽを、ふん、ふん♪ と揺らしながら、ひとにゃんの猫が通りかかった。
「あら今日は、ぷく様はいないですのニャ?」
「にゃ? あぁ! ルナっちぃ♪ こんにゃちにゃん(こんにちは)」
その、美しいにゃん声の女の子は、輝く白色短毛に、背中に黒の可愛い月模様がひとつだけある、公園のマドンナで、ルナ。
「こんにちはですわ。にゃんにゃん、今日も修行頑張っていますニャね~ところで、ぷく様は……」
「今日は、おちごとっ! て、言ってたニャ」
ぷくは、正式に『にくきゅう戦士、ぷくぷく』になったのだが、もちろん本業は『大福やさんの看板猫』。今日はお店の催しがあるのだ。
お客様を接客して早三年……経験豊富で空気の読める福太郎は「今日は、お店にいないといけにゃい」と、大福やさんの店主も顔負け?! しっかりお仕事をしているのだった。
「そうなのですのニャ、にゃふぅ~残念ですわぁ」
今日はぷくが来ないと聞いたルナは、少しがっかりした様子だった。
「ルナっちぃ? 元気ニャイ? 僕とかけっこするニャ??」
「にゃにゃにゃ!! 大丈夫ですニャ。それではご機嫌ニャウ(ご機嫌よう)」
少し慌てた様子で、なが~いしっぽを今度はプイップイしながら、いつもルナが過ごす場所、滑り台の下に戻っていった。
ポツ……ポツポツ……ザァァァ!!
公園のみんな
「にゃにゃ! 雨が降ってきたニャ」
「冷えるといけないのニャ、はやくはやくこの下に……」
そんな中、まったく動こうとしない猫が、あそこにひとにゃん。
「ひゃっ! うにゃっは♪ にゃはー♪♪」
実は、生まれて初めての“雨”を体験中のにゃんにゃん。濡れてしまうことよりも、落ちてくる雨粒が気に入ったようだ。
「これ、にゃんにゃん。こちらへ来にゃさい」
それを見ていた長老レオが、珍しく声をかけた。
さすがに、長老の言うことはちゃんと聞くお利口さん。レオが雨宿りをする公園の東屋に、にゃんにゃんは走ってきた。
「にゃはぁー! 楽しいかったのニャ」
「そうか。しかし、にゃんよ。水は危にゃいからのう。よく覚えておくのじゃ」
優しく諭す長老の言葉に、お耳をぴくぴくさせながら、にょほほお~と真剣に、にゃんは話を聞いていた。
すると、そこに小さな何かが動いた。
「にゃっ?! にゃにゃ!!」
「どうした? あぁ~そいつは……」
チューチュウ!
「にゃに? ねぇキミ誰? なになに!?」
「うむ。――お前も雨宿りか……子ねずみじゃな」
ギクッ! 子ねずみは泣きそうな顔で自分よりもずっと大きな体の猫たち、ふたにゃんを見て硬直してしまった。
子ねずみさん
『どうか……いのちだけはお助けちゅう……うちゅうぅぅぅ』
「レオ隊長、ねずみさん震えてるのニャ、どしたのニャ?」
「んっ? そうだろうニャ」
そう言うと、レオはゆっくりと子ねずみさんに近づいて行った。
子ねずみさん
『あぁぁぁおでいかんさまぁ! おゆるしをー』
チュウ――チュゥゥ!!
「そうかそうか、雨宿りチュウチュウ―言っておるな、ニャッはッは~!」
「ねぇねぇ~、ちょおおろぉ♪ ねずみんもオトモダチ?」
それを聞いた長老レオは、一瞬迷いがあった。が、しかし。今はにゃんにゃんの、そういう心を伸ばしてやりたい、そう思い答えた。
「ニャむ……そうじゃな。今はオトモダチじゃ」
「ねずみしゃん……オトモダチ♪ でもちいちゃいにゃ、あそべないニャ!」
そうしてレオは、ウキウキしているにゃんにゃんの背中と頭を、雨水を飛ばすようにパタパタする。
そのままの心で育ってほしいと、雨が上がるまで撫で続けた。
◇
【ねこねこデータ】報告書。
番号よん (ルナ)
毛色 (白色にひとつ、黒の月模様)
性格 (品格のある姫様タイプ)
ねこレベル(公園のマドンナ)
防御スキル(長いしっぽ)
隠れスキル(みんなを応援する)
おうち (もふもふ公園滑り台の下)
◇
にゃんにゃん情報♪
☆本日の習得スキル(お話が聞けるお利口さん)
◇ニャンニャンニャン◇
次回、第五話「マタタビの魅惑」
にゃんにゃんの活躍を、乞うご期待♪ 笑
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