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第二章
63 オーウェン視点
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作業を終えた頃、長いまつ毛がふるふると揺れて、エルザは目を覚ました。寝ぼけ眼はすぐに丸く見開かれ、次いで動かそうとした腕の違和感に眉を顰めた。
「エルザ、起きまし──」
たか。と最後まで口にすることは出来なかった。
何が起きたのかすらわからなかった。ただ、顔には柔らかく温かなものが触れ、これがベッドであると時間が経ってから分かった。
なんとか身動いで上を見上げれば、いつも温かい光を讃えていたはずの瞳は氷のような冷たさを持って、俺を見下ろしていた。
耳のすぐ傍で、すん、と鼻で息を吸うような音がした。
「……なんだ。本物なのね。ねぇ、これ。どうなってるの?」
いつもの優しい調子になったエルザが、するすると俺の体から降りた。
背中の結び目をこちらに見せながら聞かれ、なんとか取り繕うように咳払いした。
「本物に決まっているでしょう……。おはようございます。それは、俺がやりました」
「や、やりましたって……」
先ほどのことなどなかったようにわずかに頬を赤らめたこの人が、スペードの10であると再認識させられた。
寝ている間に後ろ手に拘束されていても。そして体術にさほど慣れていない俺が相手であったことを差し引いても。
この人は大の男を簡単に組み敷き、数秒にも満たない時間で優位に立ったのだ。おそらく俺が偽物だと判断すれば、即座に手の拘束を解くよう要求するために、水が使われていたことだろう。……今からでもお願いすればしていただけるか? いや、今はそんなことをしている場合ではない。
ダイヤでの騒動において、エルザは被害者だ。
たとえ、話の通じないバカ女に付いてダイヤの城まで行ってしまった上、地下牢にのこのこと放り込まれて食事を抜かれ、少年兵士二人を絆し、利き手に怪我をして、スペードの位を持っていながら大人しく闘技場に闘士として出場した挙句、対戦相手の大虎を下し、あまつさえその大虎を飼いたいなどと言い出したとて。エルザは被害者だ。
少年兵士の頭をニヤニヤと撫でて、大虎との戦闘にワクワクしながら堂々とした足取りで闘技場の広場に出てきたとしても。
エルザは被害者だ。間違いなく。
地下牢に入っていると知ったときは、さすがに小言の一つでも言ってやらねばと思っていたが、ダイヤの10のあまりの狼藉を知った後では、むしろ災難でしたねと頭をなでて労うべきだと思った。
エルザが泣くまでは。
地下に会いに行ったとき、エルザは眠たい目をして疲れていた様子だった。なのに、俺はキングに抗議するでもなく、恋人を置いて、地下を去った。その結果が、あの涙だ。
置いていかなければ。少なくとも、一緒に地下で寝泊まりしていれば。あの女の愚かな凶刃から、エルザを守ってあげられたのに。
エルザは、どうして城にいなかったのかと言った。なぜ会いに来なかったのか、とも。
その通りだ。どうして俺は、たった一度会いに行っただけで、姿を見ただけで安心して。キングと同じだ。俺もエルザの気持ちを後回しにした。
だから、俺は。
「エルザ。もしもダイヤの地下で、このように拘束されていればどうなっていたと思います」
心を鬼にして。
「目の前でザックを殺され、その罪を着せられて、処刑されていたかもしれない。とは思いませんか」
二度とエルザが、俺のいないところで辛い目に合わないように。
「それに。あの頭のおかしい女が、不埒なことを考えないとも限らなかった」
泣いたりなどしないように。
「そうなってから後悔しても遅いんです。──あんたは、選択肢を間違えた」
嫌われてでも、俺が叱る。それが、補佐であり恋人でもある俺の役目だ。
最後まで静かに聞いていたエルザは、一瞬目を伏せて「不埒って……例えば?」と聞いてきた。
じっと瞳を見返すも本当にわかっていないらしく、叱られた子犬のようなしょんぼりとした上目遣いが返ってくる。
細い肩を軽く押すだけで、簡単に先ほどとは立場が逆転した。
間髪入れず唇を合わせる。そうするとこの人はいつも息ができなくて頭を離そうとするが、今日はベッドの上だ。逃げられるわけがない。いつもなら俺から離れているが。
唇を離さないまま、すっかり知り尽くした恋人の弱いところを刺激する。組み敷いた体が跳ねて、唇を離そうと足掻き始めた恋人を押さえつけ続けて。
ようやく離した頃には、訓練では決して乱れない息がすっかり上がり、空色の瞳がこぼれそうなほど潤んでいた。この人は、本当に鼻で息をするのが下手だな。
「こういったことを、俺以外の男にされていたかもしれませんね」
もしもそれが現実となっていれば、ダイヤの国は焦土と化しただろうが。
「そうなっていたら、どうするつもりだったんです」
後悔するでは済まないことだ。
甘い余韻など微塵もなく、ほとんどにらみつけるように問いかければ、荒い息に途切れ途切れの言葉が返ってきた。
「ど……って……こ、殺す、かしら……?」
…………。
思わず恋人の横に突っ伏した。
「そういうことじゃない! ……ああ、いや合っている……といえば合っているが……!」
俺の伝えたいことはそこじゃない。
だが、先ほど見事に組み敷かれた者からすれば、それは当然可能だろうなとしか思えなかった。
そもそもこの人の魔法は左手の補助を必要としていない。
もしも簀巻きにされたとしても、そして目を隠されたとしても。近くにいる人間をすべて無力化──殺してしまうことが、この人には可能なのだ。
俺の恋人は、五つの国で一番の水魔法の使い手なのだから。
だからなのだろう。この人が自らへの暴挙に対して寛大なのは。完全に貶められるわけではないからと、ゆるりと構えてしまうのは。
冗談じゃない。俺はもう、このような思いはたくさんだ。
「とにかく。今日、エルザは休みにしてありますから、一日そのままで反省すること! わかりましたか?」
「えっ、そ、そのままって……このままってこと!?」
起き上がって人差し指を突き立て宣言するが、エルザは言葉も怪しく腕を外そうと暴れていて、反省の色は皆無なようだ。
「あなたはじっとしているのが苦手でしょう。いい罰になりますよ。わかったら大人しくしていてください。いいですね」
力を込めて命じ、慌てたエルザが言い訳を口にするのを背にしてさっさと二人の寝室を後にした。
話していれば、絆されて拘束を外してしまいそうだ。さっさと逃げるに限る。
そうしてさっさと逃げだして、執務室でさっさと書類を片付けた。
……あの人がいないと捗るという事実から目を背けて。
出来た書類をグレンに渡すと「オーウェン様。ここは先日変更になっていたはずですが、このままでよろしいのでしょうか」と恐る恐るといった様子で指摘された。
確認すれば確かにグレンの言うとおりだった。
あの人が連れ帰ったグレンとザックは、兵士ながら事務仕事も教えればまるでスポンジのようにすぐに覚えてしまい、あの人の人を見る目というのは素晴らしいものがあるなと感心する毎日だ。
「見つけてくれてよかった。いつもは一人でチェックしていたから、二人が目を通してくれて助かるよ」
「え? エルザ様はチェックは……あっ。いえ、なんでもないです!」
何かを察したらしい。本当に優秀で助かっている。
ふと時計に目を向けたグレンが「ザックのやつ、遅いですね」と呟いた。
ザックには書類の提出を頼んでいたのだが、確かに戻るのが遅い。
「そういえばそうだな。道にでも迷ったかな?」
「あいつは物覚えがいいですし、迷う道でもないと思うのですが……見てきましょうか?」
「ああ」
頼んだ。と言おうとして、ドアがノックされた。
ザックが戻ったのかと思ったがどうにも叩き方が違うような違和感を覚え、入室を促す。
「よう」
入ってきたのはレグサスだった。片手をあげて挨拶する男に、「こんにちは。何か御用ですか?」と丁寧に問いかける。すっかりこの男への苦手意識や嫌悪感はなくなっている。
だがレグサスはどうにも歯切れが悪く「どうしたもんかな」と首をひねった。
「なんですか。用があるなら早く言ってください。遠慮する間柄でもないでしょう」
このような言葉が出るほどには、この男への心証もかなり変わっていた。
「……そこまで言うなら言うけどよ……怒んなよ……?」
最後まで苦い顔を浮かべ続けた男は俺の耳元に顔を寄せ──。
「あ……のっ……馬鹿がっ!!!」
レグサスから言われた言葉に、あらゆる罵詈雑言が頭の中に浮かび、最も言い慣れた且つ的確な罵倒を叫んで執務室を飛び出す羽目になった。
「エルザ、起きまし──」
たか。と最後まで口にすることは出来なかった。
何が起きたのかすらわからなかった。ただ、顔には柔らかく温かなものが触れ、これがベッドであると時間が経ってから分かった。
なんとか身動いで上を見上げれば、いつも温かい光を讃えていたはずの瞳は氷のような冷たさを持って、俺を見下ろしていた。
耳のすぐ傍で、すん、と鼻で息を吸うような音がした。
「……なんだ。本物なのね。ねぇ、これ。どうなってるの?」
いつもの優しい調子になったエルザが、するすると俺の体から降りた。
背中の結び目をこちらに見せながら聞かれ、なんとか取り繕うように咳払いした。
「本物に決まっているでしょう……。おはようございます。それは、俺がやりました」
「や、やりましたって……」
先ほどのことなどなかったようにわずかに頬を赤らめたこの人が、スペードの10であると再認識させられた。
寝ている間に後ろ手に拘束されていても。そして体術にさほど慣れていない俺が相手であったことを差し引いても。
この人は大の男を簡単に組み敷き、数秒にも満たない時間で優位に立ったのだ。おそらく俺が偽物だと判断すれば、即座に手の拘束を解くよう要求するために、水が使われていたことだろう。……今からでもお願いすればしていただけるか? いや、今はそんなことをしている場合ではない。
ダイヤでの騒動において、エルザは被害者だ。
たとえ、話の通じないバカ女に付いてダイヤの城まで行ってしまった上、地下牢にのこのこと放り込まれて食事を抜かれ、少年兵士二人を絆し、利き手に怪我をして、スペードの位を持っていながら大人しく闘技場に闘士として出場した挙句、対戦相手の大虎を下し、あまつさえその大虎を飼いたいなどと言い出したとて。エルザは被害者だ。
少年兵士の頭をニヤニヤと撫でて、大虎との戦闘にワクワクしながら堂々とした足取りで闘技場の広場に出てきたとしても。
エルザは被害者だ。間違いなく。
地下牢に入っていると知ったときは、さすがに小言の一つでも言ってやらねばと思っていたが、ダイヤの10のあまりの狼藉を知った後では、むしろ災難でしたねと頭をなでて労うべきだと思った。
エルザが泣くまでは。
地下に会いに行ったとき、エルザは眠たい目をして疲れていた様子だった。なのに、俺はキングに抗議するでもなく、恋人を置いて、地下を去った。その結果が、あの涙だ。
置いていかなければ。少なくとも、一緒に地下で寝泊まりしていれば。あの女の愚かな凶刃から、エルザを守ってあげられたのに。
エルザは、どうして城にいなかったのかと言った。なぜ会いに来なかったのか、とも。
その通りだ。どうして俺は、たった一度会いに行っただけで、姿を見ただけで安心して。キングと同じだ。俺もエルザの気持ちを後回しにした。
だから、俺は。
「エルザ。もしもダイヤの地下で、このように拘束されていればどうなっていたと思います」
心を鬼にして。
「目の前でザックを殺され、その罪を着せられて、処刑されていたかもしれない。とは思いませんか」
二度とエルザが、俺のいないところで辛い目に合わないように。
「それに。あの頭のおかしい女が、不埒なことを考えないとも限らなかった」
泣いたりなどしないように。
「そうなってから後悔しても遅いんです。──あんたは、選択肢を間違えた」
嫌われてでも、俺が叱る。それが、補佐であり恋人でもある俺の役目だ。
最後まで静かに聞いていたエルザは、一瞬目を伏せて「不埒って……例えば?」と聞いてきた。
じっと瞳を見返すも本当にわかっていないらしく、叱られた子犬のようなしょんぼりとした上目遣いが返ってくる。
細い肩を軽く押すだけで、簡単に先ほどとは立場が逆転した。
間髪入れず唇を合わせる。そうするとこの人はいつも息ができなくて頭を離そうとするが、今日はベッドの上だ。逃げられるわけがない。いつもなら俺から離れているが。
唇を離さないまま、すっかり知り尽くした恋人の弱いところを刺激する。組み敷いた体が跳ねて、唇を離そうと足掻き始めた恋人を押さえつけ続けて。
ようやく離した頃には、訓練では決して乱れない息がすっかり上がり、空色の瞳がこぼれそうなほど潤んでいた。この人は、本当に鼻で息をするのが下手だな。
「こういったことを、俺以外の男にされていたかもしれませんね」
もしもそれが現実となっていれば、ダイヤの国は焦土と化しただろうが。
「そうなっていたら、どうするつもりだったんです」
後悔するでは済まないことだ。
甘い余韻など微塵もなく、ほとんどにらみつけるように問いかければ、荒い息に途切れ途切れの言葉が返ってきた。
「ど……って……こ、殺す、かしら……?」
…………。
思わず恋人の横に突っ伏した。
「そういうことじゃない! ……ああ、いや合っている……といえば合っているが……!」
俺の伝えたいことはそこじゃない。
だが、先ほど見事に組み敷かれた者からすれば、それは当然可能だろうなとしか思えなかった。
そもそもこの人の魔法は左手の補助を必要としていない。
もしも簀巻きにされたとしても、そして目を隠されたとしても。近くにいる人間をすべて無力化──殺してしまうことが、この人には可能なのだ。
俺の恋人は、五つの国で一番の水魔法の使い手なのだから。
だからなのだろう。この人が自らへの暴挙に対して寛大なのは。完全に貶められるわけではないからと、ゆるりと構えてしまうのは。
冗談じゃない。俺はもう、このような思いはたくさんだ。
「とにかく。今日、エルザは休みにしてありますから、一日そのままで反省すること! わかりましたか?」
「えっ、そ、そのままって……このままってこと!?」
起き上がって人差し指を突き立て宣言するが、エルザは言葉も怪しく腕を外そうと暴れていて、反省の色は皆無なようだ。
「あなたはじっとしているのが苦手でしょう。いい罰になりますよ。わかったら大人しくしていてください。いいですね」
力を込めて命じ、慌てたエルザが言い訳を口にするのを背にしてさっさと二人の寝室を後にした。
話していれば、絆されて拘束を外してしまいそうだ。さっさと逃げるに限る。
そうしてさっさと逃げだして、執務室でさっさと書類を片付けた。
……あの人がいないと捗るという事実から目を背けて。
出来た書類をグレンに渡すと「オーウェン様。ここは先日変更になっていたはずですが、このままでよろしいのでしょうか」と恐る恐るといった様子で指摘された。
確認すれば確かにグレンの言うとおりだった。
あの人が連れ帰ったグレンとザックは、兵士ながら事務仕事も教えればまるでスポンジのようにすぐに覚えてしまい、あの人の人を見る目というのは素晴らしいものがあるなと感心する毎日だ。
「見つけてくれてよかった。いつもは一人でチェックしていたから、二人が目を通してくれて助かるよ」
「え? エルザ様はチェックは……あっ。いえ、なんでもないです!」
何かを察したらしい。本当に優秀で助かっている。
ふと時計に目を向けたグレンが「ザックのやつ、遅いですね」と呟いた。
ザックには書類の提出を頼んでいたのだが、確かに戻るのが遅い。
「そういえばそうだな。道にでも迷ったかな?」
「あいつは物覚えがいいですし、迷う道でもないと思うのですが……見てきましょうか?」
「ああ」
頼んだ。と言おうとして、ドアがノックされた。
ザックが戻ったのかと思ったがどうにも叩き方が違うような違和感を覚え、入室を促す。
「よう」
入ってきたのはレグサスだった。片手をあげて挨拶する男に、「こんにちは。何か御用ですか?」と丁寧に問いかける。すっかりこの男への苦手意識や嫌悪感はなくなっている。
だがレグサスはどうにも歯切れが悪く「どうしたもんかな」と首をひねった。
「なんですか。用があるなら早く言ってください。遠慮する間柄でもないでしょう」
このような言葉が出るほどには、この男への心証もかなり変わっていた。
「……そこまで言うなら言うけどよ……怒んなよ……?」
最後まで苦い顔を浮かべ続けた男は俺の耳元に顔を寄せ──。
「あ……のっ……馬鹿がっ!!!」
レグサスから言われた言葉に、あらゆる罵詈雑言が頭の中に浮かび、最も言い慣れた且つ的確な罵倒を叫んで執務室を飛び出す羽目になった。
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