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6.種族 ✧

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 ジャニスティ、年齢不詳。
 若く見えるが三十代後半と思われる。
 綺麗な天色あまいろの髪をしており、短くしているが少し前髪が長めでお洒落な印象だ。背も高くスタイル抜群、アメジストの良き理解者である。



「では私は、一度部屋を出て医者の手配を。念の為、鍵を掛けます」

 ジャニスティが部屋の扉へ向かいながら、声をかける。

「そうね、そうしてちょうだい」

 アメジストも返事をしながら、着替えさせるために急いで助けた子の濡れた服のボタンを外し始めた。

(急がないと体温が……早く体を温めてあげなきゃ!)

 アメジストの動きを確認したジャニスティは、部屋を出る扉に手を掛けようとしたその時、その足をとどめさせる震えた声が聞こえてきた。

「ま、待ってジャニス、ちょっとお願い待って!!」

「アメジスト様! いかがなさいましたか?!」

 扉から手を離し急いでソファベッドのある部屋へ戻る。嫌な予感が頭をぎる。

(まさか、もう手遅れだったか)

「お嬢様……」

「み、見て。この子の背中」

 最悪の事態を考えながら、アメジストの元へ戻ったジャニスティは驚愕きょうがくした。

「なんと、これは……」

――羽を持つ夢の種族『レヴシャルメ』。

「ジャニス、それってまさか」

「はい、この子の状態から恐らく先月襲われたというレヴ一族いちぞくの生き残りかと」

「――!!」

 アメジストは手で口を抑え、驚きで声が出そうになるのを必死で落ち着かせた。

 レヴシャルメ種族には、様々な力が隠されていると言われる。元々もともと人との交流をあまり好まないレヴ族は、いつの間にかその見た目や根拠のない想像がひとり歩きし、他の種族の一部では恐れられる存在。

 そしてこの街にもレヴの一族が住む屋敷があった。が、周囲の人たちとの関係は良好で、皆穏やかに仲良く過ごしていたという。

 しかし先月の暮れ、レヴの屋敷が何者かに襲われた。そしてなぜかその日から、屋敷からは人気ひとけがなくなり、レヴ一族は忽然こつぜんと姿を消した。暗く静かになった屋敷は日中でも不気味に感じられる。日が経つにつれ、街にはが広まっていく。

――その、とは。

 何者かが金品だけでなく『レヴシャルメという美しい種族そのものを欲しがり、どこかへ連れて行った』というのだ。その後、捜査が入った屋敷内には羽根や血痕が残されていた事から噂はますます真実味を帯びた、痛ましい事件であった。

 情報を聞いていたジャニスティとアメジストは、このレヴ族の子は事件に巻き込まれたのだろうと察したのだった。
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