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第一章
79 補佐は頑張りました
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「ルーファス!」
俺から手を外してエルザはキングを呼んだ。
「二対二でしない? ルーファスとゼン、私とオーウェンで」
エルザは両手の指を二つ立ててキングに突きつけたが、俺は動揺した。
それは駄目だ。エルザの力を借りたりしたら、キングに認めてもらえなくなる……っ!
「エルザ、駄目で――」
「いいぜ。それも面白そうだ」
「……キング?」
驚いてキングを見ると、先ほどと同じ楽しげな目を俺達に向けている。
「せっかく上手くまとまったのに! こいつ、ほんと馬鹿!」
ララさんの声が遠くから聞こえた気がした。
作戦を立てると言うエルザに手を引かれて三人から離れた。
二対二はアカデミーでよく行われる模擬戦の一つだ。
前衛と後衛で分かれることが多く、作戦も二人できっちり立てる。
「当然だけど、私が前、オーウェンが後ろね」
ワクワクといった様子のエルザは楽しげに作戦を説明してくれた。
「ゼンは援護がうまいから先に落としましょう。私が突っ切るから、ゼンを倒すまでルーファスの足止めよろしくね」
「キングのですか!?」
さっき散々転ばされたばかりだと言うのに!
「影を使えば不可能じゃないわ。オーウェンは火と風もあるからルーファスの火にも対応できる」
複数の属性を一度に使うのは不慣れだ。だからさっきも影しか使えなかった。
足止めしたところで火を使われれば、きっと為すすべがない。
それでも、あのお二人のことを一番よく知るエルザが立てた作戦だ。
この人が一緒に戦ってくれるのに、泣き言は言いたくなかった。
「わかりました。必ずキングを足止めします」
「お願いね。オーウェンとチーム戦だなんて、ちょっと楽しいわね」
笑いながら言うエルザに、一気に肩の力が抜けた。
先ほどまで絶望的な気持ちだったのに、思わず頰が緩む。
「はい……俺も、ちょっと楽しくなってきました」
嬉しそうに笑うエルザは「景気付けに一回キスしてあげましょうか?」とくちびるに指を当てておどけた。
「勝利の女神の微笑みは頂きましたから、キスは勝ってからに取っておきましょう」
こんな時に冗談が言えるなんて。
「必ず勝つわよ」
「はい。絶対に、キングを止めてみせます」
俺の勝利の女神は満足げに笑みを深めた。
「負けた方が焼肉奢りね!」
「おう。飲み放題も付けろよ」
対峙する前衛二人は似た笑みを浮かべている。
「エルザさん! ボッコボコにしてやって!!」
エルザにララさんの声援が飛ぶ。
あの人、あんな性格だったか……?
「任せなさい!」
エルザは親指を立てて声援に応えた。
俺から手を外してエルザはキングを呼んだ。
「二対二でしない? ルーファスとゼン、私とオーウェンで」
エルザは両手の指を二つ立ててキングに突きつけたが、俺は動揺した。
それは駄目だ。エルザの力を借りたりしたら、キングに認めてもらえなくなる……っ!
「エルザ、駄目で――」
「いいぜ。それも面白そうだ」
「……キング?」
驚いてキングを見ると、先ほどと同じ楽しげな目を俺達に向けている。
「せっかく上手くまとまったのに! こいつ、ほんと馬鹿!」
ララさんの声が遠くから聞こえた気がした。
作戦を立てると言うエルザに手を引かれて三人から離れた。
二対二はアカデミーでよく行われる模擬戦の一つだ。
前衛と後衛で分かれることが多く、作戦も二人できっちり立てる。
「当然だけど、私が前、オーウェンが後ろね」
ワクワクといった様子のエルザは楽しげに作戦を説明してくれた。
「ゼンは援護がうまいから先に落としましょう。私が突っ切るから、ゼンを倒すまでルーファスの足止めよろしくね」
「キングのですか!?」
さっき散々転ばされたばかりだと言うのに!
「影を使えば不可能じゃないわ。オーウェンは火と風もあるからルーファスの火にも対応できる」
複数の属性を一度に使うのは不慣れだ。だからさっきも影しか使えなかった。
足止めしたところで火を使われれば、きっと為すすべがない。
それでも、あのお二人のことを一番よく知るエルザが立てた作戦だ。
この人が一緒に戦ってくれるのに、泣き言は言いたくなかった。
「わかりました。必ずキングを足止めします」
「お願いね。オーウェンとチーム戦だなんて、ちょっと楽しいわね」
笑いながら言うエルザに、一気に肩の力が抜けた。
先ほどまで絶望的な気持ちだったのに、思わず頰が緩む。
「はい……俺も、ちょっと楽しくなってきました」
嬉しそうに笑うエルザは「景気付けに一回キスしてあげましょうか?」とくちびるに指を当てておどけた。
「勝利の女神の微笑みは頂きましたから、キスは勝ってからに取っておきましょう」
こんな時に冗談が言えるなんて。
「必ず勝つわよ」
「はい。絶対に、キングを止めてみせます」
俺の勝利の女神は満足げに笑みを深めた。
「負けた方が焼肉奢りね!」
「おう。飲み放題も付けろよ」
対峙する前衛二人は似た笑みを浮かべている。
「エルザさん! ボッコボコにしてやって!!」
エルザにララさんの声援が飛ぶ。
あの人、あんな性格だったか……?
「任せなさい!」
エルザは親指を立てて声援に応えた。
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