95 / 206
第一章
95
しおりを挟む
腕や足が風にさらされて落ち着かない。
ベルが選んでくれた、ノースリーブのブラウスにフレアスカート。
いつもレースアップのショートブーツを履くことが多いから、今日のパンプスは歩くのにも気を使ってしまう。
戦闘があっても大丈夫なように、ベルトで足首を固定できるヒールの低いものにしてあるが、それでもだ。
気持ちが浮き足立っているせいもある。
どんどんと歩くスピードは上がり、ほとんど駆け足になった。
約束の時間には十分間に合いそうだけど、きっとオーウェンはもう着いている。あの人は待ち合わせにはいつも早く来て……あれ、そういえば前に『待った?』『ううん、今来たとこ』のやり取りはしたことがあるな……。
あの時はなんとも思わなかったけど……思い出して少し顔が熱くなった。
待ち合わせは噴水広場。以前、ララに魔法を見せたところで、待ち合わせの定番だ。
探さなくても恋人はすぐに見つかった。
細身のパンツにグレーのジャケット。体力がないと言ってしまったけど、それでも鍛えられていることが分かるすらりとした体躯にその服装はよく似合っていて。
いつもの服で来なくてよかったと心底ホッとした。
視線が合わさり、オーウェンは一瞬目を見開いて、すぐに甘い笑顔になった。笑顔のままこちらに歩いてくる。
心臓がトクトクと静かに高鳴っている間に、恋人は目の前に来て足を止めた。
柔らかい熱を帯びた瞳が何かを促すようにこちらを見つめていて、ハッとする。
「……『待った?』」
頬が幸せに緩むのを抑えられない。
私の台詞を聞いておかしそうに笑う恋人は「『ううん、今来たとこ』……ですよ」と微笑んだ。
「スカート姿を拝見したのは初めてですね」
「実は制服以来初めてなのよ。……今日はデートだって言ったら、ベルがくれたの」
「ああ、制服姿が見たかったな。きっと可愛かったでしょうに」
緩んだ表情で残念そうに言うから可笑しい。
「まだ、着られるかしら……」
「……やめておきましょう。着させたことが誰かに知られでもしたら困る」
誰かを思い浮かべているのか、オーウェンの表情は苦々しい。
手を差し出されてそっと重ねると「どこに行きましょうか?」と尋ねられた。
「その前に……私との約束、忘れちゃったの?」
きゅっと握る手に力を込めて、尋ね返す。
オーウェンは一瞬気まずげに言葉を詰まらせ、ためらった末に言葉を絞り出した。
「……どこに、行くんだ?」
恋人になった時に交わした約束。
誰かが近くにいる時は、恋人のように振舞うことは控える。その代わり、恋人の時の敬語は禁止。
渋々でもタメ口で話してくれたオーウェンの腕に勢いよく抱きつく。普段敬語の人の滅多にないタメ口はたまらない。それが大好きな人なら尚更だ。
苦笑しつつもオーウェンは私の頭にキスを落とし、二人で腕を組んで歩き始めた。
「キッチン用品を扱ってる雑貨屋さんに行きたいの」
「キッチン用品? 何を買うんだ?」
「ティーポットとカップのセットを買おうかなって」
この間、お店にいきなり訪問した私にハンプティは親身になって話を聞いてくれた。にも関わらずそのお礼がまだ出来ていないし、あれから一度もお店に行っていないから心配しているかもしれない。
独り言ながらも理不尽な苦情も言ったから、その分も合わせて……。
雑貨屋さんに着いて早速商品を見たが、思いのほか種類があった。
一般的な陶磁器から、やかんのようなホーローのものまで様々だ。
「ハンプティにいつものお礼にプレゼントするつもりなんだけど、どんなものがいいかしら」
「ハンプティか……この間は白磁に青い小花のもので出してくれたな。その前は大きなオレンジのガーベラのポットだったと思う」
「あなたって、ちょっと優秀すぎない……?」
ポットの柄なんてよく覚えてるわね……。
それでも優秀な恋人のおかげでハンプティの好みはわかった。
「花柄が好きなのね。それならあれはどうかしら」
私が指差したものを店員さんが棚から降ろしてくれる。
ラベンダーの花の絵がぐるりと囲うように描かれたガラス製のポットとカップだ。
同じくガラス製のウォーマーが付いている。
「いいな。これから暖かくなるし、アイスティーにも使えそうだ」
「なら決まりね。お揃いのグラスも買いましょう」
会計を済ませるとかなり重くなってしまったそれをオーウェンが持ってくれる。
今までも重いものは持ってくれていたが、なんだかこれもデートっぽいなぁと少し照れてしまった。
二人で手を繋ぎ、お店に訪問すると店主はそれはもう嬉しそうに笑って出迎えてくれた。
暖かい茶色の瞳が「仲直りできてよかったね」と語っているので、そっとオーウェンの腕を取り、頬を寄せて見せる。
しかしそれを見たハンプティは、なぜかオーウェンに満面の笑みを向けた。
「おめでとう、オーウェン!」
「……ありがとう」
私の態度からのこの祝辞にオーウェンは苦笑いを浮かべる。
「どうしておめでとうなの?」
よくわからなくて質問するも、ハンプティに笑顔でかわされ、オーウェンは無言を返すだけだった。
「これ、この間のお礼なの。受け取ってくれる?」
「お礼なんていいのに……でもすごく嬉しいよ。ありがとう! 開けてもいい?」
談話室の中央に鎮座する楕円形のコーヒーテーブルに箱を取り出して開けると、中身を見たハンプティはとても喜んでくれた。
早速アイスティーを入れてもらい、そのまま早めのランチもご馳走してもらって居心地の良さについ長居してしまった。
大きく手を振って見送ってくれるハンプティのお店を後にして、また二人で歩く。
「美味しくて食べすぎちゃったわ」
「俺もだ。少し歩こうか」
手を繋ぎ、白の国を目的もなく歩く。補佐の時もそうだったけど、オーウェンと話していて話題が尽きることはない。
「そろそろ次のお茶会があるから中央通りに屋台でも出てるんじゃないかな」
「屋台って食べ物の? そういえば、この間フルーツにお肉を巻いた串焼きを出してるお店があったのよ。パインとかイチゴとか! 甘酸っぱくて美味しくてね。また出てるかしら」
「食べ過ぎたって言ったくせに、もう食べ物の話か? 俺が言ったのは工芸品の屋台」
「それもいいわね! 見に行ってみる?」
「ああ。行ってみようか」
歩きながら次の目的地を決めるのは初めてだ。
目が合えば優しく微笑まれて気分が浮き立つ。
「中央通りのジュエリーショップも行きたいから丁度いいわ」
「中央通りの……?」
「ええ。オーダーしたアクセサリーを引き取りに行きたいのよ」
「……何を、作ったんですか?」
「ブレスレットをね。とっても可愛いのよ」
お店専属のデザイナーと話し合った時に彼女がさらさらと描きつけたデザイン画を思い出して頰が緩む。
とても可愛かったから喜んでくれたら嬉しいな。
「そうですか。……良かった」
どこか安堵したように呟くオーウェンを疑問に思いながらも、私はわざとしかめっ面で睨みつけた。
「……敬語に戻ってる」
「あっ、すみま……ごめん。もう癖なんだよ」
「次に敬語を使ったらペナルティね。……どんなのがいいかしら」
オーウェンが嫌がるペナルティを考えるも思い付かない。
「どんなペナルティなら嫌?」
「それを俺が考えるのか? ……エルザに触れるの禁止って言われたら、二度と敬語を使わない自信がある」
「それは私が嫌だから駄目」
「難しいな」
二人で目を合わせると同時に吹き出した。
「……敬語は使わないで?」
「わかった。気をつける」
見上げてお願いすると、オーウェンは目元を綻ばせて頷いてくれる。
この甘い表情が大好きだ。
ベルが選んでくれた、ノースリーブのブラウスにフレアスカート。
いつもレースアップのショートブーツを履くことが多いから、今日のパンプスは歩くのにも気を使ってしまう。
戦闘があっても大丈夫なように、ベルトで足首を固定できるヒールの低いものにしてあるが、それでもだ。
気持ちが浮き足立っているせいもある。
どんどんと歩くスピードは上がり、ほとんど駆け足になった。
約束の時間には十分間に合いそうだけど、きっとオーウェンはもう着いている。あの人は待ち合わせにはいつも早く来て……あれ、そういえば前に『待った?』『ううん、今来たとこ』のやり取りはしたことがあるな……。
あの時はなんとも思わなかったけど……思い出して少し顔が熱くなった。
待ち合わせは噴水広場。以前、ララに魔法を見せたところで、待ち合わせの定番だ。
探さなくても恋人はすぐに見つかった。
細身のパンツにグレーのジャケット。体力がないと言ってしまったけど、それでも鍛えられていることが分かるすらりとした体躯にその服装はよく似合っていて。
いつもの服で来なくてよかったと心底ホッとした。
視線が合わさり、オーウェンは一瞬目を見開いて、すぐに甘い笑顔になった。笑顔のままこちらに歩いてくる。
心臓がトクトクと静かに高鳴っている間に、恋人は目の前に来て足を止めた。
柔らかい熱を帯びた瞳が何かを促すようにこちらを見つめていて、ハッとする。
「……『待った?』」
頬が幸せに緩むのを抑えられない。
私の台詞を聞いておかしそうに笑う恋人は「『ううん、今来たとこ』……ですよ」と微笑んだ。
「スカート姿を拝見したのは初めてですね」
「実は制服以来初めてなのよ。……今日はデートだって言ったら、ベルがくれたの」
「ああ、制服姿が見たかったな。きっと可愛かったでしょうに」
緩んだ表情で残念そうに言うから可笑しい。
「まだ、着られるかしら……」
「……やめておきましょう。着させたことが誰かに知られでもしたら困る」
誰かを思い浮かべているのか、オーウェンの表情は苦々しい。
手を差し出されてそっと重ねると「どこに行きましょうか?」と尋ねられた。
「その前に……私との約束、忘れちゃったの?」
きゅっと握る手に力を込めて、尋ね返す。
オーウェンは一瞬気まずげに言葉を詰まらせ、ためらった末に言葉を絞り出した。
「……どこに、行くんだ?」
恋人になった時に交わした約束。
誰かが近くにいる時は、恋人のように振舞うことは控える。その代わり、恋人の時の敬語は禁止。
渋々でもタメ口で話してくれたオーウェンの腕に勢いよく抱きつく。普段敬語の人の滅多にないタメ口はたまらない。それが大好きな人なら尚更だ。
苦笑しつつもオーウェンは私の頭にキスを落とし、二人で腕を組んで歩き始めた。
「キッチン用品を扱ってる雑貨屋さんに行きたいの」
「キッチン用品? 何を買うんだ?」
「ティーポットとカップのセットを買おうかなって」
この間、お店にいきなり訪問した私にハンプティは親身になって話を聞いてくれた。にも関わらずそのお礼がまだ出来ていないし、あれから一度もお店に行っていないから心配しているかもしれない。
独り言ながらも理不尽な苦情も言ったから、その分も合わせて……。
雑貨屋さんに着いて早速商品を見たが、思いのほか種類があった。
一般的な陶磁器から、やかんのようなホーローのものまで様々だ。
「ハンプティにいつものお礼にプレゼントするつもりなんだけど、どんなものがいいかしら」
「ハンプティか……この間は白磁に青い小花のもので出してくれたな。その前は大きなオレンジのガーベラのポットだったと思う」
「あなたって、ちょっと優秀すぎない……?」
ポットの柄なんてよく覚えてるわね……。
それでも優秀な恋人のおかげでハンプティの好みはわかった。
「花柄が好きなのね。それならあれはどうかしら」
私が指差したものを店員さんが棚から降ろしてくれる。
ラベンダーの花の絵がぐるりと囲うように描かれたガラス製のポットとカップだ。
同じくガラス製のウォーマーが付いている。
「いいな。これから暖かくなるし、アイスティーにも使えそうだ」
「なら決まりね。お揃いのグラスも買いましょう」
会計を済ませるとかなり重くなってしまったそれをオーウェンが持ってくれる。
今までも重いものは持ってくれていたが、なんだかこれもデートっぽいなぁと少し照れてしまった。
二人で手を繋ぎ、お店に訪問すると店主はそれはもう嬉しそうに笑って出迎えてくれた。
暖かい茶色の瞳が「仲直りできてよかったね」と語っているので、そっとオーウェンの腕を取り、頬を寄せて見せる。
しかしそれを見たハンプティは、なぜかオーウェンに満面の笑みを向けた。
「おめでとう、オーウェン!」
「……ありがとう」
私の態度からのこの祝辞にオーウェンは苦笑いを浮かべる。
「どうしておめでとうなの?」
よくわからなくて質問するも、ハンプティに笑顔でかわされ、オーウェンは無言を返すだけだった。
「これ、この間のお礼なの。受け取ってくれる?」
「お礼なんていいのに……でもすごく嬉しいよ。ありがとう! 開けてもいい?」
談話室の中央に鎮座する楕円形のコーヒーテーブルに箱を取り出して開けると、中身を見たハンプティはとても喜んでくれた。
早速アイスティーを入れてもらい、そのまま早めのランチもご馳走してもらって居心地の良さについ長居してしまった。
大きく手を振って見送ってくれるハンプティのお店を後にして、また二人で歩く。
「美味しくて食べすぎちゃったわ」
「俺もだ。少し歩こうか」
手を繋ぎ、白の国を目的もなく歩く。補佐の時もそうだったけど、オーウェンと話していて話題が尽きることはない。
「そろそろ次のお茶会があるから中央通りに屋台でも出てるんじゃないかな」
「屋台って食べ物の? そういえば、この間フルーツにお肉を巻いた串焼きを出してるお店があったのよ。パインとかイチゴとか! 甘酸っぱくて美味しくてね。また出てるかしら」
「食べ過ぎたって言ったくせに、もう食べ物の話か? 俺が言ったのは工芸品の屋台」
「それもいいわね! 見に行ってみる?」
「ああ。行ってみようか」
歩きながら次の目的地を決めるのは初めてだ。
目が合えば優しく微笑まれて気分が浮き立つ。
「中央通りのジュエリーショップも行きたいから丁度いいわ」
「中央通りの……?」
「ええ。オーダーしたアクセサリーを引き取りに行きたいのよ」
「……何を、作ったんですか?」
「ブレスレットをね。とっても可愛いのよ」
お店専属のデザイナーと話し合った時に彼女がさらさらと描きつけたデザイン画を思い出して頰が緩む。
とても可愛かったから喜んでくれたら嬉しいな。
「そうですか。……良かった」
どこか安堵したように呟くオーウェンを疑問に思いながらも、私はわざとしかめっ面で睨みつけた。
「……敬語に戻ってる」
「あっ、すみま……ごめん。もう癖なんだよ」
「次に敬語を使ったらペナルティね。……どんなのがいいかしら」
オーウェンが嫌がるペナルティを考えるも思い付かない。
「どんなペナルティなら嫌?」
「それを俺が考えるのか? ……エルザに触れるの禁止って言われたら、二度と敬語を使わない自信がある」
「それは私が嫌だから駄目」
「難しいな」
二人で目を合わせると同時に吹き出した。
「……敬語は使わないで?」
「わかった。気をつける」
見上げてお願いすると、オーウェンは目元を綻ばせて頷いてくれる。
この甘い表情が大好きだ。
0
お気に入りに追加
1,161
あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる