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138.年歳

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 それは生きる長さだけでなく同種族でしか解らないことや使える魔力や能力にも、違いがある。

 ジャニスティやクォーツのように生まれながらにして持つ魔力や能力、そして色や質は違えど背中に羽(翼)を有し自由自在に広げることの出来る種族もいれば、見た目からすぐにどの種族なのかが分かる姿をした者もいる。

――他にも本来の姿や力の気配を消し、自分を隠すように生活している種族も存在するのだ。

(そうだわ。私は、レヴシャルメ種族の事も)

「もっと自分で学ばないと――」
 ボソッと呟いたアメジストは心の中で「これからもずっと、クォーツを守っていくためにも」と、意気込む。

 一番の問題は他種族同士での交流が極めて少ないこと。だから理解し合えない部分が多いのではないか? との考えに至る。

 そうしていつの間にか難しいことを真剣に考え始めたアメジストであったがすぐに、察する。それはこの問題が奥深く今の自分では抱えきれない程、壮大な話だということに気付いたのだった。

 では今後どうすれば解決してゆけるだろうかと思い悩んでいたが「これは簡単にはいかない、計り知れない問題なのだ」と改めて、自身の未熟さを思い知らされた。

(ジャニスもだけれど。クォーツは今、何歳くらいなのかしら。回復してから背丈や髪が伸びて、成長したような気もするのだけど)

 ふと、そんなことを考えながらアメジストは隣で楽しそうに笑うクォーツを、静かに見つめる。

 するとその目線にクォーツはフワッと抱きつき、話しかけてきた。
「んなふ? お姉様、どうしたのですか?」
「え? いいえ、何でもないのよ。ただ――」
(私は本当に分からないことや、知らないことばかりで)

「うにぃーのな?」
「うっふふ、ただもっと、たくさんお勉強しなきゃなぁって思ったのよ」
「お勉強ですの?! 楽しいのです!!」

 馬車の中にはジャニスティとアメジストの二人と自分しかいないと安心しきっているクォーツはありのまま、のびのびとレヴ族の言葉で話していた。

「うにゅあ! 私もお勉強したいのです」
「え? まぁ! お利口さんだわ。そうねぇ」
 視線を感じたアメジストはジャニスティと目が合い、微笑み合う。そして頬を赤らめながらクォーツの髪を撫でその思いに、答えた。

「クォーツ。今夜お部屋で絵本を読みましょうか」
「えーん、ほっ?」
「うふふ、そう『えほん』。とても楽しいのよ」
「ふぁ~♪」

 新しいことを覚えられると分かったクォーツは両手を挙げ、喜んだ。
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