勇者パーティーが落ちぶれて、こんどは私が楽しむ番!

シマセイ

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第10話:旅の終わりと新たな始まり

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スカイリムの町での祭りを満喫したアリシア一行は、旅の最終目的地「ソルティアの都」へ向かっていた。
馬車が平原を抜け、遠くに白い城壁が見えてきた。
アリシアは荷台で魔導書を閉じ、テオとミナに笑顔で言う。

「ソルティアに着いたら、旅も一区切りだね。2人とも強くなったよ」

テオが剣を手に持って目を輝かせる。

「アリシアさんのおかげです! 僕、もっと冒険したい!」

ミナが小さな光を指先で浮かべて頷く。

「私も…アリシアと一緒なら楽しい」

リドリーが馬を操りながら笑う。

「アリシアちゃん、ソルティアは平和な都だよ。旅の締めくくりにふさわしいね」

「うん、みんなで楽しんで終わるよ。最高の旅だったね」

アリシアが風に揺れる金髪を押さえながら笑った。

都に着くと、街は花と緑で飾られ、穏やかな空気が流れていた。
アリシアたちは馬車を降り、広場で最後の買い物を楽しんでた。
テオが果物を手に持つと、ミナが小さな魔法で風船を浮かべて遊ぶ。
アリシアはリンゴをかじりながら見守ってた。
そこへ、衛兵が近づいてきた。

「旅の方々、都の広場で特別な催しがあります。参加しませんか?」

話を聞くと、ソルティアでは年に一度、旅人や冒険者が集まって功績を称える「旅人の祭り」が開催されるらしい。
アリシアがニコッと笑う。

「面白そうじゃん。よし、みんなで行こう!」

広場に着くと、色とりどりのテントと楽団の音楽で賑わってた。
衛兵がアリシアたちを祭りの主催者に紹介し、これまでの旅の話を聞かせてほしいと頼まれた。アリシアが気軽に頷く。

「いいよ。仲間と旅した話なら、いっぱいあるからね」

壇上でアリシアが話し出すと、テオとミナが横で補足しながら笑う。
ゴブリン退治、魔法船の救出、遺跡の試練——明るい口調で語るアリシアに、観客が拍手と笑顔で応えた。

「そんなすごい旅なのに、気取らないなんて素敵だね!」

町民が感心すると、アリシアが笑う。

「気取るの面倒だし、楽しく生きるのが一番だよ!」

祭りの最後には、参加者に感謝の証として小さなメダルが贈られた。
アリシア、テオ、ミナ、リドリーの4人分だ。アリシアがメダルを手に持って言う。

「これ、旅の思い出だね。みんなで頑張った証だよ」

テオとミナが目を輝かせ、リドリーが頷く。

「アリシアちゃんのおかげで、俺も楽しい旅ができたよ」

その頃、勇者パーティーはソルティアの都に辿り着いていた。
泥だらけの服はなんとか洗い、
レオン、リリア、ガルド、ミレーユの4人は、祭りの噂を聞いて広場にやってきた。アリシアの話を聞いて、レオンが呟く。

「アリシア…あんなに楽しそうに生きてるのか…」

リリアがため息をつく。

「私たち、間違ってたわね…」

ガルドがボソッと言う。

「謝るしかねぇよ…もう限界だ」

ミレーユが髪をかき上げて呟く。

「謝るなんて…恥ずかしいけど…仕方ないわね」

4人は意を決して、アリシアの前に立つ。レオンが頭を下げた。

「アリシア…ごめん。僕たちが悪かった。君の力が必要だったんだ…」

リリアが続ける。

「追放したこと、後悔してるわ。本当にごめんなさい」

ガルドとミレーユも小さく頷きながら謝る。
アリシアはリンゴをかじり終えて、笑顔で言う。

「ふーん、まぁいいよ。謝られても私、別に怒ってないし。楽しければそれでいいじゃん」

4人が驚いて顔を上げると、アリシアが続ける。

「でもさ、君たちも楽しそうじゃないよね。魔王討伐ばっかりじゃなくて、もっと気楽に生きなよ」

レオンが苦笑いする。

「確かに…僕たち、必死すぎたのかもな」
リリアが頷く。

「少し…肩の力抜いてみるわ」

アリシアが笑う。

「よし、じゃあ祭り楽しんでいきなよ。美味しいものいっぱいあるから!」

4人は少し戸惑いながらも、屋台で果物や菓子を買って食べ始めた。ミレーユが呟く。

「意外と…美味しいわね」

ガルドが笑う。

「たまにはこういうのもいいな」

レオンとリリアも笑顔で頷き、祭りの雰囲気に溶け込んでいった。

祭りの最後、花火が夜空に打ち上がった。アリシアはテオ、ミナ、リドリーと一緒に空を見上げる。

「綺麗だね。旅の終わりって感じだよ」

テオが言う。

「でも、アリシアさんとまた旅したいです!」

ミナが頷く。

「私も…ずっと一緒にいたい」

アリシアが2人を抱き寄せる。

「うん、また一緒に冒険しようね。私も楽しみだよ」

リドリーが笑う。

「俺も次はもっと儲けるよ。アリシアちゃんとなら楽しい旅になるね」

花火が終わり、アリシアは広場を見渡した。
勇者パーティーは町民と話しながら笑ってる。
テオとミナは新しい魔法を試して遊び、リドリーは商売仲間と談笑してる。みんなが楽しそうで、アリシアは満足そうに頷いた。

「みんな幸せそうで良かった。私の旅、これで終わりだけど——」

アリシアはメダルを手に持って笑う。

「次はもっと楽しい旅にしようね」
遠くで、勇者パーティーも花火の余韻に浸ってた。
レオンが呟く。

「アリシアのおかげで…少し楽になれたよ」
リリアが笑う。

「また会えたら…今度は友達としてね」
4人は新しい気持ちで、都の夜を歩き出した。

アリシアは仲間たちと手を繋ぎ、ソルティアの都を後にした。

旅は終わり、新しい始まりが待っている。

彼女の笑顔は、星空の下で輝いていた。

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