理髪師さん

クレイン

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髪の毛を払ってシャンプーをしてもらう

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「こんな感じでどうですか?」
「…あっはい。いい感じだと思います。」
 軽くなった頭を触られながら鏡越しにお姉さんと目が合う。今は髪を弄るでもなくただ頭を撫でられている。気持ちいいので何も言わないが。

「じゃあ毛先整えていくね。」
 違うハサミに持ち替えて髪の毛の先を切られていく。さっきよりハサミの音が響いている。時間がかからずに毛先を整える作業は終わった。
 お姉さんはハサミを腰のホルダーに入れてハケ状のものを取り出した。
「顔払うから、目閉じてね。」
「はい。」
 目を閉じると顔についた髪の毛を払われる。くすぐったくてクロスの中で腕を組んで耐える。ときどき取れない髪の毛をお姉さんが指で払うのでドキドキしてしまう。

 顔を払い終わると耳についた髪の毛を払われる。顔の比じゃないくらいくすぐったい。指で優しく払われると思わず震えてしまう。目を閉じたまま耐えていると「ふっ」と耳に息を吹きかけられた。
「ひゃっ!」
 思わぬ刺激に声を上げてしまう。
「あっごめんね急に、中々取れなくて。」
 指で耳の表面をカリカリと触りながら彼女が言ってくる。鏡越しに見る彼女は微笑んでいる。
「ふっ」「あっ!」「ごめんね、もう取れたから。」「あ、はい。」また声を出してしまい恥ずかしくて肩をすくめる。

 後ろに回られてうなじあたりをハケで払われる。右耳がまだゾワゾワして気になってしまう。右耳を意識していると次は左耳をハケで払われる。
 なぜか敏感になってしまって。ハケで払えない部分を指でカリカリと触られるたびに震えてしまう。「こっちもするね。」お姉さんの声が聞こえて戸惑っていると「ふっ」とまた耳に息を吹きかけられた。
「っ!」声が出ないように口を閉じて耐えるが、震えは止められない。「ふっ」「っあ」再び吹きかけられて耐えきれずに息が漏れる。

 両耳からゾワゾワとくすぐったさの余韻を感じながら興奮してしまう。お姉さんは構わずに鏡の方に歩いていき、カチャカチャと何かを溶く音が聞こえてくる。
 彼女は今僕に背中を向けているのでその大きなお尻が見える。ジーンズがパツパツに張っていて、中にある尻肉のボリュームが想像できてしまう。
 カチャ と音が途切れて彼女が振り向いた。
「耳の周りシェービングするね。」
「…はい。」
 何も考えられずに返事だけしてしまう。

 彼女は太い筆のようなもので僕の右耳にクリームのようなものを塗っていく。耳の周りが生温かいもので包まれていく。頭の中に耳を舐められる光景が唐突に浮かんでくる。クリームが小さく ヌチャヌチャ と音を立てながら塗られていく。
 クリームを塗り終え、彼女は剃刀を持ち空いてる方の手で僕の頭を掴む。
「刃物だから、動かないようにしてね。」
「あっはい。」
 心地よさと興奮でボーッとしていたが急に意識がはっきりした。

 姿勢を正して鏡を見ると真面目な表情で僕の耳を見ているお姉さん。彼女は剃刀で僕の生毛を剃っていく。くすぐったいが動かないように我慢して鏡の中の彼女を見続ける。やがて右耳が終わると反対側に周り左耳も同じようにシェービングされる。その間ずっと彼女を見続けることで耐え切った。
 彼女は剃刀とクリームを置くと正面から僕の首に手を回してカットクロスの留め具を外す。胸が一瞬顔に触れて気持ちよかった。

 クロスを畳むと椅子の横にあるバーにかける。彼女はそのまま鏡の前に移動する。今日何度も見ているが大きい尻から目が離せない。尻を凝視していると彼女は洗面台のシャワーから水を出して手にかけている。その内水はお湯に変わったようで少し湯気が立ち始めた。
「じゃあ頭洗うから、ここに手ついてくださいね。」
「はい。」
 言われるがまま体を前に倒して手を突き洗面台の上に頭を突き出す。

「お湯かけていきますね。」
「あっはい。」
 ちょうどいい温度のぬるま湯が頭にかかってきて気持ちいい。彼女の指が髪をかき分けていく。目を開けると短い無数の髪の毛が白い洗面台を流れていく。
 この歳になると人に頭を洗われる機会なんて中々ない、しかもこんな美人に洗ってもらえることなんて一生に何回もないだろう。幸運と嬉しさを感じているとシャワーが止まった。

「シャンプーしていきますね。」
「…あっはい。」
 僕が答えると再び彼女の手が頭に触れる。両手で優しく髪が洗われていく。泡が立つにつれて甘くていい匂いが広がっていく。
「いい匂いが、します。」
 心地よさを感じて思わず声が出た。
「そう?良かった。このシャンプーお気に入りで私も使ってるの。」
 えっ?同じシャンプーということはこの匂いはお姉さんの髪の匂いと同じ?
 
 髪の間を隙間なく泡が埋めていき、彼女の指が髪を掻き分けて頭皮を擦る。泡が頬を伝って洗面台に落ちていく。
 段々と指の力が強くなってくる。優しく洗われるのも気持ちよかったが、少し強めにされるのも雑に扱われる感じがしていい。そのまましばらくゴシゴシと洗われる。
「流しますね。」
「あっ、はい。」
 シャワーから出たお湯で泡が流されていく。彼女の指が髪をワシャワシャと掻き混ぜて隙間にある泡を掻き出していく。ああ、この幸せな時間が終わってしまう。

 シャワーが止まった。

 
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