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第一章
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この二人のルートに進んだ後、選択肢において双子の片方の好感度を上げていくことでさらにストーリーが分岐して各々のグッドエンドに進むわけだが、初見で一人だけを上げ続けることは難しい。
そして好きなように選択肢を選び、この二人の好感度に大した差もなくストーリーが進んでいくと、ある時二人の態度が一変する。
ヒロインが別の世界の人間だとバレるイベントだ。
そして監禁される。
正直に言おう。私はこのエンディングがものすごく好きだ。
大切なものを大事にしまっておきたがる幼さゆえの純粋さが、ヒロインに向けられて狂気に変わる。
もうあなたは僕達のものだからと容易く触れてくるディーと、意味はわからないが兄の真似をするダム。
二人から同時に愛される、たいへんに背徳極まりない展開だが、大きなベッドを用意して大人ぶるもこれに関しては二人ともまったく意味がわかっていないというシーンがあり、一部のお姉さま方と私が死んだ。
だが問いたい。いくら可愛い男の子とはいえ、現実に監禁されたいか?
答えは否だ。
この二人と知り合ったとき、あの可愛らしい双子! むしろゲームの時より幼くていい! と、つい可愛がってしまった。
後悔はしていない。嘘だ。このエンディングを思い出してからは「逃げてない逃げてない! お姉さんは忙しいの! 大人には色々あるのよ!」と煙に巻いて逃げる日々だ。
そろそろそれも限界に近付いている気がする。
頼むから滅多なことは考えないでほしい。
後ろ手にララを隠して逃げる隙を窺っていたが、目敏く新しい遊び相手を見つめた二人は、私を押しのけララに近付いた。
「姉ちゃん誰? エルザ姉ちゃんの友達?」
ディーは興味津々な様子だが、内気なダムは兄の後ろに隠れて顔を半分だけ覗かせている。ああもう可愛い。
「こら! この人はお城のお客様よ! ちょっかい出さないの!」と慌てて割り込むも、優しいララが「私は大丈夫ですから」と取りなしてしまう。
「こんにちは、ディー君、ダム君。私はララです。エルザさんはお友達じゃなくて、観光に付き合っていただいているの」
腰をかがめて双子に話しかけるララ。ああ、あんまり優しげに微笑まないほうが……。
「ふぅん。なら俺達も一緒に案内してやるよ!」
「結構よ! ララは城の大切なお客様なんだから、私が責任もって案内します。子供は子供と遊んできなさい!」
ララと親しくさせてなるものか。好感度が上がったらどうするんだ。
しっしと手で払うと二人が顔を見合わせて拗ねた、しかし悲しげな表情で見上げてきた。
「エルザ姉ちゃん、なんで俺達にそんなに冷たいんだよ。俺達が何かした?」
「僕達がなにかしたなら謝るから……嫌いにならないで、エルザおねえちゃん……」
「うっ……」
外見はとても可愛らしい二人の、そんな表情には心が痛む。ダムなんて目尻に涙が溜まっている。
思い返せば、今まで仲良くしてきたのに急に態度が変わったら、この子達も戸惑っただろう。
この二人は何もしていないのに、ゲームの知識だけで勝手に警戒して冷たく接しすぎたと反省する。
それにディーとダムが狂うきっかけは、大好きなヒロインが自分の世界に帰ってしまうことが嫌だからだ。
ならずっとこの世界で暮らす私には当てはまらないはず……。
本当に避けた理由はもちろん話せないけど、二人を傷つけたことをきちんと謝ろう。
「……二人ともごめんなさい。あなた達が嫌いになったなんてことはないのよ。ただ私は去年スペードの10になったでしょう? それで仕事がとても忙しくなっちゃったの」
これは本当だ。一般の兵隊のときとは違い机仕事は格段に増えて、その反面、市井の巡回警備の仕事が減っていて二人と会う機会がそもそも少なくなっていた。
ハンカチを取り出してダムの涙を優しく拭う。「本当?」と鼻声で聞く二人の頭をなでると、さらさらの髪が指の間を通って心地いい。
「本当よ。今日はダメだけど、別の日に一緒に遊びましょう。約束するわ」
「またすっぽかしたりしない?」
「しないわよ。二人は何かしたいことはある?」
約束を取り付けたからか、双子は先ほどと打って変わって嬉しそうに笑顔を見せる。
ころころと変わる表情がとても可愛い。
「買い物に行きたい! 付き合ってよ!」
「僕も、買いたいものがあるの」
「いいわね! なんだったら私がプレゼントするわ。今までのお詫び」
わぁ! と歓声をあげて抱きつく二人をぎゅっと抱きしめ返した。
本当に今まで悪いことをしてしまったな。これからは今までの分もたくさん可愛がってあげようと思う。
「それで、何が欲しいの?」
「「えっとねぇ……大きいベッド!」」
前言撤回。
ララの手を引いて、私はその場から全力で逃げ出した。
そして好きなように選択肢を選び、この二人の好感度に大した差もなくストーリーが進んでいくと、ある時二人の態度が一変する。
ヒロインが別の世界の人間だとバレるイベントだ。
そして監禁される。
正直に言おう。私はこのエンディングがものすごく好きだ。
大切なものを大事にしまっておきたがる幼さゆえの純粋さが、ヒロインに向けられて狂気に変わる。
もうあなたは僕達のものだからと容易く触れてくるディーと、意味はわからないが兄の真似をするダム。
二人から同時に愛される、たいへんに背徳極まりない展開だが、大きなベッドを用意して大人ぶるもこれに関しては二人ともまったく意味がわかっていないというシーンがあり、一部のお姉さま方と私が死んだ。
だが問いたい。いくら可愛い男の子とはいえ、現実に監禁されたいか?
答えは否だ。
この二人と知り合ったとき、あの可愛らしい双子! むしろゲームの時より幼くていい! と、つい可愛がってしまった。
後悔はしていない。嘘だ。このエンディングを思い出してからは「逃げてない逃げてない! お姉さんは忙しいの! 大人には色々あるのよ!」と煙に巻いて逃げる日々だ。
そろそろそれも限界に近付いている気がする。
頼むから滅多なことは考えないでほしい。
後ろ手にララを隠して逃げる隙を窺っていたが、目敏く新しい遊び相手を見つめた二人は、私を押しのけララに近付いた。
「姉ちゃん誰? エルザ姉ちゃんの友達?」
ディーは興味津々な様子だが、内気なダムは兄の後ろに隠れて顔を半分だけ覗かせている。ああもう可愛い。
「こら! この人はお城のお客様よ! ちょっかい出さないの!」と慌てて割り込むも、優しいララが「私は大丈夫ですから」と取りなしてしまう。
「こんにちは、ディー君、ダム君。私はララです。エルザさんはお友達じゃなくて、観光に付き合っていただいているの」
腰をかがめて双子に話しかけるララ。ああ、あんまり優しげに微笑まないほうが……。
「ふぅん。なら俺達も一緒に案内してやるよ!」
「結構よ! ララは城の大切なお客様なんだから、私が責任もって案内します。子供は子供と遊んできなさい!」
ララと親しくさせてなるものか。好感度が上がったらどうするんだ。
しっしと手で払うと二人が顔を見合わせて拗ねた、しかし悲しげな表情で見上げてきた。
「エルザ姉ちゃん、なんで俺達にそんなに冷たいんだよ。俺達が何かした?」
「僕達がなにかしたなら謝るから……嫌いにならないで、エルザおねえちゃん……」
「うっ……」
外見はとても可愛らしい二人の、そんな表情には心が痛む。ダムなんて目尻に涙が溜まっている。
思い返せば、今まで仲良くしてきたのに急に態度が変わったら、この子達も戸惑っただろう。
この二人は何もしていないのに、ゲームの知識だけで勝手に警戒して冷たく接しすぎたと反省する。
それにディーとダムが狂うきっかけは、大好きなヒロインが自分の世界に帰ってしまうことが嫌だからだ。
ならずっとこの世界で暮らす私には当てはまらないはず……。
本当に避けた理由はもちろん話せないけど、二人を傷つけたことをきちんと謝ろう。
「……二人ともごめんなさい。あなた達が嫌いになったなんてことはないのよ。ただ私は去年スペードの10になったでしょう? それで仕事がとても忙しくなっちゃったの」
これは本当だ。一般の兵隊のときとは違い机仕事は格段に増えて、その反面、市井の巡回警備の仕事が減っていて二人と会う機会がそもそも少なくなっていた。
ハンカチを取り出してダムの涙を優しく拭う。「本当?」と鼻声で聞く二人の頭をなでると、さらさらの髪が指の間を通って心地いい。
「本当よ。今日はダメだけど、別の日に一緒に遊びましょう。約束するわ」
「またすっぽかしたりしない?」
「しないわよ。二人は何かしたいことはある?」
約束を取り付けたからか、双子は先ほどと打って変わって嬉しそうに笑顔を見せる。
ころころと変わる表情がとても可愛い。
「買い物に行きたい! 付き合ってよ!」
「僕も、買いたいものがあるの」
「いいわね! なんだったら私がプレゼントするわ。今までのお詫び」
わぁ! と歓声をあげて抱きつく二人をぎゅっと抱きしめ返した。
本当に今まで悪いことをしてしまったな。これからは今までの分もたくさん可愛がってあげようと思う。
「それで、何が欲しいの?」
「「えっとねぇ……大きいベッド!」」
前言撤回。
ララの手を引いて、私はその場から全力で逃げ出した。
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