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第二章
48 ルーファス視点
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判断を誤った俺が、全面的に悪いのはもちろん分かっている。
だが、これはあんまりじゃねぇかとも思う。
「はい。レグサス。あーん」
「あー、はは……ありがとね、ララちゃん……」
満面の笑みを浮かべた恋人が、長年の友人に手ずからスプーンでものを食べさせるところを、見せつけられているのだから。
もちろん、ララは不貞を働くような女ではないし、友人であるレグも俺の恋人に手を出すような奴じゃない。
当然、これには理由がある。
「ルーファス。ほら、口を開けて。あーん」
「……先ほどから何度も言っているが、俺は甘いものは苦手でな。それは君が食べなさい。ソフィア嬢」
先に見せつけたのが、こちらだという。正当すぎる理由が。
もちろん甘いものだからというだけではなく全ての差し出されたスプーンを断ってはいるが、気持ちが通じたばかりだというのにララには可哀想なことをしてしまった。
もしや、すでに愛想を尽かされ、レグに乗り換えるつもりなのではと不安は募るが、そっと視線を寄越せばしっかりと交わって、ツンと顔を逸らされた。……どうやらまだ、見捨てられてはいないらしい。こっそりと安堵の息を吐いた。
朝食を食べていた最中のことだ。
俺達だけで使っている食堂へと突然押しかけて来たソフィアに、闘技場に行かないかと誘われた。面倒だから断ったが、なぜか執拗に誘いをかけられ、その異様な執着が妙に引っ掛かった。
出来ればオーウェン達が戻るのを待って調査の結果を聞きたかったが、距離から考えても昼まで戻ることはないだろう。仕方ない。この女を見張れるからと思って諦め、日に日に表情が険しくなるゼンを伴って、部屋を出た。
しかし不運とは続くもので、廊下に出れば、同じく朝食を食べ終えたらしいララとレグと鉢合わせになった。
目を向けずに一切関心のない振りをする。今日は手に触れられるだろうかと呑気に考えていると、ソフィアがララを闘技場に誘った。
断るだろうと思ったが、ララは無表情のまま「いいですよ。行きましょうか」と、まるで戦いに赴く歴戦の戦士のような佇まいで答えた。
そして、今に至る。
俺達が到着した時、闘技場にある貴賓席にはすでにダイヤのキング、クイーン、ジャックが揃っていた。それぞれがソフィアに呼ばれたのだという。
「みんなに仲良くなってほしいから」と、言ったソフィアは、自身に向かう複数の白い目が分からないらしい。
「ソフィア。こっちに来なさい。スペードのキングにあまり馴れ馴れしくしては、失礼よ」
眉を顰めたダイヤのキングに言われても、ソフィアは決して俺の隣から離れようとしない。
「失礼なんてあるわけないわよね、ルーファス。それよりも、その話し方はやめてって言わなかった? アーノルド」
「……これが私なの。もう変える気はないわ」
この数日でダイヤのキングに一体何があったのか。おどおどとしていたはずの表情は毅然として、もうソフィアの言うことは聞かないという強い意思が感じられた。
だが、ソフィアにももう、ダイヤのキングに飴を与えるつもりはないらしく、どうでもいいとばかりに知らん顔をしている。
その態度に、ララの言っていた仮説が現実味を帯びる。
ただ、俺達を侍らせたいだけでエルザを嵌めたという、下らないにもほどのある仮説が。
それが事実ならもう、この女に付き合う理由はない。
この無駄な時間が終われば、ちょうどオーウェンも帰ってくる頃だ。
今のこのダイヤのキングなら、話が通じるかもしれないし、エルザの解放に向けての話し合いの場を設けるか。
「ほら、ルーファス。次の試合が始まるわよ」
中央の砂地の広場を指差すソフィアに肩を叩かれ、生返事を返した。
アカデミーに在籍していた頃は、武術大会やらが多く開催されていて、俺自身も数多く参加してきた。それを見慣れているからか、どうにも闘技場の試合には興味が湧かない。
闘獣や闘士の荒々しい戦いよりも、魔法や剣技の洗練された戦いを見ている方がよほど勉強になるし、楽しいと思う。知り合いが出る試合なら応援する楽しみもある。
そうだ。武術大会でのエルザの戦いはいつも綺麗だった。
波打つ水が日の光を浴びてキラキラと輝き、対戦相手を追い詰め、呑み込む。音もなく迫る剣は、相対すると観戦している時よりも速く感じて、ぞくりと来たものだ。
城に戻ったらまた、手合わせを頼もうか。心臓が飛び出るような、あのスリルが久しぶりに恋しくなってきた。
「ルーファスさん!!」
過去の試合に想いを馳せている俺を、緊迫した声が呼んだ。
「どうした」
声の主はララだ。眉尻を下げ、焦ったような顔が俺と中央の広場を行き来している。
「あ、あれ……っ」
細い指が震えながら指した先に目を向けて──慣れ親しんだ空色の姿を見つけて、首筋がざわりと騒いだ。
「…………なぜ、牢にいるはずのエルザが……こんなところに……」
呆然と呟いたゼンが、勢いよく体を翻して理由をよく知っているだろう人物へと詰め寄るのを、力づくで抑える。しかし体を押さえても、ゼンは俺の肩口から怒鳴り声を上げた。
「エルザを罪人扱いするに飽き足らず、これはどういうつもりだ! この……っ」
「待て、ゼン! 落ち着け!!」
衆目の中でスペードのクイーンが他国の10に手を上げるのは、まずい。
「どうして止めるんです!!」
「落ち着けって言ってんだ! 周りを見ろ!!」
「やかましい!! 今日という今日はもう、我慢ならない……っ!」
歯を食いしばって、ゼンが俺を鋭く睨む。こいつがこれほど苛立ちを募らせる前に、問題を解決できなかった俺の失態だ。
ダイヤの国に来た日、左に座っていたララは『戦争』という言葉に怯えた目をしていた。寝室でララの仮説を聞いた時に怒りを抑えられなかった時もだ。
それを目の当たりにしたらもう、ダイヤに対して強く出ることができなくなった。
だからと言って、エルザやゼンに我慢を強いるのは間違っていた。
「俺が悪かった。判断を間違えたな」
「どうしてそんな冷静でいられるんです! エルザが罪人の扱いを受けているというのに!」
「……お前が冷静じゃないから、俺が落ち着かなきゃならないんだろ」
いつもなら俺やエルザが怒って、ゼンが宥める役だ。だが今回俺はエルザへの不当な仕打ちに対して、怒らなかった。きっと初めてのことだ。俺がエルザよりも他を優先したのは。
だからゼンは苛立ちを募らせたまま、消化させてやることもできず、爆発させてしまった。
それでも俺はまだ、ララのために今回の一件を穏便に済ませてやりたいと思ってる。
なんとかゼンを宥めようと再度口を開いて──背後から、わざとらしい慌てた声がした。
「たいへん。他の罪人と間違えちゃったのかもしれません。わたし、すぐにスペードの10を下げるよう、係りの者に伝えて来ますね!」
そのあまりにも白々しい台詞にはさすがに眉が寄り、全身が燃えるように熱くなった。怒鳴り声が喉元まで出かかる。
そんな雰囲気には気付いていないらしいソフィアに、バチンと破裂したような大きな音を立てて、平手が飛んだ。
「何を白々しいことを!! いい加減にして頂戴! なんてことをしてくれたの!?」
ソフィアの頰を平手で打ったダイヤのキングが悲鳴のような声を上げた。
頰を押さえ、ソフィアは愕然として固まっていて──急に袖が引かれた。
振り向くと、なんとも言えない表情のララが袖を持っていて、その隣のレグが呆れた顔をして、あちらを見てみろとばかりに指を広場に指していた。
思わずゼンと顔を見合わせ、同時に広場を見下ろした。
「…………。」
「……なんであいつは……準備運動なんてしていやがるんだ……」
腕を空へとぐいいと伸ばし、屈伸して。膝裏を伸ばす動きをした後、肩や手首、足首をぐるぐると回している。体を揺らして、どこか楽しそうに。
その、あまりにも試合に前向きで呑気な親友の姿に、憤っていたゼンが静かに舌打ちを漏らす。その隣から広場を見下ろしたダイヤのキングは「楽しみにしているなら……一試合くらいさせてあげたほうがいいのかしら」と明後日の方向の感想を述べた。
あーあ、と。ため息が溢れた。
あいつ……また怒られるな。オーウェンがここにいなくて良かったと思うべきか……。
眉間を揉んでいると、バタバタと走る音が近づいてきた。
……どうやらエルザへのお説教は、決定事項らしい。
「キング、クイーン。ただ今戻りました」
現場へと出かけていたオーウェンとノエルが、なぜか黄色の騎士服を着た二人の少年を伴って、駆けつけてきた。
だが、これはあんまりじゃねぇかとも思う。
「はい。レグサス。あーん」
「あー、はは……ありがとね、ララちゃん……」
満面の笑みを浮かべた恋人が、長年の友人に手ずからスプーンでものを食べさせるところを、見せつけられているのだから。
もちろん、ララは不貞を働くような女ではないし、友人であるレグも俺の恋人に手を出すような奴じゃない。
当然、これには理由がある。
「ルーファス。ほら、口を開けて。あーん」
「……先ほどから何度も言っているが、俺は甘いものは苦手でな。それは君が食べなさい。ソフィア嬢」
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もちろん甘いものだからというだけではなく全ての差し出されたスプーンを断ってはいるが、気持ちが通じたばかりだというのにララには可哀想なことをしてしまった。
もしや、すでに愛想を尽かされ、レグに乗り換えるつもりなのではと不安は募るが、そっと視線を寄越せばしっかりと交わって、ツンと顔を逸らされた。……どうやらまだ、見捨てられてはいないらしい。こっそりと安堵の息を吐いた。
朝食を食べていた最中のことだ。
俺達だけで使っている食堂へと突然押しかけて来たソフィアに、闘技場に行かないかと誘われた。面倒だから断ったが、なぜか執拗に誘いをかけられ、その異様な執着が妙に引っ掛かった。
出来ればオーウェン達が戻るのを待って調査の結果を聞きたかったが、距離から考えても昼まで戻ることはないだろう。仕方ない。この女を見張れるからと思って諦め、日に日に表情が険しくなるゼンを伴って、部屋を出た。
しかし不運とは続くもので、廊下に出れば、同じく朝食を食べ終えたらしいララとレグと鉢合わせになった。
目を向けずに一切関心のない振りをする。今日は手に触れられるだろうかと呑気に考えていると、ソフィアがララを闘技場に誘った。
断るだろうと思ったが、ララは無表情のまま「いいですよ。行きましょうか」と、まるで戦いに赴く歴戦の戦士のような佇まいで答えた。
そして、今に至る。
俺達が到着した時、闘技場にある貴賓席にはすでにダイヤのキング、クイーン、ジャックが揃っていた。それぞれがソフィアに呼ばれたのだという。
「みんなに仲良くなってほしいから」と、言ったソフィアは、自身に向かう複数の白い目が分からないらしい。
「ソフィア。こっちに来なさい。スペードのキングにあまり馴れ馴れしくしては、失礼よ」
眉を顰めたダイヤのキングに言われても、ソフィアは決して俺の隣から離れようとしない。
「失礼なんてあるわけないわよね、ルーファス。それよりも、その話し方はやめてって言わなかった? アーノルド」
「……これが私なの。もう変える気はないわ」
この数日でダイヤのキングに一体何があったのか。おどおどとしていたはずの表情は毅然として、もうソフィアの言うことは聞かないという強い意思が感じられた。
だが、ソフィアにももう、ダイヤのキングに飴を与えるつもりはないらしく、どうでもいいとばかりに知らん顔をしている。
その態度に、ララの言っていた仮説が現実味を帯びる。
ただ、俺達を侍らせたいだけでエルザを嵌めたという、下らないにもほどのある仮説が。
それが事実ならもう、この女に付き合う理由はない。
この無駄な時間が終われば、ちょうどオーウェンも帰ってくる頃だ。
今のこのダイヤのキングなら、話が通じるかもしれないし、エルザの解放に向けての話し合いの場を設けるか。
「ほら、ルーファス。次の試合が始まるわよ」
中央の砂地の広場を指差すソフィアに肩を叩かれ、生返事を返した。
アカデミーに在籍していた頃は、武術大会やらが多く開催されていて、俺自身も数多く参加してきた。それを見慣れているからか、どうにも闘技場の試合には興味が湧かない。
闘獣や闘士の荒々しい戦いよりも、魔法や剣技の洗練された戦いを見ている方がよほど勉強になるし、楽しいと思う。知り合いが出る試合なら応援する楽しみもある。
そうだ。武術大会でのエルザの戦いはいつも綺麗だった。
波打つ水が日の光を浴びてキラキラと輝き、対戦相手を追い詰め、呑み込む。音もなく迫る剣は、相対すると観戦している時よりも速く感じて、ぞくりと来たものだ。
城に戻ったらまた、手合わせを頼もうか。心臓が飛び出るような、あのスリルが久しぶりに恋しくなってきた。
「ルーファスさん!!」
過去の試合に想いを馳せている俺を、緊迫した声が呼んだ。
「どうした」
声の主はララだ。眉尻を下げ、焦ったような顔が俺と中央の広場を行き来している。
「あ、あれ……っ」
細い指が震えながら指した先に目を向けて──慣れ親しんだ空色の姿を見つけて、首筋がざわりと騒いだ。
「…………なぜ、牢にいるはずのエルザが……こんなところに……」
呆然と呟いたゼンが、勢いよく体を翻して理由をよく知っているだろう人物へと詰め寄るのを、力づくで抑える。しかし体を押さえても、ゼンは俺の肩口から怒鳴り声を上げた。
「エルザを罪人扱いするに飽き足らず、これはどういうつもりだ! この……っ」
「待て、ゼン! 落ち着け!!」
衆目の中でスペードのクイーンが他国の10に手を上げるのは、まずい。
「どうして止めるんです!!」
「落ち着けって言ってんだ! 周りを見ろ!!」
「やかましい!! 今日という今日はもう、我慢ならない……っ!」
歯を食いしばって、ゼンが俺を鋭く睨む。こいつがこれほど苛立ちを募らせる前に、問題を解決できなかった俺の失態だ。
ダイヤの国に来た日、左に座っていたララは『戦争』という言葉に怯えた目をしていた。寝室でララの仮説を聞いた時に怒りを抑えられなかった時もだ。
それを目の当たりにしたらもう、ダイヤに対して強く出ることができなくなった。
だからと言って、エルザやゼンに我慢を強いるのは間違っていた。
「俺が悪かった。判断を間違えたな」
「どうしてそんな冷静でいられるんです! エルザが罪人の扱いを受けているというのに!」
「……お前が冷静じゃないから、俺が落ち着かなきゃならないんだろ」
いつもなら俺やエルザが怒って、ゼンが宥める役だ。だが今回俺はエルザへの不当な仕打ちに対して、怒らなかった。きっと初めてのことだ。俺がエルザよりも他を優先したのは。
だからゼンは苛立ちを募らせたまま、消化させてやることもできず、爆発させてしまった。
それでも俺はまだ、ララのために今回の一件を穏便に済ませてやりたいと思ってる。
なんとかゼンを宥めようと再度口を開いて──背後から、わざとらしい慌てた声がした。
「たいへん。他の罪人と間違えちゃったのかもしれません。わたし、すぐにスペードの10を下げるよう、係りの者に伝えて来ますね!」
そのあまりにも白々しい台詞にはさすがに眉が寄り、全身が燃えるように熱くなった。怒鳴り声が喉元まで出かかる。
そんな雰囲気には気付いていないらしいソフィアに、バチンと破裂したような大きな音を立てて、平手が飛んだ。
「何を白々しいことを!! いい加減にして頂戴! なんてことをしてくれたの!?」
ソフィアの頰を平手で打ったダイヤのキングが悲鳴のような声を上げた。
頰を押さえ、ソフィアは愕然として固まっていて──急に袖が引かれた。
振り向くと、なんとも言えない表情のララが袖を持っていて、その隣のレグが呆れた顔をして、あちらを見てみろとばかりに指を広場に指していた。
思わずゼンと顔を見合わせ、同時に広場を見下ろした。
「…………。」
「……なんであいつは……準備運動なんてしていやがるんだ……」
腕を空へとぐいいと伸ばし、屈伸して。膝裏を伸ばす動きをした後、肩や手首、足首をぐるぐると回している。体を揺らして、どこか楽しそうに。
その、あまりにも試合に前向きで呑気な親友の姿に、憤っていたゼンが静かに舌打ちを漏らす。その隣から広場を見下ろしたダイヤのキングは「楽しみにしているなら……一試合くらいさせてあげたほうがいいのかしら」と明後日の方向の感想を述べた。
あーあ、と。ため息が溢れた。
あいつ……また怒られるな。オーウェンがここにいなくて良かったと思うべきか……。
眉間を揉んでいると、バタバタと走る音が近づいてきた。
……どうやらエルザへのお説教は、決定事項らしい。
「キング、クイーン。ただ今戻りました」
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