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タクシー運転手さんとの出会い
ラーメンを食う
しおりを挟む「「いただきます。」」
手を合わせてから2人でチャーシュー麺を食べ始める。最初にレンゲでスープを飲むと魚介の濃厚な味が口の中に広がった。息を吐き麺を啜ると太めの縮れ麺に濃いスープがからんで麺本来の小麦の味とスープが調和している。非常に美味しい。
飲み込んで正面を向くと、豪快に麺を啜る美人が見える。気持ちよさすら感じる食べっぷりだが下品な感じは一切ない。吸い込まれた麺が当たる度に唇が僅かに震えて、その柔らかさが想像できる。ボーッと見ていると横髪が彼女の頬に垂れてくる。彼女の白い指が耳にかけて円を描くように頬を撫でた。
髪を耳の上にかけるタイミングで見られていることに気付いたらしい、目が合った。お手拭きで口元を隠して咀嚼を続ける。
「どうですか?」
「…はい。美味しいです。良いお店を教えてくれてありがとうございます。」
「それは良かった。」
彼女は微笑んでから食事を再開する。僕も正面をチラチラ見ながらほぼ減っていない自分のチャーシュー麺に手を付ける。
目の前のチャーシュー麺に集中したいのに彼女が気になってしょうがない。
柔らかそうな唇をチラチラ見てしまう。彼女は水を飲むときに一度唇を指で拭っておしぼりで拭いてからコップに口を付ける。白い指が赤い唇の上をなぞり、汚れをおしぼりで拭く。その後唇がコップに触れてその形を歪ませる。日常に起こる当たり前の行動なのにひとつひとつの動作に艶かしさを感じる。食べ進める内に暑くなったのか額と首筋に汗が浮かんでより一層色っぽく見える。
下半身が疼いてきてしまうがこんな場所で勃起するのは最低だと自分に言い聞かせて何とか麺を口に運ぶ。
「ふぅー、暑くなってきちゃいますね。」
手で顔を仰ぎながら彼女はスーツのボタンを外した。これから起こることが予想できて彼女を凝視してしまう。
「ちょっと失礼して、上着脱がせてもらいますね。」
「…あっど、どうぞ。」
スーツに手をかけたまま目配せされたので一応答えるが少し挙動が変だったかもしれない。
「よっ、……ふぅ。」
体をくねらせながら脱ぐせいで、強調された胸が左右にふるふると揺れる。上着を脱ぐと白いワイシャツ姿になる。ブラジャーが透けてるわけでもなく、ただ1枚上着を脱いだだけなのに興奮してしまう。また食べる速度が遅くなる。
「はー、美味しかった。ごちそうさまでした。」
行儀良く手を合わせた後に彼女はハンカチを取り出した。そのまま汗が浮かぶ首元を拭いていく。顔を動かして拭いているので、角度が変わる度に汗で濡れた彼女の首筋が見える。顎から首にかかるラインなどの普段は見えない部分が見える、それだけで目が離せない。
胸元の方を拭くときには鎖骨がチラチラと見える。もう少し下にいけば胸の谷間が見えるはず。そこまで拭くことなんてないと分かっているのにソワソワして見てしまう。
勃ったら最低。そう思いながら自分のラーメンになんとか集中する。
「ご馳走様でした。待たせてすみません。」
「いえ、お客様のペースで今日は過ごしていただけたら」
何とか完食して手を合わせる。食べ進める間も彼女の姿がチラついて途中からあまり味が分からなかった。
「この後、行きたい場所などはございますか?」
「いえ、運転手さんのおすすめの場所を教えてもらえればと思ってます。」
一息吐いて落ち着いたところで予定を話し合う。といっても行きたい場所なんて思いつかない。
「では美術館に行ってから海でも見に行きましょうか。」
「いいですね。それでお願いします。」
「かしこまりました。…すみません少しお手洗いに行ってきます。」
「あっはい。どーぞどーぞ。」
上着を着てからトイレに向かう彼女の後ろ姿。当然のように目線の先には大きな尻。自分が座っていることもあってよく見える。パンツスーツが足の動きに合わせてシワになったり張ったりする。すぐに見えなくなったが一生忘れることはないだろう。
「お待たせしました。」
「いえいえではこの後もお願いします。」
「はい。お任せください。」
戻った彼女の唇には口紅が塗られていた。食事前は気にしなかったのにやたらと気になってしまう。彼女の後ろに付いて出口まで歩く、もちろん大きな尻を見下ろしながら。さっきより距離が近いせいかその大きさがよく分かる。手を伸ばせば届く位置にある魅力的な尻。歩く度に形を歪ませて尻肉が揺れている。その様子から目を離せない。
駐車場に着きポケットから鍵を取り出そうとするが彼女の手から溢れてしまった。
「よいしょっと」
彼女が屈んで鍵を拾おうとするときに、尻がその存在をこれでもかと主張している。強調される尻肉によりスーツの尻部分のシワが全てなくなりその形が分かった。一瞬のことだが見逃さなかった。俺も思わず前屈みになってしまい、尻との距離が僅かに近くなる。ああ、このままこのデカい尻を掴んで後ろから突きたい。妄想が捗っているとタクシーの鍵はすでに開けられていた。
「どうされたんですか?」
「いえ何も。」
俺は何とか背筋を伸ばし、歩幅を小さくしてタクシーに乗り込んだ。
シートベルトを付けて気を落ち着かせる。まだ先ほどの前屈みデカ尻の光景が脳裏から離れない。座席で見えないのにその奥の尻を想像して目線が向いてしまう。
「お客さんガムいりますか?」
「あっはい、貰います。ありがとうございます。」
口臭防止もあるのだろう、キシリトール入りのガムを受け取る。噛みはじめると口の中がスースーする。
「では美術館に向けて出発しますね。」
「はい。お願いします。」
タクシーが動き出し、斜め前を見ると彼女もガムを噛んでいた。動く頬を見ているとふと思った。同じチャーシュー麺を食べて、同じガムで口直ししている、俺と彼女の口の中はほぼ同じなのでは?
気持ち悪いことを想像しながらタクシーに揺られていく。
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