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第一章
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翌朝、約束通りに迎えに行くと、ララはきちんと準備して待っていてくれた。
よく眠れたらしく、幾分か表情が和らいでいる。
「おはよう」
「おはようございます」
二人並んで食堂に着くと、すでにゼンが座って待っていた。
朝食は毎朝四人で取っているが、いつも来る順番はゼン、私、ノエル、ルーファスの順だ。
「おはようございます。昨夜はよく眠れたようですね」
ララの様子を見たゼンが、安心したように言う。
「プリムラが綺麗に咲いて良かったわね」
からかう調子で言ってみれば無言を返された。一瞥もない。
しかし私には、ゲームプレイ時から聞いてみたいことがあるのだ。
「ねぇ、もし私がお客様だったら、どの部屋に通してくれるの?」
「は?」
「私ならどの部屋に通してくれるのかなーって」
可憐とは程遠いから、私なら違う部屋になるだろうなと思っていたのだ。
「あなたには自室があるでしょう」
「だから、私がお客様だったらの、たとえ話だってば」
ねぇねぇと言い募れば、特大のため息が返ってくる。
「雪割草ですよ、あなたは」
「えー、ちょっと可愛すぎない? しかもそんな部屋ないし」
「……たくましい花ですから」
「ふぅん」
もっと大輪の迫力ある花でも言ってくるかと思ったが、想像していたよりも可愛らしい花を言われて少し照れる。
雪割草の花言葉ってなんだったかしら。
「おはよー!」
「はよぅ」
いつも通りの順番で、残る二人が食堂に集まった。欠伸をしているルーファスに対して、ノエルは朝から元気だ。
給仕が朝食を並べて去っていく。
香りのいい焼き立てパンを手に取り、ルーファスが口を開いた。
「白の国への書状はもう出してある。返事は遅くても夕方になるだろうな」
「それなら出かけてくればいいんじゃない? せっかく来たんだから、観光してかなきゃ!」
「丸一日を無駄にすることはありませんからね」
「いいんですか? 昨日はあまりよく見られなかったので、ご迷惑でなければ出かけてみたいです」
いい感じにストーリーが進んでいく。
ララも一晩寝て元気を取り戻したのか乗り気だ。
「僕達で良ければ案内するよ! 全員は無理だけど、一人くらいなら抜け出せるから」
そうそう、ここで選んだキャラの好感度が上がって、観光がちょっとしたデートになるのよねぇ。
「では……」
うんうん、誰を選んでもお買い得よ。
「エルザさん、お願いしてもいいですか?」
「えっ、私?」
おずおずと私を見つめているララと視線がぶつかる。断られたらどうしようという不安げな瞳だ。
どうして選択肢にない私をと思ったけど、よく考えてみたら男性三人と女性一人の中から一人選べと言われたら、女の子なら女性を選ぶかな……?
でも乙女ゲームプレイヤーとしては、好感度の上がらない選択肢を選ぶのはかなりもったいない気がする。
「構わないけど……補佐官に怒られてしまうわ。仕事を残しているから」
「私から伝えておきますから、気にせず出かけてきなさい。あなたはいつも男性相手に訓練してばかりなのですから、たまには女性と出かけて羽を伸ばしてくればいい」
お母さん……。
抵抗も虚しくゼンの援護射撃にあい、私が付き合うことになってしまった。
よく眠れたらしく、幾分か表情が和らいでいる。
「おはよう」
「おはようございます」
二人並んで食堂に着くと、すでにゼンが座って待っていた。
朝食は毎朝四人で取っているが、いつも来る順番はゼン、私、ノエル、ルーファスの順だ。
「おはようございます。昨夜はよく眠れたようですね」
ララの様子を見たゼンが、安心したように言う。
「プリムラが綺麗に咲いて良かったわね」
からかう調子で言ってみれば無言を返された。一瞥もない。
しかし私には、ゲームプレイ時から聞いてみたいことがあるのだ。
「ねぇ、もし私がお客様だったら、どの部屋に通してくれるの?」
「は?」
「私ならどの部屋に通してくれるのかなーって」
可憐とは程遠いから、私なら違う部屋になるだろうなと思っていたのだ。
「あなたには自室があるでしょう」
「だから、私がお客様だったらの、たとえ話だってば」
ねぇねぇと言い募れば、特大のため息が返ってくる。
「雪割草ですよ、あなたは」
「えー、ちょっと可愛すぎない? しかもそんな部屋ないし」
「……たくましい花ですから」
「ふぅん」
もっと大輪の迫力ある花でも言ってくるかと思ったが、想像していたよりも可愛らしい花を言われて少し照れる。
雪割草の花言葉ってなんだったかしら。
「おはよー!」
「はよぅ」
いつも通りの順番で、残る二人が食堂に集まった。欠伸をしているルーファスに対して、ノエルは朝から元気だ。
給仕が朝食を並べて去っていく。
香りのいい焼き立てパンを手に取り、ルーファスが口を開いた。
「白の国への書状はもう出してある。返事は遅くても夕方になるだろうな」
「それなら出かけてくればいいんじゃない? せっかく来たんだから、観光してかなきゃ!」
「丸一日を無駄にすることはありませんからね」
「いいんですか? 昨日はあまりよく見られなかったので、ご迷惑でなければ出かけてみたいです」
いい感じにストーリーが進んでいく。
ララも一晩寝て元気を取り戻したのか乗り気だ。
「僕達で良ければ案内するよ! 全員は無理だけど、一人くらいなら抜け出せるから」
そうそう、ここで選んだキャラの好感度が上がって、観光がちょっとしたデートになるのよねぇ。
「では……」
うんうん、誰を選んでもお買い得よ。
「エルザさん、お願いしてもいいですか?」
「えっ、私?」
おずおずと私を見つめているララと視線がぶつかる。断られたらどうしようという不安げな瞳だ。
どうして選択肢にない私をと思ったけど、よく考えてみたら男性三人と女性一人の中から一人選べと言われたら、女の子なら女性を選ぶかな……?
でも乙女ゲームプレイヤーとしては、好感度の上がらない選択肢を選ぶのはかなりもったいない気がする。
「構わないけど……補佐官に怒られてしまうわ。仕事を残しているから」
「私から伝えておきますから、気にせず出かけてきなさい。あなたはいつも男性相手に訓練してばかりなのですから、たまには女性と出かけて羽を伸ばしてくればいい」
お母さん……。
抵抗も虚しくゼンの援護射撃にあい、私が付き合うことになってしまった。
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