上 下
4 / 8

ねずみさんはオトモダチ?

しおりを挟む

 今日のお空は、何だか雲行きが怪しい。
 が、しかーし! 元気いっぱいキジトラ子猫のにゃんにゃんは、楽しそうに修行をしている。

 そこへ、なが~いしっぽを、ふん、ふん♪ と揺らしながら、ひとにゃんの猫が通りかかった。

「あら今日は、ぷく様はいないですのニャ?」

「にゃ? あぁ! ルナっちぃ♪ こんにゃちにゃん(こんにちは)」

 その、美しいにゃん声の女の子は、輝く白色短毛に、背中に黒の可愛い月模様がひとつだけある、公園のマドンナで、ルナ。

「こんにちはですわ。にゃんにゃん、今日も修行頑張っていますニャね~ところで、ぷく様は……」

「今日は、おちごとっ! て、言ってたニャ」

 ぷくは、正式に『にくきゅう戦士、ぷくぷく』になったのだが、もちろん本業は『大福やさんの看板猫』。今日はお店の催しがあるのだ。
 お客様を接客して早三年……経験豊富で空気の読める福太郎は「今日は、お店にいないといけにゃい」と、大福やさんの店主も顔負け?! しっかりお仕事をしているのだった。

「そうなのですのニャ、にゃふぅ~残念ですわぁ」

 今日はぷくが来ないと聞いたルナは、少しがっかりした様子だった。

「ルナっちぃ? 元気ニャイ? 僕とかけっこするニャ??」

「にゃにゃにゃ!! 大丈夫ですニャ。それではご機嫌ニャウ(ご機嫌よう)」

 少し慌てた様子で、なが~いしっぽを今度はプイップイしながら、いつもルナが過ごす場所、滑り台の下に戻っていった。

 ポツ……ポツポツ……ザァァァ!!

 公園のみんな
「にゃにゃ! 雨が降ってきたニャ」
「冷えるといけないのニャ、はやくはやくこの下に……」

 そんな中、まったく動こうとしない猫が、あそこにひとにゃん。

「ひゃっ! うにゃっは♪ にゃはー♪♪」

 実は、生まれて初めての“雨”を体験中のにゃんにゃん。濡れてしまうことよりも、落ちてくる雨粒が気に入ったようだ。

「これ、にゃんにゃん。こちらへ来にゃさい」

 それを見ていた長老レオが、珍しく声をかけた。
 さすがに、長老の言うことはちゃんと聞くお利口さん。レオが雨宿りをする公園の東屋に、にゃんにゃんは走ってきた。

「にゃはぁー! 楽しいかったのニャ」

「そうか。しかし、にゃんよ。水は危にゃいからのう。よく覚えておくのじゃ」

 優しく諭す長老の言葉に、お耳をぴくぴくさせながら、にょほほお~と真剣に、にゃんは話を聞いていた。

 すると、そこに小さな何かが動いた。

「にゃっ?! にゃにゃ!!」

「どうした? あぁ~そいつは……」

 チューチュウ!

「にゃに? ねぇキミ誰? なになに!?」

「うむ。――お前も雨宿りか……子ねずみじゃな」

 ギクッ! 子ねずみは泣きそうな顔で自分よりもずっと大きな体の猫たち、ふたにゃんを見て硬直してしまった。

 子ねずみさん
『どうか……いのちだけはお助けちゅう……うちゅうぅぅぅ』

「レオ隊長、ねずみさん震えてるのニャ、どしたのニャ?」

「んっ? そうだろうニャ」

 そう言うと、レオはゆっくりと子ねずみさんに近づいて行った。

 子ねずみさん
『あぁぁぁおでいかんさまぁ! おゆるしをー』

 チュウ――チュゥゥ!!

「そうかそうか、雨宿りチュウ―言っておるな、ニャッはッは~!」

「ねぇねぇ~、ちょおおろぉ♪ ねずみんもオトモダチ?」

 それを聞いた長老レオは、一瞬迷いがあった。が、しかし。今はにゃんにゃんの、を伸ばしてやりたい、そう思い答えた。

「ニャむ……そうじゃな。オトモダチじゃ」

「ねずみしゃん……オトモダチ♪ でもちいちゃいにゃ、あそべないニャ!」

 そうしてレオは、ウキウキしているにゃんにゃんの背中と頭を、雨水を飛ばすようにパタパタする。

 そのままの心で育ってほしいと、雨が上がるまで撫で続けた。



【ねこねこデータ】報告書。

 番号よん (ルナ)
 毛色   (白色にひとつ、黒の月模様)
 性格   (品格のある姫様タイプ)
 ねこレベル(公園のマドンナ)
 防御スキル(長いしっぽ)
 隠れスキル(みんなを応援する)

 おうち  (もふもふ公園滑り台の下)



 にゃんにゃん情報♪
 ☆本日の習得スキル(お話が聞けるお利口さん)


◇ニャンニャンニャン◇

 次回、第五話「マタタビの魅惑」

 にゃんにゃんの活躍を、乞うご期待♪ 笑
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

子猫マムの冒険

杉 孝子
児童書・童話
 ある小さな町に住む元気な子猫、マムは、家族や友達と幸せに暮らしていました。  しかしある日、偶然見つけた不思議な地図がマムの冒険心をかきたてます。地図には「星の谷」と呼ばれる場所が描かれており、そこには願いをかなえる「星のしずく」があると言われていました。  マムは友達のフクロウのグリムと一緒に、星の谷を目指す旅に出ることを決意します。

とべない鳥

赤鈴
絵本
これは、とある森にすむ2羽のとべない鳥の物語――。 挿絵(イラスト):まつりさん

クリスマスまでに帰らなきゃ! -トナカイの冒険-

藤井咲
児童書・童話
一年中夏のハロー島でバカンス中のトナカイのルー。 すると、漁師さんが慌てた様子で駆け寄ってきます。 なんとルーの雪島は既にクリスマスが目前だったのです! 10日間で自分の島に戻らなければならないルーは、無事雪島にたどり着けるのでしょうか? そして、クリスマスに間に合うのでしょうか? 旅の途中で様々な動物たちと出会い、ルーは世界の大きさを知ることになります。

屋根裏のコロンコ ~小さな居候の物語~

文月みつか
児童書・童話
 二足歩行、長いしっぽ、ビロードの毛。手先は器用、好奇心旺盛で、きれい好き。あなたの家にもいるかもしれない奇妙な生き物、ヤカクレ(家隠れ)。  ヤカクレとは、古くから民家などに住み着いて暮らしている人ならぬものである。小人か妖精か、ネズミなのかモグラなのかは判然としない。彼らは人間を模倣し、依存し、慎ましくのびやかに生きる。  新しい住み家を探していたヤカクレのコロンコは、理想的な家を見つけて大いに喜んだ。しかし、油断したために部屋の主の女の子に見つかってしまい…… 見た目はもふもふ、中身はカタブツのちいさな冒険!

三毛猫みー子の話

永山もか
児童書・童話
とある三毛猫:みー子の(本猫にとっては)長い一日と、(本猫にとっては)大冒険のお話です。 猫好きさんはもちろん、そうでない人にも楽しんでいただけたら幸いです。 ※カテゴリをとても迷いました。子ども向けに書いているわけではないけれど童話風味ではある、という感じです。 ※表紙は我が家の猫です。みー子のモデルになった部分もあったりなかったり。

すずめのチュンコ

こぐまじゅんこ
児童書・童話
おじいさんを亡くして、かなしんでいるおばあさんの家の庭に、 ある日、すずめがふらふらと落ちてきました。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

月星人と少年

ピコ
児童書・童話
都会育ちの吉太少年は、とある事情で田舎の祖母の家に預けられる。 その家の裏手、竹藪の中には破天荒に暮らす小さな小さな姫がいた。 「拾ってもらう作戦を立てるぞー!おー!」 「「「「おー!」」」」 吉太少年に拾ってもらいたい姫の話です。

処理中です...