鈍色の空と四十肩

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45 ー新しい年の始まりにー

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45   ー新しい年の始まりにー

 元日の今朝。
 
 目覚めてからの依子は多幸感で、胸いっぱいで、心落ち着かせるために、早速仕事を始めたのだ。
 譲治があんなにも依子のことを想ってくれていたなんて、信じられなかった。
 まだ、どこかで、いつかは飽きられるんじゃないか、と思ってる。
 でも、とりあえず譲治は絶対に引き下がらないようだし、依子も反論がことごとく打ち砕かれるので、覚悟を決めた。
 仕方ない。どういう未来になるかわからないけど、今は譲治を信じよう。

 譲治の家からの帰り道で、スーパーに寄って夕飯の材料を買った。
 アパートに着いて、まずは散らかった部屋を片付ける。
 次に夕飯の下拵え。

 それからお風呂に入った。
 依子だっておぼこい少女のフリをしてるわけにはいかない。
 立派なおばさんなんだから。
 我ながらこんなことして浮かれてるんだろう、とわかってはいるが、譲治の自分への執着具合を見ると、どうしても避けては通れなそうなので、仕方ない。
 出来うる限りの体の手入れをして、きれいな服に着替えた。

 期待していると思われるのも恥ずかしいが致し方ない。
 譲治のためにきれいにしたかった、というのは本当なんだから。
 薄化粧をし直す。
 それから夕飯の仕上げをしていると、アパートのドアが叩かれた。
 譲治であることを確認してドアを開ける。

ーーー

「いらっしゃい。今日はハンバーグでーす。」
 依子はうれしそうに説明してくれる。
 譲治が子供舌だということをもう把握されている。大好物だった。

 いつものように、いつものテーブルで、他愛もないおしゃべりをする。
 こんな何気ないひとときが、譲治は好きだった。
 時折静かになる。
 またポツポツと話し始める。
 そして目の前の依子は、今は譲治のものだ、そう思うとなぜか泣きたいような気分になるのだった。

「どうした? なにか心配事?」
 依子が首をかしげて聞く。
「いえ、ただ、幸せだな、と思って。」
 譲治は食後のお茶を飲みながら、俯いて言った。
 依子も優しく微笑んで、私もよ。と言った。

 依子はテーブルを片付けながら言う。
「また多めに作ったから持って帰ってね。
 タッパーこの前返してもらったから、また詰めてあげますね。」
「いつもありがとうございます。」
 譲治も片付けを手伝う。お皿を下げて、流しへ。テーブルを拭く。
 それからシンクの横で依子が洗い物をするのを眺めては、ポツポツとおしゃべりした。
 洗い終わって、依子がタオルで手を拭く。
 そのタオルを取り上げて、譲治が言う。
「終わった?」
 依子の返事を待たずに、小さな体を引き寄せて、キスをした。

ーーー

 譲治は依子の顔を両手で挟んで、宝物を持つかのように、大事に優しくゆっくりと唇をつける。
 何度も何度も。
 依子も両手を譲治の胸に当てて指で筋肉を撫でる。
 譲治は依子の顔中にキスの雨を降らせる。鼻、額、こめかみ、まぶた、頬、あご、耳の上から滑るように耳たぶへ。
 それから首筋に唇を滑らせる。
 何度も撫でるように往復する。
 依子の脈がどくどくと打つのを唇で感じ、そこに強めに吸い付く。
 依子の呼吸が荒くなる。
 喉の窪みを通って、反対側の首筋へ。
 そこにも強めのキスを落として、顎から唇へと戻った。

 そして海に飛び込むかのように、依子へ深く口付けする。
 何度も何度も、離しては角度を変えて、また口内を舌で撫で、依子の舌を追いかける。

 依子の顔が見たくて、一度顔を離す。
 目を閉じた依子の頬は紅潮し唇は赤く腫れて半開きだ。
 それを見て、また堪らなくなった譲治がもう一度、と顔を近づけると、依子が目を開けた。
 依子は右手を譲治の顔に滑らせて言う。

「めがね、、どうしたの?」譲治は依子の指の感触を、目を閉じて味わう。
 その指を握って、爪にキスをする。
「こうなるって、わかってたから。置いてきました。テーブルの上。」
「見える?」
 依子は背伸びをして、譲治の胸にしがみつきながら、顎と頬に唇を滑らせる。
 譲治は依子の唇の感触に酔った。好きな人にこんなふうに触れられことが、こんなにも興奮するものだとは思わなかった。
 もう耐えられない、と思って譲治は依子の膝裏に手を入れて、横抱きにする。

 きゃ、と依子は驚く。
「もちろん。見えますよ。元々裸眼でもそんなに問題ないんです。」
「ねえ、絶対重いから!腰折れちゃう」
「そんなわけないでしょ。僕、好きな人をこういうふうに抱き上げるの夢だったんです。」

 そして寝室のドアをくぐって、読書灯だけが灯っていたベッドに依子を下ろす。譲治はベッドサイドでセーターとシャツを脱ぎ、上半身だけ裸になって、ベッドに乗ってきた。
 依子は身体を起こしてそれを見ていたが、俯いて自分のブラウスの胸元をぎゅっと握りしめた。
「あのね、あの、私、ほんとに自信ないの。
 この前も言ったけど、中年体型だし。」

 譲治は、握りしめた依子の手を包んで、指を剥がしにかかっている。
「僕もこの前言いましたが、あなたの体型が好きです。
 僕が知りたいと思う唯一の女性の体です。
 あなたが心配なんてする間もないくらいの状態にしてあげます。」

 手を剥がした胸元からブラウスのボタンを外して、その後から順番に唇をつけていく。
 ブラウスを脱がして続けてキャミソールを頭から抜いた。依子の喉の窪みに口をつけて、顎を通って唇に辿り着く。

 キッチンでしていた時より、さらに激しく深く口付けを交わす。
 譲治の口付けがあまりに激しいので、依子は、天地がどこかわからなくなり、腕を譲治の肩から首へ巻きつけてしがみついた。
 譲治は、依子がしがみついてきたことで肌と肌が密着し、その場所から溶けていくようだと思った。
 依子をベッドに押し倒して、深く口付けを続ける。

 名残り惜しげに唇を離れて、首筋に降り、強めに吸い付いて跡をつけた。
 それから胸の方へブラから出ている上の方をくまなく唇で辿りたまに甘噛みしてみる。
 譲治にとっては経験したことのないような手触りで、柔らかく蕩けるような心地だと思った。
 依子は自分の体型を嫌っていたが、譲治は、かなり胸が豊満なことには早いうちから気づいていた。
 小柄な割に胸もヒップも肉付きがいいので余計に目につくのだ。

 ブラカップの上の縁を、少し手で下に押し下げて、依子の胸の突起を露出させる。依子が恥ずかしそうに肩をすくめる。譲治はその依子の二の腕あたりを押さえつけて、周りを舐めながら突起を口に含んだ。
「んんっ」
 依子が声を出して喘いだ。
 声を堪えるように反対側の手の人差し指を噛んでいる。
 自分の愛撫に悶え、声を我慢する依子を見るのは、どこか嗜虐的な快感だ。

 それを見てゆっくりする気が雲散し、依子の背中を支えて浮かせる。
 背中のブラのホックを外して上半身を晒した。少し乱暴にまたベッドに押し倒す。
 依子の柔らかな肌と、その下の脂肪と、肉と、骨格も、全てを感じたくて、激しく手であらゆるところを揉みしだき、唇で吸い上げ、舐めては、跡をつける。特に乳房は念入りに味わわずにおれなかった。
 譲治が鷲掴みにした依子の乳房が、武骨な手の中で形を変えていくのを見るのをやめられず、揉みしだいては突起を吸い上げ、と繰り返した。
 依子はもう、喘ぎ声を止められないようで、白い肌全体が紅潮している。
 夢中で依子の上半身のあらゆる所を吸っていた譲治は腰のあたりまできて、依子の穿いていたジーパンのウエストに阻まれた。
 少し焦り気味にベルトとホックを外して、靴下も一緒に脱がせる。

 顕になった足を持って、左足の爪先から大事そうに唇を滑らす。依子の爪先は冷たかった。
 足の甲から順に唇を滑らせ、ふくらはぎ、膝、太もも、内股と跡をつけるように吸い付いていく。
 右足もまた同じように辿って、ショーツとの境の内ももに吸い付き舐めると、依子はびくり、としてまた小さく声をあげた。

 譲治はショーツの上から指で依子の敏感な部分をなぞり、既に潤み始めていることを感じる。
 手の指はそのままに、唇はまた下からおへそ、みぞおちを通って依子の顔を見つめた。
 依子の頬は紅潮し目は潤んで切なそうに眉を寄せている。
 
 譲治はまた深く口付けをし始める。
 舌で依子の口内を探り味わう。
 手はショーツの縁からそろりと忍び込ませて、依子の敏感な割れ目を中指で優しく探った。依子がキスをされたまま声をあげる。
「んんんっ!!」

 譲治は唇を離して
「僕の指だけ感じて。我慢しなくていいから。」と静かに言う。
 そして依子の乳房に食らいつきながら、少しずつ指の動きを大きくする。
「あ、あっ、譲治くん、んっ...」
 依子は声を止められなかった。

 譲治は身体を下げて、依子のショーツを脱がせ、足から抜き取った。
 依子はすぐ足を閉じようとして、恥ずかしがるが、そうさせる前に譲治は身体を割り込ませて、依子の下腹にキスを落とす。
 その下の叢をかき分けて、依子の敏感なひだを剥き出しにした。
 そこはもう溢れるほどに濡れて艶めき、紅く溶けていた。
 ああ、もうこんなに...と譲治は身体中の血が中心に集まるのを感じた。

「んっ、ねえ、譲治くん、はずかしい...」
 依子が喘ぎながらかろうじて抵抗するが、譲治は聞かないでそこに吸い付いた。
「あっ、やっ、あ、んん...」
 依子の声が一段高くなる。

 依子の花芽を探しあてて舌で優しく転がし、擦る。
 左手で依子の右足をあげて押さえつけ、右手の中指をゆっくり、探りながら優しく依子の紅くほころんだ道へ滑り込ませた。
「あ、あっ、んんん...」依子の悲鳴が聞こえる。
 その間もずっと舌で割れ目と花芽を愛撫し続ける。

 依子の内部は溶けているかのように水を湛え、熱く、柔らかかった。
 あまりにも抵抗がないほど解れていたので人差し指も揃えて滑りこませる。 
 2本の指で優しく擦ったり、押したりして依子の中を探索する。
「んっ、ん、ね、ねえ、譲治く..ん、わたし、もうダ、ダメになりそおっ、んん...」
 依子が泣きそうな声を出す。

 譲治が指で感じる依子の中はますます熱く、ぐねぐねとうねり、震え始めている。
 譲治は動きを止めないまま、ますます激しく、唇と指で依子の中を、外を犯す。
「どうぞ、ダメになっていいから。何度でも。僕の指でおかしくなって。」
 そう囁くと、依子は
「ああっ、んんんーーーっ!」と叫んでビクビクと全身を跳ねさせて達した。
 その間の依子の肉壁ときたら。
 あまりの収縮に指が引きちぎられそうだ。

 自分自信を挿れた時のことを想像すると、暴発しそうだ、と譲治は思った。
 譲治は一回体を起こして、自分のジーパンと下着を脱ぎ捨てる。
 ポケットに入れておいたコンドームを取り出して、歯で袋を引きちぎり急いで被せた。正直もう限界だ。

 依子はその間も、さきほどの絶頂の余韻で時折体を震わせ、ハアハアと胸の動きが早い。
 譲治はまた依子を限界に追い詰めるべく、依子の乳房に吸い付く。
 唇で探しあてて突起を吸い上げる。左手で依子の身体全体を撫でおろし、足を揃えて、落ち着かせるように平に寝かせる。
 子宮の上のお腹を彷徨うように撫でさすっていた手をさらに下ろして、もうずぶずぶに濡れている割れ目に差し込む。
 中指の腹で、花芽を探して、優しく転がし撫でさする。その間もずっと、唇は依子の胸の蕾をくわえて噛み、吸い続ける。

 しばらくそうしているうちに、また依子の喘ぎが激しくなり、昂まってきているのがわかる。
「ん、んっ。あ、あん、ああ...」
 依子は少し体を起こして、肘をつく。
 胸に齧り付いている譲治の頭を撫で、首や背中、届く範囲に手を這わせる。

「ねえ、ねえっ、譲治くん、私、また..。もうだめ...ねえ、お願い...」
 顔を起こして依子を見た譲治に、快楽でけぶった目を向け言う。
「ねえ、もうだめなの...お願い。ひとりはイヤ。譲治くんと一緒に...」
 それを聞いて譲治は、頭が瞬間的に真っ白になったような気持ちで、急いで身体を起こし、依子の脚の間に入りこんだ。
 両手で依子の足を広げて、その中心に自分の昂りを当てて一度擦り付ける。

 依子はそんな譲治の胸に両手を当てて、食い込ませるように爪を立てた。
 チリ、とした痛みを感じた瞬間、譲治は依子の中に滑り込む。
「ああっ!」
 依子は悲鳴をあげてのけぞり、震えている。
 挿れただけで、軽くイってしまったらしい。
 依子の膣壁は激しく譲治を搾り上げ蠕動している。
 譲治は昂りを全て収めたわけではなかったが、あまりの締め付けに達しそうになり、ぐっ、と息を漏らして歯を食いしばった。
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