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49.義務 ✧

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 クォーツ、年齢不詳。
 見た目幼く背も伸びたとはいえ低め。十歳くらいに見えるが、今のところ不明である。

 回復してからの姿は健康的なもちもちプニプニの白い肌にふわふわの純白の羽を持ち、茶水晶《スモーキークォーツ》に近い色の瞳で光によって輝きを変える。

 そして――長く美しい髪は空色(天色)に変化していた。



 昨夜の出来事。今にも息絶えてしまいそうな眠るレヴシャルメの子(後にクォーツ)へ承認を求めた、ジャニスティの言葉は意味深であった。

――『許せ、こうするしか方法がないのだ』

 その意味を表すかのようにクォーツの髪の色は、ジャニスティと同じような色に変化していたのだった。

 ガチャ、キィー……。

「んぱぁ!!」

「おぉ! クォーツ、あぁ戻って来たよ。すぐに、だっただろう?」

 ジャニスティが部屋へ無事戻って来た事が心底嬉しいのか、クォーツは満面の笑みで何度も何度も頷く。

「元気も、やる気もあるようだな。よし!」

 ジャニスティはクォーツの小さな身体を軽々と持ち上げると「さて、明日あすまでに何とかしなければな」と、笑いかけた。

「キャッキャ~うぅ~にゃな」

 高く持ち上げられ喜びが溢れるクォーツの瞳はキラリと光った。その一瞬をジャニスティは見逃さない。

(レヴシャルメ種族の特性だろうか?)

 感情の喜怒哀楽によって、瞳の光具合が変化するのではないか? そう推測し始めていた。

「嬉しい、のか?」

「んきゃう~♪」
――キラキラッ。

(やはり……。レヴ族の力を壊さずに、助ける事が出来て良かった)

 しかしそのクォーツの力はまだ欠片に過ぎない。これから『人の言葉』を教育し、過ごし方を指導する。どこまでレヴの能力を残せたか。

「話は、それからだな……」

 少し曇った表情を見せるジャニスティ。

 すかさずクォーツがいたずらを始めた。元気を出して! そう、ジャニスティには聞こえてくるのであった。

「んっきゃ~ん! はぅッ」

「ははっ。分かった、分かったよ、クォーツ。これから一緒に頑張っていこう。私には君を最後まで面倒を見る――義務があるのだから」

 ジャニスティの中で今、自分で言った言葉に少し反する気持ちが生まれていた。「義務がある」、いや義務ではない、と。

(私が、クォーツを大切だと思えるのは……命を助けたからだろうか?)



 美しく気高きレヴシャルメ種族の羽。それを復元するためにジャニスティが使った魔法は、一部では禁忌タブーとされる方法であった。

 その代償は恐らく、これから浮かび上がってくるのである。
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