最強村長の無双日記

第14話：村長、魔王の部下を迎える

モロコシ村の昼下がりは、影狼団との戦いの後、さらに活気づいていた。
畑では元刺客たちが「芋の収穫、今年は豊作だぜ」と笑い合い、トゲちゃんがガゾルにじゃれついて「やめろって！トゲが！」と逃げ回る。

ミナは魔力の練習で小さな竜を呼び出し、「トゲちゃんとお友達だよ！」と笑う。
チビはナイフを手に素早い動きを披露し、「俺、ジジイより速くなったっすよ！」と自慢。トビーは畑の隅で「胃が平和で…幸せです…」と芋を眺めていた。
  
ガルドは広場のボロボロの椅子に座り、芋をかじりながら半分寝ている。  
（ガキどもが調子乗ってんな。まぁ、村が賑やかで悪くねぇか）  

その時、森の奥から軽い足音が近づいてきた。村人たちが「何だ？」「また魔物？」とざわつく中、ガルドが鼻をクンクンと動かした。  
「おや、こりゃゴルザードの臭いだな。だが、奴じゃねぇみたいだ」  

トビーが駆けてきて叫んだ。「村長さーん！森から誰か来ます！胃が少し痛いです！」  
「うるせぇな、トビー。お前は胃さえ黙ってりゃ英雄だぞ」  
ガルドがニヤリと笑う中、森から二つの影が現れた。


現れたのは、ゴルザードの部下二人だった。一人は細身の魔術師風の女、「炎術師リリス」。赤いローブに身を包み、杖から小さな火花がチリチリと散る。もう一人は巨漢の戦士、「岩盾バルグ」。鎧代わりの岩のような皮膚を持ち、巨大な盾を背負っている。二人とも魔王軍の紋章を胸に刻んでいた。  

リリスが声を上げた。「我らは魔王ゴルザード様の使者だ！この村のガルドという老人に会いに来た！」  
バルグが低く唸る。「ゴルザード様が言ってた。『ガルドに芋を届けろ』ってな」  

村人たちが「えぇぇ！？」「魔王の部下が！？」と驚く。トビーが「胃が…またヤバいです…」と蹲り、チビが「ジジイ、魔王の友達ってマジっすね！」と笑う。ミナが「芋持ってきたんですか？」と目を輝かせ、ガゾルが「俺の同僚か…懐かしいな」と呟く。  

ガルドが杖をついて立ち上がり、眠そうな声で言った。  
「お前らなぁ、ゴルザードの使いっ走りか。芋ならトビーのがあるから持って帰れよ」  

「僕の芋がぁ！？」  
トビーが叫ぶ中、リリスが杖を構えた。「貴様がガルドか！ゴルザード様が『強いジジイだ』と言ってたが、ただの老人に見えるな！」  

バルグが盾を地面に叩きつけ、「試してみるか？」と笑う。ガルドがニヤリと返す。  
「ほう、ゴルザードみたいに喧嘩売る気か？なら相手してやるわい」  


リリスが「くらえ！」と杖を振ると、炎の矢がガルドに向かって飛んだ。だが、彼は杖を軽く振る。  
「シュゥゥ！」

炎が消え、リリスのローブの裾がチリチリと焦げた。  
「何！？私の炎が！？」  
「お前なぁ、火が弱すぎるぞ。ゴルザードの昔の炎の方が熱かったわい」  

バルグが「なら俺だ！」と盾を振り回して突進。ガルドはヨタヨタと避け――また木にぶつかった。  
「ガンッ！」
「いてぇ！この木、毎回邪魔しやがる！」  

チビが「ジジイ、またっすか！？」と爆笑し、ミナが「村長さん、大丈夫？」と心配する。バルグが「隙あり！」と盾を叩きつけるが、ガルドが杖で軽く受け止めた。  
「ガキンッ！」
盾がひしゃげ、バルグが「何！？」と呆然。  

ミナが「私もやるよ！」と杖を振ると、トゲちゃんが「グルル！」と飛び出し、棘をリリスに飛ばす。
リリスが炎で防ぐが、チビが「今っす！」と素早く背後に回り、ナイフでローブを切った。  
「うわっ！私の新品ローブが！」  
ガゾルが「俺もだ！」と鉄腕でバルグを殴り、  
「ガンッ！」
バルグがよろける。村人たちが「ミナちゃんすごい！」「チビもやるね！」と応援し、トビーが「胃が…でも勝てそう…」と呟く。

ガルドが笑った。  
「お前ら、ゴルザードの部下ならもっと頑張れよ。昔は俺とあいつで――」  
「またそれかよ！」  
チビとトビのツッコミが重なった。


リリスとバルグが息を切らし、杖と盾を下ろした。「貴様…確かにゴルザード様が言う通り強いな…」  
ガルドがニヤリと笑う。「なぁに、お前らも悪くねぇ。ゴルザードに言っとけ。芋は美味かったってな」  

バルグが背負っていた袋を差し出し、「これ、ゴルザード様からの芋だ。持ってけ」と言う。トビーが「僕の芋じゃない！やったぁ！」と喜び、ミナが「魔王さんの芋、食べてみたいです！」と笑う。  

リリスが「貴様の弟子たちもやるな。ゴルザード様に報告するぞ」と認め、バルグが「また勝負したいぜ」と笑った。ガルドが杖を肩に担ぐ。  
「次はゴルザード連れてこい。芋掘りで勝負してやるわい」  
村人たちが「魔王とまた！？」「楽しそう！」と盛り上がった。


夜、広場で宴が開かれた。焚き火を囲み、ゴルザードの芋と村の芋が並ぶ。リリスが「この芋、意外と美味いな」と食べ、バルグが「村の飯、悪くねぇぜ」と頬張る。

チビが「魔王の部下と飯食うとか最高っす！」と興奮し、ミナが「また来てくださいね！」と笑う。
トビーが「胃が幸せです…魔王の芋ってすごい…」と呟き、ガゾルが「昔の仲間とまた会えるなんてな」と感慨深げだ。  

ガルドは芋をかじりながら独白する。  
（ったく、ゴルザードの奴、部下まで送ってくるとか賑やかだな。昔みたいで悪くねぇか）  
リリスが「ゴルザード様が言ってた。『ガルドには負けん』ってな」と笑い、バルグが「次は俺が勝つぜ」と意気込む。

ガルドがニヤリと返す。  
「ほう、なら鍛えてこい。お前らじゃまだ俺の弟子にも勝てねぇぞ」  
「またそれかよ！」  
チビとトビのツッコミに、村と使者が笑いに包まれた。星空の下、村は新たな交流でさらに発展していた。