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第三章
一年前②
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城の構造は当然のことながら全く分からない。しかし廊下を歩く者達に尋ねて俺達のことがオーウェンに気取られても困る。虱潰しに探し歩く羽目になった。
「あいつは文官だ。確実に城内にいるはず──っ」
話しながら早足に角を曲がったところで人とぶつかってしまった。
「申し訳ない。お怪我は──」
「申し訳ございません。こちらの前方不注意で──」
ぶつかった相手と同時に声が止まる。
隣にいたヘクターがわなわなと震える指を俺がぶつかった相手へと突き付けた。
「オーウェ──っ!!」
ン、とヘクターが言い切る前に、探し人は体を反転させて脱兎の如く逃げ出していた。
一瞬で遠のいた背中に、積もりに積もった苛立ちはついに爆発したのだった。
「……っこの野郎、待ちやがれ!!」
「誰のせいで俺達がどれだけ迷惑被ったと思ってるんだ!!」
「うるさい! 俺はもうクローバーには帰らないって決めたんだ!!」
走りながら顔だけ向けて反論する幼馴染に、同じく怒りの全速力のヘクターが迫る。
しかしやはり逃げるオーウェンは必死なのだろう。体力バカのヘクターよりもやや速いようだ。二人の距離が縮まらない。
スタミナ勝負になればヘクターの圧勝だろうが……それまで付き合うのは俺が疲れるから御免被りたい。
──まだあれは効くだろうか。
「……オーウェン! サリバン先生が中庭で魔法の実習やってんぞ!」
結論から言って、効果は絶大だった。
「サリバン先生はクローバーでも一二を争う土魔法の名手だ。その手で操られる土魔法により作り出されたゴーレムは先生の指先一つで自在に操ることが……っ中庭ってどこの中庭だ! ここから見えるか!?」
「見えるわけねぇだろ……ここ、スペードだぞ……」
目を輝かせて『スペードの城』の窓から外を覗き込む幼馴染を呆れ半分に睨む。隣ではヘクターが「お前は卒業しても変わらんな……」と嘆息していた。
アカデミー時代の魔法の先生の名前はオーウェンの足を止めるのに十分な効果を発揮したのだった。
「スペード? …………っ!? 騙したな!?」
「騙される方が悪いわ。この魔法バカ」
その通りとばかりに退路をヘクターが断ち、俺はオーウェンの目の前に仁王立ちした。
「クローバーに帰るぞ。お前の兄貴が、弟がいなけりゃ仕事を放棄するって駄々こねてんだ」
小憎たらしい弟君は、ふんと顔を背けた。
「断る。俺はもうスペードの5だ。それこそ仕事を放棄して国に帰るなんて身勝手が許される立場じゃない」
「スペードのキングは連れ帰っていいっつったぞ。兄貴とやり合うくらいならお前を手放した方が、スペードも楽だって判断したんじゃねぇのか」
スペードのキングは『オーウェンの意思を尊重する』と仰せだったが、それは伏せる。この頑固な幼馴染を頷かせればこっちのもんだ。
「……クイーン位なら、アルバートはお前に譲りたいっていつも言ってんぞ」
これはほとんど切り札と言っていい情報だったが、オーウェンは一瞬言葉を詰まらせつつも頷かなかった。
「クローバーのクイーンにはアルバートの方が相応しいって俺も思ってる。それが原因で国を離れたわけじゃないよ」
「ならなんで? 理由を言えよ、理由を。ダチにも言えねぇってのか?」
唇を固く引き結んだ表情に、それなりに長い付き合いで悟る。
こいつは、国から逃げた理由を誰にも話すつもりがないらしい。
「……とにかく、俺はクローバーに戻るつもりはないし、兄上のことはクローバーの問題だろう。俺にはもう関係ない。俺は、スペードの5だ」
俺を押し除けて包囲から抜け出たオーウェンは、これ以上の話し合いを拒絶する意思もあらわにスタスタと歩いて行ってしまう。
ただ足音だけが廊下に響く。その背中へと掛ける言葉が思い当たらず、言い様のない寂寥感が胸中を支配した時、隣から厳しい声が上がった。
「待て」
ヘクターの制止の声に、オーウェンは足を止めて振り返った。眉を寄せていた顔はヘクターを見て僅かな焦りへと変わったように見える。
「俺達はお前を連れ戻せとキングから命を受けてここに参った。その意味はクローバーで生まれ育ったお前ならよく分かるだろう」
「おい……」
ヘクターの意図がわかった俺は、無意識にヘクターに責めるような声をかけてしまった。そんな俺を見下ろすヘクターの視線は厳しく、まるで真っ直ぐに心臓を射抜かれたようだった。
「お前も友情ごっこはそこまでにしておけ。俺達はクローバーの8と9だ。キングからの命令を遂行する義務がある。違うか」
「……そうだな。違わない。俺達は力尽くでも、クレーヴェル卿を国に連れ帰らなきゃならねぇ」
逃げた理由を教えてくれたなら、それを解決することに協力は惜しまないつもりだったが、言いたくないのなら俺にできることは何もない。
先程スペードのキングに対して伝えたことに一つ嘘がある。
『弟君の優秀さはアカデミー在学中も抜きんでておいででしたが』という部分だ。
座学においてはクローバーのクイーン、アルバートが。
魔法においては俺が。
剣においてはこのヘクターが。
全てオーウェンを上回っていた。
最も、アルバートは魔法が苦手で俺は剣が不得手。ヘクターは座学が壊滅的な男であった中でオーウェンはずっと俺達の二番手の地位を維持していたのだから、優秀であるとの言葉は嘘ではないが。
しかしこの状況ではオーウェンに勝ち目などない。ヘクターを前衛に、俺の頭の中にはいくつものオーウェンを確保する手段が浮かんでいる。
「悪いな、オーウェン。任務が最優先だ」
この言葉を皮切りにオーウェンはまた身を翻して駆け出していく。
しかしもう遅い。先程は追いかけて捕まえることを目的としていたヘクターが、腰に下げた剣へと手を伸ばした。
キンッという高い音が一度鳴り、驚愕を含む野太い悲鳴がした。
「……随分とご立派な身なりの曲者ですが、拘束して宜しかったのでしょうか。オーウェン様」
戦闘態勢に入っていたヘクターを床に組み敷き、ガッチリと拘束していたのは細い体付きの女だった。
一般兵よりは多少装飾の施された紺の兵士服に身を包んだ女は、空色の瞳に困惑を映してオーウェンに問い掛けた。
「襲われておいで、でした……よね?」
恐らくは拘束してからヘクターの身なりが目に入ったのだろう。やっちゃったかなーという妙に気の抜けた焦りが、その言葉の端々から伝わってくる。
だがヘクターは未だ女の腕から抜け出せていない。
身を捻り、己を一瞬で拘束した女を睨む表情には汗が滲んでいる。
ヘクターはクローバーの8で、国きっての武闘派である。ジャックや10には敵わないものの、剣が不得手な俺の下にいようとも国で三番目に強い男であるという証が『8』の位なのだ。
そのヘクターを、剣に手をかけて戦闘態勢に入っていたにもかかわらず一瞬で拘束するなど、我が国のジャックにも出来るかは分からない。
スペードのキングもまた五国きっての武闘派のキングで、スペードの位持ち達は全て自らの身は優に守れるだけの戦闘能力を有している、らしい。
間違いなくスペードの位持ちの女性だと直感した。
ジャックは可愛らしい見た目ながらも男だそうだし、この女性が男であるわけがないのは胸元を見ればはっきりしている。
スペードの位持ちの女性は確か二人。
スペードの3、パンジー殿。そしてスペードの2、フロン侯爵家のメイベル・アナスタシア嬢の二人。
物腰や口調から言えばメイベル嬢のように見えるが、それにしてはこの女性の浮かべる表情は妙な気安さを漂わせている。
「エルザ殿!」
──エルザ?
オーウェンが叫んだ名に、思わず首を傾げた。
メイベル嬢の名前にエルザなど入っていただろうか。
スペードでも有数の資産家であるフロン侯爵家には少々変わった習わしがあるらしい。
それは、嫡子には歴代の優れた方から名前を一つずつもらって付ける、というものだ。
歌がとても上手な方だった、とか。
とても聡明で思慮深い素晴らしい女性であった、とか。
大層美しい容姿をしていた、とか。
そういった方達から名前を一つずつもらったことにより、メイベル嬢の正式な名はメイベル・アナスタシア・クラウディア・メイソン……なんだったか、あと三つ四つは女性名が続く。その中にエルザという名前が入っていた……か?
首をひねる俺を他所に、オーウェンは慌てた様子ですぐ様エルザと呼んだ女性の元へと駆け戻ってきた。
「申し訳ございません。ご迷惑をお掛けしてしまって」
「それはいいのですけど……この方は曲者に間違いありませんよね? 私、まさかお客様に対してガッチリ関節決めたりしてませんよね?」
どうやらそればかりが気になるらしく、女性はヘクターを離さないままオーウェンに詰め寄っている。ヘクターも逃げようと踠いているが、手も足も出ない様子で唸っていた。
そんな幼馴染を前に、オーウェンの僅かな良心が「友人です……」と女性に告げた。
「あいつは文官だ。確実に城内にいるはず──っ」
話しながら早足に角を曲がったところで人とぶつかってしまった。
「申し訳ない。お怪我は──」
「申し訳ございません。こちらの前方不注意で──」
ぶつかった相手と同時に声が止まる。
隣にいたヘクターがわなわなと震える指を俺がぶつかった相手へと突き付けた。
「オーウェ──っ!!」
ン、とヘクターが言い切る前に、探し人は体を反転させて脱兎の如く逃げ出していた。
一瞬で遠のいた背中に、積もりに積もった苛立ちはついに爆発したのだった。
「……っこの野郎、待ちやがれ!!」
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──まだあれは効くだろうか。
「……オーウェン! サリバン先生が中庭で魔法の実習やってんぞ!」
結論から言って、効果は絶大だった。
「サリバン先生はクローバーでも一二を争う土魔法の名手だ。その手で操られる土魔法により作り出されたゴーレムは先生の指先一つで自在に操ることが……っ中庭ってどこの中庭だ! ここから見えるか!?」
「見えるわけねぇだろ……ここ、スペードだぞ……」
目を輝かせて『スペードの城』の窓から外を覗き込む幼馴染を呆れ半分に睨む。隣ではヘクターが「お前は卒業しても変わらんな……」と嘆息していた。
アカデミー時代の魔法の先生の名前はオーウェンの足を止めるのに十分な効果を発揮したのだった。
「スペード? …………っ!? 騙したな!?」
「騙される方が悪いわ。この魔法バカ」
その通りとばかりに退路をヘクターが断ち、俺はオーウェンの目の前に仁王立ちした。
「クローバーに帰るぞ。お前の兄貴が、弟がいなけりゃ仕事を放棄するって駄々こねてんだ」
小憎たらしい弟君は、ふんと顔を背けた。
「断る。俺はもうスペードの5だ。それこそ仕事を放棄して国に帰るなんて身勝手が許される立場じゃない」
「スペードのキングは連れ帰っていいっつったぞ。兄貴とやり合うくらいならお前を手放した方が、スペードも楽だって判断したんじゃねぇのか」
スペードのキングは『オーウェンの意思を尊重する』と仰せだったが、それは伏せる。この頑固な幼馴染を頷かせればこっちのもんだ。
「……クイーン位なら、アルバートはお前に譲りたいっていつも言ってんぞ」
これはほとんど切り札と言っていい情報だったが、オーウェンは一瞬言葉を詰まらせつつも頷かなかった。
「クローバーのクイーンにはアルバートの方が相応しいって俺も思ってる。それが原因で国を離れたわけじゃないよ」
「ならなんで? 理由を言えよ、理由を。ダチにも言えねぇってのか?」
唇を固く引き結んだ表情に、それなりに長い付き合いで悟る。
こいつは、国から逃げた理由を誰にも話すつもりがないらしい。
「……とにかく、俺はクローバーに戻るつもりはないし、兄上のことはクローバーの問題だろう。俺にはもう関係ない。俺は、スペードの5だ」
俺を押し除けて包囲から抜け出たオーウェンは、これ以上の話し合いを拒絶する意思もあらわにスタスタと歩いて行ってしまう。
ただ足音だけが廊下に響く。その背中へと掛ける言葉が思い当たらず、言い様のない寂寥感が胸中を支配した時、隣から厳しい声が上がった。
「待て」
ヘクターの制止の声に、オーウェンは足を止めて振り返った。眉を寄せていた顔はヘクターを見て僅かな焦りへと変わったように見える。
「俺達はお前を連れ戻せとキングから命を受けてここに参った。その意味はクローバーで生まれ育ったお前ならよく分かるだろう」
「おい……」
ヘクターの意図がわかった俺は、無意識にヘクターに責めるような声をかけてしまった。そんな俺を見下ろすヘクターの視線は厳しく、まるで真っ直ぐに心臓を射抜かれたようだった。
「お前も友情ごっこはそこまでにしておけ。俺達はクローバーの8と9だ。キングからの命令を遂行する義務がある。違うか」
「……そうだな。違わない。俺達は力尽くでも、クレーヴェル卿を国に連れ帰らなきゃならねぇ」
逃げた理由を教えてくれたなら、それを解決することに協力は惜しまないつもりだったが、言いたくないのなら俺にできることは何もない。
先程スペードのキングに対して伝えたことに一つ嘘がある。
『弟君の優秀さはアカデミー在学中も抜きんでておいででしたが』という部分だ。
座学においてはクローバーのクイーン、アルバートが。
魔法においては俺が。
剣においてはこのヘクターが。
全てオーウェンを上回っていた。
最も、アルバートは魔法が苦手で俺は剣が不得手。ヘクターは座学が壊滅的な男であった中でオーウェンはずっと俺達の二番手の地位を維持していたのだから、優秀であるとの言葉は嘘ではないが。
しかしこの状況ではオーウェンに勝ち目などない。ヘクターを前衛に、俺の頭の中にはいくつものオーウェンを確保する手段が浮かんでいる。
「悪いな、オーウェン。任務が最優先だ」
この言葉を皮切りにオーウェンはまた身を翻して駆け出していく。
しかしもう遅い。先程は追いかけて捕まえることを目的としていたヘクターが、腰に下げた剣へと手を伸ばした。
キンッという高い音が一度鳴り、驚愕を含む野太い悲鳴がした。
「……随分とご立派な身なりの曲者ですが、拘束して宜しかったのでしょうか。オーウェン様」
戦闘態勢に入っていたヘクターを床に組み敷き、ガッチリと拘束していたのは細い体付きの女だった。
一般兵よりは多少装飾の施された紺の兵士服に身を包んだ女は、空色の瞳に困惑を映してオーウェンに問い掛けた。
「襲われておいで、でした……よね?」
恐らくは拘束してからヘクターの身なりが目に入ったのだろう。やっちゃったかなーという妙に気の抜けた焦りが、その言葉の端々から伝わってくる。
だがヘクターは未だ女の腕から抜け出せていない。
身を捻り、己を一瞬で拘束した女を睨む表情には汗が滲んでいる。
ヘクターはクローバーの8で、国きっての武闘派である。ジャックや10には敵わないものの、剣が不得手な俺の下にいようとも国で三番目に強い男であるという証が『8』の位なのだ。
そのヘクターを、剣に手をかけて戦闘態勢に入っていたにもかかわらず一瞬で拘束するなど、我が国のジャックにも出来るかは分からない。
スペードのキングもまた五国きっての武闘派のキングで、スペードの位持ち達は全て自らの身は優に守れるだけの戦闘能力を有している、らしい。
間違いなくスペードの位持ちの女性だと直感した。
ジャックは可愛らしい見た目ながらも男だそうだし、この女性が男であるわけがないのは胸元を見ればはっきりしている。
スペードの位持ちの女性は確か二人。
スペードの3、パンジー殿。そしてスペードの2、フロン侯爵家のメイベル・アナスタシア嬢の二人。
物腰や口調から言えばメイベル嬢のように見えるが、それにしてはこの女性の浮かべる表情は妙な気安さを漂わせている。
「エルザ殿!」
──エルザ?
オーウェンが叫んだ名に、思わず首を傾げた。
メイベル嬢の名前にエルザなど入っていただろうか。
スペードでも有数の資産家であるフロン侯爵家には少々変わった習わしがあるらしい。
それは、嫡子には歴代の優れた方から名前を一つずつもらって付ける、というものだ。
歌がとても上手な方だった、とか。
とても聡明で思慮深い素晴らしい女性であった、とか。
大層美しい容姿をしていた、とか。
そういった方達から名前を一つずつもらったことにより、メイベル嬢の正式な名はメイベル・アナスタシア・クラウディア・メイソン……なんだったか、あと三つ四つは女性名が続く。その中にエルザという名前が入っていた……か?
首をひねる俺を他所に、オーウェンは慌てた様子ですぐ様エルザと呼んだ女性の元へと駆け戻ってきた。
「申し訳ございません。ご迷惑をお掛けしてしまって」
「それはいいのですけど……この方は曲者に間違いありませんよね? 私、まさかお客様に対してガッチリ関節決めたりしてませんよね?」
どうやらそればかりが気になるらしく、女性はヘクターを離さないままオーウェンに詰め寄っている。ヘクターも逃げようと踠いているが、手も足も出ない様子で唸っていた。
そんな幼馴染を前に、オーウェンの僅かな良心が「友人です……」と女性に告げた。
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