7 / 9
ナナ
しおりを挟む
しばらくすれば担任の松澤先生が教室に入ってきた。話の内容は昨日とまったく同じだったが、一つだけ違うことがあった。
「今日の欠席は鈴木で永井は遅刻だそうだ」
あの二人が学校に来ていないこと。
できることなら昨日の状況を本人達から聞いておきたいが、精神的な問題があるのだろう。
最悪朝霧さんがいれば話しも聞けるし特に焦ることもないはずだ。
その後は恐ろしいほどに昨日と同じだった。授業に至っても既に教えてもらっている内容でつまらなかったし、唯一楽しかったことといえば昼食を佐藤さんと朝霧さんの両名ととったことだろう。
その後、5時間目に永井が到着。よっぽど昨夜の出来事が恐ろしかったのか、おれに絡むこともなく静かでおとなしかった。
だがそれはおれにとって好都合のことで、思惑通り永井から話を聞き込めた。結果は朝霧さんと言っていることがほとんど同じで、これといった情報という情報はなかった。
■ ■ ■
「おい永井、放課後時間いいか?」
「……ああ」
とうとう放課後になり、おれは本格的に昨夜の話をしなければと焦っていた。
今日も昨日と同じように寝て、まったく問題なく明日を迎えられればいいが、おれ達にはこれで終わりじゃないという確信にも似た何かがあった。
昨日と同じように公園で佐藤さん達を待つ。昨日と違うのは優斗がいるかいないか、だけどそれだけで空気がこんなにも悪くなるとは思わなかった。
ただただ沈黙。ひたすらに、意地でも張っているのかと疑いたくなるほどに、空気が重くまるで身体中にへばりついているようだった。
「……なぁ猫屋敷。お前……怖くねぇのか?」
そんな会話一つなかった空気も永井がすぐに壊してくれた。ただし明るい話というわけでもない。
「……怖いに決まってるだろ。……ただおれは強がってるだけだ」
おれの正直な気持ちだった。本当なら今すぐにでもどこか遠くへ逃げ出したい。情けないことにそんなことを思ってしまう。
「……そうか……朝霧のやつ、怒ってたろ?」
「お前の事をどうこうは言ってなかったぞ?」
「……あいつのおれを見る目が……ゴミを見るようだった……」
公園の木でできたベンチに腰掛けてる永井は後悔しているのか、両手を握りしめていた。
確かに冷静になって考えればそうだろう。朝霧さんが永井を、そして優斗をよく思わないのも頷けてしまう。
あの夜どんな結果であれ永井と優斗は佐藤さんを見捨てたのだ。聞こえなかったなんて言い訳は朝霧さんを逆上させてしまうだけだし、これから先の事を考えればおれ達の関係を修復していくことも考えなければならないだろう。
「……とりあえずは佐藤さんに謝るしかないだろう。……許してくれるにしろくれないにしろ謝らなければならないのはお前だってわかるだろ?」
「……そうだな。謝んねぇと」
ちょうどその時昨日と同じような足音が聞こえてきた。それだけで走ってることがわかって、彼女達もこの問題に協力的なことは理解できた。
「おまたせ! ごめんね待たせちゃって」
「いや、問題ない。それよりも早速昨夜のことについて議論しよう」
おれの言葉を皮切りに話し合いが始まった。
「今日の欠席は鈴木で永井は遅刻だそうだ」
あの二人が学校に来ていないこと。
できることなら昨日の状況を本人達から聞いておきたいが、精神的な問題があるのだろう。
最悪朝霧さんがいれば話しも聞けるし特に焦ることもないはずだ。
その後は恐ろしいほどに昨日と同じだった。授業に至っても既に教えてもらっている内容でつまらなかったし、唯一楽しかったことといえば昼食を佐藤さんと朝霧さんの両名ととったことだろう。
その後、5時間目に永井が到着。よっぽど昨夜の出来事が恐ろしかったのか、おれに絡むこともなく静かでおとなしかった。
だがそれはおれにとって好都合のことで、思惑通り永井から話を聞き込めた。結果は朝霧さんと言っていることがほとんど同じで、これといった情報という情報はなかった。
■ ■ ■
「おい永井、放課後時間いいか?」
「……ああ」
とうとう放課後になり、おれは本格的に昨夜の話をしなければと焦っていた。
今日も昨日と同じように寝て、まったく問題なく明日を迎えられればいいが、おれ達にはこれで終わりじゃないという確信にも似た何かがあった。
昨日と同じように公園で佐藤さん達を待つ。昨日と違うのは優斗がいるかいないか、だけどそれだけで空気がこんなにも悪くなるとは思わなかった。
ただただ沈黙。ひたすらに、意地でも張っているのかと疑いたくなるほどに、空気が重くまるで身体中にへばりついているようだった。
「……なぁ猫屋敷。お前……怖くねぇのか?」
そんな会話一つなかった空気も永井がすぐに壊してくれた。ただし明るい話というわけでもない。
「……怖いに決まってるだろ。……ただおれは強がってるだけだ」
おれの正直な気持ちだった。本当なら今すぐにでもどこか遠くへ逃げ出したい。情けないことにそんなことを思ってしまう。
「……そうか……朝霧のやつ、怒ってたろ?」
「お前の事をどうこうは言ってなかったぞ?」
「……あいつのおれを見る目が……ゴミを見るようだった……」
公園の木でできたベンチに腰掛けてる永井は後悔しているのか、両手を握りしめていた。
確かに冷静になって考えればそうだろう。朝霧さんが永井を、そして優斗をよく思わないのも頷けてしまう。
あの夜どんな結果であれ永井と優斗は佐藤さんを見捨てたのだ。聞こえなかったなんて言い訳は朝霧さんを逆上させてしまうだけだし、これから先の事を考えればおれ達の関係を修復していくことも考えなければならないだろう。
「……とりあえずは佐藤さんに謝るしかないだろう。……許してくれるにしろくれないにしろ謝らなければならないのはお前だってわかるだろ?」
「……そうだな。謝んねぇと」
ちょうどその時昨日と同じような足音が聞こえてきた。それだけで走ってることがわかって、彼女達もこの問題に協力的なことは理解できた。
「おまたせ! ごめんね待たせちゃって」
「いや、問題ない。それよりも早速昨夜のことについて議論しよう」
おれの言葉を皮切りに話し合いが始まった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる