鈍色の空と四十肩

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52 ー誕生日のリクエストー

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 譲治は2日間の出禁明け、定時で仕事を上がってすぐに依子のアパートに来るなり、依子を抱きしめる。
 依子は譲治のそんな行動を予想していたので、抱きしめられながら、ヨシヨシと背中をぽんぽん、と叩く。

 依子の首に顔を埋めながら、苦しそうな声で譲治が言う。
「あなたに会いたくて死にそうだった。」
 そして激しく依子の唇を奪う。
 顔中に、首筋に、耳に、唇を這わせ甘噛みしては、また唇に戻る。
 依子の舌を吸い口の中を撫でさする。

 合間に依子も言う。
「私もよ。あなたのことばかり考えて、仕事するのも必死だった。」
「じゃあ、呼んでくれればいいのに...」
「ますます仕事が手につかなかくなっちゃう...」

 2人とも、今やお互いへの渇望が激しすぎて、日常生活に支障をきたしているのを自覚しているので、ある程度強制的に距離を置く必要があることは、理解している。
 だが会えない時間は身を引き裂かれるようにつらい。

 依子の唇はいつにも増して、積極的で熱く、手は譲治の胸を撫でさすっている。譲治は、依子も自分と同じように激しく求めてくれているのがわかって、うれしくて仕方なかった。
 依子が譲治の手を引っ張って足早に寝室へ連れて行く。
 ベッドサイドで急いでコートを脱がせて、譲治をベッドの上に誘った。
 お互いに座ったまま服を脱がせあう。下着だけ残したまま、依子は譲治をベッドに押して寝かせて自分はその上にまたがり、上から譲治を見下ろした。

「待っていてくれたの?」
 譲治が聞く。
「すごく...つらかった。 私、譲治くんが喜ぶのが見たい。 そういうのはイヤ?」
 依子が切なげに問う。
「すごく興奮する。」
 譲治は声が上擦るのを止められなかった。
 それを聞いて依子が動き始める。

 依子は身体を倒して、譲治の顔中にキスをし、首から肩、それぞれの腕を順番に持って、筋肉の形を辿るように、唇を滑らせ、手の指までキスをし、親指を口に含んで舐めた。
 譲治の昂りがその口に含まれた光景を思い出して、ばくん、と譲治の心臓は跳ねる。
 それから胸、乳首、腹筋、腰骨と辿って、太もも、その内側。
 依子が譲治のボクサーパンツを下ろして、ついにその昂りにキスし始めた時は、もう額から汗が出ていた。

 依子は前にシャワーの下でした時よりさらに念入りに、譲治のがちがちな分身を愛撫する。
 全体にキスして、舐め、唇の当たっていない部分を手で優しく、たまに強く扱く。そして、両手で握って、先端の丸みを口に咥えた。
 口の中で、舌で擦り、舐め回し、喉の奥まで飲み込んでは、口内を狭めながら絶妙な締め付けで出し入れする。
 その間ずっと、飲み込めない部分を手でしごいている。

 譲治は依子の頭を両手でつかみ、髪を掻き回し、自分の昂りで膨らんだ依子の頬のラインをさする。
 もううめき声がさっきからずっと抑えられない。
「うっ...く...依子さん、依子さん...いやらしすぎるよ...そんなにしたらすぐ出ちゃう...」

 依子は譲治のものを舐め扱く間にくぐもった声で言う。
「ダメ。我慢して。ギリギリまで。」
 無茶苦茶を言う。
「依子さん、おねがいだ、もう」
 依子は仕方ない、というふうに、濡れた唇を舐めながら、体を起こす。

「依子さんにさわりたい..僕も...」
 譲治は懇願する。
「だめ。ねえ、私の中だけ感じて。譲治くんのここだけで、私がどんなに熱くなってるか、どんなに奥の方で譲治くんを待っていたか、感じて...」
 囁くように依子は言うと、ブラとショーツを着たまま、譲治の昂りに自らの襞のあたりを擦りつける。
 そして、腹にくっつくほど立ち上がっている譲治の昂りを手で優しく起こして、ショーツのクロッチ部分を自らの手で脇にずらしそこに充てる。
 依子は立ち膝になって、自分の襞の間に譲治の昂りをあて、先端の丸みだけぐぷり、と潜り込ませる。
「は...」
 依子がため息を漏らす。
 譲治はそんな依子のやることを一瞬も見逃すまいと瞬きもせず見つめる。
 両手は依子の太ももを支えて、必死で動かさないよう堪えている。

 依子は、譲治の先端だけ膣の入り口に咥えたまま、上半身を倒して、胸に手をつき、譲治の目を見て顔を近づける。
「私を見ていて。
 譲治くんを、一番奥まで迎える瞬間の私を見ていて...私がどんなにあなたを欲しがっているか見ていて...」
 呪文のようにそう呟くと、信じられないくらいゆっくり腰を落としていった。

「あっ、はあっ、ああ...」
 依子は喘ぎながら、辛そうに顔を歪めながら、でも瞳だけは譲治の目を見つめたまま、最奥まで譲治を収めた。
 譲治はそれに合わせて、上半身を起こし、座位の体制になる。するとさらに自重で、依子は深く深く譲治を収められたのだった。

 依子に対しては前戯も何もしていないのに、一度解き放った後かのように、最初からぐずぐずに熱く溶け切っていた。
 自分の分身が燃やされてしまいそうな感覚だった。
 譲治は頭がおかしくなりそうだった。
 下着を着たままの依子が、深く自分をその中に収めていく様子は、あまりにも淫靡で。

「ダメだ。もう。耐えられない。」
 そう言って譲治は性急に依子を押し倒し、歯を食いしばって一度自らを抜き、依子のショーツを取り払って、すぐ収め直す。
 そして依子の両足を肩に担いで、真上から激しく突き込み始めた。
「あんっ、あんっ、あんっ...!」
 依子は悲鳴を上げる。

「あなたは..まるで、悪魔みたいだ、美しい、いやらしい悪魔...僕は気が狂いそうだ」
 激しく突きながら、譲治が切れ切れに言う。
「ぐっ..!」
 そして唐突に放出を迎える。
 白濁を出している間も、依子の最奥を突き続けて、終わったら、すぐさま、そのまま依子をひっくり返し背後をとる。
 2日ぶりに大量に出したにも関わらず全く萎えず、すぐさま背後からまた激しく突き始める。
 依子のお尻が打ち付けられ、ばん、ばん、と肉の音がする。
 赤く染まってきた依子のお尻と、それが譲治の打ち込みでぐにぐにと形を変える様子にまた興奮してしまう。
 譲治の激しい攻撃に依子はずっと叫びっぱなしだ。

 ふと激しい動きが止まり、ゆるゆると優しくなる。
 譲治は前に手を回して、依子の花芽を探し当てる。
 譲治を咥え込んでいる襞をぐるりと撫で、小さな花芽に指を充てる。
 優しく震えるように擦る。そうしながら、自らの昂りをずるずるずる、と奥へ奥へとゆっくり進ませる。
 空いている手で依子の腰を固定して、力をかけてさらに奥へ突いていく。

 こつり、と突き当たりに、先端が当たった。
 そしてまた激しめの動きでぐりぐりと回し捏ねては、ごちゅごちゅと子宮口をいじめにかかる。
 依子はもう悲鳴をあげすぎて掠れ声だが、声を止められない。
 上半身は突っ伏してお尻だけ高く上がっている状態だ。
「ああっ、ああ、ああっ..譲治くん、もうだめ、もうだめ、なにかきちゃう...だめになっちゃう...」
 依子が切羽詰まった泣き声で言う。
「いいよ、いって...僕ので..いって、い、け...」
 そして今までで一番深い位置かと思うような、依子の子宮口に先端をぎゅうううと押し付けた。
「いやああっっ....!」
 依子は叫び声をあげて果てた。
 信じられないほど過激に依子の膣壁が、譲治を搾り上げてくる。
 奥へ奥へと誘う蠕動と、螺旋状に絞り上げる動きと、内壁の凸凹の各々の動きと。
 譲治も耐えられず、もう一度数回激しく往復させた後に、子宮口に白濁を浴びせかけた。その奥の子宮に直接流れ込ませようと。

ーーー

 2人はスプーン型に折り重なって横になっている。まだ繋がったままだ。
 例によって激しすぎて、しばらく意識を手放していた。
 依子のお腹に回されていた譲治の手を、上から撫でながら依子が囁くように言う。

「ねえ...なんだか、信じられないの。毎回、どんどん良くなるの。」
 譲治は依子の肩にキスをしながら静かに聞いている。
「譲治くんがね、私の今まで知らなかったような、一番奥に来るの。
 熱くて、譲治くんと境目がないような。」
 依子は譲治の手を取って自分の下腹部に重ねて、さする。
「...ここが。 譲治くんと溶け合って、混じり合ってしまいたい...あなたに取り込まれてしまいたい...」

 譲治は後ろから依子の体を抱きしめ、片手は下腹部を弄る。
 指を依子の花芽に充てて、優しく震わせる。
 まだ入ったままの自分自身を、依子に味わわせるように、ゆっくりじっくりと腰を回して動かす。
「僕も、まったく同じことを思っていました。
 このまま一緒に溶け合って、どろどろに...」
だんだん腰の動きを大きくしていく。

「さっき、イヤじゃなかった?」
 依子は、はあはあ、と喘ぎ始めている。
「なぜ? 最高だった。僕自身で、あなたの中の熱さだけを感じて。
 死ぬほどいやらしくて、あなたに搾り取られる気分だった。 またやってください。」
 くす、と依子は笑った。
 
 そうして2人はまた静かに上り詰める。
 この後、衣服を全部脱いで正面からもう一度。
 結局依子は足腰が立たなくなり、譲治が、依子が作っていたロールキャベツをメインに、適当に食事の支度をして、甲斐甲斐しく世話をするのだった。
 実のところ譲治の膝も笑っていたのだが、それは内緒にすることにした。

ーーー

 ぐったりしながら依子が言う。
「出禁期間を設けるのは逆効果かもしれないわね。
 溜まっていたものが爆発しちゃって。」
「...本当にすみません。いくらなんでもやりすぎでした。
 自分でもこんなに体力のあるやつだとは全く思っておらず。
 でも、依子さんを見ると、あんまり艶かしいから、際限なく勃っちゃうんです。」
「...どうしたらいいんだか...」
 依子は目をつぶる。

「この際、しばらく一緒に住んで、朝昼晩の休憩の度に3回ずつ消化していったらどうですかね。
 そしたら一日9回もできるし、義務的にしたらそのうち飽きるかも。」
 譲治はご機嫌でそう言う。
「...」
 依子は無言で呆れている。
 譲治は内心、今自分で言ったことを真剣に考え始めた。
 そうか、いい考えだ。一緒に住むか。

「あ、そうだ。斉藤さんから聞きましたが、依子さん今月誕生日なんですか?
僕も来週なんです。」
「えっ?!そうなの? 早く言ってよ! お祝いしなきゃ。
 私のは別にいいや、というかむしろ忘れていたい。プレゼント何がいい?」
「いや、別になにも。いつも美味しいものご馳走になってるし。
 依子さんの体を好きにし放題だし。依子さんのリクエスト教えてくださいよ。
あっ、でもありました。リクエスト。」
「なになに? なんでも言って。」
「依子さんの1日を僕にください。
 一日中、あなたの時間を拘束して、一緒に過ごしたい。」
 普段は割と無表情気味の譲治がキラキラした目で言う。

 こりゃ、回数制限をかけないといかんかな、と依子は思い始めた。

 譲治は、何もない空中を見て考えごとをしている依子を見て、きっと回数制限を設けよう、とか思ってるんだろうな、と推測したが、回数を減らしたらその分一回が長くなるだけなんだよね、と思っている。
 2人は目が合うとニコッとし合ったのだった。
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